こんどは航空自衛隊の「野戦迷彩装備」を紹介します。
(7)航空自衛隊野戦装備
―00年代中盤・野戦訓練装備―
空自では、地上勤務員はあくまで航空作戦の支援のための存在でしたが、防空部隊などには独自の迷彩柄の戦闘服などが支給されており、また基地周辺での戦闘に備えての陸戦訓練なども実施されていたようです。
2000年以降、陸自でCQB訓練が盛んになると、空自でも同様の近接戦闘訓練が行われるようになりました。
そんなCQB訓練はなやかりし頃の、空自の基地警備隊員の装備を紹介します。
*戦闘服(上下)
市販のレプリカ(RANGER)です。
この迷彩は80年代に採用された古いもので、パターンは陸自の熊笹迷彩そのものですが、配色が独特なものになっています。
また、上着の裾をズボンから出すスタイル。
近年にデジタル迷彩に移行しましたが、確かに航空基地にはグレー基調のデジタル迷彩はいいものの、その周辺の植生からするとこの野戦迷彩のほうが適しているように思います。
*88式鉄帽
個人製作レプリカ中号に、レプリカの鉄帽覆いを装着しています。
内装は旧来の陸自のものと同じものを使用。
鉄帽ゴムは、この野戦迷彩用のものが入手できないため装着せず、代わりに鉄帽にゴーグル(市販の汎用品)を被せて隠しています。
顎紐は陸自と同じもの(kyOnさん製レプリカ)を使用。
*アイウェア
ここではあくまで、野戦迷彩用鉄帽ゴムがないのを隠すために市販のゴーグルを装着しています。
空自の官品はありませんが、陸自の戦闘ゴーグルを使用(陸自からの貸与?)しているケースや、なにもつけていないケース、あるいは私物なのかシューティンググラスを使用しているケースが見られます。
*戦闘防弾チョッキ
陸自のものと造りは同じで、迷彩柄のみ違うレプリカです(RANGER)。
なお、空自は64式小銃を使用していますが、このチョッキに造り付けの弾入れは89式用のもので、64式の弾倉も入ることは入りますが、取り出す時にキツくて苦労します。
陸自だと初期の頃からチョッキの上から弾帯を付け、そこに弾入れなどのポーチを装着するやり方が流行っていますが、空自の場合そこまでのケースをあまり多くは見ないので、防弾チョッキのままとしています。
*二種編上靴
空自の二種編上靴(にしゅへんじょうか)は、リーガルの編上長靴で代用しています。
なお、この頃は陸自の戦闘靴2型を履いて訓練をしている光景も見られました。
*グローブ
官品はないようで、各自で自由に購入して使用しているようです。
ここではホームセンターで売られている、陸自迷彩柄の作業手袋を使用しました。
*ニーパッド・エルボーパッド
パッドを装着しているケースを再現しました。
OD色の市販品です。
*防護マスクケース4形
陸自のものと同じものですが、実物は空自専用のマークがついています。
空自のものがないため、PXサイトー製レプリカ(陸自用)を使い、当時流行していた左腿への装着を再現。
中身のマスクはレプリカがないため、着替えを入れています(笑)。
*弾帯・吊りバンド
空自では、旧来の陸自タイプのものがまだ現役で、BXでも旧型のものが新品が購入できます(レプリカのBX品)。
防弾チョッキの下になっているので見えません。
*下衣
この当時どんなTシャツだったのか調査不足で分かりませんが、適当にODのものを着用しています。
背面には特に装着していません。
右肩から斜めにかかっているのは、小銃のスリングです。「戦闘服」は背中の偽装枝差しがありませんが、この防弾チョッキの背中には枝差しがついています。
*64式小銃
まだこの当時は陸自でも完全に89式小銃が行き渡っていなかったこともあり、当然64式小銃が使用されています(S&T製の電動ガンを外装カスタムしたもの)。
なお、部隊一括購入という想定で、ノーブランドの3点スリングを使用しました。
薬莢受けは個人製作レプリカ(ヤフオク)で、特にこの時期特有の装備というわけではありません。
地味な存在ながらも意外にいい味を出している空自野戦装備。
森のサバゲでもこのまま使えそうです。
―16年頃・爆撃誘導員―
デジタル迷彩に更新され廃止になったと言われた野戦迷彩服(戦闘服)が、意外なところで登場してマニア界隈で話題になりました。
2016年秋の、米軍のJTAC(統合末端攻撃統制官←なんか好きになれない翻訳)インストラクターによる陸自の爆撃誘導員訓練に現れた、空自の爆撃誘導員。
この二曹さんが、旧来の野戦迷彩服の上に米軍チックな現代的装備に身を固め、新旧折衷で衝撃的カッコよさを振りまいていたのです。
これを再現しないというテはありません。
ただ、この装備は空自としての正式なものでなく、…というよりこの隊員さんの個人的趣味という可能性も高いため、ここでは正確な再現というより、想像の幅を広げて「近代装備と旧装備のハイブリッド」を念頭に置き、装備を組んでみました。
*ボディーアーマー
ここで使用されていた米海軍特殊部隊用のNCPC(NAVY CAGE Plate Carrier)のレプリカで、マルチカム迷彩です。
市販されていたものを購入しました。
*ポーチ類
正面に、マルチカム迷彩の2連小銃マグポーチ(ライラクス)を。
空自がいまだに64式を正式小銃としているせいか、7.62mm用のものを使っていたため、ここでも習いました。
右サイド前には、実例にはなかったですが、2連の拳銃マグポーチ(タスマニアンタイガー)を装着。
*無線
実際にサバゲで使用するため、特小無線機にテキトーなPTTスイッチを取り付けています。
実物はいろいろとややこしいらしいですし、サバゲで使用できなければ意味がありませんので・・・
大きな無線機っぽいものはガワだけのレプリカで、中に特小無線機を入れています。
*名札
名札は空デジ装備再現でも使用していた、グレー基調の空自仕様のもの(個人特注品)。
背面には適当なOD色の汎用ポーチ、左脇にはこれまたタンの汎用ポーチをつけています。
*ヘルメット
実例に合わせ、米オプスコア社製のFASTヘルメットの、「マリタイム」タイプのレプリカ(FMA製)を被りました。
ちなみにこのレプリカはいくつか出ていますが、どうも実物同様欧米人の頭のサイズに合わせて小さ目らしく、実弟が買ったものも孫悟空の緊箍児(きんこじ。孫悟空が悪事をした時に三蔵法師が呪文を唱えると頭を締め付ける輪っか)みたいに頭痛がしてしまうため、とにかく大きいサイズをと探したらXLサイズがFMA製しかなかったのでコレに。
どうも、例の隊員さんの被っているものもレプリカではないかという噂も…
ちなみに、実例ではなぜか右側にだけ日の丸パッチがついていたので、ここでもそれに倣いました。
*ヘッドセット
ヘルメットからアタッチメントを介して、コムタックⅡ(レプリカ)を装着しました。
実例ではコムタックⅢとかなんとか・・・?
これらの製品は製品誤差で取り付けに苦労するのが一般的のようで、ワシのも無理くり取り付けています。
*戦闘服・上下
すでに紹介したものと同じ、旧来の空自の戦闘服(野戦迷彩)です。
*二種編上靴
「空自のBX品」という真偽不明ですがレプリカの半長靴()を使用しています。
*その他もろもろ
ボディアーマーの下には、敢えて陸自の弾帯を使用しています。
左腰には、実例に従いマルチカム迷彩のダンプポーチを下げました。
グローブは私物想定で市販の黒いものを使用。
元ネタになった状況は艦上訓練でしたが、ここでは野戦を想定し、64式小銃や防護マスクケースも敢えて使用してみました。
64式のスリングは、3点スリングではなく2点式のA.O.S.Eのバンジースリングを使用しています。
*その他もろもろ
ボディアーマーの下には、使用例の多かった陸自の弾帯を使用しています。
左腰には、実例に従いマルチカム迷彩のダンプポーチを下げました。
弾帯から右足に、サファリランドの6004ホルスターを装着し、タナカの9mm拳銃(ガスガン)を入れています。
森の中では、やはり現行のグレーのデジタル迷彩より、この旧式迷彩のほうが溶け込みます。
しかし思えば、空自野戦迷彩と、FASTヘルメットやボディアーマーといった現代装備とでは、実に四半世紀以上もの年代差があります。
こんなギャップの激しい装備は、なかなか見られるものではありません。
今後も、こういった「ビックリ装備例」がいくつも出てくるかもしれず、楽しみです。
【誰にでもできる自衛隊装備着用事例集】
自衛隊装備着用例その1 (90年代陸自普通科装備・前編)
自衛隊装備着用例その2 (90年代陸自普通科装備・後編)
自衛隊装備着用例その3 (00年代陸自普通科装備・前編)
自衛隊装備着用例その4 (00年代陸自普通科装備・中編)
自衛隊装備着用例その5 (04年イラク派遣陸自普通科装備)
自衛隊装備着用例その6 (00年代陸自普通科装備・後編)
自衛隊装備着用例その7 (10年頃陸自普通科装備)
自衛隊装備着用例その8 (14年頃空自基地警備隊装備)
自衛隊装備着用例その9 (15年頃海自陸上基地警備隊)
自衛隊装備着用例その10(空自野戦装備)
自衛隊装備着用例その11(15年頃陸自普通科装備)
自衛隊装備着用例番外編(昭和末期陸自普通科装備)
【サバゲ用陸自装備紹介記事】