イラク派遣によって一気に近代化を果たしたかのように見える陸自装備ですが、国内部隊はまだまだ相変わらずでした。
ただ演習では防弾チョッキがかなり普及し、またCQB(クローズドクォーターバトル=閉所戦闘)訓練が盛んになるなど、普通科での戦術はかなり変化してきています。
(6)00年代陸自普通科装備・後編
―防弾チョッキ装備―
(06年~07年頃を想定)
※弾帯チェスト
CQBが盛んになると、それまでの弾帯装備よりももっと実践的な装備が模索され、部隊によっては防弾チョッキの上から吊りバンドと弾帯をつけ、前側に弾入れなどをズラリと並べる、いわゆる「簡易チェストリグ」(あるいは「官品チェスト」「弾帯チェスト」などの呼称もあり)の運用もありました。
部隊や時期、そして隊員個人によっても異なるのでどれが基本ということはありません。
あくまで「こんな一例」という程度ですが・・・
この頃すでに防弾チョッキ2型が採用されていますが、国内の一般部隊の曹士隊員にはまだ旧式の戦闘防弾チョッキが普通でした。
吊りバンド+弾帯の上から戦闘防弾チョッキを着用し、その上からさらに吊りバンド+弾帯をつけています。
ほんらい弾帯はバックルが正面に来ますが、弾帯チェストの場合はあえてバックルを横にずらし、正面に弾入れを並べて装着できるようにしています。
向かって左から、弾入れ(2本用)・弾入れ(1本用)・弾入れ(1本用)・弾入れ(2本用)。
水筒も身体の前面、弾入れの隣に持ってきています。
なぜ水筒をこの位置にするのかは知りませんが、何か意味があるのでしょう。
吊りバンドは、戦闘防弾チョッキの肩パッドにくぐらせるケースもありますが、そうすると着用が大変(防弾チョッキは前開きなのに弾帯チェストは横開き)なので、弾帯チェストの場合は肩パッドの上から吊りバンドをつけるようです。
CQBでは拳銃も重要で、サイホルスタを右足につけています。
邪魔になる銃剣は、吊りバンドの左胸につけています。
背面には、私物のダンプポーチがある他は装備がありません。
寸秒を争うCQBの場合、背面につけたポーチをまさぐる余裕などないので、使う装備は全部前面か両足に持ってきているという具合。
弾帯の左腕の影の辺りに、救急品入れが見えます。
弾帯は、アジャスターで延長しています。
88式鉄帽には、当時は米軍のダストゴーグルを装着しているケースもよく見られました。
右ももには、サイホルスター(サファリランド6004)を装着し、9mm拳銃を収めています。
9mm拳銃は、以前は幹部の自衛用でしかなかったものが、CQBでは近接用兵器として着目され、次第に多くの隊員も装備するようになっていきます。
手にする89式小銃には、市販の汎用3点スリングと、ドットサイトを装着。
どちらも部隊での購入という想定。
※チョッキの上から普通の弾帯装備を着用したケース
ここでは、戦闘防弾チョッキの上につける吊りバンドはチョッキの肩パッドの下に通し、弾帯は身体の正面で開くようにしています(弾帯アジャスタで延長)。
弾入れなどは、身体の前面に来るように適当に装着しています。
吊りバンドを肩パッドの下に通すと着装も手間がかかりますしなんとなく窮屈になるのですが、小銃を構えた時に銃床が肩パッドでしっかり保持できるので、こちらのほうが撃ちやすいように思えます。
防弾チョッキの下に弾帯+吊りバンドをつけ、右腰から銃剣を吊るしています(つまり弾帯+吊りバンドを2セット使っている)。
※サバイバルゲームではないため目の保護はしていません。
※国防未経験なので細かい再現が不足していることは当然あると思います。なので「偽装がなっとらん!」「つま先が光っとらん!」というご指摘はお赦しください。
【誰にでもできる自衛隊装備着用事例記事】
自衛隊装備着用例その1 (90年代陸自普通科装備・前編)
自衛隊装備着用例その2 (90年代陸自普通科装備・後編)
自衛隊装備着用例その3 (00年代陸自普通科装備・前編)
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自衛隊装備着用例その5 (04年イラク派遣陸自普通科装備)
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