(前編 からの続き)
※2021.2追記
初期型官品顎紐レプの記事はこちら。
※2021.7追記
2型官品顎紐レプの記事はこちら。
※2022.8追記
空挺/V8顎紐レプの記事はこちら。
【鉄帽覆い】
「隣のテッパチはリアルに見える」という格言があるように(ないない)、ヒト様の被っているテッパチはカッコヨク見えるのに、どうも自分のテッパチが…と思うことがあります。
今あちこちに出ているテッパチのレプリカは、形状としてはどれも似たようなもの。
それでもやはり男子としては
「やっぱりアイツのナニのほうが」
という悩みが尽きません。
どれも同じはずなのに、なんでかな・・・とお悩みのアナタに、ぜひ見直してほしいものがあります。
それが、鉄帽覆い(ヘルメットカバー)。
実はこの鉄帽覆いが“かなりの割合でテッパチのリアルさに影響している”ということが明らかになってきました(当社調べ)。
@実物の覆いの変遷
*熊笹迷彩仕様
88式鉄帽が登場した当初は、まだ2型迷彩に更新されていなかったこともあり、熊笹迷彩の覆いが支給されていました。
(Mファクトリー製のレプリカ)
ちなみにゴムバンドは、後年の2型迷彩覆いに付属するものと色味が異なっているのが分かります。
*当初仕様
陸自装備が「2型」に更新された1991年以降、2000年代後半までの長きに渡って製造・使用されてきた覆い。
(とあるイベントで撮影させてもらった官品)
今となってはもう古いのですが、官品や共済組合品の数も多く、そしてPX品もたくさん作られていたので、皆さんにも馴染みのある仕様だと思います。
耳の辺りに穴があり、そこから顎紐を出すような仕組みになっています。
*V8仕様
陸自で2000年頃に採用された個人用暗視装置である、JGVS-V8を鉄帽に装着させるための覆い。
前頭部に専用マウントを装着するためのボタンホールが開き、そして後頭部には前後で釣り合いを取るための錘(おもり=カウンターウェイト)を入れるための袋が追加されました。
(TURNERさんに改造してもらった実物ソックリ品)
マウントをつけるネジ穴用のボタンホール。
後部にはウェイトを入れるための袋が追加。
たまたまワシが作ったキーホルダーがすっぽり入ります。
ゴムバンドに干渉する部分に面ファスナーが当たらないような造りになっていますね。
V8が陸自で調達され始めたのが2000年頃だったので、その頃からこの覆いが支給されだしたものと思われます。
*改
2010年に、隊員さんの要望を採用した一部改良仕様の覆いが登場しました。
これは、当初版の覆いでは、雨水が顎紐を伝って首から服の中に入り込むという難点があったからで、それを防ぐためのものだそう。
顎紐用のボタンホールがなくなり、その代わりに紐がこのように出ているのが特徴。
また外観として、縫製線が帽体のフチの線と異なっているが不思議な点です。
登場後20年も経ってからとはいうものの、隊員さんの要望によって改良されるというのはいいことです。
*?
よく分からないのですが、2型になる前に、こんな感じの覆いを見かけました。
なぜか縫製線が鉄帽のフチと合っていません(2014総火演にて)
たまたま同様のものをGETしたのですが、材質VCなもののタグがないので何なのか不明。
*2型
2014年から登場した88式鉄帽2型に付属する覆い。
当初版との違いは、両耳の顎紐用ボタンホールがなくなったことと、内装に止める面ファスナー付きの紐が2本→6本に増え、鉄帽へのフィット感が増したこと。
(覆い自作変態Sさん製のレプリカ)
このように6本の紐で固定します。
しかしV8用の前頭部ボタンホールはないみたいで、その点大丈夫かな?と思います。
もしかするとボタンホール付きのものもあるのかもしれません。
ちなみに2型専用の顎紐はかなり安定感が良く、そのせいで後部ウェイトはなくても問題ないようです。
*2型・リップストップ仕様
迷彩服の生地がリップストップになったのに連動し、最近はリップストップ生地の覆いが見られるようになりました。
これからはリップストップ生地ばかりになっていくのでしょう。
@被せ方
「そんなの当たり前すぎるだろ」
と言われそうですが、当たり前すぎるせいかちゃんと解説してるのを見たことがなく、
「分からない」
という方もたまにいらっしゃるので、被せ方をば…。
まず鉄帽覆いを用意し、色味や風合いを楽しむ。
楽しめない場合は別の覆いを買う(笑)
次に、鉄帽に被せる。
ちなみに内装やあご紐は、鉄帽覆いを被せる前に装着しておきましょう。
位置は、覆いスソの紐が出ているハトメ2個の真ん中を、鉄帽後部の中心に合わせると簡単。
ここをちゃんと締めてないと、覆いがぴっちりつきません。
あまった紐は、内装にくくりつけるなどしてダラーンとならないようにしましょう。
覆いの前についている2本のバンドを、内装の輪っかに通してマジックテープで留める(※2型の覆いはマジックテープ6本)。
2点式の顎紐の場合、覆いのスソ左右についてる穴から、あご紐金具を出しておく(2型の覆いにはこの穴がない)。
ゴムバンドを、覆いのループに通していく。
最後にゴムバンドを鉄帽の後ろで金具にひっかけて一周させておしまい!
はい、簡単!
@サイズ
鉄帽覆いは、鉄帽の小・中・大に合わせて同じようなサイズがあります。
まずはサイズを合わせましょう。
中号のテッパチに大号のカバーをかぶせると、だぶだぶになってしまいます(余った皮があちこち出っ張って、カクカクしてしまいました)。
・・・あれ?
ただ、覆いによっても異なり、例えば大き目に作られているものは中号用の覆いが大号のテッパチにギリギリはまったり、逆に中号用の覆いが中号のテッパチにもギリギリということもあります。
こればかりは実際に買って試すしかありません。
…が、実際には鉄帽の製品によって同じ号数でも大きさは微妙に異なっていて、個人の勝手な印象では、中号で言うと
キャロッパチ・新エスグラ中>SDF-88改・ヤフ個人ッパチ
という感じ。
ちなみにフチの前後左右を測り比べたところ、中号ではSDF-88改とヤフ個人ッパチが実物と同じサイズでした(まあ、実物サンプリングだそうなので当たり前?)
まあそういう「どうしようもない」ケースは抜きにして、テッパチと鉄帽覆いのサイズを合わせましょう。
@材質と色味
我々はついつい帽体に目が行ってしまいがちなのですが、実は同じ帽体でも覆いによって全然違って見えます。
その証拠に↓の画像をご覧ください。
「ははあ、製品によってこんなにカタチが違うのね」
と思われるかもしれませんが、そうではありません。
どちらも帽体はキャロッパチ・中号(同ロット)なのです。
それが全く別物に見えてしまうのは、覆いが違うから。
そう。
鉄帽覆いで、ここまで変わって見えるのです。
・・・さて。
官品の覆いは、ビニロン70:コットン30のVC。
とすると、やはり官品と同じ素材が最も似ている=カッコイイということになります。
そしてわざわざテッパチを被るということは「本気」のシーンなはずで、そんな本気なシーンならばカッコイイ覆いをつけたいところ。
で、官品は入手できないとしても、以前は官品同等でタグだけ違う「防衛庁共済組合品」の覆いがありました。
これに勝るレプリカはないのですが、今はもう共済品を新品で買うことはできません。
ちょっと前までは、さすがに中号はないものの大は購入できました。
しかし今は大号は枯渇し、それまで余りまくっていた小号までもなくなってしまいました。
これが共済品の色味と質感。
意外に重要なのが、後部のフチ。
共済覆いは若干大き目なので、縫製線がフチの内側に入り込み、テッパチ自体のフチがキリッとなっています。
いやあ、カッコイイ。
しかし何故、本来シェアのほとんどないはずの小号覆いが市場から払底してしまったのかというと、それはワシのせい。
共済品は素材が官品同様のビニロンコットンで、ビニロンは水に濡れると縮む性質があり、それを見越してちょっと大きく作られているのです。
ということで、共済品の小号覆いが実は官品サイズの中号帽体にぴったり適合することを発見し、それをビクトリーショーやツイッターで発信し、それが広まってそれまで誰も見向きもしなかった共済品小号覆いが一気になくなった・・・というわけなのでした。
ちなみに小号覆いは未使用時に中号帽体にぴったりのため、濡らす→天日にさらす・・・を繰り返すと確実に縮みます。
そのため鉄帽から外して保管しておくと、そのうち帽体にはまらなくなるので注意。
可能なら帽体に被せっぱなしにしておくことをお勧めしますが、なかなかそうもいきませんね(^^;
一時期よく見かけたPX品。
これは色味はまあ我慢できるにしても、テカりがあるのと、ちょっと小さいため帽体にピッチリはまってくれない…。
その割にフチ以外の部分に余裕があるので、どうしてもあちこちシワが出てしまいます。
入手しやすいのはいいですが…(あちこちのショップで販売されています)。
まあ、PX品ということは本職さんも購入しているわけで、ということは訓練でも使用されているかもしれず、となればコレも立派な「ほぼ官品」と言えてしまうのですが・・・
…まあ、いろいろな違いはありますが、被って外に出てしまえばマニア以外には分からないですし、実際には日焼けや洗濯で色褪せしたケースも多いので、そこまで気にする必要はないでしょう。
とはいえ、やはりマニアとしてはそれっぽく見える覆いがいい。
ちなみにこの比較画像は、上から官品の美品、共済品の日焼け色褪せしたもの、一番下がエスグラV8覆いの日焼け色褪せしたもの。
共済品で分かるように、色褪せるとこういう感じになります。
これは官品or共済品以外の覆いにはなかなか出せないので、やはり覆いにはこだわりましょう。
とはいえ、官品はもとより共済品も新品入手できない今、どこで何を買ったらよいのか・・・というハナシになるのですが、当初版仕様の覆いは、いわゆるPX品を買うしかなさそうです(3000円以下くらい)
あとはオクやメルカリで辛抱強く探しましょう。
RANGERでは割と良いVC覆いを販売していましたが、生地が枯渇したのか今はもう売ってません。
近年注目してるのがMファクトリー(旧フットロッカー)で、こちらがちょくちょく、少量ですがなかなかいいモノを作って販売しています。
今はリップストップ覆いを販売していますね。
例えば既述の熊笹迷彩覆いも近年製作したり、常にチェックしておくことをお勧めします。
@番外編
空自でも88式鉄帽を使用していて、近年のデジタル迷彩柄の鉄帽覆いが売られているのでつけてみました。
でもなぜか、空自デジタル用のゴムバンドがないのです。
せっかくカッコイイのに、緑系のバンドだとなんかしっくりきません。
仕方ないので、ゴーグルを被せてみました。
どゴーグルカバーがRANGERオリジナルで出ていたので入手。
でもゴムバンドくらいすぐ出てもよさそうなものなんですけど。
PXサイトーで購入したものですが、他で売ってるものと同じです。
陸自版のPX覆いと同様、生地がイマイチなのと、ゴム通しのループが低く長く・・・
それに野戦迷彩色のゴムバンドもありませんし。
さて、知人で鉄帽覆いを作成してる方が、空デジ生地を使って覆いを作成されたので、いただきました。
生地の質感も縫製も、製品を超えた素晴らしい出来。
で、その方に海デジ戦闘服の上衣を提供し、海デジの覆いを作ってもらいました。
戦闘服と同じ生地なので、とうぜん覆いの色味も同じなので、これはいい。
その後、また別の生地を使った海デジ覆いも少量ながら出回っています。
その後、大御所エスグラが海デジ作業服を出したのに合わせ、海デジ覆いを販売しました(↓画像右)
まあ経年で縮めば鉄帽にぴっちりはまるかもしれませんが、やはりどこかこう変なシワが出がち。
左と真ん中は覆い自作変態Sさん製のもので、企業作のものが完全に負けてます。
大本の型紙が良くないんじゃないかなあ。
とはいえ、普通に買えるレプリカを販売してくれるのは嬉しいことです。
【ゴムバンド】
とってもどうでもいい、ゴムバンド。
リバーシブルになっていて、表と裏では同じような模様でグリーンとカーキが反転しています。
どちら側が正しいのかは知りませんが、ワシは濃いめの側が表に出るようにつけています。
また鉄帽覆いにいろんな製品があるように、ゴムバンドにもいろんな製品があります。
長いのと短いのとでは幅が2mmくらい、長さも数センチ違いますし、質感も色味も違います。
模様も上の長いやつと、2番目+3番目とでは若干違いますね。
ちなみにいちばん下は、官品。
このように同じ模様が反転しているのです。
昔は捨てるほど存在した旧迷彩向けのゴム紐。
中には余ったゴム紐がキーホルダーに転用されて売られていたほどですが、今は全然見かけなくなってしまいました。
見つけたらGETしておくことをお勧めします。
しかし空デジ迷彩や空自野戦迷彩のゴムバンドは一般的に販売されていません。
そんな中、このゴムを特注した猛者が登場。
覆いは自作変態Sさん製ですが、ゴムバンドはとある方製。
ちょっと色味が薄いのは次の改良品に期待です。
ちなみにこのゴムは、偽装のための草や枝を挟むほか、耳栓ケースを挟んだりすることもあります。
偽装の草は、その地域の植生に合わせるのはもちろんですが、草の裏面を見せないようにするのもコツだそうです。
↑は遠慮がちにやったケースで、本気の皆さんはこんなもんじゃないのですが、やりすぎも良し悪し。
とあるサバゲで、テッパチに小山のような草の偽装をした敵がいて、その茂みが動くのがよく見えて待ち構えて倒したこともありましたし。
個人的にはあまり萌えません。
偽装の効果はあると思いますが・・・
にこのゴムバンドは便利で、いろいろと活用されています。
防護マスクケースのフタが不意に開かないように留めたり・・・
(ただし現行のマジックテープ型になってから見なくなりました)
あとは水筒を縛ったりと、何本か余計に持っておいても損はしませんね。
(後編 に続く)
【サバゲー用自衛隊装備紹介記事】
その1・自分的進化編