陸自装備には、地味ながらブーツも重要。
ワシは当初、米軍ジャングルブーツレプリカを履いてましたが、目が肥えてくると陸自迷装備に合わないこと甚だしい。
後ろから見るとタビみたいだし。
…と言うわけで、あれこれ手を出してしまうことになったのでした。
(※追記しまくりのため再度UPします)
【初期型】
*半長靴
外観としては、登場した1957年頃からずっと同じ。
ソールは当初は旧日本軍の靴のように丸い鋲っぽいデザインでしたが、途中から波型パターンに変更されています。
しかしこれは全ての経験者の皆さんが言う通り、革が固く、履き心地はかなり悪い。
履きなれて馴染めばまだマシですが、新品だとクソみたいな履き心地です。
革が馴染んでも、カカトに靴擦れができるし、甲も痛いし、ソールは滑りやすいし。
クッション性に乏しく、足の裏が痛い。
それにコンクリやアスファルトの上を歩くとコツコツ音がしてしまいます。
また蒸れて水虫もひどいとか・・・当時の隊員さんの苦労がしのばれます。
ただ、後に登場する戦闘靴2型(初期型)に比べ、革がある程度吸湿するため、蒸れについてはまだマシだったという話も。
しかしその吸湿性で、極寒地では水分が凍って悲惨なことになるとか・・・。
ちなみに隊員さんはつま先を異常なほど磨くため、つま先側が黒っぽく変色しているケースも多く見られました。
現役当時も、官給品でない同等品が多数あり、10年くらい前なら新古品や程度のいい中古がワンサカ出回っていました。
ただ、近年はだいぶ数が減っていて、程度のいい人気サイズは価格が高騰するようになっています。
なので、昭和自衛隊コスをする方以外は、わざわざコイツを入手してサバゲに使う必要はないかと…。
*戦闘靴(新型半長靴)
1991~2年頃に、戦闘装着セットに含まれる「戦闘靴(せんとうか)」が登場。
それまでの「半長靴」に対して「新型半長靴」とか、のちの「戦闘靴2型」に対して便宜的に1型と呼ばれることも。
スピードレースにしたり、かかとが斜めにカットされたり、ズボン抜け防止のイボイボがついたりして多少便利にはなったものの、根本的な履き心地・蒸れは改善されていません。
かかと斜めカット。
コイツをオクで探すと、当初型の半長靴に比べて現役だった期間が短いためにそもそものタマが少なく、また程度のいいものはかなり高め。
それに現場でもコイツが支給された数は多くないようで、実際にはあまり見かけることもなかったようです。
それなら旧半長靴で代用できるので、わざわざコイツを入手して使う必要もないと思います。
【2型】
*戦闘靴2型(初期タイプ)
戦闘靴は2002~3年大幅に改善され、黒い牛革とサイド部がナイロンになり、近外観としては代的になりました。
(実物)
内部にゴアテックスが奢られ、水の浸入は防いで汗は出すというスグレモノ…のハズが、実際には蒸れるとか。
革はエンボス加工がされて、磨く必要がなくなったのに、これでも隊員さんはやっぱりつま先をピカピカに磨きます。
さて、2型初期タイプは仕様が確定していなかったのか、何度か小改良されています。
例えばベロの部分。
随時改良されている様子が窺えます。
この2型初期タイプは、現役の期間は短かったにも関わらず、レプリカ品がいくつも販売されていました。
今はどれも廃盤です。
ONE'S-SDF、3万円代。
初期の2型を割と忠実に再現していますが、つま先に安全靴カップが官品と違うので、履いていると変な風に潰れてきてちょっと見た目が悪くなります。
それでいて3万円というなかなかのお値段でした。
RANGERで売ってた「戦闘靴2型軽量仕様」(15,000円)。
未確認情報では、これはノサックスではないかと・・・?
外観としてはとてもいい感じ。
が、スピードレース部の金具が4列ついてます…惜しい。
あとはスピードレース金具が銀色。
とはいえ、レプリカの半長靴に比べると「安全靴」のため、耐久性はいいそうです。
(シモンHPから)
15,000辺りで販売してましたが、これもスピードレースの金具が4列なことと、ソールが工事現場で見かけるような半長靴と同じ形状で、惜しい。
それでも前述のノサックスらしきものと同様、安全靴ならではの耐久性があるようです。
S&Gの「JF.半長靴G-2」(5,000円弱)」。
軒並み高価な陸自系レプリカとしては破格とも言える安さでした。
が、 米軍のジャングルブーツを元に作り直したようなスッキリした形状なので雰囲気は戦闘靴とはちょっと違う。
コレは踏抜防止鉄板が入っており、細かい相違は多いですが費用対効果からすると良かったです。
他にも、S&Gでソールだけ米軍タイプのリアルな形状をしたレプリカが15,000円前後で売られていました。
内貼りもオレンジでなかなかいいものの、ちょっとつま先あたりの形状がスッキリしすぎ。
ちなみに防衛省のちらしによれば・・・
頻繁に改良が加えられていることがわかります。
*戦闘靴2型(改)
2005年辺りに、改良された戦闘靴が登場しました。
ただし戦闘靴2型という名称に変更はなく、今見かける戦闘靴2型ははほぼ全てコレです。
で、識別のために勝手に戦闘靴2型「改」と命名します。
左が初期型、右が改。
(ワシのこのブログのせいで、世間一般に“2型改”という表現が広まってしまいました…)
アキレス腱~かかと部分が、形状も縫製も変わり、履いた際に初期型より足首が細く見えます。
ベロの部分は最初から布製。
履き口後ろのツマミがなくなりましたが、ツマミは便利なのになぜ廃止になったのか…。
その他、初期型より防水/透湿性が向上しているとか?
↑左が初期型、右が改。
(総火演にて)
この2型改ですが、新品時には素晴らしい防水/透湿効果を発揮してくれますが、経年でその効果は薄れてきます。
事実、年数の経ったコイツを外側に水をかけて洗っていると、中に入れている手に湿り気が伝わってくるのが分かります。
真冬の訓練で古くなったコイツを履くのは恐ろしい…
さて、2型改もレプリカがあります。
まずはコレ。
ミリタリーショップ楯桜やアマゾンで購入できます。
これは軽く柔らかい!
↑のようにつま先部がクシャンと曲がるのが外見上の特徴で、専用の中敷も付属。
ソールは実物風。
実物とは形状がかなり違います(特にアキレス腱部が初期型の形状)が、履けばあまり分かりませんし、履き心地はいいし、そんなに高くないし、とりあえず迷ったらコレでいいのでは。
ただし耐久性はイマイチでした。
※まだ廃盤ではありませんが、サイズがMのみになっていることから、在庫限りで廃盤となるかもしれません。
次は戦人※廃盤
これも専用インソール付き。
先ほどのと似ていますが、こちらのほうがややしっかりしています。
が、なぜかコレもアキレス腱部が初期型の形状。
チャチく見えるのは楯桜のと同様、足を入れる口の周りの部分がぷっくりしてることと、サイドの布部がツルンとしてるせい。
新品状態だと長靴(ながぐつ)みたいでチャチいのですが、履いてるとそれらしく見えてきます。
ソールはこんな感じの柔らかい素材で、パターンは実物っぽくてヨシ。
(サバゲで使って4~5年でダメになりました)
S&Gの「JF.半長靴G-3」※廃盤
(HPから)
サイドの布部の質感がいい感じなのと、内貼りが官品風なオレンジ色なことが素敵ですが、つま先の形状がスッキリしすぎなこと、ソールのパターンが全然違うこと、ソール部が靴本体からはみ出すぎてるのが惜しい。
ちょっと重いので、鉄板でも入っているのかな?
でも履き心地は悪くなく、まあいいのではないでしょうか。
ぱっと見ると「お?」と思いましたが、いろいろ惜しい部分も。
細かい点は抜きにして、やはり全体的にほっそりしているのと、あとはアキレス腱のクビレがないのがかなり印象を損ねています。
でも履いてしまえば気にならないレベル。
選択肢が増えるのは消費者としては嬉しいことです。
ちなみに靴としての出来は悪くないですが、あまり履いてないのに数年で履き口の皮が割れて剥げてきました。
結論として、レプリカで現在も販売されているものは、エスグラのものだけのようです(楯桜/アマゾンのものはサイズがMだけ)
*半長靴2型/3型
*戦闘装着セットに含まれるもの…戦闘靴(〇型)
*〃含まれないもの…半長靴(〇型)
という呼称になっています。
で、2005年くらいまで、同じ2型初期タイプであっても、上記のような分類で、「戦闘靴2型」「半長靴2型」と異なる名称で支給されていました。
ややこしいのは戦闘靴が2型改になった辺りで、なぜか初期タイプ形状のものでも「半長靴3型」と呼称されるようになりました。
なので2005~2006年頃は、初期タイプなのに「半長靴3型」、新しい形状なのに「戦闘靴2型」と、逆転した状態で混在していました。
要するに、半長靴2型が途中から半長靴3型に名称変更した、ということです。
なんでだろう。
↓半長靴2型のタグ
↑半長靴3型のタグ。
※余談
コトの良し悪しは抜きにして、2型以降はサバゲで使う程度なら耐久性で官品に勝るものはないと思います。
コトの良し悪しは抜きにして、近年は急に半長靴3型はまだしも、タグ付きの戦闘靴2型改までもが数多くヤフオク等に出品されるようになったので、官品の入手も昔に比べてしやすくなっています。
とはいえ年数が若く程度のいい官品が高額で出品されているものは、官品横流しの可能性もあり、購入するのは避けた方がいいでしょう。
コトの良し悪しは抜きにして、古い年次のものが安く出品されているなら、落札してもいいのでは(ただし警務隊の目も光っているでしょう)
【3型】
*戦闘靴3型
2020年から調達が始まっている、新型の戦闘靴。
それまでの戦闘靴2型から「より軽く蒸れにくい戦闘靴を」との要望で各部が改良されています。
それまでのハトメとスピードレース金具が全て布ループとなり、ゴアテックスも2枚から1枚になり、戦闘靴2型より1割軽くなっている様子。
靴紐通しが金具からナイロンベルトになったことで、脱ぎ履きを繰り返すことによる破損がどうなるか心配ですが・・・。
2021年から換装が始まり、ちょくちょくとミリフォトにそれらしい画像が出てきましたが、まだちゃんとお目にかかったことがありません。
中には体験入隊の人がこの3型を履いている写真があったりと・・・それなら隊員さんを優先してほしいものですが・・・。
とはいえ戦闘靴2型になってからもう20年ですから、改良品が登場するのは喜ばしいことです。
早く実物を履いてみたいものです。
PX品でないかなあ。
(とある方からいただいた画像)
戦闘装着セットに含まれないコレの場合、すでに戦闘靴2型に対する半長靴3型が存在するので、コイツの場合は半長靴4型という名前になります。
まあそんなこと誰も気にしないと思いますが・・・
(中編に続く)
【サバゲー用自衛隊装備紹介記事】
その1・自分的進化編