秋の日は釣瓶落とし | 翻訳で食べていく方法★プロの翻訳者養成所

秋の日は釣瓶落とし

夕方5時で
真っ暗けっけー

秋の日は釣瓶落とし

この言葉、
釣瓶がない現代では
若者には通じない言葉かも知れませんが
なんだか好きな表現です。

といっても、
僕自身も釣瓶で育った世代ではありませんが

この類の表現、
詩的な翻訳文で訳させられることがあるのですが
特に字数やスペースに制限がある場合
困る作業です。

できれば使ってほしくない・・・
もっと違った気の利いた表現をしてほしい・・・
そういうわがままを
たまに翻訳者は感じます。


ちなみに僕の『プログレッシブ和英中辞典 第3版』を引いたところ

つるべおとし【釣瓶落とし】
・秋の日はつるべ落としという
We say the autumn sun sinks as quickly as a bucket falling into a well.


とあり、意味はあっていますが、訳語(あるいは訳文)としては的確さに欠ける訳し方になっています。

こう説明したところで
「Why a bucket into a well? 」
なんていう言葉が返ってきてしまうでしょうね。

また説明が必要になるようでは
的確な、納得できる訳とはいえないでしょう。

あるいは、現代人にとっても
この表現はだんだん的確さを欠く表現になりつつあるのかもしれません。

あるいは、私自身も的確さを欠きながら使っているのかも・・・

この「釣瓶落とし」には
きっと、夕食を準備するお母さんや家庭の雰囲気も
こめられているのではないかなぁ、と勝手に想像しているのですが、
そういう想像が膨らむからこそ
風情のある言葉
といえるのであり、
想像が膨らまない
実用的な「バケツ」として捉えられてしまっては
興ざめなわけです。


もしかしたら
釣瓶落としが、必死な生活のための文化圏では
とても無機質で、興ざめな表現になってしまうかもしれず、
単に英訳したからといって
効果的に物事が伝わるとは限りません。

そういうことも含めて
あるいは原文の調整も含めて翻訳をするのが
本当の翻訳ではないかと
いつも思うのです。


そんな作業が、現在進行中ですにこ


ちなみに
ご存知とは思いますが
「秋の日は釣瓶落とし」とは、

「秋の日の暮れやすいこと」(広辞苑第六版
を指して言う表現です。


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