口内炎を東洋医学でみると | 春月の『ちょこっと健康術』

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おはようございます ニコニコ


口内炎シリーズ、「しみて痛くてポチッと厄介なヤツ」 では、 口内炎を西洋医学からみてみました。で、当座のケアとて「口内炎・のどの腫れにマウス・ウォッシュ」 をご紹介しました。今日は、口内炎を東洋医学からみて、予防法と手当てに使うツボをお届けしましょう。少し長くなりますよ。


まず思い出していただきたいのは、口は脾(→No.11 )と、舌は心(→No.9 )とつながっているってこと。初めての方は、(  )内の東洋医学講座のリンク記事で確認してくださいね。ちなみに肺は鼻で、カゼひいたりして肺が不調になると鼻水が出る。これはわかりやすいでしょ?それと同様に、脾の不調は口に、心の不調は舌に出やすいんです。


次に、脾は胃と、心は小腸と表裏関係にあります(→No.6 No.18 )。陰陽五行における臓腑の関係は、臓が陰で裏、腑が陽で表になっていて、表裏の臓腑は関係が密接。


そして、炎症性のものは、「炎」が入っていることからもわかるとおり、火熱によるものなんです。で、火熱の原因は、外からやってくる暑火の邪もありますが、何かしらがたまってつまって熱を帯びてしまい、その熱が強くなって火になってしまうこともある。これを内生の熱邪・火邪と言います。


ここまでくれば、想像できますかしら?口内炎は、脾・胃あるいは心・小腸に、何らかの理由で火熱が発生している状態ってこと。よくある原因として考えられるのは、

① 辛いものや味の濃いもの、熱いものの食べ過ぎによる火熱内生

② 飲酒や甘いもの・脂っこいものの食べ過ぎによってできた痰湿が長期化して火熱化

③ 食べ過ぎによる食滞が火熱化

④ 七情(→No.29 No.30 )の内傷や五志(→No.24 )の化火による火熱内生

⑤ 気滞(→No.35 )の長期化や激怒による肝火が脾胃や心に影響

⑥ 熱を冷ます陰の不足による虚火内生

⑦ もともと脾胃が虚弱で湿がたまり痰になって火熱化


↑にリストされたもの、『養生訓』でおなじみのものばかりでしょう?健康な人に発生した場合は、火熱の度合いも強く、症状も急に強く出やすい。これは実熱タイプ。もともと陰虚体質(→No.43 )あるいは病気や過労によって陰を消耗している場合は、症状は強くないものの反復しやすい。これは虚熱タイプになります。


1 実熱タイプ


特徴は、

① 大豆~えんどう豆大の潰瘍で、中央が凹み、周囲が紅く腫れる。

② 灼熱性の痛みがあり、食事や会話で痛みが増す。

③ 発熱、口の渇きを伴う。

④ 舌が紅く、舌苔が黄色い。脈は力があって速い。

⑤ 胃熱の場合は食欲亢進、脾熱の場合は食欲不振、心・小腸の場合は尿の色が濃くなる。


手当てと予防は、

① 口腔内を清潔に保つ。

② 特に辛いものや味の濃いものを食べないようにする。

③ ストレスがある場合は、リラックスする時間をとって、気持ちを落ちつける。

④ ツボ: 合谷  曲池


2 虚熱タイプ


特徴は、

① 大豆~緑豆大の潰瘍で、表面が白っぽく、周囲の紅味はさほど強くない。

② 痛みはあまりないが、反復しやすい。

③ のどの渇き、微熱、手のひらや足裏のほてりを伴う。

④ 舌が紅く、やや乾燥気味。舌苔は少ない。脈は細くて速い。


手当てと予防は、

① 口腔内を清潔に保つ。

② 特に辛いものや味の濃いものを食べないようにする。

③ 腎を補うために、色の黒いものや塩味のものをとる。

④ ツボ: 太渓  照海


12も、口内炎の局所への対処には、ほっぺたにある頬車(きょうしゃ)やのどにある廉泉(れんせん)を使います。また、舌の裏側の付け根にある金津(きんしん)と玉液(ぎょくえき)なんていうツボを使うこともあります。どんなふうにするか、ご興味のある方は、かかりつけの鍼灸師さんに聞いてみてくださいね。


一天一笑、今日もいい1日にしましょう。


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椿も咲き始めましたね。寒咲きの侘助。風情があります。


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