今日7月22日の、イシハラ都知事肝入りの、首都大学学長が座長を務めるこれまでずーっと秘密会議だった、「豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する 技術会議」(これ以降、「技術会議」と書きます)が突如20日に東京都のサイトに告知されて、その数時間前に(午前3時)、環境基準の43000倍のベン ゼンが除去されたというのは、実は2.7倍のところでした、という報道が流れました。

ちなみに、技術会議の告知は遅すぎます。
2年前の「専門家会議」の時(抽選)と同様に明らかに動員をかけて、納税者である都民の傍聴を阻止する動きがありましたが今度は抽選すらしないとは、あま りにも悪質、と言わざるを得ません。

問い合わせ先
中央卸売市場管理部新市場建設課
http://www.metro.tokyo.jp/INET/KONDAN/2010/07/40k7k200.htm
ちなみに、ここ↑には、電話番号も書いてあります。

今日、お東京都様は、是が非で安全宣言を出したいでしょう、
もしも次の都知事選にこの「汚染地域への移転」「官製地上げ」「流通のための市場破壊」問題を残しておきたくなければ!
ここで東京都が汚染問題はクリアした、として、技術会議をどんな批判にも動じずに幕引きされてしまうと、大きな歯止めが決壊することになり ます。
たとえば、1260億円での汚染地域の買取りを含む予算執行への火蓋が切って落とされることになります。

9月都議会では自公はなんとしてでも予算を執行させようとしていますから(新しい都議会の自民党幹部のあいさつにもありました)、これは絶対に阻止すべき ことで、また、それだけの情報がそろってきています。

~~~

その、重要な情報と して、このタイトルで挙げた記事を紹介します。

もうお読みになっている方も多いかと思いますが(Twitterでもリツイートしたり紹介もしていますが)、21日付けの朝日新聞で、新たに、新市場予定 地の表層に「健全土」として表層を覆ったはずの土壌にも、案の定、汚染が広がっていた(それもしゃれにならない程に)ことが明らかになった、という調査報 道がありました。

この表層の盛り土に汚染が移っているであろう、という点はずっと問題視されていたことで、2月18日の東京都議会経済港湾委員会でも参考人からも、重要な ポイントとして指摘されています(このエントリー後半にその議論の抜粋を再掲します)。

これまで、地下水を介して、健全土、つまりきれいだと称する土(毒まんじゅうの表面にきなこ、と話した人がいます)を持ってきても「再汚染」される蓋然性が極め て高いことは指摘されていましたが、それを、東京都は「蓋然性の問題である」「対処できる」、などとしてスルーしてきたわけですが、そこに実際の数値データが示さ れているという、大きな意味があります。

要するに、いくら上に土を被せたところで、深く沈み込んだ汚染が土壌を再汚染する、しかも、小さな事業所でなく40ヘクタールにわたってですから、ささい な額を積み増ししたところで、解決不可能です。

加えて言うと、ここは地下数10メートルにわたる沖積層(ゆるゆるの土質)からなる軟弱地盤で、その上に浚渫土(つまりヘドロ)で埋立をした土地です。
埋土をさらに盛れば盛るほどに地盤沈下も進むという問題があります。

東京ガス豊洲工場操業時に廃棄物の不当投棄や野積みもあった ため、複合汚染と地盤沈下がセットになり、しかも深くまで、広大な面積に事態が及んでいるという類まれな状況であること、そこで残念ながらイシハラ都政の 願うような奇跡的な解決策は成立しません。

東京都が主催した「専門家会議」の平田座長(元)のコメントが出ていますが、この方が地下水に複合汚染が残ることを認めていることはここでもたびたび書き ました。今回も危険な事態としています。
朝日
築地市場移転先、盛り土も汚染 基準値の25倍の地点も
2010年7月21日15時27分
http://www.asahi.com/national/update/0721/TKY201007210341_01.html

 築地市場(東京都中央区)が移転を予定している豊洲地区(江東区)の土壌汚染問題で、元の土壌だけでなく、その上に後から運び入れた盛り土からも30地 点で汚染が見つかっていたことが分かった。盛り土の大半は汚染されていないとして、都はそのまま使う予定だが、汚染対策の専門家は「盛り土全体を調べる必 要がある」と指摘している。

 移転の最大の障害となっている土壌汚染で新たな問題が浮上したことで、移転を不安視する市場関係者らの批判が高まることは必至だ。盛り土全体を調査する ことになれば、2014年度開場のスケジュールに影響が及ぶとともに、汚染対策費がさらに膨らむ可能性がある。

 問題の盛り土は、都内などの公共工事の残土が、東京ガスのガス工場跡地の古い地盤の上に運びこまれたもので、予定地約40ヘクタールの4分の3を覆って いる。盛り土の厚さはおおむね2.5メートルで、朝日新聞の試算では約80万立方メートル

 都は07年以降、古い地盤の土壌や地下水の調査を約4千地点で実施。汚染が見つかった地点では、汚染の種類ごとに約60~700地点で古い地盤の上方 50センチの盛り土も調べた。その結果、盛り土からも30地点で環境基準を 超える有害物質が見つかった。最も高いところではシアンが環境基準の25倍、ヒ素が24倍、鉛が13倍に達した。この3地点は古い地盤の 汚染より濃度が高かった。盛り土の表層部分では、詳しい調査が行われていない個所がまだ多いという。立川涼・愛媛県環境創造センター所長は、「放置すれば生態系に悪影響を 及ぼす恐れもある」と話す。

 都が設置した有識者による専門家会議は08年、高濃度汚染が見つかった古い地盤の地盤面以下2メートルまでの土壌をすべて入れ替える汚染対策などをまと めたが、盛り土は会議の場で詳細な分析を行わないままになっていた。都は09年、盛り土を汚染のない「健全土」として新市場の土壌に利用する計画を公表し た。

 取材に対し、都中央卸売市場は「(盛り土の)汚染原因は特定できないが、地 下水上昇による再汚染の可能性が高いため、30地点ではさらに上も調べて汚染を除去する」と説明。一方で、盛り土の大半は「別の担当部署が チェックして適切な土を受け入れており、全体的には健全だ」としてそのまま使う方針だ。

 これに対し、専門家会議の座長を務めた平田健正・和歌山大理事は「再汚染だけでなく、都が受け入れた土に有害物質が元々含まれていたり古い地盤の汚染土 壌が混ざったりした可能性があり、どこに汚染があるか分からず危険な状態だ」と指摘。「新市場に利用するのなら、その直前に盛り土全体を詳しく調べることが望ましい」と述べた。(香川直 樹、渡辺志帆)

     ◇

 〈築地市場移転問題〉 築地市場は老朽化が進み、敷地も手狭になったことから、東京都は2001年に江東区豊洲地区の東京ガスのガス工場跡地に移転を決 めた。ガス工場は1956~88年にかけ操業。76年までは石炭から都市ガスを製造し、その過程で操業時の地盤面より下の土壌が汚染された可能性がある。 同社は98年から07年にかけて汚染の調査や対策を実施。都が土地取得を進めたが、07年以降に都が実施した独自調査で汚染が発覚。都は汚染対策に586 億円をかけ、14年度中に新市場を開場する方針だ。

こうしたことが起こっているであろうと日本環境学会の畑先生が参考人として陳述した、今年の2月18日の都議会経済港湾委員会の記録を書いた、弊ブログエ ントリーから再掲します。

2010-3-24
驚愕写真:豊洲新市場予定地(ガス工場跡地)での地下水の沼(2月18日都議会経済港湾委員会資料)
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10489671616.html

~~~(ここから、上記の2010年3月24日分エントリーの再掲)

もう1ヶ月前(管理人追記:ここでは2010年2月)のこと ですが、2月18日の東京都経済港湾委員会で、日本環境学会の畑先生が参考人としてお話をされました。

以下に、その際に使用された資料の一部から、豊洲新市場予定地(東京ガス工場跡地)の地下水位がどれだけ高いかを示す、あるいは地下水位がゼロにまで上 がってくることはどんなものなのかを写真を、先生ご許可の元で掲載します。

2007年頃、ゆりかもめ「市場前駅」の様子です。
Like a rolling bean (new) 出来事録-100218経済港湾委員会資料から


こちら↓はクリックでさらに拡大します。
Like a rolling bean (new) 出来事録-100218経済港湾委員会資料から

この土地は地下水位が極めて高いため、これはコップのように堅牢な地盤の上で雨水が溜まった状態などではない、ということは自明ですよね。
ここに多少の盛り土をしたことで、雨が降った時、ここまであからさまかつ剛烈に地下水により沼地化するという、誰がどう見ても不都合な状態を絆創膏を貼るようにカバーし ようとしたようですが、それでもしばしば地下水位が高くなるため、局所的に沼が発生していました。(その、別の写真も存在しています)

そして地下水には複合汚染がそのまま残ります(専門家会議で座長が認めています)。

さて、この図のような状態を、お東京都様は、現場にいるわけですから、過去からずっと知っていました。
嫌がる東京ガスから汚染された土地を「時価」で買収した時にだって、承知していることは明らかです。

なのに安全だ安全だ詐欺発言を繰り返すのみで、その神経回路のつながりはどうしても理解できません。

この写真を受けてのお東京都様の反応を予測するのは容易です。

・いや、あれですね、窪地になっていたという異常事態ですべて雨水だと「考えている」
・今は盛り土をしているから地下水が上がってくるはずなどないと「考えている」
・しかも地下水は常に汲み上げて一定の高さに来ないように管理することが可能だと「考えている」
・遮水壁を作ることも対策になるはずだと「考えている」

そんなことが実現可能でしょうか?

では、2月18日の経済港湾委員会の畑先生の説明から関連部分を抜き書きします。
この点以外にも、議員からの鋭い質問に、重要な指摘が数え切れないほどありましたが、当時、恐ろしいくらいこのことは報道されませんでした。

では、畑先生の、この写真に関する説明に関する箇所の一部を抜粋します。

(略)
それで10ページですけれど、これは実際には2007年くらいだ と思うんですけれど、ゆりかもめ駅の前、市場前駅から、この5街区を、このような状態なんですけれど、こういう 形で大きな溜め池ができました
その後、東京都はこれを埋め立てたんですけれど、やはり大雨が降りますとほ んとど水浸し、泥田状態ですね。水田の田植えの時の。
そういう状態になりますから、地下水位がゼロになるんです

(略)

それから、海抜2mに地下水位を保つことは、プールの水位を下げることは簡単なんですけれど、土壌中の水分を搾り出すこ とは非常に難しいです。
だから、こういう地下水位に非常に変化のあるところでは、かなり狭い範囲で遮水壁を一杯作って、地下水を汲み出していかないと、水位を低く下げることはで きません。

(略)

それと、深いところに汚染土壌が残る限 り、地下水を基準以下にすることは困難です。これは地下水汚染やっている人の常識なんですけれど。汚染土壌が残りますから、地下水を環境基準以下にするなん て、僕は絵に描いた餅だと言ってるんですけれど、非常に難しいことですね。

(略)
まず、地下水位のことに絞っているので、他の重要点は省略しています。

そして、この中にある、遮水壁そのものが実績がないことは、今からおよそ1年半くらい前に書きました。
(お東京都様想定反応:「その時代から1年半でぐんと技術が向上したから必要に応じては使う」などと強弁(汗))

40ヘクタール(上の写真の5街区はそのほぼ1/3)という広大な土地で、簡単に上がってくる地下水を組み上げ続けようということの無謀さがよくわかりま す。

しかも、この土地には18000本の杭が埋設されていることも伏せられたままでした。

よくこれで汚染処理試験(成功したと書けという空前絶後の契約)の中間報告を安全であるがごとく、各メディアに報道させたものです!!!

しかも、埋土をしたり一部を煮たり焼いたりすればいいってわけじゃありません。
先日この土地(豊洲6丁目)が、東京湾河口の底質の浚渫土(ヘドロ)で作られています。

ここに生鮮市場を作れば、働く方の健康被害の恐れと、食品汚染の恐れ、また、地下水をスクランブルすることによって、これまで安全な暮らしのあった近隣へ の被害が拡がる懸念だってあります(財産と健康への損害です)。

いくら築地を官製地上げして誰かさんに売り飛ばすお約束と大手外資のための流通カイカクのお約束がセットになっていたとしても(そしてそこに、たとえば都知事の首がかかっていたとしても)、 こんな迷惑で不合理な開発は、中断でなく、断固として完全中止にしなくてはなりません。

~~~(ここまで再掲)

===

弊ブログでの関連エントリーです。新しい順にご紹介します。
まだ他にもありますが、なぜ豊洲移転にここまで東京都がこだわるのか、単純に「公共事業はやめにくい」以外の要因も含めて、実際に起こったこと、公開情報 を踏まえて書いています。
ぜひお役立てください。

2010-07-21
イシハラ都政のデータ隠しは明らかに。それでも安全宣言強行には厳重厳戒! 世界の消費者の声を!
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10596636985.html

2010-07-20
なんと読売新聞が東京都のデータ隠し批判!「築地移転、都がデータ隠し…汚染土の無害化実験」
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10595596471.html

2010-07-19
おさらい:なぜ築地市場の官製地上げ(組合潰しと各種デマ)とその後に来る物流支配が危ないのか
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10594605064.html

2010-7-16
イシハラ都政による「土壌汚染除去実験」の目茶苦茶さ<10>(公 金支出返還訴訟と汚染問題解説)
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10591706916.html

2010-7-13
今日、築地移転反対の旗振り役 「東卸」 特定調停の記者発表。報道が移転不可避論を喧伝することに大警戒
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10589152955.html

2010-07-07
築地移転反対の軸である鮮魚仲卸組合「東卸」のありえない強制破綻事件(第9回勉強会から)
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10583673633.html

2010-07-01
消費者を侮るイシハラ都政(裁判で異議を)・消費者を潰し日本を差し出す現政権の消費税増税法人税減税
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10578221231.html

2010-06-29
イシハラ都政 「豊洲新市場で後から見つかる汚染は東京ガスが費用負担」と答弁していましたけれど?
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10576293283.html

2010-06-24
豊洲新市場予定地全体の汚染べったり分布図とイシハラ都政発行の疑問炸裂BOOKの大きな差 
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10571720359.html

2010-06-21
イシハラ都政による「土壌汚染除去実験」の目茶苦茶さ<9>(日 本環境学会坂巻先生の発表内容)
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10569038677.html

2010-06-16
イシハラ都政による 「土壌汚染除去実験」 の目茶苦茶さ<8>(実 験の中止はありえない、と都知事)
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10564421790.html

2010-06-12
イシハラ都政による「土壌汚染除去実験」の目茶苦茶さ<7>(新 たな都議開示資料は全面墨塗り!)
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10560994806.html

2010-05-20
イシハラ都政による「土壌汚染除去実験」の目茶苦茶さ<6>(6 種の実験はすべて未検証)
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10539551712.html

2010-05-07
イシハラ都政による 「土壌汚染除去実験」 の目茶苦茶さ<5>(微 生物浄化実験の怪)
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10518826475.html

2010-05-02
イシハラ都政による「土壌汚染除去実験」の目茶苦茶さ<4>(汚 染処理実験へのNature記事仮訳)
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10523297412.html
★科学誌"Nature"も、東京都の汚染対策の非科学的態度を世界の学者に向けて発信!

2010-04-30
イシハラ都政による「土壌汚染除去実験」 の目茶苦茶さ<3>(科 学誌Natureの指摘にどう反応?)
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10521559325.html

2010-04-26
イシハラ都政による 「土壌汚染除去実験」 の目茶苦茶さ<2>(実 験見学会公開への都のスタンス)
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10517841920.html

2010-04-25
イシハラ都政による「土壌汚染除去実験」の目茶苦茶さ<1>(豊 洲新市場見学会概略:参加者情報)
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10517165495.html

2010-04-18
今月の『選択』にイシハラ都政のお金の面での総括記事:『石原都政の「無駄遣い」一兆円以上』
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10511274515.html

2010-04-09
今後の流れと意味:イシハラ都知事らの住民監査請求(豊洲新市場予定地購入での160億円の損害賠償)
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10503739798.html

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これまでの経緯
2010-04-15
【詳細な調べからの情報抜粋】 イシハラ都知事就任前後の築地移転問題の推移
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10508674985.html

2008-08-11
『【内容確認と転載希望】 東京の都市計画と築地立ち退き関連年表(拡大版)・イシハラ氏の動きとともに』
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10125747752.html

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だから、もう、汚染物質大量投棄のヘドロの埋立地で生鮮品市場操業な んて到底無理です。

Like a rolling bean (new) 出来事録-100218経済港湾委員会資料から