あちこちの新聞に、イシハラ都政の豊洲新市場予定地汚染実験の数字隠しのことが報道されています。

つまり、東京都の企てをいかにヨイショしようとも、権威の粉飾をかぶせようとも、初期値(使用前)のデータの墨塗りが発覚したことも含めて、この「実験」(とうてい実験とは言えないのでカギカッコをつけました)がその体をなしていないこと、さらにイシハラ都政の自爆的行為で、意味合い自体がめちゃくちゃになっていることを過去10回のエントリーで書きました。
☆わたしのブロクは、検索エンジンで大変に引っかかりにくいので、このエントリーの最後にリンクをつけました。

イシハラ都政は、この段階にきて、ベンゼンの環境基準43000倍という甚大な汚染が解消されたと主張してきたものが、実際には汚染の元データは環境基準2.7倍だったこと、さらには読み手をごまかすように、もともとあった43000倍のデータが「何かの間違い」であるかのような報道までなされています(時事通信の記事を後から紹介します)。

都の態度は、行政という倫理と節度と科学的な根拠をもった態度で人々を守らなくてはならないという立場の根底に反するもので、絶対に許されるものではありません。

まさに村野瀬玲奈さんが端的に指摘されているように(http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-1888.html  いつもご紹介ありがとうございます)、

環境問題や食の安全をいくら指摘されても情報統制や移転反対派の分断工作などを駆使しながら築地市場を汚染地域である豊洲に移転しようとする石原帝国・お東京都様の執拗なたくらみ(村野瀬さんによる記述、下線は管理人)

はいっこうに沙汰止みになりません。

昨晩未明に公開された読売の記事この中のひとつ「情報統制」が読売から崩したものか、とも思いましたが、その後お東京都様からの説明は続きました。ということは、明日7月22日の「技術会議」で問題をいくら指摘されてもそのまま「安全宣言」を出し押し切ってしまうための布石である可能性をも視野に入れて、警戒しておかなくてはならないと考えます。

いっせいに多くの情報を出して(中には、数値隠しへの正しい指摘も数多く含まえれています)、人々を「これで安心」という思いとともに、「まさかこでれは東京都も動けないだろうなあ」という楽観的な思いに陥れた中、めくらましでOKを強行する、これ、いつものイシハラ都政のやり方です。

また、騒いでいるのはどうせ一部の人間だけだろう、などと高をくくり事態を矮小化して水に流させて横暴に横暴を重ねるのがイシハラ都政のやり方の特徴ですから、「どうせ一部」などと安心させないこと、つまりは日本中、世界中からの批判を集めて徹底的に追及し続けることが重要になってきます。

昨日(2010/7/20)の経緯をまずTwitterのわたしのツイートから関連するものを抜き出します。

おはようございます。ブログを更新しました。あたふた。まだここで油断はできませんが、ともあれ、情報です。行ってきまーす!!→『なんと読売新聞が東京都のデータ隠し批判!「築地移転、都がデータ隠し…汚染土の無害化実験」』http://bit.ly/aDowDK

posted at 05:50:31


読売によれば(豊洲新市場予定地の汚染除去の)「実験は問題なし 説明足りない都」だそうですが、実験も問題ありですね。(続きます)

posted at 06:41:16


(続き)科学的に汚染除去の証明ができてないからです。痩せ薬の使用前使用後を示さず効果があるという実験を信用できるはずなし、と、ある先生の言葉。ここからはわたしのイメージ。430キロの人が標準体重になった驚異の薬。ふたをあけたらその実3キロ減。こんなもの根底から信用できるはずなし。

posted at 06:49:02


まさかイシハラ都政、汚染か最初から43000倍もなかったという話にすり替えようとしてリークないですよね。だったら爆笑です~。だって最初からタール溜まりの散在の話はあり安全そうなすぐ隣が高濃度とは既知。加えて今回、汚染が軽い近隣サンプルの平均を取ったから発表できなかったのでは?

posted at 18:13:03


複合や微生物状況は再現不可能ですよね。未調査ですし。RT @kosakakazuki : 築地移転候補地豊洲の土壌汚染問題で、都は、汚染処理実証実験中間報告に初期値を出さなかった。本日各紙夕刊によると、処理実験で、人工に試料を作成したということ。人工に作成した試料を用いたのであれば

posted at 19:07:01


移転問題とは別にして、これ、普通に科学技術としてありえませんから。それに数百種類の複合汚染物質があるのに7種類またはそれ以下でしか再現していないし。これでまた日本の技術が疑われます。→東京新聞『築地移転調査 高濃度試料を人工作成』http://bit.ly/dnNy4o

posted at 20:50:39


ということで、朝3時公開の読売記事を知ったのは朝5時40分、6時数分前には家を出なくてはならなかったので、あわててエントリーにアップしました。

しかし、「世界最大の高級紙」を自認される読売新聞を見ると、「実験」自体には問題なく、「説明責任」がまずい、という話にもなっています。前段と比べ、これはとんでもない締めくくりです。まずいのは両方です。
43000倍という重篤な汚染が魔法のように解消された、だから安全にできる、という主張が、たかだか3倍弱に過ぎなかった、ということですから、ある先生がおっしゃていた、「痩せ薬の使用前を見せないで使用後を見て何が信用できるというのだ」ということに、まったく御意です。
それも、たとえて言えば、自室のドアから出られないほどの生命にかかわる重篤な方が短期間で標準体重になったという驚異の痩せ薬があった、とイシハラ都政は喧伝しておきながら、まったくそうではなかったのですから。
ともあれ、ごまかしの幅でなく、使用前の初期値を出さないのが実験の本質として狂っています。
これも何度も書きますが、科学誌Natureでも強く批判されています。

そして、昨日は夕刊にかけて各社の報道が追従しました。
多くの報道(最近、「報道」にもカギカッコをつけなくてはならないと思います)では、ベンゼン汚染が43000倍のはずが2.7倍、しかし東京都は大丈夫だと言っている、実験そのものが疑われるという基調になっています。
イシハラ都政が官製地上げのためにやろうとしてきたことの支離滅裂ぶりが、ここでまたある程度は伝わってきた、あるいは思い出されて来たと思います。

しかし、ある方からご指摘があったように、以下の時事通信の記事など、事実関係だけは正しいことを書いておきながら、文脈としてまったくおかしいですね。
最初から43000倍の汚染なんてなかった、という印象を補強しようとしているのか、あるいは単に記者もチェックしたデスクも騙されていたのか。
時事ドットコム
実際は基準の2.7倍=築地市場移転先の土壌汚染-東京都
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2010072000489

 東京都が築地市場(中央区)の移転先としている豊洲地区(江東区)について、最大で環境基準の約4万3000倍の有害物質ベンゼンが検出された区画の土壌を、今年1月からの無害化実験に際して再調査したところ、汚染濃度は基準の2.7倍にとどまったことが20日、分かった(管理人:何気なく書いてありますが、ひどい表現ですね。こうした部分がミスリードの要因となります。まさか意図的ではないでしょうね??)
 同区画では2008年5月に約4万3000倍のベンゼンなどが検出されたため、都議会最大会派の民主党が今年の2月議会で都の移転計画に反対。このため都は同区画を含む16地点で無害化実験を行い、3月に「環境基準以下に洗浄できた」とする実験結果を発表。しかし、無害化実験の直前に実施した汚染濃度調査結果については公表していなかった。
 これについて都は「作業終了まで慎重を期した」と説明。濃度数値が大幅に異なったことについては「調査地点・方法が違うため」としている。(2010/07/20-14:20)

また、上に引用したTwitterでわたしが、「複合や微生物状況は再現不可能ですよね。未調査ですし」と書いたのは、人工試料の問題です。
これもさらに屋上屋を架すような嘘の上塗りですね。
ベンゼンが薄かったから、ベンゼンを足して(!!!)実験したから、だからそれで良い、と主張したことになります。

いやあ、もう目茶苦茶です。
どこの権威ある学者先生のご指導なのでしょうね。
妥当性があるかどうか、方向をちょっと見てみた(feasibility testとか)というだけなのでは?
何かをそこから証明するには、実際の土壌と同一性を持って扱えるという証明が必要になります。

★複合汚染の状況は調べていないから再現不可能
★微生物は事前に確認していないというのだから再現不可能
 http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10518826475.html

→ってことは実際の土壌と同一性を持って扱えるはずないじゃないですか。

「子どもの夏休みの宿題の実験よりひどい」、と書いたら、それは子どもたちに失礼にあたるでしょう。

東京新聞
築地移転調査 高濃度試料を人工作成
2010年7月20日 夕刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2010072002000181.html

 東京都が築地市場(中央区)の移転予定地、江東区豊洲地区で実施した土壌汚染対策の実証実験をめぐり、当初採取したサンプルの汚染濃度が想定よりも低かったため、濃度の高いサンプルを人工的に作って追加実験していたことが分かった。低濃度の実験では無害化が有効かどうか専門家以外には分かりにくいと判断したためだが、調査の実効性にも疑問を持たれそうだ。(管理人:持たれそうでなく、さらにダメ出しとなるでしょう)

 都は三月の実験の中間報告で、サンプルの実験開始時の濃度(初期値)を明らかにしないまま、「環境基準以下に無害化できた」と有効性を強調していた。

 予定地では二〇〇八年、都の調査で高濃度のベンゼンなどが検出され、都議会第一党の民主党は移転を疑問視。都は移転の説得材料にするため、二月~六月末に現地で汚染対策の実証実験を行った。

 対象は、環境基準を四万三千倍上回るベンゼンや百七十倍のシアン化合物が見つかった場所など十六カ所。移転関連の予算案を審議していた都議会の開催中に行った中間報告では、先行して終了した加熱処理と洗浄処理で、基準以下に無害化できたと公表した。

 この際、都はサンプルの初期値濃度を公表しなかったが、四万三千倍のベンゼンが検出された区画のサンプルの初期値は基準値の二・七倍しかなかった。ヒ素は基準値以下のケースもあった。

 こうした低濃度の数値に、都は専門家の技術会議の助言を受け、ベンゼンについては二十万倍の高濃度サンプルを人工的につくり、無害化の追加実験をした。現地での効果を確かめるのが実証実験の狙いだが、都は「濃度が低くても実験の有効性に変わりはない。効果を分かりやすくする補足データのために実施した」としている。

 委託業者との当初の契約額は約七億円。地中の障害物の除去などを含め、約一億四千万円を追加したという。

しつこいですが、繰り返します。

東京ガスの(ある程度)詳細な調査で、大変な種類の複合汚染が認められていました。
しかし、東京都は実験では4種類の物質しか対象にしないと言っています。
カテゴリ、というような前人未到の謎の概念が出てきて、4種類調べればオールクリアできることになる、と断言しています。

しかし、除去され方も、土の状態も、まったく異なります。
試験管レベルと現地の浄化は全く違いますし、土の性状が異なれば効果も違うとは、あの東京都が主催した専門家会議の平田座長も明言されていたことです。

こんなことで説明になっているとする東京都の態度には、やはり、なんとしてでもこの官製地上げを敢行する、最低限でも豊洲新市場予定地を買った(これからも1260億円かけて追加して買う)ことを正当化したいという動機が満ち溢れている、と言わざるを得ません。

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では、弊ブログでの関連エントリーです。新しい順にご紹介します。

まだ他にもありますが、なぜ豊洲移転にここまで東京都がこだわるのか、単純に「公共事業はやめにくい」以外の要因も含めて、実際に起こったこと、公開情報を踏まえて書いています。
ぜひお役立てください。

2010-07-19
おさらい:なぜ築地市場の官製地上げ(組合潰しと各種デマ)とその後に来る物流支配が危ないのか
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10594605064.html

2010-7-16
イシハラ都政による「土壌汚染除去実験」の目茶苦茶さ<10>(公金支出返還訴訟と汚染問題解説)
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10591706916.html

2010-7-13
今日、築地移転反対の旗振り役 「東卸」 特定調停の記者発表。報道が移転不可避論を喧伝することに大警戒
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10589152955.html

2010-07-07
築地移転反対の軸である鮮魚仲卸組合「東卸」のありえない強制破綻事件(第9回勉強会から)
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10583673633.html

2010-07-01
消費者を侮るイシハラ都政(裁判で異議を)・消費者を潰し日本を差し出す現政権の消費税増税法人税減税
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10578221231.html

2010-06-29
イシハラ都政 「豊洲新市場で後から見つかる汚染は東京ガスが費用負担」と答弁していましたけれど?
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10576293283.html

2010-06-24
豊洲新市場予定地全体の汚染べったり分布図とイシハラ都政発行の疑問炸裂BOOKの大きな差 
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10571720359.html

2010-06-21
イシハラ都政による「土壌汚染除去実験」の目茶苦茶さ<9>(日本環境学会坂巻先生の発表内容)
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10569038677.html

2010-06-16
イシハラ都政による 「土壌汚染除去実験」 の目茶苦茶さ<8>(実験の中止はありえない、と都知事)
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10564421790.html

2010-06-12
イシハラ都政による「土壌汚染除去実験」の目茶苦茶さ<7>(新たな都議開示資料は全面墨塗り!)
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10560994806.html

2010-05-20
イシハラ都政による「土壌汚染除去実験」の目茶苦茶さ<6>(6種の実験はすべて未検証)
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10539551712.html

2010-05-07
イシハラ都政による 「土壌汚染除去実験」 の目茶苦茶さ<5>(微生物浄化実験の怪)
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10518826475.html

2010-05-02
イシハラ都政による「土壌汚染除去実験」の目茶苦茶さ<4>(汚染処理実験へのNature記事仮訳)
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10523297412.html
★科学誌"Nature"も、東京都の汚染対策の非科学的態度を世界の学者に向けて発信!

2010-04-30
イシハラ都政による「土壌汚染除去実験」 の目茶苦茶さ<3>(科学誌Natureの指摘にどう反応?)
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10521559325.html

2010-04-26
イシハラ都政による 「土壌汚染除去実験」 の目茶苦茶さ<2>(実験見学会公開への都のスタンス)
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10517841920.html

2010-04-25
イシハラ都政による「土壌汚染除去実験」の目茶苦茶さ<1>(豊洲新市場見学会概略:参加者情報)
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10517165495.html

2010-04-18
今月の『選択』にイシハラ都政のお金の面での総括記事:『石原都政の「無駄遣い」一兆円以上』
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10511274515.html

2010-04-09
今後の流れと意味:イシハラ都知事らの住民監査請求(豊洲新市場予定地購入での160億円の損害賠償)
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10503739798.html

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これまでの経緯
2010-04-15
【詳細な調べからの情報抜粋】 イシハラ都知事就任前後の築地移転問題の推移
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10508674985.html

2008-08-11
『【内容確認と転載希望】 東京の都市計画と築地立ち退き関連年表(拡大版)・イシハラ氏の動きとともに』
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10125747752.html

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だから、もう、汚染物質大量投棄のヘドロの埋立地で生鮮品市場操業な んて到底無理です。

Like a rolling bean (new) 出来事録-100218経済港湾委員会資料から