----------------------------- -----
勝負の時が来た。
なぜ僕はここにいるのか・・・・・・・・・・・・。
ここに来るまでにどれだけのものを失ったか・・・・・・。
今の自分を見つめなおすためにも過去を振り返り、
今、自分が置かれている状況を再認識するために
素顔の自分を、ありのままの自分をさらけ出すことにしました。
ここに書かれていることは紛れもない真実。
いや、どこかで自分で美化したものかも知れないけれど
自分の心の中の真実を告白します。
-----------------------------------
目 次
第1話 はじめに
第2話 就職活動編・当時の就職事情
第3話 就職活動編・就職試験 面接
第4話 就職活動編・JTBを選んだ理由
第5話 就職活動編・筆記試験その1
第6話 就職活動編・筆記試験その2
第7話 就職活動編・筆記試験その3
第9話 アルバイト編・僕の仕事とは
第10話 アルバイト編・撮影所にてその1
第11話 アルバイト編・撮影所にてその2
第12話 アルバイト編・撮影所にてその3
第13話 アルバイト編・チーマー達との出会い
第14話 アルバイト編・僕の役割
第15話 アルバイト編・事件その1
第16話 アルバイト編・事件その2
第17話 アルバイト編・撮影の終わり
第18話 JTB勤務編 入社式
第19話 JTB勤務編・配属
第20話 JTB勤務編・旅立ち
第21話 JTB勤務編・いざ大阪へ
---------------------------------
昼食をはさみ、午後から撮影が再開された。
暑い陽射しがさす中、僕達は汗だくになりながらラグビーのシーンを
撮り続けていた。
その暑さ、素人達の演技、少年達に気を使うスタッフ。
役者さんたちは苛立っていたのだろう。
中でも一番苛立っていたのはこの映画の主役、吉田栄作さんだった。
当時の栄作さんの人気は確かに凄かった。
マスコミは吉田栄作さん、織田裕二さん、加勢大周さんと
芸能界3羽ガラスとはやしたてていた頃だった。
栄作さんはテレビドラマなどの影響で人気絶頂の頃だった。
そして今回の映画が初主演映画。
気合が入るもの当然である。
しかし、映画の世界はテレビとは勝手がすこし違う。
特に映画のスタッフはテレビの製作スタッフとは比べものにならない
ほどプライドが高い。
今では随分変わってきているが、製作費用も製作日数も
映画はテレビとは比べものにならないぐらい費やして作る。
そして過去のスターを輩出したのもテレビではなく映画だったからである。
シーンは不良少年のリーダー広樹(演・山本太郎)が交代でグランドに入った
代打教師こと秋葉真剣(演・吉田栄作)に対して近くにいるのにパスをしない
で無視をするシーン。
およそ100メートルぐらいの距離を2人で走り、カメラはその2人を遠くから
追う場面。
まず、テストでゆっくりと走りながらカメラテストする。
そして本番。
最初は太郎君がボールを落とす。
2回目、うまく撮れたもののモニターを見た監督が納得がいかなそうに
「もう一回行こう!」という。
3回目、やはり監督は納得がいかずカメラの撮り位置を変える。
4回目、カメラがミスする。
監督が「もう一回行こう!」と言った時に
もう既に100メートルダッシュを4回させられた栄作さんが
息をあがらせてこう言った。
「今のはどこが悪いんだ!」
「しっかりやってくれ!」
「こっちは4回も走ってんだ!」
「もっとプロの仕事をしましょうよ!」
不穏な空気が流れた。
僕は間に挟まれ、ただおろおろするしかなかった。
後から聞いた話だが、監督と栄作さんとの間に何回かこんなことが
あったらしい。
下済みを経て監督になり、ヒット作を連発させた映画監督。
役者の経験は少ないが人気絶頂のタレント。
高倉健、吉永小百合など銀幕の大スターの演技を撮ってきたスタッフ。
夜は渋谷センター街でナンパ・喧嘩を繰り返すチーマー達。
ただの大学生の僕。
あまりにも違った環境の人間が「一本の映画の撮影」という目的のため
そこにいた。
不穏な空気が流れるまま、撮影は終わりに向かっていた。
長くなるので今日はここまで、次回に続く・・・。
会員登録(無料)はこちら から
ついでにここもクリックしていってください。
↓ ↓ ↓ ↓