勝負の時が来た。
なぜ僕はここにいるのか・・・・・・・・・・・・。
ここに来るまでにどれだけのものを失ったか・・・・・・。
今の自分を見つめなおすためにも過去を振り返り、
今、自分が置かれている状況を再認識するために
素顔の自分を、ありのままの自分をさらけ出すことにしました。
ここに書かれていることは紛れもない真実。
いや、どこかで自分で美化したものかも知れないけれど
自分の心の中の真実を告白します。
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目次
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台本を取り出し、那須監督は僕にこういった。
「ここのシーンだけど、どういう状況か説明してくれるかな？」
それはラグビーの試合中のシーンだった。
僕はこう答えた
「監督、これはラグビーの試合中にボールがラインの外に出た
ときに試合を再開するときにおこなわれるものです。
ラグビーの専門用語でラインナウトと言います。」
僕の説明を聞いた監督は続けて質問する。
「で、どういう風に再開するの？」
それに答える僕
「ボールが出たところから、ボールを出してしまった逆のチームの
人がボールを入れます。ボールを入れるチームと相手チームはラインから
５メートル離れた線から内側にタッチラインと垂直に並び、ボール
を取り合います。」と僕も台本の余白にその図を書きながら説明
するも、やはり全くラグビーを知らない人に教えるのは難しい話
でした。
那須監督も助監督の蝶野さんも
「うーん。実際に役者動かさないとわかんないなこれは・・・」
と言い始める。
そして監督は最後にこう言った。
「よし！わかった。しもちゃん、ラグビーシーンを撮る時に役者を
動かしながら説明して」と言ったのだった。
僕もその方がわかってもらえるなぁーと思いつつ、
心の中で、話がだんだん大きくなってきたことに対して
緊張感を感じていた。
監督からは、今日はもういいよ、明日からラグビーの撮影に
入るから明日また来てくれる？と言われたが、折角ここまで
きたので僕はこう言ってみた。
「撮影のシーンを少し見ていってもいいですか？」
那須監督はこう言ってくれた。
「もちろんだよ。彼らとも早く慣れてほしいから・・・・・・。」
ラッキー！と思った。やっと芸能人と会えるとわくわくしていた。
昼休みも終わり、撮影所に戻ると次の撮影シーンが始まろうと
していた。
シーンは山本太郎くん演じるZ組がクラブでライバル
グループとダンスバトルを繰り広げるシーン。
その時に初めてダンス甲子園で活躍中の彼らと対面した。
太郎君も田中くんも当時１７・１８歳ぐらいの高校生。
新人女優の有沢比呂子さんもそのぐらいの年齢だったと思う。
正直、彼らにはまだ芸能人に独特のオーラは感じられなかった。
彼らに会ったことよりも、目の前で撮影しているスタッフ達に
感動を覚えていた。
テレビとかで映画の撮影の現場風景を見たことがあったが、
その場面が目の前で繰り広げられていることに心を動かされて
いた。
助監督がまず「それではシーン×××本番入ります。」と言い
カメラの前にガチンコを出す。
周りのスタッフ全員が集中する。
監督がじっと俳優をにらみつける。
そして「本番、スタート！」と叫ぶ。
その声と同時にカメラの前のガチンコがパチンと音をたてる。
撮影中はずっと役者の演技をにらみつけ、時にはうなづき
時には舌打ちする。
そしてまた大きな声でこう叫ぶ
「カット！」
監督の叫び声と同時にまた、ガチンコがカメラの前でパチンと打たれる。
なんとも言えないカッコ良さが伝わってきた。
学生の僕にとって、初めて遭遇した映画を撮影するという
仕事をしている大人たちは輝いて見えた。
そして、いくつかのシーンが取り終わる頃、スタジオの入り口から
スタッフに誘導され、一人の男が入ってきた。
長くなるので今日はここまで、次回に続く・・・。
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