下痢で赤ちゃんの「おむつかぶれ」がただれてしまう
こんにちは。橋本です。
ただでさえ、ちょっとした不調で、おなかがゆるくなることも多い赤ちゃん。
とくに、冬はロタウイルスにかかり、下痢が続いてしまうこともあります。
そのせいでひどくなると、おしりのおむつかぶれが、真っ赤にただれてしまうことも。
こうなると、きっちり、こまめにケアをしても、なかなか皮膚が回復してきてくれないことがあります。
では、「なぜ、なかなか回復してくれないのか」、その理由。
それと、「じゃあ、どうすればいいのか」という対策を少し掘り下げたいと思います。
おむつかぶれの予防なら
ひどい「おむつかぶれ」にならないためには、予防が第一です。
予防法の要点をまとめると、
・ こまめなおむつの取替え
・ サイズがフィットしたおむつを使う
・ おしりを清潔に保つ
・ おしりを洗ったら、すぐ保湿する
こういったことですが、これらはあくまでも予防です。
症状に合わせて薬を使う
また、「おむつかぶれ」だと思い込むと、皮膚カンジダ症などのほかの病気を見逃してしまいます。
間違って思い込んでしまうと、きちんとケアをしても、赤みやただれが広がってしまうことにもなりかねません。
そのためにも、早めにお医者さんの診断を受けることも大切です。
病院では、通常、
・ ステロイド外用薬
・ 抗菌外用薬
・ 亜鉛華軟膏
・ アズノール軟膏
などなど、お医者さんの判断で、症状に合わせた塗り薬を使って、治療を進めていきます。
おしりをふくことの矛盾
しかし、一部には、血がにじんだままで、なかなか皮膚が回復してくれないケースもあります。
おしりの「ただれ」がひどくなると、肌をふき取る刺激。
さらには塗り薬でさえも刺激になって、悪化してしまうこともあるんですね。
また、頻繁におしりを洗うことも、皮膚のバリア機能を弱めることになってしまい、刺激に対してより敏感になることにもつながります。
こうなると悪循環です。
刺激にならないためには、こまめに洗ったり、ふいたりしてあげたいけど、それが原因で余計におしりがただれてくる。
刺激に弱い状態だと、洗浄は1日1回程度にとどめておくほうがいい場合もあります。
しかし、洗わないと、当然、便や尿が肌についたままになり、それが刺激になります。
この矛盾。どうすればいいのいのでしょうか?
バリケアパウダーとは
こういう場合には、「バリケアパウダー」といわれる皮膚保護剤を使うと有効だったというケースが報告されています 1) 。
「バリケアパウダーって、ベビーパウダーのようなものかな」と思ってしまいそうですが、まったくの別物です。
「バリケアパウダー」は、通常、ストーマのケアに使われる製品。
ストーマとは、おなかに作られた便や尿の出口のことです。
わかりやすくいうと、人工肛門などのことですね。
体内の消化管や尿路を、がんなどで切り取ったりすると、便や尿の通り道をふさがれて、排出に困ってしまいます。
そのときに、おなかに作るのが、ストーマです。
このストーマのケアに使われているのが、「バリケアパウダー」という皮膚保護剤です。
バリケアパウダーで、汚れが肌につかないようにする
「バリケアパウダー」は、吸水性のある粉で、尿や便がつくとゲル状に固まってくれます。
つまり、おしりに「バリケアパウダー」をふりかけてあげれば、刺激となる尿や便が、肌に直接つかないようになるんですね。
おむつを替えるときは、固まった粉や便をつまみとるようにする。
そうすることで、頻繁におしりをふいたり、洗ったりしなくても、皮膚に直接汚れがつかないようにしてあげられるわけです。
「バリケアパウダー」は、まだあまり普及していません。
しかし、製品自体は、ネットで安く手軽に買うことができます。
ていねいなケアをしても、なかなか皮膚が回復しない。
そんなときは、この「バリケアパウダー」を使えないかを、お医者さんに相談したほうがいいケースがあるかもしれません。
参考文献:
1) 島田遼子, ほか: 粉状皮膚保護剤バリケアパウダーを用いた局所処置が奏効した. 乳児臀部潰瘍の1例. 日皮会誌 120(14): 3097-3101, 2010.