【夕顔13-3】古文単語「さ(戯)る」
源氏物語イラスト訳のあいです
古文単語でよく出題されるのは、
1.古典特有語
…現代にない古語。
2.古今異義語
…現代と意味の異なる古語。
3.死語的現代ワード
…受験生世代はホボホボ使わない語。
…ですが、今回の古語は、
漢字を思い浮かべてイメージできる古語☆
はい、ではいってみましょぉ~♪
٩(๑•̀∇•́๑)و
【今回の源氏物語】
さすがに、されたる遣戸口に、黄なる生絹の単袴、長く着なしたる童の、をかしげなる出で来て、うち招く。
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今回出てきた古文単語
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■【さすがに】…そうはいうものの、やはり
■【され】…ラ行下二段動詞「さ(戯)る」の連用形
※【戯る】…しゃれている。風情がある
■【たる】…存続の助動詞「たり」の連体形
■【遣戸口(やりどぐち)】…遣戸(引き戸)のある出入り口
■【に】…場所の格助詞
■【黄なる】…ナリ活用形容動詞「黄なり」の連体形
■【生絹(すずし)】…練ってない絹糸で織った衣
■【の】…連体修飾格の格助詞
■【単袴(ひとへばかま)】…裏をつけない袴
■【長く】…ク活用形容詞「長し」の連用形
■【着なす】…~となるように着る
■【たる】…存続の助動詞「たり」の連体形
■【童(わらは)】…子供
■【の】…同格の格助詞
■【をかしげなる】…ナリ活用形容動詞「をかしげなり」の連体形
※【をかしげなり】…かわいらしい
■【出で来】…カ変動詞「出で来(いでく)」の連用形
■【て】…単純接続の接続助詞
■【うち招(まね)く】…ちょっと招く
◇ 単語の意味と文法的説明です。
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☆ 今回の古文単語 「戯る」 ☆
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ここまでの源氏物語でも、
何度か登場した「戯る」という動詞☆
(ㆁωㆁ*)
けっこう頻繁に出てきますので、
ここで確認しておきたいと思います。
ヽ(*・ω・)人(・ω・*)ノ
まずは、この問題☆
できるかなあ~???
さすがに、されたる遣戸口に、黄なる生絹の単袴、長く着なしたる童の、をかしげなる出で来て、うち招く。
問)傍線部の意味として最も適当なものを選べ。
1.ふざけた引き戸の出入り口。
2.趣のある引き戸の出入り口。
3.色あせた引き戸の出入り口。
4.しかるべき引き戸の出入り口。
5.見苦しい引き戸の出入り口。
「さる」という用言として浮かぶのは、
次の4つでしょうか。
【ラ行四段活用動詞】
…立ち去る。過ぎ去る
● 避る(さる)
【ラ行四段活用動詞】
…避ける。よける。辞退する
● 晒る(さる)
【ラ行四段活用動詞】
…さらす。さらされて色・形が変わる
● 然る(さる)
【連体詞(ラ変動詞の連体形)】
…そのような。しかるべき
● 戯る(さる)
【ラ行下二段活用動詞】
…たわむれる。しゃれている。趣がある
「さる」という動詞で見てしまうと、
入試でよく問われる「然り」や「避る」などに引かれてしまいますが…
σ(^_^;)
ここでは、文法に着目しましょう
されたる遣戸口
このように、
後に完了・存続の助動詞「たり」が接続します。
「たり」は、連用形接続の助動詞なので、
直前の「され」は、連用形のはず☆
(ノ゚ο゚)ノ
…ならば…
● 避る=ラ行四段活用
● 晒る=ラ行四段活用
● 然り=ラ行変格活用
● 戯る=ラ行下二段活用
このうちの、「戯る」しかありえませんね!
ヽ(*'0'*)ツ
【動詞:ラ行下二段活用】
①たわむれる。はしゃぐ
②才気がある。気が利く
③色気がある
④しゃれている。風情がある。趣がある
*『学研全訳古語辞典(Webilio古語辞典)』より
1.ふざけた(戯る:○)引き戸の出入り口。
2.趣のある(戯る:○)引き戸の出入り口。
3.色あせた(晒る:×)引き戸の出入り口。
4.しかるべき(然る:×)引き戸の出入り口。
5.見苦しい(賤し?:×)引き戸の出入り口。
1、2は、文脈判断で選びます♪
Σ(・ω・ノ)ノ!
「ふざけた引き戸」って、意味不明ですね~
傍線部直前の「さすがに」は、
そうはいってもやはり、の意です。
むさ苦しい場所の、見苦しい小家とはいえ、
そうはいっても、なんだか妙に、
「され(洒落)」ているんですね~
解答…2
さすがに、されたる遣戸口に、黄なる生絹の単袴、長く着なしたる童の、をかしげなる出で来て、うち招く。
● 過去記事リンク
■さすがに
■をかし
■~げなり
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