何かを依頼して
やってくれた。

「よくできたね」

そうして褒めることを
やりがち。

でも、これって
上下関係です。

評価を下してるので
「よくできなかったね」とか
「ダメだね」とか
他の評価の存在も肯定する行為です。

この関係が進むと
支配関係になっていきます。



共同体感覚を高めて
健康的な関係になりたいなら
「褒める」はふさわしくありません。

評価する人に
好評価されることを
目標としてしまうからです。

相手の顔色をうかがっていては
無条件に相手を信頼するのは
難しいです。



対等な関係こそ
共同体感覚を高めてくれます。

その関係を築いてくれるのは
「感謝」です。

何かを依頼して
やってくれた。

「ありがとう」

信頼が育つ感じです。



私は親に
目を見て「ありがとう」と
言われた記憶がありません。

親から「ありがとう」という
感謝の言葉を聞いたことは
あります。

でも、
感謝されてると感じたことが
ありません。

「ありがとう」と聞くたびに
私にはこう聞こえました。

「お前は役に立つ道具だな」

感謝の言葉でも
使い方によっては
評価を下すことができます。

感謝をするなら
相手が「感謝してくれた」と
感じてくれているかに
配慮すると、
より対等になりやすくなります。



私が幼い頃、
私が親の言う通りにすると
親は褒めてくれました。

「よくできたね」
「えらいね」

反対に親の言う通りにしないと
親は困ってくれました。

「やってくれないと困る」
「そうしてくれないと困る」

親の言う通りにする子は「善」
親を困らせる子は「悪」
評価を下される度に
そう刷り込まれていきました。



「悪」になりたくないので
親の言う通りにやろうとします。

でも、それが
嫌なことだと
とても苦しくなります。

そんな嫌なことでも
自分を犠牲にすると
できてしまいます。

そうして
自分を殺すことができると
嫌なことを親に言われる度に
自分を殺すようになります。

自分がかわいそうですが
必要な犠牲だと信じて
自分を犠牲にし続けます。

自分の好きも嫌いも
よくわからなくなって
やる/やらないの判断基準が
親が褒めてくれるかどうか、
または
親が困らないかどうか、
になっていく。

判断するのは親なので
やってみないとわからない。

安心することができず
親の顔色をうかがい続ける。

自分を守りたいけど
守れない悲しみばかりが
深まっていく。



親は親で
いつも同じ基準とは限らない。

時間の経過とともに
私に無許可で
判定基準は変化していく。

こないだ「いいね」と
褒めてくれたことでも
今は「それじゃ困るよ」と
なっていたりする。

親に
「こないだいいねって言ったよ」と
言ったとしても
「そんなこと言った覚えはないよ」と
一蹴される。

見捨てられそうになるので
また自分を犠牲にして乗り切る。

どんどん自分が
すり減っていく。

こんな環境、
共同体感覚なんか
育つわけがない。



私のコーチ仲間のNさん。

いつも会うたびに
たくさんの感謝をくれる人。

私が特別
何かしたわけでもないのに
何かをみつけて感謝してくれる。

ありがとう
ありがとう
ありがとう

今こうして
あなたがあなたでいてくれて
ありがとう

目を見て言ってくれる。
身体全部使って感謝をくれる。

何かを依頼されるときは
決まって「協力要請」の形式。

「〇〇してくれると嬉しいです。
いかがですか?」

依頼されたことをすると
もちろん感謝が返ってくる。

難しくて断っても
返事をしたことに感謝される。

私より
いろいろ先輩だけど
上下関係になった感覚を
感じたことはありません。

自然と尊敬と友好が
湧き出してくる。

こんな人と一緒に居るだけで
自然と共同体感覚は
高まってしまいます。

Nさん、いつも
ありがとうございます。



共同体感覚、
すなわち「居場所がある感じ」は
高めることで幸せを
感じやすくなります。

幸せを感じやすくなると
楽しいですよね。

お互い楽しく生きるためにも
「感謝」を上手に使うことは
大切ですね。

今日あなたは
誰に感謝を伝えたいですか?




お読みいただき、
ありがとうございます。

プロコーチ8年目、常楽でした。



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