アドラー心理学が目標とするのが
共同体感覚の育成」です。

なぜなら、
「共同体感覚が育成されると
人は、あらゆる困難から解放される」と
確信しているからです。



共同体感覚は
次の3要素、2段階で構成されてます。

①-1自分は他人に貢献できる
①-2他人は自分に援助してくれる
②自分は居場所がある



自分は相手に貢献できる、ので
実際に相手を援助する。

すると相手は
援助する自分に対して
お返しの援助をしたくなる、ので
実際に自分に援助してくれる。

この交流が起きることで
「そこ」に自分の居場所があると
感じることができる。

というわけです。



この交流はお互いが
主体的にするものでないと
どちらかが犠牲を
負担することになり
対等でなくなってしまいます。


例えば
父親が子供に
「見捨てるかもよ」と脅して
自分に貢献させる。

見捨てられたくない子供は
犠牲を出してでも
なんとか父親の期待に
応えようとする。

すると父親は喜ぶ。
この「喜ぶ」が
子供への貢献となり
子供は居場所感を感じ、
一時的な安心を得る。


こんなやりとりが続けば
子供の心が健康に育つのは
難しいですね。



家族でなくても
起きることがあります。

例えば、
継続するセミナーで
講師が自分の不安を
受講者に伝えます。

「皆さんの協力が必要です」
「あなたの助けがないと
このセミナーは成功しません」
「理解してくれないと、困る」

受講者の協力があると
講師は安心する。

講師が安心すると
受講者は居場所を得た感覚を得る。


一方で
協力しない受講者は
居場所感が欲しいために
なんとか講師を助けようとする。

講師は安心できるまで
首を横に振るだけで
受講者の努力を促せます。

講師を安心させられたら
居場所を得る。

講師を安心させられないと
居場所感は乏しく
肩身の狭い思いをし続ける。



そういうことを学ぶセミナーなら
そういう方法を使うセミナーなのでしょう。

一般にセミナーは
知識や技術を学ぶ場です。
講師を安心させる活動を
する場ではありません。

居場所感を得られず
犠牲を出していると感じたら
何かしらの改善を考えた方が
よいかもしれませんね。



この「講師-受講者」の関係は
教師-生徒
上司-部下
監督-チーム員といった

指導者と指導される者
統率する人とされる人
みたいな関係にもあてはまります。



私が会社勤務で課長職だった頃。

私のチームは4チームあって
それぞれが5~7人でした。

チームには
売れるチームと
なかなか売れないチームとが
ありました。



売れるチームは
チーム員それぞれが
チームの目標を
いつも気にしてました。

経験が浅くまだ売れない人は
売れる人の手伝いをすることで
チームへ貢献しており、
その貢献を
他のチーム員は
歓迎してました。

「ありがとう」
「どういたしまして」
そんなやりとりが活発でした。



一方で売れないチームは
自分の成績を追求することで
結果としてチームの目標は達成すると
信じている感じです。

そのチーム内では
売れない人の「売れない」を
「悪」と扱っていました。

「お前のせいで達成できない」
「やると言ったことやってないじゃないか」
「何度言ったらわかるんだ」
「お前いらない。もう帰れよ」
「帰るなら、ちゃんと稼いでからにしろよ」

経験が浅く売れない人は
居場所感が乏しく肩身の狭い感じ。

売れてる人は
「自分が売らねば誰が売る」みたいに
どんどん自分の利益優先になり、
他の人を思いやる余裕はなさそうでした。

売れなくなると「悪」になる中、
それぞれ自分の居場所を得るために
チームは戦々恐々な雰囲気でした。



どちらのチームも
売れてる人の成績は同じくらいです。

しかしチームの成績は
売れてるチームの方が
優秀でした。

入った月に契約を取る人の方が
少ない仕事なのに
売れてるチームは
初月に契約する人が多かったですね。

居場所があると感じる土台があると
「居場所を得る活動」をしなくて済みます。
その分、他に力を注げるから
その違いが成績となって表れたのでしょう。



自分から進んで
相手の助けとなりそうなことをするのは
自分の居場所を得る一歩です。

エレベーターで一緒になった人に
笑顔で「こんにちは」と挨拶するだけでも
相手を助けることになるかもしれません。

助けになるかどうかは
相手本人が決めることなので
何が正解かはわかりませんが、
やってみればわかります。

百発百中は無理かもしれませんが
やめずにやり続けた人は
必ず居場所感を得られますね。




お読みいただき、
ありがとうございます。

プロコーチ8年目、常楽でした。



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