自宅で観た映画 〜10月編〜 | ゆびにんブログ -指人形10,000体作りま…すん-

ゆびにんブログ -指人形10,000体作りま…すん-

日記を書きつつ、ゆるーく指人形10,000体を目指すブログです。

ハロウィンうさぎのフェルトの指人形
(2020/10/01 制作)


イベント開催中!!! ショウジですショウジ

第2回 うみのまちアート展・企画展 ドール展

◯とき :11月1日(日) - 11月23日(月・祝)
     11:00 - 17:00(4・5・10・11・18・19はお休み)

◯ところ:大洗シーサイドステーション 2F 特設会場
    (茨城県東茨城郡大洗町港中央11-2)



指人形をわんさと委託販売させていただいてます。

最寄りにお越しの際はぜひお立ち寄りくださいませ!




さて、本日は10月に自宅で観た映画の備忘録でございます〜

これまでの → 2018年2019年1月2月3月4月5月6月7月8・9月



『ゼラチンシルバーLOVE』
世にも奇妙な物語の1篇にありそうな話を引き延ばして作ったような感じで
宮沢りえが被写体だからぎりぎり間が持っている映画だった。
宮沢りえが着ている黄色いコートが可愛い。


『希望の国』
東日本大震災の翌年に作られているので
いくら架空の長島県というところが舞台の近未来の話だ、と言われても
実際の福島と切り離しては観られない作品だった。
被災者が自殺するシーンが入っていて
このタイミングであえてストーリーに入れる必要があったのだろうか?と思った。
実際に自殺した被災者はいただろうし、ドキュメンタリーならわかるのだが
架空の物語で、しかも震災の翌年に作っているんだからもう少しやりようがあったと思う。
少なくとも被災者が観て気持ちの良いものではないだろうし
私のような被災者ではない人間にも、これを観て一体どう思えと?と思った。
観ながら、こーれは批判の声多いんじゃないかな…と思って
鑑賞後に検索してみたら好意的な感想が多くて意外だった。
作ったこと自体に意義があると思っている人が多い印象。「意義」か…
園子温には向いていない映画だと思ったし
『ラブ&ピース』みたいにファンタジーに置き換えた作品だったら
まだよかったかもしれないと思った。
本作のような形で映画にしたいんだったら翌年に突貫で作るのではなく
脚本を練りに練って震災からかなり経ってから作ればよかったのでは。
瓦礫の映像を活かしたいんだったら風景の映像だけ撮っておけば良かったわけだし。
園子温はだいぶ観たし、あとは『ヒミズ』を観れば他の作品は観なくていいかなと思った。


『オリエント急行殺人事件』
美術とか衣装とかお金かかってるんだろうなあ…とは思ったけど
ストーリーを知っているのでなぞるようにしか観られず
これだったら三谷幸喜×野村萬斎のドラマの方がずっと面白かった。
すべてを日本に置き換えられている時点で面白い上に
二夜目が犯人視点で計画から実行まで描かれていて工夫されていて新鮮な気持ちで観られたし。
あと私の脳内ではポアロはデヴィッド・スーシェのイメージで固定されているので
これがポアロかあ…っていう感じが否めなかった。
スーシェのポアロは紳士な上にとても愛嬌たっぷりなのに対して
本作のポアロはむしろ犯人役で登場しそうなおじさんじゃんとか思ってしまって。
ただ吹き替えが草刈正雄っていうのは良かった。山村紅葉も吹き替え上手くて意外だった。


『劔岳 撮影の記 標高3000メートル、激闘の873日』
20年来のファンである松田龍平の出演映画をいいかげん全部観ようと思い借りた。
あとは『誰も守ってくれない』を観れば過去作はコンプリート。
『劔岳 点の記』は試写会で観ていて、ドキュメンタリーである本作の存在は最近知った。
正直、点の記よりもドキュメンタリーの方が面白かった…
香川照之をキャスティングした人は偉いと思った。
どんなことが起こるかわからない厳しい状況で撮影するには
あれくらい明るい人がいないとやってられない。
実際、浅野忠信よりも香川照之のインタビューの方が長く入っているように感じたし
龍平さんなんか本当一瞬しか出なかった。
あの映画を撮ったのは偉業だと思うが、映画からはそこまで苦労がにじみ出ていなかったので
ドキュメンタリーも作ったのは正解だったと思う。
まあだからといって点の記をもう一度観ようとは思わないんだけど…
監督が「これ撮ったら死ぬんじゃないかな俺」みたいなことを言っていたけど
この後まーた山映画の『春を背負って』撮るんだよなああと思った。


『ベイビー・ドライバー』
オープニングが一番面白く、映画全体としては主人公と養父の関係が良かった。
好感を持たれそうな作品で、みんながみんな本作を好きになる気持ちはわかるが
個人的に刺さるものはなかった。


『ムカデ人間3』
1・2を2015年のニコ生ホラー百物語で観ていて
三部作なら3も観なきゃなあ…と思っていたのでついに借りた。
倫理観の崩壊ここに極まれり!って感じでまー酷かったが、一番コメディ寄りなのは3だと思う。
悪趣味な映画を観られる人じゃないと手を出さない作品群だとは思うが
1本おすすめするならば断然1。
1は2・3よりは秩序立っているし、基本サスペンスなので
悪趣味映画をあまり観ない人でもまだ観られる方だと思う。
2は一般人が執刀することもあってエグいのでおすすめしない。
3の執刀は闇医者なのでまだマシ。
特典映像として1〜3の予告編が収録されていたのだが
いずれも最後に松尾スズキのコメントが挿入されていて
この仕事のために3本全部観たのか…大変だな…と思った。


『星ノくん・夢ノくん』
荻上直子の作品はすべて観たいなと思っていたので借りた。
本作で現時点で観られる作品はコンプリート。
PFFで選ばれた作品なこともあって
自主制作の感じが出まくりだけど『恋は五・七・五!』より良かった。
子どもの頃、苗字の後ろに菌をつけられて「高山菌」と呼ばれていたという男が登場するのだが
ヒロインにあたるキャラクターが「菌なら菌らしくしぶとく繁殖しなさいよ!」
と鼓舞するのが印象に残った。

好きな順で並べるとこんな感じ。
かもめ食堂はずっと前に観たからかなかなかに印象が薄い。
 ① めがね
 ② レンタネコ
 ③ かもめ食堂
 ④ 彼らが本気で編むときは、
 ⑤ トイレット
 ⑥ バーバー吉野
 ⑦ 星ノくん・夢ノくん
 ⑧ 恋は五・七・五!


『恋愛睡眠のすすめ』
一番好きなのはオープニングだった。
本編を観ていくうちに
「ああ…ミシェル・ゴンドリー合わないのかもしれない…」と陰鬱な気持ちになっていった。
衣装とか美術とかは好きなのにストーリーのカオス具合がなんか苦手。
『ムード・インディゴ うたかたの日々』『グッバイ、サマー』『グリーン・ホーネット』
と観てきて、これで4本目なのだがもう観なくてもいいかも。
この中でもう一度観るとすれば
ファンからは一番評判が悪いであろう『グリーン・ホーネット』を選ぶくらいだから
ゴンドリー作品とは根本的に気が合わないんだと思う。


『脳内ニューヨーク』
チラシが可愛くていつか観ようと思っていたのでついに借りる。
主人公の人生とその人生を基にした舞台が交じり合って混沌としている作品。
『恋愛睡眠のすすめ』、これ、と立て続けに困惑する映画を観てしまった…
物語が終始陰鬱な調子で進み、登場人物たちの表情が暗く、常にため息をついているような感じで
人間の孤独感が色濃く出ているので観ていて心の中が寒くなった。
エンディング曲とその日本語訳は良いなと思ったけど、本編はまた観ようとは思わない。
とりあえず秋には観ちゃいけない映画。


『今さら言えない小さな秘密』
自転車修理屋のおっちゃんの「実は自転車に乗れない」という隠し事をテーマにした作品。
笑えるし泣けるし、1テーマでここまで面白い作品に仕上げられるのがすごい。
チャリに乗れないってそんなに重大なこと…?
って主人公と同じくチャリに乗れない私なんかは思うのだけど
映画の中の村の主要な移動手段がチャリンコなもんだから大変なんだこりゃ…
謎にサイクリング遠足とかあるし。
主人公の絶望感を自分のことのように感じていたら
その遠足で伝説を作っちゃったりするあたりが面白い。
主人公に数々の試練が訪れるんだけど
どうにか試練を回避しようと工夫していたら別の技術に秀でることになったり
自転車に乗らない理由を村の人々が勝手に解釈してくれたり、なんだかんだ乗り切ってしまって
おじさんになるまでバレないっていうところが悲喜劇って感じで良い。
こういう作品に出会うために映画を観てるんだよなあ…としみじみ思える作品だった。


『ジャッキー・ブラウン』
いいかげんタランティーノ作品を全部観ようと思ってレンタル。
よかった…パルプフィクションと迷うけどこっちが1位かも…
凛々しさと美しさと哀愁、すべてを持ち合わせているジャッキー最高。
パム・グリアもロバート・フォスターも本作で初めて観て
良い俳優だなあ…と思っていたらロバート・フォスターは昨年亡くなっていた。
そうか…結構前の作品だとこういうこともあるよね…
本作はまたいつか観たい!


『ゴールデンスランバー』『イン・ザ・プール』『サイドカーに犬』
指先電氣館10月号の特集で取り上げようと思って再見。
が、委託販売の準備やとあるイベントへの応募などで作っている場合ではなくなり
未だに文章は書かずじまい…今月中に作れれば御の字。
ちなみに今回はNoteへの掲載のみとなるので紙での配布はありません。


『プラダを着た悪魔』
金ローで放送されてたのでどこが人気なのか確認のために観る。
パワハラだしモラハラだしブラック企業じゃん!!
いくらファッション誌だからって人の服装を馬鹿にして笑うのは品がない!
つか、コロナ禍の現代ではハイブランドこそ廃れていく運命にあるんだからね!?
などと終始イライラしてしまった…
マックイーンみたいにハイブランドやってて自殺する人もいるし、あの世界は闇が深すぎる。
現代でやるとNGな行動がたっぷりなので過去に観て本作を好きと言っている人はまだしも
今観て手放しで良いと思った人は自分の行動を顧みた方がいいと思う。
大げさだけどそれくらい胸糞悪かった。
主人公が最後の最後であっさりと仕事を辞めて本当に就きたかった仕事に就くことだけが救い。


『アニー・ホール』
アルビーがウザすぎる…
子どもの頃のアルビーを大人になったアルビーが養護するシーンとか
画面を2分割してカップルそれぞれの言い分を並列して見せるシーンとか
映画の講釈を垂れている人間の前にもっと詳しい人間を連れてきて黙らせるシーンは好きだった。
アメリカ本国ではウディ・アレンの映画の上映を拒否する劇場なんかがあるらしいけど
証拠がない疑惑を笠に着ていつまでもぐちゃぐちゃ言ってる劇場側には失望する。
ウディ・アレンのことをああだこうだ言うならバイデンファミリーのことこそもっと言ってよ…


『夏至』
黒髪、緑色の部屋、青色の服の組み合わせがとにかく美しい!
その反面、ストーリーにはこれといった個性はなし。
オチそれかーい!ってなるし。とはいえ同監督の『ノルウェイの森』よりはずっと良い。
長女が問題抱えすぎてて重いので、三女とお兄さんが仲良く暮らしているシーンが癒しだった。


『しんぼる』
公開当時に指人形だけ作っていて、観ていなかったので借りてみた。
笑っても「フッ」くらいで爆笑はしなかったが、憤慨するほどつまらなくもなかった。
映画のレビューサイトで星1つとかにして一生懸命怒っている人を見かけたが
ああいう人はたぶん松本人志のファンなんだろう…
私は取り立ててファンではないのでこんなもんだろうと思ったし
コント番組とか舞台で実現できないことを映画という形で具現化しただけなのではないかと思う。
誰だったか「松本人志は笑いの天才。ビートたけしは天才が笑いを選んだ」
と表現した人がいたが、本作を観て全くその通りだなと思った。


『フォーリング・マン 9.11 その時、彼らは何を見たか?』
9.11の時に撮られて新聞に掲載された、ビルから垂直落下している人 ”フォーリング・マン” が
一体誰であったかということを中心に据え、被害者遺族の死生観について描かれたドキュメンタリー。
以前そこまで言って委員会NPで取り上げられていて、常々観たいと思っていたので借りた。
作家のトム・ブライリーが ”フォーリング・マン” の写真に興味を抱き
ニューヨーク市の検死局に、あの日何人がビルから飛び降りたのかを問い合わせると
「飛び降りた人はいません。彼らは爆風で吹き飛ばされただけです。
 自分から飛び降りた人などいません。」と返された、というエピソードが印象に残った。
ブライリー氏の意見
「飛び降りた人々がないがしろにされていると感じました。
 不穏な死に方だとして疎んじられ、他の英雄的な行為ばかりが強調されました。
 飛び降りる行為が英雄的かどうかはさておき、目を背けたくなるような死に方をしたからといって
 排斥すべきではありません。」には全くその通りだと思った。
最初にフォーリング・マンではないかとされた男性の奥さんと娘3人が
「彼が飛び降りるわけがない。家族と信仰を裏切るようなことは絶対にしない。」
というようなことをインタビューで答えるのだが
どこにも逃げられず、熱くて息苦しい状況下でまで
自分自身のことではなく家族と信仰を優先して重んじなければならないのか?
そんなことを言う彼女たちこそ亡くなった家族のことを尊重出来ていないのではないかと思った。
あと「自殺した人は絶対に地獄に堕ちる」とも彼女たちは言うのだが
キリスト教徒って本当に不自由だなと思ったし
一酸化炭素中毒で意識を失って焼け死ぬか、飛び降りて死ぬかの2択を迫られた人間に対してまで
厳密に自殺=地獄行きというルールを守るなんて、ずいぶん狭量で融通の聞かない神様だなと思った。
私はどういう死に方でも死んだ後の行き先は「無」で、天国も地獄もないと思っている。
ただ、飛び降りた人たちと同じ状況になった場合、私は飛び降りられないだろうな…と思った。
飛び降りた人たちは勇気も度胸もあると思う。


『マリアンヌ』
黒沢清監督がおすすめの映画2本を上映した後にトークショーを開催する、というイベントがあり
トークショーのチケットだけ取ったので、2本のうち1本を予習として観る。
(もう1本は『パリの灯は遠く』備忘録は来月掲載予定)
めちゃくちゃ良かった…戦争映画だけど、ちゃんとエンタメ作品としても面白いし結末も好み。
ブラピもマリオン・コティヤールも素敵で終始眼福だった。
劇場で観れば良かったなあと思ったし、これまでに観たゼメキス監督作はどれも好きだったので
今後は監督がゼメキスだったら迷わず観に行こうと思った。
12月4日公開の『魔女がいっぱい』も行くぞ!!


『天空の草原のナンサ』
モンゴルの遊牧民の家族に演技をして貰ってドキュメンタリー風に撮っている一風変わった作品。
主人公の少女・ナンサが洞穴で犬を見つけて連れ帰り、父親に返してこい!と言われるくだりがあり
監督がインタビューで「どの国のどんな人にも共感してもらえるエピソードを入れた」
と言っていてめちゃくちゃ感心した。
ゲルを解体するシーンは構造をじっくり眺められて面白かった。
ナンサも妹も弟もほっぺ真っ赤っかで小さくて可愛い。



番外編 ~ 札幌国際短編映画祭2020 オンライン上映 ~


ここ数年、最低でも1プログラムは観に行っている札幌国際短編映画祭。
毎年会場として使われていたプラザ2・5がサツゲキ(ディノスシネマズ札幌劇場)になり
なによりコロナ禍ということもあって今年はオンライン上映という形で開催された。
10月10日から31日までの22日間、100本超の短編作品が見放題で1,515円。
2019年は20プログラム観られるVIPチケットが8,000円だったので、今回は破格の値段だと言える。
全部観るぞ!と意気込んで、本編時間が短い作品から観て行ったら
20分超えの作品ばかりが残ってしまい最後らへんは苦行に近くなってしまった。
試験を受ける時の解ける問題から解いていくっていう方式を短編映画祭に持ち込んじゃいけなかった…
まあ、そんなこんなでオンライン上映対象外の1本を除いた、102本を観たので
好きだった作品をご紹介。
公式に動画がUPされているものはタイトルの横にリンクを記載した。
今はなくても後々オンライン公開される場合や、予告編のみ上げられている場合もあるので
気になる方は原題や監督名で検索してみてください。


アニメ

『リリアナ』
(LILIANA/ミランカ・ファジェンチック/Milanka Fabjancic)
2回観た。
ストーリーはよくわからないのに繰り返し観てしまう不思議な魅力のある作品。
人物造形とか立体模型の描き方がヨシタケシンスケに近いものがあって好みだった。

『ゆめみのえ』
(DREAMS INTO DRAWING/山村浩二/Yamamura Koji)
2回観た。
浮世絵師、鍬形蕙斎(くわがたけいさい)を主人公に据え、彼の絵を用いた作品で
私は本作でこの絵師を知り、その絵の可愛らしさに惹きつけられた。
猫なんかとても簡略化されてるのにちゃんと猫とわかるのがすごい。
「鳥獣略画式」を参考にしてシンプルな動物たちの指人形を作ってみたい。

『脳は歌う』YouTube
(A MIND SANG/ヴィア・ネヴ/Vier Nev)
2回観た。
エッシャーの絵をアニメーションにしたような作品で
これはめちゃくちゃ頭が良くないと作れないと思う。
友人にYouTubeのアドレスを教えたら「怖い…」と言われてしまったので
嫌いな人は嫌いかもしれない。鑑賞注意。

『かためのかいぞく』
(AN EYE FOR AN EYE/監督多いので割愛)
眼帯を活かしたオチが素敵。

『ぼくはモンスター?』
(ME, A MONSTER?/ベリンダ・ボナン/Belinda Bonan)
モンスターも可愛いし、途中から登場するコンピューターロボも可愛い。

『娘と小鳥』
(DAUGHTER/ダリア・カシーバ/Daria Kashcheeva)
人形や小物が油絵の具を塗り重ねたような独特な質感になっていて
コマ撮りでこの質感はすごいと思ったし
ストーリーも父と娘の微妙な距離感が描かれていて良かった。

『森のこどもと聖なるヒゲオヤジ』
(WOOD CHILD AND HIDDEN FOREST MOTHER/ステファン・アーウィン/Stephen Irwin)
全102本の中で最も不可解だけど最も印象に残った作品。
とことん好きに作っているし、映画は娯楽であるということや表現の自由さを一番体現していたと思う。
こういう作品があるから短編を観るのやめられないんだよな…


ドキュメンタリー

『日本で生きて、バングラデシュで死ぬ』
(LIVING IN JAPAN AND DYING IN BANGLADESH/藤井翔太/Fujii Shota)
バングラデシュにも日本のような老人ホームを作りたいという想いから
飲食店を開いて稼ごうとするのだが失敗し、今は雇われ人としてコツコツお金を貯めている
という男性のドキュメンタリーなのだが、人生ってこうだよね…と思わされた。
色々大変なことがあっても淡々と続いていく…
彼は人のために行動しているからくじけないのかもしれないと思った。
自分のためだけに生きていたら、数ある失敗の中のどこかでくじけるもの…

『地獄の監獄:チェノーの生き方』
(HELL/ラウル・デ・ラ・フェンテ/Raúl de la Fuente)
かつて劣悪な刑務所に入れられていた青年が、出所後に少年たちを支援する側になるドキュメンタリー。
22分という短い時間の中に伝えたいことがぎゅっと凝縮されている作品だった。
ちょっとでも悪事を働いたからといって少年を成年刑務所に入れるのは無しでしょ…
こういうのを観るにつけ、日本の少年たちは守られている方だなと思う。
だから甘えがあるとも言えるかもしれないけれど…

『ただの男』
(JUST A GUY/ハラショウコ/Shoko Hara)
シリアルキラーのリチャード・ラミレスの逮捕後
刑務所の中の彼と連絡を取り合っていた3人の女性のインタビューを
ミクストメディアでアニメーション化している作品。
シリアスな話をこういう形でドキュメンタリーにしていると
一歩引いて観られるため、内容がスッと入ってきて良いなと思った。
あと純粋にアニメとしても面白かった。

『死後の社会:ベルリン』
(POST MORTEM BERLIN/アントン・フォン・ニズラー/Anton von Heiseler)
遺体が棺桶に入れられて灰になって骨壷に収まるまでのシステムを淡々と映したドキュメンタリー。
焼きあがった遺骨を係の人がザクザクと砕いて、ふるいみたいなマシンに入れて
自動的に骨壷に入っていく映像が衝撃的だった。骨、拾わないんだ…
その後調べて骨を拾う文化があるのは日本だけなのだと知った。
骨揚げ、最後のお別れっていう感じで私は好きな文化だな。

『猫の家族:マルマレーデとカチューシャ』Vimeo
(ALL CATS ARE GREY IN THE DARK/ラッセ・リンダー/Lasse Linder)
猫2匹と暮らしているおじさんがお父さんになりたくて猫に出産させようと奮闘する。
おじさんの哀愁がとにかくすごい。
半裸でお風呂で座ってるシーンなんて孤独感がもうなんとも言えない…


実験映画

『ビヨンド・能』
(Beyond Noh/パトリック・スミス/Patrick Smith)
2回観た。
能面から映画のキャラクターからピカチュウ、キティちゃん、政治家などなど
色々なお面が登場して、眺めているだけで楽しかった。

『THE STREAM X』
(櫻井宏哉/Hiroya Sakurai)
2回観た。
主に水田の中を映した映像で構成されていて、その映像がなんとも神秘的で癒される。
ちょっと覗いただけでも観たことのないものが観られるんだなあと感心した。

『コーマンの目薬』
(CORMAN’S EYEDROPS GOT ME TOO CRAZY/アイバン・カルドーソン/Ivan Cardoso)
2回観た。
色々な映像のコラージュで作られていて、観ているだけでキマって来そうな作品。
ネウジーニャ・ブリソラっていう人のPVなんかが挟まってたり
わけがわからないのだけどなんだか好きで繰り返し観てしまった。

『スクロール分断症』YouTube
(DIVIDED WE SCROLL/クラース・ディアーズマン/Klaas Diersmann)
2回観た。
蛍光管が繋がっていく映像が好き。


コメディ

『私にティッシュをください。』YouTube
(PLEASE GIVE ME POCKET TISSUES/田邊 馨)
これまでスタッフとして短編映画祭に関わっていた人が自分も作りたい!と思って作った作品。
ポケットティッシュをなぜか貰えない主人公が何が何でもティッシュを貰おうと奮闘する。
途中、主人公がアニメーションになったり、カット数がとにかく多くてよく作ったな…と思った。
完全に娯楽作品として振り切っているのが良い。

『市民パトロール』
(CITIZEN PATROL/エクザビア・ブシェン・ルンド/Xavier Beauchesne-Rondeau)
自警団が人種差別をしまくる様子が描かれた作品。
最後の最後までシリアスな雰囲気なので「なぜこれが酔っ払いプログラムに…?」
と思って観ていたら、差別された側の人たちも自警団を作っていてやり返される
というブラックユーモアがばりばり効いたオチだった。

『ダウンズ・オブ・ザ・デッド』
(DOWNS OF THE DEAD/エイブン・ウスビー・グゥロドン/Even Husby Grødahl)
もし障害者施設にゾンビが来たら…という話。
短い中にゾンビものならではのお約束なんかが抑えられていて面白い。
ダウン症の青年が、施設職員の主人公に「実は僕ダウンなんだ…」と神妙に告白して
主人公が「何となくそうじゃないかと思ってたよ」と返すシーンが良かった。
(彼は職員なのでもちろん知ってる)


ドラマ

『こちら放送室よりトム少佐へ』(U-NEXTにて配信中)
(SCHOOL RADIO TO MAJOR TOM/千阪拓也/Takuya Chisaka)
2回観た。
優しいストーリーも好きだし、画角が狭く、昔風の荒い画質になっているのも好みだった。
映像作品ながら、ラジオドラマがモチーフになっているので音声だけでも楽しめるのも良い。
長久允監督の『そうして私たちはプールに金魚を、』を観た時ほどの衝撃はなかったが
この監督の長編作品が観たいと強く思ったのは『プー金』を観た時とまったく同じ。
ぴあフィルムフェスティバル2020でエンタテインメント賞(ホリプロ賞)を獲ったらしいし
今後も撮り続けて欲しい。

『ラベンダーの香り』
(LAVANDE/アレクサンドラ・ナオウム/Alexandra Naoum)
2回観た。
夏の間、母親の知人夫妻のラベンダー畑で働くことになった少女が
言葉を話せない少年と知り合い、自分と少年のために”あること”を実行するという話。
時系列を一旦バラバラにして構築しているので、ちょっとわかりづらいところはあるのだが
その分謎めいていて面白く観られる作品だった。
残酷さと美しさが共存していて良かった。

『8匹の犬』zeroplus.tv
(THE GROUP OF EIGHT/イバン・サスニン/Ivan Sosnin)
2回観た。
個人的ベスト3では1位。
G8サミットに向けて野良犬が一掃されるということを知った男性が
1匹ずつ犬を連れ帰っているうちについに8匹になってしまい
危うくアパートから追い出されそうになるのだが、同じアパートに住むセラピストの女性が
グループセラピーに来ている人たちに犬と暮らしてもらうことを思いつく、という話。
主人公もセラピーに来ている人と同じくらい孤独感を抱えていて
女性とのコミュニケーションで救われる様子が描かれているのが良かった。
セラピーに来ている人たちは8人いたのだが、飼ってみたらアレルギーが出てしまった人がいて
主人公が最初に拾った犬だけ戻ってくるという結末も素敵。
犬嫌いの私でもこの作品は好き!この監督、長編撮らないかなあ…

『想いを星に』ekkofilm
(STARS IN THE SKY/キャスパー・リンド/Casper Lind)
2回観た。
意地悪なところが何もなく、観て優しい気持ちになれる短編。
おじいさんが作る小型ロケットの見た目のさりげなさが本物っぽくて良い。

『チェン兄弟』
(CHEN CHEN/チェン・カルゴ/Kargo Chen)
個人的ベスト3では2位。
久々に実家に帰ってきた主人公が、難病を持つお兄さんを風俗に連れて行ってあげるが
散々な目に遭い、お兄さんの機転で逃げ果せるというストーリー。
そのシーンとその後マクドナルドで食事をするシーンも良いのだけれど
浜辺で二人で座っているシーンが心に残った。
何より、全編通して兄弟の仲が良いのがいい。
「兄に捧ぐ」みたいな字幕が出たので監督の実話を基にしているのかな、と思った。

『思い出の曲』
(REWIND/ヒューゴ・シェテラ/Hugo Chetelat)
孫が言葉を発せられなくなってしまったおじいちゃんと
カセットテーププレイヤーのイヤホンを共有すると
過去の楽しかった思い出に飛ばされるというファンタジー。
なんてことない話なんだけど、一緒にアイスを食べたり踊ったりする様子が楽しそうで良かった。

『ジェイミー』
(JAMIE/エスメ・クリード=マイルズ/Esmée Creed-Miles)
自殺しようとした少女が人身事故に遭遇して自殺を思いとどまる話。
希望のある美しいラストシーンが印象に残った。

『より良いあなた』
(A BETTER YOU/イーマン・マーフィー/Eamonn Murphy)
自分と見た目はそっくりだけれど自分よりももっと優秀なクローンを大半の人が持っている
という世界を描いたSF作品。
意中の女性とデートに行かせるためにクローンを購入する主人公だったが
待ち合わせ時間の直前に充電が切れてしまい、結局自分が行くという話。
想像の範囲内の結末だけれど、1本の恋愛ドラマとして情緒のある作品だった。
恋愛映画ってなかなか難しいけれど、短編の方がむしろ上手く作れるのかもしれない。
長編だとくどくてどうも…

『オクトパス』
(OCTOPUS/エンギン・エルデン/Engin Erden)
主人公の少年少女が可愛い。
タコを釣って喜んでいたら、大人たちが「こうやって〆るんだ」とタコを叩きまくって
それ見てドン引きしてる時の顔がまた可愛い。
ブラックユーモアが効いた良いオチだった。

『ダニエル』
(DANIEL/クレア・バン・ベーク/Claire van Beek)
修道女である主人公が、誓願式の直前に気になる男性と知り合ってしまい前日に関係を持つ話。
もういいじゃん…修道やめようよ…って思った。
修道女になりたい人ってどうしてなりたいんだろうか。

『オーラ』
(OLLA/アリアン・ラベド/Ariane Labed)
主人公のオーラがマッチングアプリで知り合った男性と暮らすことになって
どこか別の国からやってくるんだけど、男性も生活も思い描いたものとはかけ離れていて…という話。
半身不随の義理のお母さんの前で急に下着姿になって踊り出したり、滑稽なシーンが多かった。
それでも何故かそのお母さんとは心が通じ合っている様子がラストシーンに現れていて
シュールだけどハートウォーミングで不思議な余韻のある作品だった。


ランキングにほんブログ村 ハンドメイドブログ 人形・ぬいぐるみへ
 ↑     ↑
おすすめは『劔岳 撮影の記 標高3000メートル、激闘の873日』『今さら言えない小さな秘密』
『ジャッキー・ブラウン』『フォーリング・マン 9.11 その時、彼らは何を見たか?』
『マリアンヌ』です。