仮面屋で線頭を購入した。帰宅してから居間でそれを被ってみたのだが、試しに本棚から書物を取り出して開いてみると文字を構成している線の形状が悉く美しいと感じられると気が付いたので私は興奮した。見つめれば見つめるだけ感動が深まっていくようだった。それで、一文字ずつをじっくりと時間を掛けながら鑑賞していった。
空腹が気になったので書物から視線を上げて時計を見遣ると既に真夜中になっていた。最初に開いた頁を見つめたまま数時間が経っていたようだった。それで、私は慌てて仮面を脱いで書物を閉じた。もはや表紙に書かれている題名の文字にも特別な美しさは見出せなくなっていたが、先程まで覚えていた感動の余韻は心の中にしっかりと残されていた。
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