羊頭 | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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 昼過ぎに恋人がマンションに訪ねてきた。彼は羊頭を被っていた。私は恋人を部屋に招き入れてから紅茶と菓子を出したのだが、彼はそれらをほんの少量しか口に入れなかった。あまり食欲がない、と彼は言った。私は恋人の体調が心配になったのだが、彼は大丈夫だと言い張った。ただ、その声もいまいち弱々しくて元気がないように感じられた。

 それで、私は仮面を脱ぐように頼んだ。しかし、恋人はその要求を拒否した。羊頭を被っていると平穏な気持ちになれるのだと彼は主張した。そして、私にも同じ物を被るように勧めてきた。今から仮面屋へ赴いて私用の羊頭を購入しようと言い出した。私は部屋の中でのんびりと過ごす二匹の大人しい羊頭の姿を想像し、それも悪くないかもしれないと考えた。


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