山羊頭 | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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 無人駅で長椅子に座って電車の到着を待っていると隣に山羊頭を被った男性が腰を下ろした。空いている長椅子が他にもあるので私は彼の行動に首を捻った。しかし、その男性は黙ったまま反対側のホームの方向を眺めていて私に対して特別な関心があるわけではなさそうな様子だった。

 電車はなかなか到着しなかった。辺りが暗くなり、空から大粒の雨が落ち始めた。私が座っている長椅子は屋根の下にあるので当面は避難する必要がなさそうだったが、遠くから雷鳴が聞こえてきたので大雨になって電車の運行に支障が出るのではないかと心配になった。

 ちらりと山羊頭の方を見遣ると彼は相変わらず反対側のホームの方を眺めていて身動き一つしていなかった。心の動きは読み取れなかった。まるで彫像のようだという印象を受けた。ただ、電車に乗ろうとしているのであるから人間性は残っているはずだと思われた。瞳孔が横方向に長いので視界は平たいのかもしれなかった。どのような景色が見えているのだろうかと気になった。


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