尻尾頭 | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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 尻尾頭を被って生活している。それを着用していると自分の尻から一本の立派な尾が生えているという感覚を得られる。実際に生えるわけではないので実用性は皆無だが、人体の背後に出来る隙をその感覚が埋めてくれているような気がして心強い。

 ただ、一目瞭然で尻尾頭とわかるデザインではないので他人と知り合う度にその機能について質問を投げ掛けられる。そして、私の説明を聞くと人々は一様に不満そうな表情を見せる。尻尾に関する道具を頭に被っているという事実が奇異に思えるらしい。

 そのような人と出会う度に私は隙を窺って背後から驚かせなければならない。人体がいかに背後からの攻撃に対して無防備であるかを体験させるのである。相手によっては納得してくれる場合がある。

 ただ、尻尾頭を被っているからといって私自身が背後からの攻撃に強くなっているわけではない。或いは、後方への不安が和らいでいる分だけ油断が生じて不利になっているとも考えられる。あくまでも気休めでしかないのである。


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