私頭 | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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 仮面屋で私頭を購入した。それは無色透明のマスクだった。

 自宅に持ち帰ってから着用したが、新品なので生地がまだ固かった。鏡の前に立つと私の顔が映っていた。マスクは見えなかった。髪型さえも維持されていた。

 それは確かに私頭という商品名に適っていたが、マスクを着用している意味がないように思われたので私は釈然としない気分になった。好奇心を最大限に刺激する為の方策として、私は効果を確認しないままマスクを購入して着用する習慣を持っているのだが、どうにも腑に落ちなかったので私頭に関する説明書を読んでみた。

 すると、私頭は基本的に防寒具であると判明した。仮面を着用している事実を周囲の人々に悟られないまま頭部を保温できるのだった。

 それに、衝撃吸収材としての機能もあるらしかった。試しに拳で頬を殴ってみたが、手も頭も痛くならなかった。しかし、額を壁に打ち付けてみると反動が首や背筋に伝わり、頭がくらくらとした。


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