仮面屋で購入した数学頭を被ると計算が飛躍的に速くなった。単純に速度が上がったばかりではなく、思考能力自体が強化されたようであり、私は複雑に入り組んだ数学の問題について何時間でも連続して検討できるようになった。
それから私は日々の生活の中で退屈を感じる度に数学頭を被るようになった。まだまだ理解できていない高度な問題が幾つもあった。それらの中には現代文明の手に余ると認識されている難問さえあった。数学頭という既製品の能力では解き明かせないはずなのだが、私は暇潰しのつもりで考え続けていた。
新たな発見があって理解が広がる度に数学がより愉しく感じられるようになっていった。その仮面を被っている時間の割合が徐々に長くなってきていたが、決して日々の生活が閑暇になったわけではなかった。私は様々な用事を放置して数学との格闘を続けていた。今や仮面を脱いでいる間にも数学について色々と考えている始末で、すっかり手を離せなくなっていた。
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