この記事は4906文字です。(読破予想時間:約11分40秒)
■はじめに
この記事は、この間アップした『「ぬくもり」盗作歌詞の件について』と言う記事の後半部分に一度書いた記事を、アップする前に思いとどまって、別記事に分けて手直ししたものです。
あまりに長くなったと言うのもありますが、話の中身が盗用事件とはあまり関係のない作詞繋がりの別の話だと判断したと言うのが大きな理由です。
この記事として移植された部分は、主に、僕の作品作りの得手不得手や日常の葛藤や苦労やその思い、そしてちょっとした理念なんかを書いたものです。
文章にすると重く感じてしまうかもしれませんが、それ程ヘビーな話でもありません。
ホントに僕にとっては当たり前の日々であり、只の日常です。
【以下本文】
■自分の作品に他人の意見や他人のアイデアが入るとそれは自分の作品ではなくなる
他人の作品を微妙な線でパクってしまう気持ちは僕にも分からないでもない。
ドラマやマンガ・アニメでよくあるパターンは、作品が出て来なくなったスランプの作家やアーティストが困りに困って他人の作品を盗用してしまうパターンをよく見かけるが、おそらくこれは、締め切りに追われるプロの売れっ子にしか分からないパターンだろう。
今回の沢久美さんによる、盗作事件のいきさつは明らかになっていないが、盗作であれゴーストライターであれ、共通して感じる事がある。
作詞が専門のプロの作詞家と、オールマイティーにこなすシンガーソングライターである自分を同列には語れないが、僕も常に作詞では産みの苦しみを味わい続けている。
しかし、僕なら、自分の曲の中に他人の血(アイデアやセンス)が入る事は絶対に許せない。
これは、誰かの影響が曲の中に出ると言う意味ではなく、共作やバンドのメンバーから出たアイデアなど、ダイレクトに他人のアイデアやセンスを取り込む事を意味している。
だからこそ、バンド活動に見切りをつけてソロ1本に絞ってやると決めたのだ。
なのに、他人の作品を自分の作品だなんて言える神経が理解出来ない。
僕なら「自分の感性やセンスはこんなんじゃない!」と声を大にして言いたくなる。
例え、それが自分の作品より優れた作品であっても。
作品そのものが、自分自身でなければ芸術を志す意味はない。
と言っても、作品に自分史を込めたり、自分語りをすると言ってるのではないし、そのつもりもない。
極一部だけ自分史と自分語りを込めた作品がない訳ではないが、それは敢えてそうしてみる事に意味があってそうしただけで、自己中心的な押しつけのつもりはない作品だ。
基本的には、そういう作り方はしない事にしているので、自分としてはちょっとした変化球を試してみたと言う感じにすぎない。
■自分自身の音楽道・作詞道
あとは、自分の表現のセンスを魅せて付けてやろうだとか、あっと驚く様な、皆に賞賛される様な詞を書いてやろうなんて、これっぽっちも思っていない。
でも、作詞には本当に苦労をする。
作詞の場合、詞と言うものが音楽のパーツである限り、ポエム(詩)でもなければ、作文でもないし、文学でも日記でもない。
どう表現すべきなのかしっくりした言葉も思い浮かばないが、やっぱり音楽要素であり音楽パーツだとしか、今の所言いようがない。
敢えて、そこを文学的にしてみたり、日記的にしてみたり、さっき違うと否定した形式を取り入れるのはありだと思うが、初めから、そうだと思ってると詞は書けない。
まずは、詞とは何かと言う基本を押さえてからの、変化球だと僕は思う。
これは何事にも共通する事だろうとも思う。
作詞で重要視する部分なんてものは人によって違って当たり前だろうけど、僕が最も作詞で重要視するのは、どんなインパクトのある言葉を使うかとか、どんな風に伝えてやろうか、表現してやろうかと言う事ではなく、本来、メロディーと運命の糸で結ばれた様な違和感のない言葉探しだ。
それは、僕個人的には、使い古されてようとありきたりであろうと構わないと思っている。
以前、他の記事でメロディーに詞がはじかれると言う話を書いたが、最低限それは全て取り除きたいと常に思って詞を書いている。
1曲全ての詞とメロディーが運命の組み合わせなんて事は有り得ないんじゃないかと思うくらい、それは困難な道のりで未だにその境地からは程遠い体験しかない。
世間で名曲と言われてる曲も、要所要所にそれがピタっとハマってるだけで、端から端まで運命の組み合わせなんて曲には出会った事もない。
おそらく、要所要所だからこそ、そこが活きてくるのだろうと僕は思っている。
なので、言い方は悪いが、どこで妥協をするかもポイントになってくる。
満足がいくまで、全てがピッタリハマるまで言葉を探し続けるのか、全くなくても良しとするのか、その狭間の加減が難しい。
その加減で、詞の優劣が大きく変わる様な気がしている。
これは、自分で感じてるだけのもので、誰かに学んだ訳でもないので、それが正しいかどうかも分からない。
答えを全て教えてくれる学問を○○学と呼び、その先の道なき道を探求するのが○○道と言うのならば、それが僕の作詞道であり、音楽道の一環と言える。
■産みの苦しみ
前にも書いた様な気がするが、僕の得手不得手で言うと、一番楽に生まれるのが編曲。
いわゆるアレンジである。
アレンジのパターンやフレーズは、大抵、一曲のアレンジでも何パターンも湧き出てくる。
その中から、どのパターンでいくか絞り込んでいく作業になる。
作曲も、編曲に比べると苦しむ事もあるが、作詞に比べると比較的スムーズに出来るし、これも数パターンいろいろ迷う事はある。
そして、一番苦手なのが作詞だ。
メロディーを先に作るメロ先(曲先)ならば、何度もそのメロディーをリピート再生しながら、これと言うものが降りてくるまで待ち続けたり、楽器を弾きながら何度も口ずさんでみたりと言う作業が中心になる。
パソコンを中心にデジタル文化が浸透して、アナログにはもう戻れないと思う事が大多数を占める反面、この作詞に関しては、デジタルだけでは絶対に前へ進めない。
基本的に紙ベースで何かを保存したりすると、書くのも疲れるし、保存場所もとるし、調べるのも簡単に検索と言う訳にはいかず苦労するので、あまり紙ベースで何かを残す事はなくなってきた。
しかし、作詞の場合は、紙に書きなぐる作業が僕の場合は必須だ。
出て来たアイデアを紙に書きなぐって、そのパーツを繋げたり、置き換えたりしながら、最終的に一つの作品にまとめていくには、紙と鉛筆(ペン)は最適だと思うし、欠かせないツールだ。
ああでもない、こうでもないと、いろいろ書きなぐっていく作業には、テキストエディターやワープロソフトは不向きだ。
アイデアを練る作業に不向きだと言ってもいいかもしれない。
そして作詞をする際には、その紙を大量に使う。
なので、お金を出して買ったノートか何かでその作業をしようものなら、お金がかかって仕方がない。
しかし、世の中うまくバランスがとれてるもので、パソコンを使ってプリントアウトされて既に不要になった用紙が大量にあるので、その紙の裏を利用している。
そうしてやっとの思いで出来上がるまで、数日で終わる場合もあるが、数十年かけて出来上がる事も僕の場合は、珍しくはない。
それが、僕の産みの苦しみだ。
楽しいかと聞かれれば、作詞は決して楽しい作業だとは思わない。
寧ろ、苦痛が勝っていると自分でも思う。
でも、やめられないし、他人の詞が自分の曲に乗るなんて事は今は考えられない。
ワインの世界で食とワインの相性をマリアージュと言う言葉で表現したりするが、その言葉を借りるなら、メロディーと歌詞が、納得のいくマリアージュを遂げた時のあの満足感は何物にも代え難いものがある。
辛かろうが、苦痛であろうが、産まれた時の喜びと満足感を伴った、まさに産みの苦しみと呼ぶのにふさわしい苦しみだ。
■詞と曲、どちらを先に作るのか
文章を読んだり書いたりするのは好きだと以前、別の記事で話したが、自分にとって作詞とは好きだとか嫌いだとか、そういう概念では語れない位置にある。
結局、作詞とはやはり文筆の世界とは別物で音楽制作と言うカテゴリーに属するものなのだ。
よく人から訊かれるの事の一つで、詞を先に書く(詞先)のか、メロディーを先に書く(メロ先)のかと言うのがある。
僕の場合は詞先、メロ先、同時進行、全てある。
昔、鼻歌作曲法を中心に曲作りをしていた頃は、同時進行が多かったが、今は、メロ先が多い。
個人的に一番好きな作り方は詞先であり、うまくハマった時には一番スムーズで早く曲が仕上がる。
しかし、このパターンは、たまに一気に詞が降りてくる事があって、そう言う時にしか使えない。
詞より先に曲ばかり出来て、詞のない曲をたくさん抱えてる立場の僕としては、どうしても、既に書き上がった曲に詞をはめる作業が中心になる。
僕がどっちから書いてるかなんて、本当に興味なんてあるのか?と不思議に思いつつも、ちょくちょく受ける質問なので、この機会に一応書いてみる事にしたが、書きながらも「こんな事、知りたがる人間なんているのか?」と言う思いを抱きながら、書いてみた。(-"-;A
特に誰かに知って貰いたい情報でもないのだが。( ̄_ ̄ i)
■終わりに
僕の作品作りの日常を作詞に焦点をあてて書いてみましたが、いかがでしたでしょうか?
「へぇ~」なり何なり、僅かでも何か思って貰えたのなら嬉しいです。
ちなみに、ここまで作詞について熱く語ってきたそんな僕はこんな詞を書きます。
いろんな曲があるので、出来れば、最低でも複数曲聴いて貰えると嬉しいです。(^人^)オネガイ!
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