21.金の鳥
(1)プロローグ
ある城の王様は、城に生えている金のリンゴの木をとても気に入っていた。ところがある日金のリンゴが何者かに盗まれてしまう。王様は息子の王子達にリンゴの木を見張らせると、金の鳥が金のリンゴを持って行っている事が分かる。
(2)金の鳥を追いかけて
王様は金の鳥を手にいれたくなり、息子の王子達に鳥を探す様に命令する。まず最初に出かけた1番上の王子は森に入ると一匹の狐と出会う。狐は王子に、「次の訪れた村には2種類の宿があるが、みすぼらしい方に泊まるように」と忠告するが、鉄砲を撃ち追い払う。1番上の王子は狐を馬鹿にしていたため、訪れた村では狐の忠告を無視して豪華な宿に泊まるが、宿から出られなくなってしまうのであった。
1番上の王子が帰ってこないため、2番目の王子が次に出かける事になった。2番目の王子は、1番上の王子と同じ様に狐と出会うが、やはり狐を馬鹿にして同じ様に豪華な宿に泊まり、宿から出られなくなってしまう。
(3)末の王子の旅立ち
2人が共に帰ってこないため、王様はもう金の鳥を諦めていた。しかし末の王子は自分にも探しに行かせてほしいと頼み、王様の許しを得て金の鳥を探しに行く事になった。
末の王子も兄達と同じ様に狐に出会うと、狐の忠告を聞き入れてみすぼらしい宿に泊まる。すると翌日からも狐は王子を助け、金の鳥のいる城まで連れて行ってくれた。
(4)金の鳥を見つける
末の王子が金の鳥がいる城に到着すると、狐は「城の中の人は皆眠っているので金の鳥は簡単に見つかる。金の鳥はみすぼらしい鳥籠に入っていて、隣には金の鳥籠があるが、これに金の鳥を決して入れてはいけない。」と末の王子に忠告する。
城に入ると狐の言うとおり、城の中の人は皆眠っており、金の鳥を簡単に見付ける事ができた。しかし王子は、金の鳥にボロの鳥籠は似合わないと思い、狐の忠告を無視して金の鳥籠へ入れてしまう。すると金の鳥はけたたましい声で鳴き、城にいる人は皆目を覚ましてしまった。王子はすぐに捕まり、死刑を宣告されるが、金の馬を連れて来れば、金の鳥をやっても構わないと言われる。
(5)金の馬を探して
城から出てきた王子の前に出てきた狐は、忠告を聞かなかった王子にまだ手助けをしてくれると言う。すると金の馬がいる城まで連れて行ってくれるのだった。
狐は再度王子に「城の馬小屋にいる金の馬は簡単に連れ出せるが、そばにある金の鞍を馬に置いてはいけない」と忠告をする。しかし、ここでも王子は金の馬に粗末な木と皮の鞍を乗せると台無しになってしまうと考え、金の鞍を置いてしまった。すると金の馬は声高くいなないたので、馬丁(ばてい)が目を覚まし王子は捕まってしまう。
王子はここでも死刑を宣告されるが、美しい王女を金の城から連れて来る事ができれば金の馬をやっても構わないと言われる。
(6)王女を連れて
城から出た王子に狐は、「もう見捨てた方が良いのかもしれない」と言いながらも王女のいる金の城へ連れて行ってくれる。そこで狐は「夜になって王女が風呂に入りに行く時、風呂場でキスをすれば王女は付いてくる。ここで王女は両親に別れを告げたいと言って来るだろうが行かせてはならない」と忠告をするが、王女がどうしても泣くので王子はとうとうこれを許してしまった。ここでも死刑を宣告されるが、命を助ける代わりに8日以内に城の眺めを邪魔する山を片づけるように言いつけられる。
王子は必死に土をスコップで堀田が、7日たってもほとんど光景は変わらなかった。見かねた狐は王子に代わり作業を行い、山を1日でなくしてしまった。王子はほうびに娘を貰う事ができた。
(6)全てを手に入れる王子
王子は王女と一緒に金の馬の城へ行くと、金の馬をもらう事ができる事になっていた。ここで狐は、金の馬に乗ったら王女を連れ去る様に王子に忠告をするのであった。王子は狐の言うとおりにすると、王女と金の馬を両方とも手に入れる事ができた。同じ様にして金の鳥も手に入れる事ができた。こうして、王子は王女と金の鳥と金の馬を全て手に入れる事ができた。
(7)狐の最後の忠告
狐はここまで王子の世話をすると、王子に「自分を撃ち殺して、頭と手足を切り落としてほしい」と頼む。王子はそんなことはできないと言うと、狐は王子から離れるしかないと言い、最後に「何があっても首つり台の肉を買わない事、どんな井戸の縁にも腰をかけないこと」に注意するように言い残し、王子の元を去っていく。王子はそんな事をするもんかと安心していた。
王子達は城へ帰る途中、首つり台にかけられている兄達を見かけたので、やめるように頼んだ。王子の頼みは聞き入れてもらえないため、お金を払って助けてもらった。しかし助けた兄達と一緒に城に帰ろうとしたところ、疲れたため井戸の縁に腰をかけてしまい、兄達に井戸へ落とされてしまう。2人の兄は、王女達をつれて城に帰り、自分達の手柄にしてしまうのであった。
(8)王子の帰還
井戸に落ちた王子であったが、井戸が枯れていたために助かる事ができ、そこにまた狐が現れて助けてくれる。城に帰ろうとした時に、そのまま帰ろうとすると兄達に命令された兵士に殺されてしまうと狐に忠告を貰ったため、近くにいたみすぼらしい男と服を好感し、変装して城に到着する。王子が王様の前に現れ真実を話すと、嘘をついていた兄達は殺されてしまった。
(9)エピローグ
末の王子が城に帰ってからかなり経ったある日、出かけたところでたまたままた狐と出会った。狐は王子に、前と同じ様に自分を殺してほしいと頼まれるのだった。今度は王子は狐の願いをかなえて殺してやると、かけられていた魔法が解けて狐は美しい王女の兄に戻った。生きている限り、皆の幸せのために何一つ足りない者はなかった。