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~Integration and Amplification~ クラシック音楽やその他のことなど

学生時代から断続的に聞いてきたクラシックCD。一言二言で印象を書き留めておきたい。その時の印象を大切に。
ということで始めました。
そして、好きな映画や読書なども時々付け加えて、新たな感動を求めていきたいと思います。

ブックレットの表はそっけないので、ブックレット裏のジャケット写真で…

 

【CDについて】
作曲:モーツァルト

曲名:交響曲第38番ニ長調 K504 (26:32)

   交響曲第39番変ホ長調 K543 (27:18)

演奏:グイ指揮 グラインドボーン音楽祭管弦楽団
録音:1953年 (M)

CD:ORG 3018(レーベル:EMI、レコード芸術名盤コレクションより)

 

【曲について】

プラハから招待を受けたモーツァルトは、プラハで「フィガロの結婚」を指揮しましたが、交響曲第38番はそれに先立って初演されました。長い序曲を持ち、メヌエットが省略された三楽章の交響曲になっています。第39番は、オーボエに変わってクラリネットが採用されています。モーツァルトのオーケストラ関連の曲でオーボエが省かれているのはこの曲だけとのことです。

 

【演奏について】

最近頭の中で、プラハの冒頭部分が鳴り響いていたので、この曲を聴くことにしました。このブログでは初登場だと思います。CDはしばらく聴いてなかったグイの指揮する演奏を取り出してきました。グイの録音は多くありませんし、オペラが有名ですね。さて、どんな演奏だったかなぁ…。

 

第38番から始まります。まずは序奏部分。すごくゆったりと始まります。じっくり序奏を進んで主部へ。頭の中で鳴っていた音楽が実際に音となって聞こえてきます。記憶は微妙に現実と一致しないので、補正しつつ聴いていました(笑)。グイの演奏は時々テンポを変えながら、優雅に続いていく感じでした。そして、終楽章になると快活な流れになって進んでいきました。メリハリがあって、とてもいい演奏です。

 

第39番も序奏部を持った交響曲です。グイの序奏の演奏は第38番ほどではありませんが、じっくりと進んでいきます。これも縁取りのはっきりしたメリハリのある音楽で、かつ優雅な流れのある演奏です。そして、終楽章はとても快活で、モーツァルトの交響曲を十分楽しみました。優雅な穏やかな時間が流れていきました。演奏は、グラインドボーン音楽祭管弦楽団とクレジットされていますが、実態はロイヤル・フィルとのことでした。

 

【録音について】

モノラル録音ではありますが、十分に明瞭な美しい録音でした。

 

【まとめ】

ヴィットリオ・グイの指揮。何か類型に当てはめてみようと思ったのですが、例えばオペラ指揮者であるとか、イタリア人指揮者であるとか…。ライナーノートにはこういった角度からも解説されていたので、考えてみたのですが、まぁ結論付けるものでもなく、いい演奏だったと思った次第です。

 

購入:不明、鑑賞:2024/04/05(再聴)

 

モーツァルトの交響曲記事から。意外と聴いていないなと思いました…。

 

 

 

【CDについて】
曲名:J.S.バッハ:管弦楽組曲第3番(18:39)
   アルビノーニ:オーボエ協奏曲ニ短調Op.9-2よりアダージョ(5:21)
   ヴィヴァルディ:ピッコロ協奏曲ハ長調 RV443(11:51)
   アルビノーニ:ソロ・ヴァイオリンと弦楽のためのアダージョ(2:02)
   A.マルチェッロ:オーボエ協奏曲ニ短調(9:38)
   テレマン:2つのフラウト・トラヴェルソと弦楽のためのグラーヴェ(4:02)
   パッヘルベル:カノンとジーグ(4:42)
   グリーンスリーヴズ(1:48)
   パーセル:シャコンヌト短調(4:43)
   ヘンデル:シバの女王の入城(3:13)
   アルビノーニ:2つのヴァイオリンと通奏低音のためのアダージョ(3:59)

演奏:アントニーニ指揮 イル・ジャルディーノ・アルモニコ

録音:2001年1月29日-2月2日 モルビオ インフェリオーレ Chiesa di San Giorgio

CD:8573-85557-2(レーベル:Teldec)

 

【曲と演奏について】

バロック名曲集です。今までほとんど買ったことがありません(笑)。覚えているのは、DGの編集ものくらいかな…と思います。でも、このCDを見て惹かれたのは、イル・ジャルディーノ・アルモニコがオリジナルで録音した名曲集だというところ。表現の起伏の大きなイル・ジャルディーノ・アルモニコとアントニーニの演奏でのバロック名曲集。ワクワクします✨。勿論、古い名曲集に定番で入っていたアルビノーニのアダージョはありません(笑)。

 

最初はバッハの管弦楽組曲第3番。これで一気に掴まれますねぇ。アントニーニ節全開です。音色の対比と、切れ味の鋭いリズム感で突き進むのはまさに爽快。レガートで歌うバッハもいいのですが、こちらは対極の表現でした。アントニーニの演奏は、そういった表現や楽しさや自由さを感じる演奏だと思いますので、リヒターのようなパッションの壮大さを感じる演奏とはまた違いますね。むしろリヒターを聴くと、この表現でも随分穏便に聴こえてしまうのが面白いところです。

 

他の曲でとても面白かったのは、ヴィヴァルディでしょうか。アントニーニ自身がフラウティーノを演奏しています。このフラウティーノの、ピッコロよりもちょっとくすんだ感じの音色の面白さや、叙情的にはあまり歌わないアントニーニの演奏だけに、その色合い感がとても良かったです。特に第二楽章は最高です。その他、パッヘルベルのカノンも、こういったスタイルで聴くと、情緒たっぷりな演奏とはまた違ってくるところが面白く感じました。

 

【録音について】

イル・ジャルディーノ・アルモニコの音を聴くには十分素晴らしい録音だと思います。

 

【まとめ】

このCDは買ってから、何度も聴きましたので、大変お買い得感がありました。普段使いできて、それで面白い演奏なので、コスパは最高です(笑)。

 

購入:2024/02/09、鑑賞:2024/04/04

最近リリースされた新譜から ㊱

今週の新譜は、シベリウスの交響曲第4番。先月シベリウスをいろいろ聴きましたが、このCDもその前に買っていました。これは、ゆっくり月を改めて聴こうと思ってとっておいたものです。最新のシベリウスの演奏は、どんな感じでしょうか。

【CDについて】

作曲:シベリウス
曲名:①交響曲第4番イ短調 op63 (36:56)

   ②森の精 op15 (22:04)

   ③悲しきワルツ op44 (5:27)

演奏:ロウヴァリ指揮 エーテボリ交響楽団

録音:2021年11月①、2022年6月③、2023年5月② エーテボリ Gothenburg Concert Hall

CD:ALPHA 1008(レーベル:Alpha)

 

【曲と演奏について】

ロウヴァリの進行中のシベリウス録音の中の1枚になります。そもそも私はシベリウスはそれほど聴いてこなかったというか、ある程度遠くに置いていた感じもあるので、1ヶ月くらい聴いたくらいでは気の利いたことは書けるわけがないのですが、現在のエーテボリ響とフィルハーモニア管の首席指揮者であるロウヴァリが、フィンランド出身者の面目をかけての渾身のシベリウスという事だろうと思うので、心して聴きます。現代の名指揮者の交響曲の新譜なので、きっと注目度の高いCDですね。

 

ということで聴いたものの…。判らないながらに感想を書くと、意外とドラマティックに感じました。交響曲第4番は暗く静かな曲という固定観念なのですが、その中でフレーズが丁寧に歌われて、緻密に受け渡されて、精密で完成度が高くて…、そんな印象でした。その結果として曲の持つ劇的な部分が湧き出てきたのかもしれません。改めて面白い曲だと思いつつ、この曲の世界に入って聴き終えました。

 

カプリングは2曲。op15の森の精は、先日コメントいただいて話題になっていたのですが、ここにあったのですね。今さら気が付きました。シベリウスの厚い管弦楽がずっと鳴り響く楽曲という第一印象。ミニマルみたいです。オーケストラの音に埋もれていく感じで聴いていました。悲しきワルツは、美しいニュアンスに富んでドラマチック。北欧風のドラマチックですね😊。

 

【録音について】

残響が多めのふくよかな音に聴こえます。全体的に低くこもったように聞こえなくもないのは、これはオーケストラやホールの特徴なのでしょうか。

 

【まとめ】

今日は、シベリウスの第4番の新譜を聴きました。シベリウスの交響曲の新譜を買うのはいつ以来でしょう。バーンスタイン以来かな…。聴いてみるとなかなか面白かったのでした。

 

購入:2024/02/09、鑑賞:2024/04/03

【CDについて】
作曲:ヴァイル

曲名:銀の湖より

   ・フェニモアの歌(3:08)

   ・シーザーの死(2:46)

   三文オペラより

   ・メッキー・メッサーのモリタート(3:12)

   ・ソロモン・ソング(4:25)

   ・セックスのとりこのバラード(3:23)

   ベルリン・レクイエムより

   ・ポツダムに通じるカシワの並木道(2:08)

   ・ナナの歌(3;42)

   銀の湖より

   ・富くじの胴元の歌(4:42)

   マハゴニー市の興亡より

   ・アラバマ・ソング(4:39)

   ・薄情の歌(4:28)

   ・あんたを愛していないわ(3:42)

   ヴィーナスの接吻より

   ・私は自分でも勝手が分からない(3:01)

   ・西風(2:47)

   ・スピーク・ロウ(4:11)

演奏:ウテ・レンパー、マウチェリ指揮、RIASベルリン室内アンサンブル
録音:1988年8月 ベルリン RIAS Studio No.7

CD:425 204-2(レーベル:DECCA)

 

【曲と演奏について】

クルト・ヴァイルの名曲が詰まったCDです。何となく、ワイルの方が馴染みがありますが、ヴァイルが正しい発音でしょう…。時折、ヴァイルの曲が聴きたくなるので、うちにはいろいろCDが並んでます。ほとんどが歌や歌劇系のもので、器楽は1枚だけ?第二次大戦あたりを描いた映画で、ヴァイルの曲がでてくると、思わずその映画を気にいったりします(笑)。ジャズのスタンダードナンバーになっている曲も多いですね。

 

今日、聴いているのはウテ・レンパーの歌ったCD。同い年です(笑)。商品紹介によると、マレーネ・ディートリヒの再来とも言われているらしいです。私はワイルの歌はいつもスタートラスの歌で聴くことが多かったので、もしかしたらウテ・レンパーの歌で聴くのは初めてかもしれません。さすが、なかなか迫力があります。映画で、第二次大戦あたりのベルリンのキャバレーシーンで出てきそうな感じ。中にはナチスの将校の集団が一角にいたりします。

 

ウテ・レンパーの歌うリリー・マルレーン。リリー・マルレーンはマレーネの十八番ですね。

 

 

ウテ・レンパーの歌うヴァイルの歌を聴きながら、なんとなくニナ・ハーゲンを思い出しました。かなり過激な部類のパンク・ロックではありますが、なんとなくその底流にこういったヴァイルのイメージが被ってきますし、事実としてニナ・ハーゲンはブレヒトの生誕100年祭では、ヴァイルの歌を歌い、三文オペラにも出演しているようです。学生時代にニナ・ハーゲン来日と聴いて駆け付けたのですが、今にして思えば雰囲気が好きだったのですね。

 

ニナ・ハーゲンのスラバヤ・ジョニー(ヴァイルのミュージカル:「ハッピーエンド」のナンバー)

 

という訳で。いろいろ語りつくせないヴァイルではありますが、これからも思い出したように、聴いていくでしょう✨。

 

【録音について】

ウテ・レンパーの迫力のある声がよく捉えられています。

 

【まとめ】

クラシック以外の体験も含めていろいろ語りつくせぬところですが、ヴァイルも歌だけでなくいろいろ聴いてみたいな…と、ふと思ったりします。

 

購入:2023/12/08、鑑賞:2024/04/03

4月はブレンデルのシューベルトで ①

ピンポイントなお題ですが、少しだけご無沙汰なので、じっくり聴いてみようと思いました。私にとってブレンデルは、シューベルトのピアノ曲を初めて聴いた時のピアニストでした。高校の頃ですかね、あのD960(旧盤)を初めて聴いた時です。そういう意味でかなり思い入れがあるのも事実です。ゆっくり楽しんでみたいと思います(笑)。

【CDについて】

作曲:シューベルト

曲名:ピアノ・ソナタ第20番イ長調 D959 (36:57)

   ハンガリー風のメロディロ短調 D817 (3:24)

   16のドイツ舞曲集 D783 (11:03)

   アレグレットハ短調 D915 (4:19)

演奏:ブレンデル(p)

録音:1987年12月21-23日、ノイマルクト

CD:422 229-2(レーベル:PHILIPS)

 

【曲と演奏について】

シューベルトの後期ソナタ3曲のうちの一つ、D959をまず聴きました。この3曲は、ベートーヴェンの死後、そのピアノ・ソナタを受け継ぎ発展させた曲とも言われています。ブレンデルの演奏はさすが安定で、自然な流れで聴くことができます。巧みな音色の表現と、テンポやニュアンス。超越した技巧を持ちながら、いかにも…というような技巧やニュアンスが表面に出ず、そこから生まれてくる音楽の自然さは、品格のあるシューベルトという感じかもしれません。

 

第二楽章がこの曲のある意味お目当てでもあるのですが、素晴らしい抑制と情緒そして激情の交錯する音楽で、まさにシューベルトを満喫できる演奏でした。そして、フィナーレの第四楽章に入って長いロンドが展開し、第一楽章の音型が回想されてコーダに向かい、曲を閉じました。シューベルトを聴く楽しみを存分に味わう時間でした。

 

余白に3曲の小品が収録されています。D817の「ハンガリー風のメロディ」は同じ内容で連弾曲がありますね。ソロだとそこはかとない哀感が味わい深いです。D873のドイツ舞曲はすべて連続して演奏されています。次々と舞曲が展開し、併せて踊っていく雰囲気が目に浮かびます。連続して演奏すると、後半の短調の曲がいいアクセントです。最後はD915のアレグレットで、3曲のソナタの前年の小品。情緒豊かな曲で、このCDを締めくくるのにふさわしい雰囲気でした。

 

【録音に関して】

ピアノの音色が良く捉えられた、いい録音です。

 

【まとめ】

自然体にシューベルトを演奏して見せるブレンデルの奥深い味わいのCDでした。

 

購入:2024/02/05、鑑賞:2024/04/01

 

ブレンデルのいままでの記事をリンクしてみましょう。

 

 

 

 

 

【CDについて】
作曲:モーツァルト

曲名:ピアノ協奏曲第22番変ホ長調 K482 (34:50)

   ピアノ協奏曲第23番イ長調 K488 (26:22)

演奏:内田光子(p)、テイト指揮 イギリス室内管弦楽団

録音:1986年7月 ロンドン

CD:420 187-2(レーベル:PHILIPS)

 

【曲と演奏について】

モーツァルトのピアノ協奏曲の第22番と第23番はセットで作曲された曲。第20番と第21番もそうですが、あの2曲と比べると少し演奏機会は落ちるかもしれません。第22番と第23番だと、第22番の方が聴く機会が少ないと思います。一方で、第23番の第二楽章は、映画などでもいろいろと使われている、美しい曲ですね。

 

さて、内田光子とジェフリー・テイトのモーツァルトは、1980年代に大人気でしたが、実は今までそれほど聴いていなかったので、初心に戻って聴いてみます。まず第22番の序奏のテイトはちょっと堅い感じがしました。どうも古典派のがっちりした音楽だと、最近何か固く感じるというか、揃いすぎでは?と思ったりします。でも、内田光子のピアノがでてくるとそういった雰囲気は一掃され、流麗で輝かしい雰囲気に包まれます。適度な残響を伴って、煌めく音の世界でした。

 

テイトの演奏も以降は気にならず、寧ろロマンティックな雰囲気の伴奏になってくると、どんどん冴えてきました。その雰囲気が、第22番から第23番が終わるまでずっと続き、美しい音の世界に包まれるようなCDでした。モーツァルトと言えば、ハスキル、クラウス、ヘブラーと、女性ピアニストの伝統があると思いますが、内田光子も勿論その伝統を受け継ぐピアニストだと改めて思いました。

 

【録音について】

少し古くなったかもしれませんが、適度な残響を伴う、柔らかい録音だと思います。

 

【まとめ】

久しぶりに内田光子のピアノを聴いたような気がしますが、その音の世界に捉われてしまうと、また他の曲も聴いてみたいと思うのでした。

 

購入:2024/02/20、鑑賞:2024/03/31

ショスタコーヴィチの時代 ㊱

バレエ組曲は、1949年から1953年にかけて編曲され、その第1番から第3番までは、ショスタコーヴィチ自身の選曲により、アトヴミャーンが編曲したもの、第4番はアトヴミャーンによる編集とされています。元の曲は「明るい小川」がかなりの部分を占めています。

【CDについて①】

作曲:ショスタコーヴィチ

曲名:バレエ組曲第1番(アトヴミャーン編)(13:34)

   バレエ組曲第2番(アトヴミャーン編)(19:38)

   バレエ組曲第3番(アトヴミャーン編)(15:46)

演奏:N.ヤルヴィ指揮 スコティッシュ・ナショナル管弦楽団

録音:1988年4月22-26日 グラスゴー City Hall (No.1)、Henry Wood Hall (No.2,3)

CD:CHAN 8730(レーベル:Chandos)

 

【CDについて②】

作曲:ショスタコーヴィチ

曲名:交響曲第10番ホ短調op93(53:02)

   バレエ組曲第4番(アトヴミャーン編)(12:50)

演奏:N.ヤルヴィ指揮 スコティッシュ・ナショナル管弦楽団

録音:1988年5月12日 ダンディー Caild Hall

CD:CHAN 8630(レーベル:Chandos)

 

【曲と演奏について】

ジダーノフ批判の期間中は、ショスタコーヴィチは愛国的な合唱曲や映画音楽などを発表し、自らの欲求に基づいて作曲した純音楽的な作品は、完成しても封印されていました。そんな流れの中で、過去のバレエ音楽の中から選曲し、盟友のアドヴミャーンがコンサートでのオーケストラ演奏用に編曲したこれらの曲は、非常に理解しやすい大衆的なメロディで、耳障りの良い音楽なのでした。

 

という風に理解すると、大衆用の娯楽作品を用意したようにも見えますが、この選曲は歴史的に見て大いなる皮肉を含んでいるように感じられます。というのは、ショスタコーヴィチの主要なバレエ音楽と言えば、「黄金時代」「ボルト」「明るい小川」ですが、前2者が体制への強烈な皮肉を含んだ物語で、アヴァンギャルドな曲になっているのに対し、「明るい小川」は比較的平易なメロディで、ロシアの伝統に根差した、体制寄りの曲調とも捉えられなくもないですね。そんな中で、ここで選ばれた曲は半数以上が「明るい小川」からとられ、まさに「明るい小川」の再現になっています。

 

実際、「ボルト」の曲は「明るい小川」にも埋め込まれて使われたという事もあり、良く目立つ曲でもありますが、この組曲も「ボルト」が少しだけ埋め込まれています。そして、そんな「明るい小川」は、大粛清時代の生涯最悪の「プラウダ批判」の名目上の矢面に立った曲でもあります。そんな矛盾もはらむ歴史を「ジダーノフ批判」にぶつけていること自体が、ショスタコーヴィチの皮肉と思えます。そして、ショスタコーヴィチがこれを許されて、当時のソ連で一線を越えない範囲で活動している様子は、寧ろショスタコーヴィチにはこれが許される権威と環境をスターリン時代でも維持していたという風にも思ったりします。

 

曲の構成は以下の通りです

第1番

1.リリック・ワルツ(明るい小川)
2.ダンス(明るい小川)

3.ロマンス(明るい小川)

4.ポルカ(明るい小川)

5.ワルツ・スケルツォ(ボルト)
6.ギャロップ(明るい小川)
第2番
1.ワルツ(明るい小川)
2.アダージョ(明るい小川)

3.ポルカ(ジャズ組曲第1番)

4.感傷的ロマンス(司祭とその下男バルダの物語)

5.春のワルツ(ミチューリン)

6.フィナーレ(明るい小川)

第3番

1.ワルツ(人間喜劇)

2.ガヴォット(人間喜劇)

3.ダンス(明るい小川)
4.エレジー(人間喜劇)
5.ワルツ(明るい小川)
6.ギャロップ(明るい小川)

第4番
1.前奏曲・変奏曲(明るい小川)
2.ワルツ(団結(大いなる河の歌))
3.スケルツォ(ボルト)

 

見事に、「明るい小川」を中心にしてくみ上げられていますね(笑)。

 

さて、演奏はN.ヤルヴィで、この時期にショスタコーヴィチの管弦楽作品をたくさん録音しています。活動は前半はChandosで、後半がDGと別れています。当時は、ショスタコーヴィチの音源の貴重な供給源であったので、いくつか買い求めました。このCDもその中の物です。アトヴミャーンの編曲という事で、バレエ原曲よりは、より演奏効果をより表に出した感じがします。もともとの曲調自体が当時のポップスやジャズを取り入れたものがあるので、それに演奏効果が加わると、ボストン・ポップスなどが演奏しても十分に映える曲になっていますね。楽しいCDです。

 

このCDはおまけに、交響曲第10番がついています(オマケではない…?)。私は当時この演奏を気に入っていて、まだショスタコーヴィチの演奏と言えばソ連ものが中心だった時代に、こういった国際的な演奏スタイルで、ショスタコーヴィチの曲を思想や感情とは別のところで、純音楽的に見通して解釈した演奏がとても新鮮でした。当時繰り返し聴いた愛聴盤の1枚です。もちろん、今聴いても、高いレベルで通用する演奏だと思います。

 

購入:1993/10/06(CHAN 8730)、1993/10/11(CHAN 8630)年

鑑賞:2024/03/31(再聴)

 

リンクは、過去のショスタコーヴィチのバレエ音楽から

 

 

 

 

【CDについて】
作曲:グリンカ

曲名:七重奏曲変ホ長調(1823) (20:11)

   ドニゼッティの歌劇「アンナ・ボレーナ」の主題によるセレナード(1832) (20:05)

   ベッリーニの歌劇「夢遊病の女」の主題による華麗なるディヴェルティメント(1832) (13:17)

   大六重奏曲変ホ長調(1832) (25:00)

演奏:ロシア・ナショナル管弦楽団ソロイスツ・アンサンブル、プレトニョフ(p)

録音:1993年 モスクワ Studio5 of the Moscow Radio

   Grand Hall of the Moscow Conservatorie(大六重奏曲)

CD:OCD 529(レーベル:OLYMPIA)

 

【3月のお題:今日の初登場曲は?】

グリンカといえば、「ルスランとリュドミラ序曲」という感じですが、近代ロシア音楽の父といわれる作曲家。実際どんな音楽を作っていたのでしょう。活躍年代はロマン派初期の時代にあたり、メンデルスゾーンの一つ年上という時代です。ロシア国内よりもむしろ国外での滞在や研鑽が多いようで、若い時代はイタリア、後年はドイツというイメージですが交錯もしているようです。外遊好きということで、スペインにも滞在し民謡の採取にあたったとか。作品はロシア国内でも成功していたのですが、貴族層からの評価が芳しくなかったとのこと。それでは、久しぶりに聴いてみます。

 

【演奏について】

七重奏曲変ホ長調

編成は、オーボエ・ファゴット・ホルン・ヴァイオリン2・チェロ・コントラバス。ちょっと変わった編成で、低音がしっかりしそうですね。しかし曲調は明るく、イメージはモーツァルトの雰囲気にロマン派風味を加えた感じでした。伝統的な四楽章構成で、序奏からの第一楽章で始まり、緩徐楽章、メヌエット、ロンドと続きます。いかにも古典派という構成です。第二楽章はロシアの哀愁を感じるメロディが入っています。つまり、モーツァルトなどの古典派ベースにロマン派的なメロディ+ロシアメロディで飾った感じでしょうか。伝統的な音楽を聴き慣れていると、とても心地よい音楽です。

 

ドニゼッティの歌劇「アンナ・ボレーナ」の主題によるセレナード

次はイタリアオペラからの室内楽曲。編成はピアノ・ハープ・ファゴット・ホルン・ヴィオラ・チェロ・コントラバス。充実した低弦の上に、輝かしいメロディが乗る感じですね。さすがに、ピアノとハープの音で、キラキラ輝きます。グリンカがイタリアで過ごしたことが良く表れている曲だと思いました。題名からテーマを使った変奏曲を想像しますが、いろいろなテーマを組み合わせてセレナードにした曲ですので、オペラからの音楽の抜粋構成という感じかもしれません。その中で、ロシアっぽい雰囲気のメロディが顔をのぞかせたりするのも、グリンカの雰囲気だと思いました。

 

ベッリーニの歌劇「夢遊病の女」の主題による華麗なるディヴェルティメント

この曲も、前の曲と同様の雰囲気です。編成はピアノ・弦楽四重奏・コントラバスと、ちょっとオーソドックスな六重奏曲でした。こういうスタイルなので、ピアノが活躍し、ピアノと弦楽合奏の掛け合い的な雰囲気になります。曲の構成自体はドニゼッティと似ていると思います。

 

大六重奏曲変ホ長調

Grand Sextetということですが、25分なのでそれほど長くはないですね。編成もピアノ・弦楽四重奏・コントラバスなので、前の曲と同じです。急-緩-急の三楽章構成。明るくドラマティックな曲でした。グリンカはこの曲をイタリアのコモ湖畔で作曲し、さる若き既婚女性のピアニストに捧げるつもりだったようですが、彼女は名前が出ることを恐れ、友人を献呈先にしてもらったと言われています。特に第二楽章は弦楽合奏をベースにしたピアノ協奏曲のような性格を持ち、ことさら美しい緩徐楽章でした。これは、一度ライヴでも聴いてみたい曲だと思いました。

 

WDR交響楽団のメンバーによる演奏です。

 

グリンカの若き時代の室内楽曲が詰まっているCDで、この後イタリアからロシアに帰国し、ロシア民謡に取材した曲を作曲して、ロシア音楽の父となっていくことになります。西欧の曲を好んでいた貴族階級には受けませんでしたが、それは若き世代に受け継がれ、五人組へと発展していくのでした。演奏しているのはプレトニョフと彼の編成したロシア・ナショナル管弦楽団。それほど滔々と表情を強調するような演奏ではないと思いますが、安心して聴くことのできる演奏だと思います。

 

【録音について】

1993年の録音で、大変クリアな録音だと思います。

 

【まとめ】

グリンカのどちらかと言えば初期に属する室内楽作品を聴いてみました。イタリア風味の伝統的な形式のロマンティックな音楽に、ロシアの哀感がスパイスという曲なので美しくない訳がないですね。特に大六重奏曲は素晴らしい名曲だと思います。

 

購入:不明、鑑賞:2024/03/30(再聴)

【CDについて】
作曲:リムスキー=コルサコフ

曲名:交響組曲「シェエラザード」op35 (43:35)

演奏:マタチッチ指揮 フィルハーモニア管弦楽団

録音:1958年9月

CD:SAN-16(レーベル:EMI、企画:新星堂)

 

【3月のお題:今日の初登場曲は?】

3月も終わりになって、ネタ切れになってきました。何か気軽に聴けて、最近聴いていない曲はないかな…。と少々矛盾したことを考えていると、思いついたのはシェエラザード。これにしましょう。内容は勿論「千夜一夜物語」で、物語の語り手のシェエラザードを表す独奏ヴァイオリンの主題が全楽章で登場します。4つの楽章には、標題がつけられていますが、これは最終稿で取り去られたとのこと。しかし、意に反してLPにしろCDにしろ、標題はつけられたままですね。標題音楽的色彩が非常に濃いので、致し方ないのでしょう。

 

【演奏について】

この曲は、いつも真剣に聴いたことがなくて、雰囲気で聴いている感じなので、演奏の違いを意識したことが無いのですが、手元に5枚ほどCDがあったので、一番ネタになりそうなものにしました。新星堂の1000円CDです。奇しくも5枚とも50-60年代のもので、名盤と言われるコンドラシンとか持ってないです。あれは確か、クラシックを聴き始めた頃登場して、評判になった録音でしたが、指をくわえて見ていました(笑)。

 

マタチッチの演奏、冒頭はどっしりと始まって、そのあとの独奏ヴァイオリンがとても繊細に聴こえます。けっこう豪快に演奏していく感じですが、微妙なニュアンスがあるみたいで、ちょっとゴツゴツと感じます。気になるほどではないですが…。全体としては、曲自体が華麗な管弦楽曲なので、オーケストラがフル回転している感じです。さすがリムスキー=コルサコフだなぁと思いながら聴いていましたが、マタチッチらしさはそれほど色濃く出てきません。曲が曲だけに出にくいのでしょう。少しテンポがゴツゴツ感じたところくらいでしょうか。

 

そして、第四楽章に入ると怒涛の追い込みが始まります。これはなかなかのもので、オーケストラの各パートに拍車がかかります。迫力があって聴きどころでした。そして、静かに曲は終りました。そうですね、この曲聴いてしまえば、オーケストラの音とメロディの中にどっぷりと埋もれて、ひと時の楽しみを味わえるので、さすがによくできた華麗な曲だと、改めて思いました。この演奏は大味な所があるかも知れませんが、それがまた迫力を生み出しているので、楽しかったです。

 

【録音について】

1958年のEMIの録音という印象からすると、癖のない大変聴きやすい録音でした。大音量になると厳しい感じはしますが、音は柔らかめで適度に残響を伴っている感じです。

 

【まとめ】

今日は、ちょっと気軽な鑑賞でした。演奏効果抜群の曲で、オーケストラの名人芸を聴くにもいいかもしれません。

 

購入:不明、鑑賞:2024/03/29(再聴)

 

リムスキー=コルサコフの過去記事より

 

最近リリースされた新譜から ㉟

今週の新譜は、ナッシュ・アンサンブルによる、チャイコフスキーとコルンゴルドの弦楽六重奏曲の組み合わせのCDです。チャイコフスキーの方は、そこそこ録音も多いと思いますが、コルンゴルドは聴くのが初めてです。コルンゴルドは、ヴァイオリン協奏曲など、最近演奏機会も増えているようですね。

【CDについて】

作曲:チャイコフスキー
曲名:弦楽六重奏曲ニ短調「フィレンツェの思い出」op70 (34:37)
作曲:コルンゴルド

曲名:弦楽六重奏曲ニ長調 op10 (35:30)

演奏:ナッシュ・アンサンブル

録音:2023年1月9-11日 ロンドン St. Silas the Martyr

CD:CDA 68406(レーベル:Hyperion)

 

【3月のお題:今日の初登場曲は?】

チャイコフスキーの方は一度登場したことがありますので、初登場はコルンゴルドですね。神童と言われたコルンゴルドは1920年代にウィーンで絶頂期を迎えますが、1930年代後半になると、ナチスの迫害を逃れ、アメリカで亡命生活を送らざるを得なくなります。アメリカでは映画音楽作家としてハリウッドで活躍。オスカーを2度受賞するなど快進撃を続けますが、戦後ヨーロッパに戻ると、「映画に魂を売った下等な作曲家」ということで、ウィーンの楽壇から抹殺されてしまい、失意の元にアメリカに戻りましたが、すっかり忘れられた作曲家となってしまいました。そんなコルンゴルドですが、近年再評価されており、演奏機会が飛躍的に増えつつあるようです。この弦楽六重奏曲は、1916年に作曲された、初期の頭角を現し始めたころの作品で、ロゼー四重奏団によって初演されました。

 

【演奏について】

チャイコフスキー:弦楽六重奏曲

ナッシュ・アンサンブルは、イギリスのアンサンブルだし、以前聴いた時にはちょっと堅めでステディな演奏の印象があったので、チャイコフスキーでどんな演奏をするのかな?と期待半分、不安半分でプレイヤーにのせたのですが、出てきた音楽は印象が全然違いました(笑)。今までこの曲をよく聴いたのは、エマーソンSQ+2名や、ボロディンSQ+2名という形で、わりかし整然として調和のとれた音でしたが、これは違いました。各パートがどんどん自己主張して、全体がとても分厚く聞こえます。低弦の迫力に歌うヴァイオリンという感じで、かなりの迫力でした。細部が良く聴こえる上に、強弱やテンポにもたっぷりニュアンスがつけられていて、現代ではそういうのは珍しいのではないかと思ったほどでした。かなり攻めた演奏だと思います。チャイコフスキーの六重奏曲を堪能しました。まるで小交響曲のような雰囲気でした。

 

コルンゴルド:弦楽六重奏曲

さて、初めて聴くコルンゴルドの弦楽六重奏曲です。後期ロマン派風の雰囲気で、曲が始まります。この時期、弦楽六重奏曲としてはシェーンベルクの浄夜は既に作曲されていますが、それからは17年後のことになります。響きとしては似た雰囲気も持ち、20世紀の音楽の雰囲気も感じますが、明確な四楽章の構成ですので、オーソドックスな感じもします。特徴的な第一楽章が聴きごたえがあり、第二楽章は静かで甘美な緩徐楽章。舞曲風の雰囲気を持つ第三楽章、快活に進む第四楽章という構成。まさに20世紀的な雰囲気を持つ古典的な曲で、聴きやすい音楽でした。演奏も細部まではっきりとしたもので、じっくりこの曲を楽しめるものだったと思いました。

 

【録音について】

なかなか迫力のある録音で、解像度がいいと思います。音量も自然で大きいです。

 

【まとめ】

ナッシュ・アンサンブルの新しいCDで、興味深い選曲のCD。演奏機会はそれほどは多くないと思いますので、力強くディテールもはっきりした貴重な録音ではないかと思いました。

 

購入:2024/03/16、鑑賞:2024/03/26