奥田英朗『サウスバウンド』
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- 奥田 英朗
- サウス・バウンド
お勧め度:★★★★☆
最近、ギャグ小説を書く新人作家がとんと少なくなりまして、お笑い好きの私としてはしみじみとおもしろ悲しい日々を送っているのですが、そんな中でギャグ小説をコンスタントに出しているのが奥田英朗氏です。
『サウスバウンド』は作者の2年ぶりの長編小説であり、単行本化にあたって大幅に加筆修正がなされるなど、読み応え十分の出来であります。
主人公は中野区の小学6年生、上原二郎。もうすぐ12歳。
父親は元過激派のアナーキストです。
区役所の職員が国民年金の督促に来ても、追い返します。
「体制に雇われたイヌなどと話す用意はない。おれは官が虫より嫌いなんだ」
と素晴らしい事をのたまうパパンです。
パパンは資本主義を否定しているので、当然働きません。毎日家でごろごろしています。
ときどき二郎にプロレス技を仕掛けたりします。二郎はそんな父親が大嫌いです。
でも、そんな事情とはお構いなしに、二郎は小学6年生としての生活を送らなくてはなりません。
女の子に誕生日会に呼ばれたり女湯をのぞいたり学習院の坊ちゃんとの間に軋轢を感じたり怖い中学生にタカられたりその中学生をタコ殴りにしたりします。
第一部では、二郎の東京での物質文明にまみれた生活ぶりが、二郎を中心とした人間関係を主軸に描かれ、
第二部では、一家が沖縄にバックレて、様々な人と出会ったり、父親が東京にいたときとは人が変わったように活躍するのを見て、二郎が全く新しい価値観に触れて成長する様子が描かれています。
この作品が優れているのは、「子供を子ども扱いしていない」という点にあります。
子供には子供の社会があり、その中で大いに問題を抱え、悩み苦しむ。
そういった世界観が、精緻に描写されています。特に、二郎が不良にカラまれるシーンは相当こたえました。
不良といっても中学1年なんですけど(当方21歳)。
あと、この作品の冒頭には中野ブロードウェイ 、通称中野まんだらけが出てくるんですね。
私もここは服を買ったり、古本を買ったりとよく利用しています。下町の現代っ子の様子がたくみに描かれた、いいシーンだと思います。
スケールの大きい、爽快な小説がお好きな方はどうぞ。
オーケンを勝手に好きになっちゃった会・編著『大槻ケンヂの謎』
画・森園みるく
お勧め度:★★★★☆
のっけから失礼した。多分許してもらえないだろうが、一応謝っておく。
さて、十数年前、謎本とか秘密本とか呼ばれる書籍がブームになったことがあった。漫画やアニメの設定を考証したり、研究したりする非公式ガイドブックのようなもので、中には相当ひどい内容のものも混じっていた記憶がある。
特に、『幽遊白書の秘密
』は糞だった。国家予算ぐらい自分で調べたらどうだ。
最近でもこういった秘密本
が出版されるなど、この手のバカ本には事欠かないらしい。
さて、大槻ケンヂといえば、皆さんもご存知のとおり、元筋肉少女帯、現在は特撮というバンドに所属する
ミュージシャンである。そのほか、タレントとして活躍したり、SF作家の登竜門、星雲賞を受賞するなど、
多彩な才能を発揮している。
まあ、こーいうバカな本が出版されるという事からしても、当時の秘密本ブームをうかがい知る事が出来るだろう。そういった有象無象の書籍の中でも、特に私の心をとらえて放さないのがこの『大槻ケンヂの謎』なのである。
何がすごいってこの本、肝心のオーケンに関する記述がほとんど無いのだ。
各界の識者がコメントを寄せる、という形式らしいのだが、オーケンの話題に触れているのは最初の2,3行だけで、後は全部ギャグ会話のオンパレードになっている。おそらく著者はスネークマンショーとかを聴いて
育った世代なのではと思われる。
誌面を飾る面子も豪華だ。
女子高生、電波女、TOKYO市警の刑事、オナニーマスター、
アントニオ○木、森鴎外、太宰治、三島由紀夫、
インド人、宇宙人、猿
など、タレントぞろいである。
猿のコメントがすごい。
「ウキー、モキキウキモキキー(以下略)」
などと奇声を発しているばかりで、何を言っているのかさっぱり分からない。
読み進めていくと分かるが、これは謎本などではなく、小説なのである。高橋源一郎が別の筆名で書いたといわれても違和感がないくらいだ。
おそらく、オーケンの音楽など聴いた事もないおっさんがあほな企画を受注してしまって、趣味に走った記事を書いたらこうなってしまった、というくらいのものなのだろう。
バカ本好きなら是非コレクションしておきたい1冊。
BOOK OFFで100円で売っていたら即買うことをお勧めします。
筒井康隆『虚航船団』
筒井 康隆
虚航船団 (新潮文庫)
お勧め度:★★★★☆
筒井康隆の作品には、「虚人たち」「敵」など、小説の虚構性を利用した傑作がいくつもありますが、
これもその一つです。
作品の内容としては、
宇宙船の乗組員たる文房具たちが、少しずつ狂気に蝕まれていく第一部、
辺境の惑星クォールの、イタチ族の千年紀を追う第二部、
そしてクォールに侵攻する文房具どもとイタチ族の抗争を描く第三部、
という風になっております。
特に、第二部は世界史の上質なパロディーになっておりまして、これだけでも一見の価値がある。
また、キャッチ22
もマッツァオなモンタージュ技法を駆使して、狂気に蝕まれた文房具どもの意識を重層的に描く第三部などは、まさしく「神話」と呼べましょう。
余談ですが、第二部のまんなから辺に「ジョジョ」というキャラクターが出てまいりまして、「若さと美貌を武器に、いろいろな王族の間を渡り歩いて妻の座に居座るオコジョ」という役回りなわけです。
まさか荒木大先生はこの本を見てジョジョを連載したんじゃないだろうな……。
そんなわけはないですが、知的な笑いが欲しい人は是非どうぞ。
帰ってきた天才
- 久米田 康治
- さよなら絶望先生 1 (1)
お勧め度:★★★★★
週刊少年マガジンにて連載されている『さよなら絶望先生』。
待望の第1巻が発売されました。
よく考えてみれば、私はこの漫画を読むためだけにマガジンを買っているようなものです。
作者の久米田康治は週刊少年サンデーで98年~04年まで連載されていた『かってに改蔵』で名を馳せた人物。同作品は、世の中の様々な現象にツッコミを入れる毒舌漫才のような作品でして、オタク層を中心に人気がありました。
「まんが道はどこにあるのですか!?」
「他人と自分の温度差感じたことありますか?」
といったかゆい所に手がとどくテーマが好きでした。
そんな久米田がなぜかマガジンに移籍して始めたのがこの連載。
人生に絶望した新任教師がクラスの問題児を食っていく(違う)という内容のギャグ漫画です。
まだ始まったばかりで、この先どうなるのかよく分かりませんが、
ゆっくり見守って生きたいと思います。
秋葉原のオタク向けショップで観察すると、なかなかよくはけているようであります。
あまり売れずに打ち切りになることのないよう、祈念の意味も込めて2冊買ってしまいました。
財布が苦しい。
本好きの諸兄であれば、ぐっと来る内容だと思います。
かってね、改蔵。
タデ食う虫もライクライク
シェークスピア『ヴェニスの商人』読了。
ヴェニスの商人 福田恒存訳(新潮文庫)
お勧め度:★★★☆☆
よく、シャイロックよりも金を返さなかったアントニーオの
方が悪い奴なんでないかい、という議論を聞くが、
そういう話は昔からあったんだと。
詩人のハイネ(ユダヤ人)なんかも、
そんな主張をしていたらしい。
ふーん。
スキャナー作戦2
PS2のゲームソフト、ドラゴンボールZ Sparking!
に餃子が参戦するらしいので、記念に彼を取り込んでみましょう。
スキャンした後、明るさを調節するといらない線が消えて作業が多少楽になる。
縮小すると、まだ汚い線が残ってしまうので、改善する必要がある。
黄昏の精神
今日は秋葉原でペンタブを買いに行くつもりが、なぜかスキャナーを買ってきてしまった。
だめじゃん。
ペンタブはまた今度買おうと思う。
ワコムのFAVOという機種が15000ぐらいで売っていたので、それにしようと思う。
あと、アソビットでピッコロさんのフィギュアを買う。超戦士大全というシリーズ。可動式でかっこいい。
ヤムチャ、クリリン、天津飯のフィギュアも出たら欲しい。