私の耳は底ぢから -29ページ目

良い子悪い子フリーの子

バンバンババンバ~~


明日から学校だ~~


明後日も学校~~~


ラララそして~~~~


君はマネ~ジャァ~


By 花中島マサル

故意のダイヤル007

荒木飛呂彦『魔少年ビーティー』『バオー来訪者 1~2巻』読了。


今日は学校の課題を終わらせるため、自動車学校の教習を

キャンセルする。運転が糞下手なので、免許取れるか不安。

有栖川有栖『作家小説』

有栖川 有栖
作家小説

お勧め度:★★★★★


ライトな本格ミステリを得意とする有栖川有栖の、

「作家」をテーマにした連作短編集。


作家というのは不思議な商売だ。

ほとんど収入がなくても、仕事がなくても、先生と

呼ばれて、偉そうにしていられる。重労働をしなく

ても、高収入を得られる。人のアイデアをパクれば

立派な作品になる。ろくに本を読んでいない奴でも

作家になりたがる。


そんな作家の魅力に迫ったのがこの短編集。

全体的にはコミカルな作品が多いが、ここに収めら

れた8編の挿話にはどれも、作家の苦悩とか、粉飾

とか、狂気とかいったものがこめられていて、心の深

いところにある何かをうがつ。


うだつのあがらない作家が、担当編集者の用意した

「ライティング・マシーン」によって、一躍人気作家に

なる「書く機械」。


締め切りに追われた作家が、本格トリックを考えよう

としてくだらないアイデアをあーでもないこーでもない

とひねくりだす「締切二日前」。


売れない作家が、初めて開いたサイン会での受難を

描く「サイン会の憂鬱」。


作家漫才師による気楽なおしゃべり「作家漫才」。


中でも、私が感銘を受けたのが「気骨先生」だ。

高校生二人が、地元の小説家にインタヴューをして

心の交流を深めていく、という内容。

ここで作者は「出版不況」の問題に触れている。

今は本がどんどん売れなくなっていく時代だ、なの

に業界はどんどん新刊書を出し続けている。再販

制度と委託販売制度によって、出版界はいつ崩壊

してもおかしくない……。

「それでも君は作家になりたいのかね」

老いた作家は問う。少年は

「はい」

と答える。爽やかな読後感があり、やはり本が好き

な人間は、いつの時代にもいるのだなあという希望

を持たせてくれる一編である。

跳んでいく牛若丸はモー

あずまんがの単行本全巻が見当たらない。捨て

たはずはないんだが、どこにやったのかしらんと

探していたら、弟の部屋にあった。あずまんが

だけじゃなく、よつばと とかスクールランブル とか

伊賀ずきん などのコレクションが弟の本棚に増

えていた。なんか複雑な気分。

荒木飛呂彦『死刑執行中脱獄進行中』

荒木 飛呂彦
死刑執行中脱獄進行中―荒木飛呂彦短編集

お勧め度:★★☆☆☆

(ジョジョオタのみ★5つ)


ジャンプ漫画「ジョジョの奇妙な冒険」であまりに

も有名な荒木飛呂彦の、2冊目の短編集。

ジョジョという漫画は、好きな人と嫌いな人にはっ

きり分かれ、「絵がキモくて受け入れられない」と

いう人が多いようだ。確かに、細部まで書き込まれ

た背景、登場人物のホモみたいな服装や顔立ち、

作中の端々に登場するありえないファイティング

ポーズ(通称ジョジョ立ち )などが頻発する作風

は、読む人を選ぶだろう。しかし、熱い能力バトル、

小粋なギャグ、山田風太郎、ドラえもん、筒井康

隆など様々な作品をパク……オマージュした世界

観などが支持され、島流し にあいながらも続編の

連載が現在まで連綿と続いている。

さて、そんな荒木氏の短編集だ。帯の煽りが「荒木

飛呂彦の世界ィィイイイイ! 」となっているのが笑わ

せる。

この作品集は、

「死刑執行中脱獄進行中」

「ドルチ」

「岸辺露伴は動かない」

「デッドマンズQ」

という4つの短編から成っている。

表題作「死刑執行中脱獄進行中」は、死刑を宣告

された犯罪者がじわじわ処刑されていく話。白眉

である。

「ドルチ」は遭難した船の上で、猫と飼い主が死闘

を繰り広げる話。漱石枕流である。

「岸辺露伴は動かない」は、ジョジョに登場する人気

キャラクター、岸部露伴のスピンオフ作品。

だが断る

漫画家の露伴がイタリアに取材旅行に行き、教会の

懺悔室で怨霊に取り付かれた男の話を聞く……という

サイコホラーだ。この漫画の中で露伴はストーリーテ

ラー、つまり世にも奇妙な物語のタモさんの位置にいる。

私は露伴が悪人をネチネチと追い詰めていくような話

を期待していたので、正直拍子抜けした。話自体も地味

な感じだし。


「デッドマンズQ」

これまたジョジョの人気キャラクター、吉良吉影のスピン

オフ作品。本編であっけない最期を遂げた悪人、吉良吉

影の死後の世界を重厚に描く。

前世の記憶を失った吉良は、天国にも地獄にも行かずに

現世でぶらぶらしている。ときどき依頼を受けて、厄介な

人間を殺しにいったりする。

この作品の中では、例えば他人の家に入るときも、いちい

ち住人の許可を得なければいけないなど、幽霊といえども

いろいろな制約があるという設定になっているのが面白い。


以上、悪くない短編集だが、これで定価1200円はちょっと

高すぎるよ。私は古本で買ったんだが。装丁も無駄に豪華

だし。

又吉イエス『再臨のキリスト、唯一神又吉イエスは日本・世界をどうするか、どのようにするか』

唯一神又吉光雄イエスキリスト
再臨のキリスト、唯一神又吉イエスは日本・世界をどうするか、どのようにするか

お勧め度:★★☆☆☆


ネットユーザーならご存知の方も多いと思うが、

最近の国政選挙に立候補している泡沫候補に

又吉イエスという人物がいる。

自らを「唯一神」と名乗り、「腹を切って死ぬべき

地獄の火の中に投げ込む」といった冗談きつい

発言などのパフォーマンスが注目されているよう

だが、個人的には金のかかる現行の選挙制や、

諸派・無所属の候補があまり注目されない点を

見直すきっかけになるという意味で、意義のある

候補だと思う。

そんな彼が自らの政治理念を著した書物が、この

再臨のキリスト、唯一神又吉イエスは日本・世界

をどうするか、どのようにするか』だ。題名が長い。

彼の本名が「唯一神又吉光雄イエスキリスト」とい

うことなので(Amazonにはそう登録されている)、

全部あわせるとブログのタイトル欄に入りきらない。

奥付を見ると2003年5月31日発行、那覇出版社

印刷となっている。沖縄の地方選挙から国政選挙

に切り替える時期のドサクサに執筆されたものと

思われる。

さて、どんな電波なことが書かれているのだろうと、

半分敵情視察、半分ネタのつもりで本著を買ったの

だが、意外にまともな事が書かれているので驚いた。

例えば、ボランティアについて彼はこう述べている。

【37】ボランティアについて

 社会の至らない所・不足している所にボランティア

活動をする。それが良いこと正しいことであっても、

それをもって他にやることがないような、良しとする

ような人生になってはいけない。ボランティアは個人

的発意であり、現在的部分的不足は補うことはでき

ても、絶対的・全体的不足を補うことはできないから

である。(後略)

なかなかうがった意見ではないか。ビートたけし辺り

が使いそうな。彼が単なる電波人間なら、このような

発言はできないだろう。

とまあ、一応褒めておいて言うのだが、この本にも、

論旨のおかしな部分・腑に落ちない部分は沢山ある。

この本は全部で50個の項目から成っており、政治・

経済・国際・産業などの社会的話題から、スポーツ・

芸術・同性愛・暴走行為規制などの風俗的話題まで、

様々な問題について言及している。その論旨を要約

すると、「利益至上主義経済と民主主義によって

現代社会は殆ど破綻しており、それが悲惨な

社会状況を生み出している」ということだそうだ。

個人的な意見はともかく、そういう言い方はできると

思う。ここまでは論旨としては間違っていない。

実際、上で取り上げているような問題に対して、又吉

氏は大変筋の通った意見を述べている。しかし、彼は

その結論として、「これらの問題は人間の力では解決

できない。それらを制することが出来るのは唯一神又

吉イエスのみであり、だから全人類は世界経済共同

体党(又吉氏が代表を勤める政治団体)に入党する

必要がある」と説くので、そういう部分が腑に落ちない

のだ。

「なぜ、あなたにそんな権限があるのか」と問えば、

「私が唯一神だからだ」としか書かれていない。

それがどうやったら世界経済共同体党に入れという

理屈になるんだという事も、一切書かれていない。

その「だから」の部分を説明するのが一番肝心でしょ

うに。これは、政治政策を書いた本としては致命的な

問題ではないか。

私の感想をまとめると、語っている内容は途中までは

筋が通っているのだが、結論が全部「だから、世界経

済共同体党に入りなさい」とシメられているので、論旨

が浮きまくってよく分からない、ということです。

私のような愚民でも理解できるように、今度は中央で

本を出してほしい。何回かの国政選挙を経ているので、

もう少し噛み砕いた内容が書けるのではないか。選挙

活動の様子を綴った手記でもいいが。どこか、度胸の

ある出版社はないだろうか。

いづれにしろ、今後も注目をしていきたい人物の一人

ではある。

関連リンク

又吉イエス非公式サイト


世界経済共同体党公式ホームページ


「人生なんてウンコみたいなもんだよ」

享年二十歳さんのブログ。

又吉氏について少し言及しています。

今週の絶望先生

2005年43号

第22話「きもすぎて悲しみの市」



糸色家の執事、ギャリソン時田。使命のためならイベントにも潜入します。

あとマガジン作品には珍しく、ジョジョネタがあった。

田中啓文『蹴りたい田中』

田中 啓文
蹴りたい田中

お勧め度:★★★★★


題名からしてアレな空気が漂っているが、

実はそのとおりのアレな作品である。

なんかサイバーパンクSFとかいうジャンルらしいのだが、

正直その方面に詳しくないので良くわからない。

この短編集を読む限りでは、悪趣味とエログロと駄洒落

ベースにした、何でもありのドタバタSF、という事が言えそうだ。

この作品は、第130回茶川賞を受賞した直後に謎の失踪を

遂げた田中啓文の、幼少期から近年までの単行本未収録作品を集めた

遺稿集である、という仕組みになっている。

それを裏付ける、筆者の小学生のときの写真などの

仕込みのページなどはかなりイカしている。

その短編の中から、今日は「トリフィドの日」を皆さんにご紹介したい。

もちろん、ウィンダムの名作、「トリフィド時代 」のパロディーである。

知らない人に説明すると、ある日突然、視力を失ってしまった人類に、

トリフィドという食虫植物が襲い掛かるという作品である。

こういうとB級映画のようだが、面白いんです。


さて、「トリフィドの日」の主人公の名前はホシ、しかも製薬会社の若旦那とくれば、

本好きの人間なら思い浮かべるモデルは一人しかいないだろう。

そう、それでいいんです。ある日、彼の研究していた西洋松露、いわゆるトリュフが

捨て台詞を吐き、どこかに逃げてしまう。その直後から、街には巨大化したキノコが

むくむくと溢れ、人々は大騒ぎとなる。ホシと部下たちはおろおろする。

そんなところに、謎のエージェント、ダン・エイクロ・イド、アキラ、春日三級の

三人がやってくる。


そんな筋書きである。物語後半で一気に明かされるしゃべるトリュフ誕生の謎、

キノコ殲滅のための恐るべき作戦、そして駄洒落駄洒落のオンパレード。

こんなに妙な話を、駄洒落一つで乗り切ったのはすごいの一言である。

最後の最後まで伏線が巡らされており、ラストの衝撃は

シベリア超特急2 を上回るほど。


その他、表題作の「蹴りたい田中」は大和魂を燃料にして

軍艦を動かそうとする旧日本軍の話、

「赤い家」は蚊が主人公のサスペンスである。

しょーもない話がお好きな人はどうぞ。

ハードロックじじい

地元の本屋にてムックのフェアをやっており、

河出夢ムックの中島らも特集を見つけたので、買った。


おお、日広エージェンシーの社長のインタビューが載ってる、とか

舎弟の大槻ケンヂや松尾貴史が寄稿してる、とか

そういや「啓蒙かまぼこ新聞」の単行本は

村上春樹が解説していたんだっけ、以前図書館で読んだぞ、とか


まだ全部は読んでいないが、結構楽しんでいる。



中島らも

さくらももこ『神のちから』

さくら ももこ

神のちから

お勧め度:★★★★☆


今や『ちびまる子ちゃん』によって万人に知られている

さくらももこが初期に出した短編集。
さくらももこといえば、ちびまる子のほかにも

もものかんづめ」などの軽妙なエッセイも面白いが、
これはそれらの作品とは打って変わってひたすら

バカ、不条理、トンデモ

の世界である。


「永遠なる物」を手に入れた男が、永遠に朝食の時間を

ループし続ける「えいえんなるじんせい」。

万国ビックリショーをかじりついて鑑賞する

4人家族の様子を描いた「びっくりさんにむちゅう」。

まんじゅう屋の源さんとセキセイインコが次第に入れ替わる

ホラー漫画「のっとられたげんさん」。

青森から上京したイタコが商事会社に入社し、

課長と不倫して結婚するまでを描いた「あたらしいじんせい」。

中年の男性2人が全くかみ合わない話を延々と続ける

それていくかいわ」。

バカ、バカ、バカのオンパレードである。


やはりさくらももこは、こういった精神のささくれた部分に

ピンポイントでバシバシヒットを連発するような作業が

大変うまい。


『コジコジ』のキャラクター、ドーデスやハレハレ君

の原型らしきものが登場しているのも興味深い。
すごいよ!!マサルさん 」が好きな人は是非。



関連作品




さくら ももこ
永沢君

お勧め度:★★★★☆


いわゆるスピンオフ作品。

永沢、卑怯の藤木、愚鈍の小杉が送る

ぐだぐだした青春の日々をリアルに描く。

修学旅行編とかバカ過ぎ。




さくら ももこ
神のちからっ子新聞 (1)

お勧め度:★★★☆☆


架空の雑誌、「スピリッツボンバーコミックス」

からフューチャーされた新聞。

作者の最近のエッセイはマンネリ気味なので、

こういった企画がもっと増えればよいのだが。