1981年のアルバム(その28 Fair Warning / Van Halen)
1981年のアルバム・シリーズ
続いて全米アルバム・チャート最高位 No.5のアルバムということで・・・
先ず登場するのが・・・
Van Halen
'80年代に入り、シングル・ヒットと言える曲が乏しくなったため・・・
Van Halenファン、もしくはギター・フリークからは、カリスマ的存在であるものの
一般の音楽ファン等からは、やや印象が薄くなっていた・・・
そんな感じもしなくもなかった彼らですが、アルバムは1年に1枚
コンスタントにリリースしていて、そんな1981年に登場した4枚目のアルバムは・・・
Fair Warning
これが早くもファンからは大絶賛
間違いなく Van Halenの最高傑作、そのように言われ始めていました。
邦題はなんと「戒厳令」
日本でも人気ロック・バンドだけにすぐに発売されました。
先ず目を引いたのが、アルバム・ジャケット、これは誰かの絵画作品
実は、カナダの画家William Kurelekの作品 The Mazeを引用したもので・・・
カバー・デザインは、Pete Angelus、アート・ディレクションは、Richard Seireeni
内ジャケット等写真撮影は、Greg Corman、Neil Zlozowerとなっています。
レコーディングは、1981年3月~4月、ロスアンゼルス Sunset Soundにて・・・
Van Halenメンバーは・・・
David Lee Rothリード・ヴォーカル
Eddie Van Halenギター、シンセサイザー、バッキング・ヴォーカル
Michael Anthonyベース、バッキング・ヴォーカル
Alex Van Halenドラムス
エンジニアリングは、Don Landee
セカンド・エンジニアリングは、Gene Meros
プロダクション・コーディネーターは、Joan Vallejo
プロデュースは、勿論、Ted Templemanです。
全曲、Van Halenメンバー4人の作品です。
A面1曲目、エフェクターをかけた速弾きのギター・ソロがフェイドイン・・・
Mean Street、ハードなギターのフレーズに、ドラムスがパワフルに
そしてあのDave(David Lee Roth)の力強い唯一無二の歌声
バックアップするEddieとMichaelのコーラス、そして・・・
神技とも言えるEddieのソロ、これぞVan Halenといったナンバー
全米メイン・ストリーム・ロック No.12となっています。・・・
2曲目、Alexがビートを刻み、ベース、そしてギターと入ってきて・・・
Dirty Movies、やや長めのイントロの後、Daveが語るように歌い始め・・・
映画を撮っているストーリーで、ミディアム・テンポのロック・ナンバー
"Pictures On The Silver Screen, Greatest Thing You've Ever Seen~"
サビのコーラス部分は、リフレイン、Eddieのソロもフィーチャーされます。
3曲目、スピーディーなイントロ、それに合わせてDaveが歌う・・・
Sinner's Swing、メンバーのコーラスもDaveのスピードに合わせます。
そして、Eddieの速弾きのソロも少し、シンプルで盛り上がるナンバーです。
4曲目、静かなギターのピッキング、ドラムスが入って来て一転
Hear About It Later、シンプルなビートで軽快に歌うDave
"I Don't Wanna Hear About It Later~"と・・・
Rolling StonesのLet's Spend The Night Togetherを思わせるコーラス
途中、テンポがスローに、そしてEddieのソロの独壇場
最後の方は、Daveが盛り上げ、パワフルにエンディングとなります。・・・
B面1曲目、勢いよくギターがフレーズを奏でるイントロ、盛り上がって来て・・・
Unchained、パワフルに歌うDave、メンバーのコーラスも入り・・・
終始、ノっているナンバー、そしてそこへEddieのギター
途中、語るようにDave、最後は再びギター中心にエンディング
全米メイン・ストリーム・ロック No.13、アルバム中、最もキャッチーなナンバー
日本で、シングル発売、また1998年の日本公演、ヴォーカルはGary Cheroneでしたが、この曲がオープニングで印象的でした。
2曲目、ドラムスとベースによるイントロに、ギターが静かに加わって・・・
Push Comes To Shove、Daveの歌が入る辺りから、レゲエ風のリズムに・・・
Eddieは軽快なギター・カッティング、そしてタイトな音でのギター・ソロ
全米メイン・ストリーム・ロック No.29、歌も入り、フェイドアウトしていきます。
3曲目、ドラムスとベースでシャッフル調のリズム・・・
So This Is Love?、語るように歌うDave、軽いタッチのEddieのギター
ややリラックスしたムードで、ポップに聴かせますが・・・
途中、ベースに合わせて、タイトな音のEddieのソロも入ります。・・・
アルバムから第1弾シングルで、全米No.110、全米メイン・ストリーム・ロック No.15、カナダ No.20、最後はEddieのギターでキメています。
4曲目、エフェクターをかけたギター音がフェイドイン、ドラムスに合わせて・・・
Sunday Afternoon In The Park、実験的なインストゥルメンタル・ナンバー
邦題は短縮で「サンディ・アフタヌーン」、そこから一転、5曲目は・・・
One Foot Out The Door、ドラムスがシンプルに力強く・・・
早口気味にパワフルに歌うDave、そして後半、やはりEddie
シンプルなバックで、速弾きのソロ、そしてフェイドアウトしていきます。
邦題は「一歩踏み出せ」となっています。
前述の通り、全米アルバム・チャート最高位 No.5
全米でダブル・プラチナ・ディスク獲得
1981年の全米年間アルバム・チャート No.71
カナダ No.11、プラチナ・ディスク獲得
その他、オーストラリア No.97、オランダ No.13、西ドイツ No.37、ノルウェー No.27、スウェーデン No.18、そして全英 No.49・・・
全米アルバム・チャート上では、それまでの最高ランクとなっていますが・・・
売り上げ枚数では、300万枚に届かず、それまでで1番低い数値となっています。
Eddie Van Halenと言えば、「ライトハンド奏法」
今回はそれだけでなく、あらゆるギター・テクニックを駆使
まさに、オールマイティなギター奏者であることをした作品になっていて・・・
特にギター関係者にとっては、前述の通り、(この時点での)最高傑作
そのように大絶賛を浴びていたのでした。・・・
但し、Van Halenというのは、決してEddieのギター・テクニックだけをフィーチャーしたバンドではなく・・・
超個性的なDaveをはじめとして、ノリノリのロックをプレイ、ファンを楽しませる
そのようなバンドである・・・そう思います。
そのためにも、先ずは万人にも親しまれるようなヒット曲が欲しい
今回、So This Is Love?にしても、Unchainedにしてもヒットしたとは言い難く・・・
この辺りの時期のVan Halenの課題はその方向に行ったのでは・・・
そう思っている次第です。