はじめに

先週末はプライベートが忙しく(ただの遊びです、はい。。。)投稿できませんでした。

気を取り直して、頑張って更新していきます。

 

今回の投稿はtranslingalについて。

放課後の特別学習の時間の準備のために大学時代に使っていた教科書を開いたら、「これtranslanguagingじゃん!」と思える面白い情報が載っていたので、そのことを簡単にまとめます。

 

  translanguagingの例:Singlishから

Singlishとは、Singaporeで話されている英語のことです。このような名前がある時点で、Singaporeの英語には市民権があるということを表していますね。(一方で、正統なEnglishではないという含意もありますが)。

 

大学時代に使っていた教科書 (本名 & 竹下, 2019/2014)によると、Singlishの特徴は以下のようです。

  • 言葉の繰り返し
  • 簡略化
  • 発話の最後にlah (日本語の「〜ね」のような感じ)
 
「言葉の繰り返し」「簡略化」は、語用論的translanguagingなのかもしれませんね(このことについては一度教授と話したことがありますが、まだちょっと私自身の理解が追いついていないです)。
そして、「lahを英文の最後に入れる」のはわかりやすいtranslanguagingの一例ですね。日本語の「〜ね」を英語の最後に入れるようなものなのですが、実際にALTがこれをしているのを僕は見たことがあります。英語母語話者が「You like basketball ね?」のようによくいっていて、「なんと面白いtranslanguagingなんだ!」といつも感動しながら聞いています笑
 
また、本名・竹下 (2009/2014)では、他にも興味深いSinglishのtranslanguagingの例が紹介されています。
それによると、 Singlishでは以下のような例が見られるようです。
("standard") English: Let's buy something to eat. 
 
Singlish: Ei, let's buy something to makan. (makanはマレー語でeatの意味)
いかがでしょうか?さすがにSingaporeの人がeatという単語を知らない、使いこなせないわけはないと思うので、何か意図的な(もしくは習慣的な)translanguagingだと思われます。
 
Singaporeというと英語を共通語として普段から使っているイメージのある国ですが、このようにtranslanguagingが普通に行われているのですね!

 

  Singlish反対運動?

実は僕自身、Singaporeにいったことがあるのですが、そこで見た興味深い看板について紹介したいと思います。

 

 

「つながろう。良い英語を話そう」

 

いかにも僕のこのブログでは気に入られなさそうなフレーズですね。笑

気になって調べてみたのですが、政府主導のSpeak Good English Movementという運動があるようで、HPによると以下のような意図があるようです。

 

The role of the Speak Good English Movement is to encourage Singaporeans to speak and write standard English and provide resources to learners who wish to improve their English.

The Speak Good English Movement recognises the existence of Singlish as a cultural marker for many Singaporeans.

We aim to help those who speak only Singlish, and those who think Singlish is English, to speak standard English.

It is important to understand the differences between standard English, broken English and Singlish.

 

要約すると、

  • Singlishしか知らないシンガポール人に、標準英語を話したり書いたりすることを促し、英語を上達させたい学習者にリソースを与える運動
  • Singlishの存在は文化的標識として認めている
  • 重要なのは、標準英語、ブロークンイングリッシュ、そしてSinglishの違いを理解すること
なるほど、何がなんでも標準英語を推し進める活動ではないようですね(安心?)。
でも詳しい事は調べていないので、どんな「裏」があるかはわかりません(沖縄の「罰札制度」のように)。
 
いずれにせよ、政府主導で国民のことばの自由を制限するかのような活動は、無条件に受け入れて良いものではないと思います。

 

  おわりに

いかがだったでしょうか?

 

英語を使っているイメージの強いSingaporeですが、translanguagingは日常的に行われているようです。

また、シンガポール政府がそういったSinglishの存在を認めつつも警戒しているということもおわかりいただけたと思います。

 

色々と考えることがありますが、ひとついえるのは、

「ことばはただの意味と形のセットではなく、社会文化的側面を含んでいるもの」だということです。

 

またこの大学時代の教科書を読み進めて、新しい(再)発見をいていきたいと思います^ ^

 

 

参考文献

Honna, N. & Takeshita, Y. (2009/2014). Understanding Asia. Cengage Learning.