(1)外国人労働者に、特例法で、最低賃金を2割増し等に規定する。
(2)受入仲介機関を複数から選べる、入国後でも変更できるようにする。
(3)受入企業に、マッチング・システムを作り、「転職」できるようにする。
(4)都道府県に、就労・苦情相談、案内(インフォメーション)窓口設置を義務付ける。
(5)補足:外国人労働者をめぐる課題
【出入国管理法他、政府案の修正方向】
(注記:門外漢なので、以下の記述に事実と異なることがあるときは、意図を汲み取ってください。)なお、ここでは「技能実習生」と、「在留資格拡大による労働」を混在して書いています。
(1)最低賃金2割増し
~(政府案概要)
賃金について特別な規定はないので、最低賃金法のままと考えられる。
~(評価)
①「技能実習」にしても、今回の「在留資格の追加」にしても、本音・実態は、【最低賃金で働く人の確保】になっている。最低賃金では、技能や日本語習得に必要な本を買うこともできない。
また日本人でも最低賃金で働く人は、「親元に住む若者、補助的収入を得るための専業主婦、持ち家や公営住宅に住む高齢者、年金だけでは生活できない高齢者」など、【衣食住の全てを最低賃金で賄っている人は限られる。】
②「人手不足」と言うが、【政府案の受入業種等を見ると、「低賃金で働く人の不足」】ということだ。その業界の賃金が低く固定している結果、例えば「清掃」では、日本語学校の留学生など、およそ清掃は素人の人が就業して、汚れが落ちていないなど問題になっている。「警備」では、体力の無い、足の悪い高齢者が就業して、契約仕様書の業務を十分にできなかったりする。
他方、例えば清掃は、ビルクリーニング技能士などの技能検定があり、持っている人は洗剤の使い方など基本的知識を備えているので、【良い作業結果を期待できるので、賃金・委託契約金額を高めにするに値する】。
③【「自由貿易の過剰」は、以前のように賃金を「国民の生活向上の手段・内需拡大の要素」でなく、費用コストとしか捉えない】ので、発展途上国の労働者との【低賃金への競争】になっている。
外国人労働者を「最低賃金2割増し」にすることで、【人手不足解決】に、「(ァ)(人が集まらないので)外国人を賃金2割増しで雇うか」「(イ)(費用コストを削るため)日本人を最低賃金で雇うか」「(ウ)(コミュニケーションを取りやすいから)日本人を賃金2割増しで雇うか」など、考えて選択することになる。この結果、「低賃金への競争」を回避する。
~(修正方向)
(前記のような理由、効果を期待して)外国人労働者に、特例法で、最低賃金を2割増し等に規定する。
(2)受入仲介機関を複数から選べる、入国後でも変更できる
~(政府案概要)
受入仲介機関は、入国前に決まっていて、選択の余地がない。
~(評価)
①受入仲介機関の質が悪く、外国人労働者の労働条件・人権が守られない模様だ。
②選択可能、変更可能にすることで、外国人労働者の意思を就業に反映させられるようにする。
~(修正方向)
受入仲介機関を複数から選べる、入国後でも変更できるようにする。
(3)受入企業に、マッチング・システムを作り、「転職」できる
~(政府案概要)
受入企業は、入国前に決まっていて、変更の余地がない。
~(評価)
①受入企業が、「技能実習」の適用でない作業に従事させていた結果、何ら過失のない技能実習生が在留できなくなり、帰国するということがあった。
②作業内容・研修内容・労働条件が、入国前の説明と違っていた場合に、外国人労働者の意思で企業を変えられるようにする。
~(修正方向)
①受入企業に、マッチング・システムを作り、「転職」できるようにする。
②マッチング・システムは、医師の臨床研修病院を決める制度がある。臨床研修医を受け入れたい病院が、「給与・社会保険・住居提供の有無・天引き費用の有無等」を公表する。医師が申し込んで、選考を通れば、採用になる。
③受入企業は、常時、前記②に「作業内容・研修内容・労働条件等」を加えたものを公表しておく義務付けにする。これにより、外国人労働者は、自分が得ている就労条件が、他企業と比較してどの程度のものか、知ることができる。
④入国時の契約期間が残っていても、外国人労働者は、マッチング・システムに申し込んで「転職」することができる。これは「職業選択の自由」を裏付ける制度である。
(4)都道府県に、就労・苦情相談、案内(インフォメーション)窓口設置を義務付け
~(政府案概要)各自治体の取組みに任されている。
~(評価)
外国人労働者の受け入れが多い自治体が、独自に取り組んでいる実例がある。
~(修正方向)
①標準的ミニマムとして、都道府県に、就労・苦情相談、案内(インフォメーション)窓口設置を義務付ける。具体的に、直営にするか、NPOや会社に運営委託するかは、都道府県が当該自治体の状況により決める。
②連絡先を、共通の電話番号や、共通のウェブサイトから各都道府県のページに入れるようにして、外国人労働者に周知する。
③相談・案内内容は、前記の「受入仲介機関やマッチング・システム」、就労条件の疑問、社会保険制度等の問合せ、生活情報・教育制度などが考えられる。全てを各都道府県ごとに対応するのは負担なので、共通で回答できるものは中央方式で共同設置する。地域ごとに異なるものは、各都道府県の設置窓口に転送する。
④全ての費用を都道府県負担にするか、中央方式の窓口は、外国人労働者受入企業が拠出するか。
(5)補足:外国人労働者をめぐる課題
①追い詰められる外国人留学生
~多額の渡航費用を払い、稼げる金額は事前情報より少なく、生活に困窮する。
(参考)NHKクローズアップ現代「追いつめられる留学生~ベトナム人犯罪“急増”の裏側で~.」(2017年12月)
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4073/index.html
②制度と実態が合わない「外国人技能実習生」、失踪により不法滞在になっている
(参考)NHKクローズアップ現代「潜入ルポ“不法滞在ネットワーク”~次々に消える外国人~.」(2017年1月)
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3919/index.html
③観光客が働くために日本に来て、難民申請する
(参考)NHKクローズアップ現代「自称“難民”が急増!?超人手不足でいま何が…?.」(2018年6月)
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4142/index.html
~技能実習生は、「就労実習先」を変えることができない。日本に来てからもっといい仕事があったとしても変えることができない。
~留学生がアルバイトとして働く場合は、勉学に支障がないように28時間までしか認められていない。日本語学校の学費を払わないとならない。
~難民申請すると「在留カード」を交付される。これがあると、一定期間働くことが認められる。通称「難民ビザ」で、申請結果を待つ間の、生活安定のために就労が許可される。
~上記3つを比べると、「難民ビザ」が、働いて稼ぐには、一番自由度が高く有利になっていて、申請が急増した。
~入国管理局は2018年1月から難民認定制度の運用を見直した。即ち、申請から2か月以内に簡単な審査を行い、明らかに難民ではないと思われるケース(申請理由が「借金の返済」や「母国での人間関係のもつれ」等)では、就労も滞在も認めない。難民の可能性がある場合には、速やかに就労を許可する。この見直しの結果、1月~3月までの難民申請の件数は、前の年の同じ時期と比べて13%減った。
~政府は「経済財政運営と改革の基本方針2018.6(骨太の方針)」で、人手不足を解消するため、外国人労働者の受け入れを拡大するとして、業種を限定し、新たな在留資格を創設するとした。(技能や日本語の試験を課すが、技能実習制度の修了者は試験を免除。)
~(“本当の”難民で来日して定住に至った)サヘルさん:もっとお互い理解してほしいし、信じてほしいなと思うんですね。私とお母さんは日本に来ていなければ、たぶん今こうして生きることも、こういう生活が一切できていなかったと思うので、私とお母さんがいつも口をそろえて言うのは「日本に感謝をしている」と、「恩返しをしていきたいね」って、いつも話をするんです。ですから、そうやって(「技能実習生」「留学生」「“偽装?”難民」)今来てくださっている外国の方々も、信じて一緒に働くことで理解をすれば、後々に日本のプラスになっていくので、お互いを人として見て、お互いをもっと理解し合える社会になっていけたらいいなと私は思います。背景を見てあげるということが大切ですね
【参考リンク】
「政策市場」基本理念、政党運営
https://ameblo.jp/t1997/entry-12329789340.html
「政策市場」国内政治
https://ameblo.jp/t1997/entry-12329786751.html
「政策市場」外交国際関係
https://ameblo.jp/t1997/entry-12329785411.html