ストレス性の耳鳴りが起きるしくみと、その対処法について
突発性難聴専門 さいとう難聴鍼灸院です。耳鳴りは自覚的耳鳴りと他覚的耳鳴りに分類されます。自覚的耳鳴りは、患者自身にしかその音を聞き取ることができない耳鳴りです。音の感じ方は様々で、キーンという金属音であったり、ゴーという低音、ポコポコやピロピロといった擬音(?)まで個人差が大きく出ます。他覚的耳鳴りは患者が感じ取る耳鳴りの音を、他人も聞き取ることができる耳鳴りです。これは耳の中の動脈瘤や、筋肉の収縮時の音などによって起きるといわれています。耳鳴りのほとんどは前者の自覚的耳鳴りで、これらは原因不明であることが一般的です。この記事では自覚的耳鳴りのことを解説しています。原因不明であると言っても、それは検査では異常個所を特定できないという意味であり、耳鳴りが起きる異常は下図↓の仕組みのどこかに何かの異常が起きているはずです。図引用 http://www.jibika.or.jp/citizens/hochouki/naiji.html音が聞こえる仕組みは大きく分けると5つになります。外耳、中耳、内耳、聴神経、脳の5つです。外耳と中耳は音波の通路で、伝音器官と呼ばれます。内耳、聴神経、脳は音を感じ取る器官で、感音器官と呼ばれます。外耳と中耳の異常は肉眼で観察できます。鼓膜損傷や外耳道の炎症から雑音が発生したり、中耳の耳管の開閉異常から鼓膜が正常に機能せず、こういったことから耳鳴りが起きることはあります。また、中耳の耳小骨の構造異常から爆発音のような激しい耳鳴りを引き起こすこともあります。伝音器官の耳鳴りは異常個所を特定しやすいという特徴があり、したがって治療は一般的には耳鼻科で行われることになります。図引用 https://www.minato-ent.com/disease/diseasecat/ear/伝音器官の検査で異常個所が見つからない場合、感音器官の異常か、あるいは検査では異常を発見できないなにかが伝音器官に起きているか、のどちらかです。今回のタイトルにもあるように、肉体的にも精神的にもストレスという負荷が長期的に加わると耳鳴りが起きやすくなりますが、こういった場合は検査では異常個所は発見できません。今回は伝音器官について耳鳴りの原因を考察すると、それは鼓膜の過緊張が挙げられます。鼓膜は音の振動をキャッチする器官で、鼓膜張筋という筋肉によって引っ張られています。図引用 https://medicalnote.jp/nj_articles/190305-001-IS鼓膜張筋は運動神経支配のため、ストレスが加わると防御反射で収縮し、鼓膜が過剰に引っ張られます。すると、音の振動を過剰に耳小骨に送ってしまい、雑音を発生させて耳鳴りとして感じ取ることになります。鼓膜の過緊張による耳鳴りはキーンという金属的な高い音を感じることが多いです。鼓膜自体に傷や炎症が起きているわけではないため、内視鏡などの目視でも異常は見つかりません。こうしたことから耳鼻科では原因不明の耳鳴りとして片づけられ、「慣れてください」とか「仲良く付き合ってください」という安易な言葉で終わらせてしまうことがほとんどです。では、どうすれば鼓膜の過緊張状態から起きる耳鳴りの軽減を行うことができるのか。原因はストレスによる緊張=交感神経の異常興奮であるとするならば、交感神経の興奮を鎮めるようにすればよいわけです。図引用 https://nyanyamaru.com交感神経は自律神経で、血管を収縮させて血圧を上昇、心拍数増大による興奮状態にさせる神経です。ストレスが長期化すると交感神経の興奮状態がなかなか解除されず、常に筋肉が収縮状態にあり、鼓膜の過緊張が続きます。交感神経の興奮を解除させるためのもっとも簡単なセルフケア法が深呼吸です。興奮状態にあるときは呼吸が浅くなり、常に体が酸欠状態になっています。深呼吸、とくに呼気を意識的に行うことで副交感神経優にさせ、リラックス状態にさせることができます。なるべく朝日を浴びながら、意識的にゆっくり深く深呼吸、とくに呼気を長く細く行うことが重要です。また、セルフケアとしてはツボの指圧もおすすめです。リラックスするツボとしては、足の甲にある太衝穴があります。太衝は脳の興奮を鎮め、リラックスさせる作用があるのでおすすめです。敏感な場所ですので、優しくゆっくりと指圧しましょう。回数や時間は気にせず、思い出したときに、何かのついでにちょこっとでよいです。重要なのはこまめに続けること。図引用 http://1009showroom.jugem.jp/耳鳴りは長期化しやすいという特徴があります。ツボを押したらすぐに良くなるということはありません。そもそもの大本であるストレスの解消がもっとも重要ですが、気持ちが落ち着くと耳鳴りも改善しやすくなります。セルフケアで改善しない耳鳴りでお困りの方は、当院にご連絡ください。参考までに。当院ホームページはこちらをクリック