突発性難聴専門 さいとう難聴鍼灸院です。


難聴には伝音性難聴と感音性難聴の二種類があり、鍼灸院に多く来院するのは感音性難聴です。
感音性難聴は内耳以降の感音器官の障害による難聴であり、単に「音量が小さくて音が聞こえない」だけではなく、音が聞こえるけれども正確に聞き取れない」という、音の感じ方に異常をきたす状態が現れます。



図引用 http://www.minamitohoku.or.jp/up/news/konnichiwa/200910/homeclinic.html


感音器官は内耳、聴神経、脳(聴覚野)の三つに大別され、感音性難聴はこの仕組みのどこかに何らかの異常が起きていることで引き起こされます。


図引用 http://www.jibika.or.jp/citizens/hochouki/naiji.html



鍼灸院に来院する感音性難聴の代表例が突発性難聴です。突発性難聴の詳しい病態は解明されていませんが、音を感じ取る有毛細胞が衰弱することで急激な聴力低下や耳鳴りを引き起こし、難聴状態になると考えられています。


図引用 https://www.hosoda-cl.com/ear/315/


耳鼻科で突発性難聴と診断されても、残念ながら耳鼻科では詳しい病態を説明してはくれません。ただビタミン剤やステロイドを処方して様子を見ましょう、で終わることが多いのが実情です。
今回は、有毛細胞が衰弱、損傷するとどのような症状が引き起こされるのかを解説します。


図引用  http://www.nanchou.jp/mottomotto.html


有毛細胞は内耳の蝸牛に規則正しく並んでいます。外有毛細胞と内有毛細胞の二つに分かれ、1万数千個あります。

有毛細胞は音の振動を電気信号に変換し、脳へと送信する役割がありますが、外有毛細胞と内有毛細胞の役割が異なります。


鼓膜から伝わった音の振動が蝸牛内のリンパ液を振動させると、その振動波に合わせて外有毛細胞が反応します。外有毛細胞は音の補正を担当しています。
音の振動を補正し、聞き取りやすいように情報を整理するのが外有毛細胞の役割です。

そして、補正された音の情報を電気信号に変換し、脳へと送信するのが内有毛細胞の役割となります。



図引用 https://medicalnote.jp/nj_articles/190305-001-IS


このことから、外有毛細胞の機能が働かなくなると音の補正が効かなくなります。その結果、雑音を多く含む状態で脳へと送信してしまったり、音が割れたり音程が狂ってしまったりします。

突発性難聴の症状に音割れや音程の狂い、聞き分け困難が出現するのは主に外有毛細胞の衰弱が原因であると考えられます。

また、内有毛細胞の衰弱が起きると電気信号の信号強度が低下するため、聞こえる音のボリュームが小さくなってしまいます。その結果、「音が小さくて聞こえない」という聴力低下の症状が出現します。


図引用 https://www.nihonkohden.co.jp/ippan/audio/hearing.html


感音性難聴は音の聞き分けの異常ですから、単に音が聞こえないだけではなく、聞き分けや音程の狂いが出るのは有毛細胞の役割の違いから起きるということです。

その結果、聴力がある程度回復しても音程の狂いや音割れが改善しない場合もあります。

補聴器でも外有毛細胞の機能をある程度しか補うことができないため、補聴器を使用して音量が上がっても聞き取りやすくなるとは限りません。

逆に、聴力検査の結果が改善しなくとも、音割れや音程の狂いが改善すると日常生活の質は大きく向上します。

感音性難聴は複雑な病態であり、その実際の状態は聴力検査の結果だけでは判断できません。
だからこそ、患者さんの求めるゴールはどこなのか、そこをきちんと把握することが大切になってきます。



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