突発性難聴専門 さいとう難聴鍼灸院です。

内リンパ水腫とは、内耳の内リンパ腔に何らかの異常が生じ、内リンパ液の循環障害によって内耳が水膨れを起こした状態です。

内リンパ水腫が蝸牛のみで起きると聴力低下や耳鳴りをおこし、半規管にも起きると激しい回転性めまいを引き起こします。

通常、蝸牛に起きた内リンパ水腫によって引き起こされる感音性難聴を「急性低音障害型感音難聴」あるいは「蝸牛型メニエール」と呼びます。

上記病態の時の症状の中に、耳閉感があります。いわゆる耳詰まりの状態で、その感じ方は水没感や地下鉄の構内にいる感じ、あるいは耳の奥の痛みであったりと様々です。


図引用 http://medical.eisai.jp/products/menilet/treatment/09.html#mt



耳鼻科で内リンパ水腫、あるいは急性低音障害型感音難聴(蝸牛型メニエール)と診断されると利尿剤を処方されます。利用剤の効果は文字通り排尿促進ですが、具体的な説明を受けることなしに指示通り飲み続ける患者さんが多くいます。

なぜ、内リンパ水腫に対して利尿剤を処方するのか。そしてなぜ、多くの場合で利尿剤を指示通り飲んでいるのに、耳閉感が消失しないのか。

今回はそこを解説します。



まず、前提として内リンパ水腫の具体的な状態は解明されていません。内耳は頭蓋内構造のため、生体を詳しく調べることはできません。あくまで動物実験や死体解剖の結果からの推測になるということを知っておいてください。


内リンパ水腫は内耳の水膨れ状態です。要は体液の滞りが原因ですから、体液=血液の流れを良くする、つまりは排尿すれば血流の改善となり、内耳の水膨れも解消されるだろう、という考えで利尿剤を処方します。


たしかに、利尿剤によって排尿促進すれば、血液を腎臓に集めてろ過し、体内の余分な水分を排泄しますから、体液循環は向上します。足のむくみなども排尿促進すれば改善するように、体液は血液と関係しています。

しかし、内リンパ水腫を引き起こす内リンパ液は、血液とは異なる体液です。

内リンパ液の大本は血液ではなく、頭蓋内で産生される脳脊髄液です。


図引用  http://craniobio-seitai.com/cfs.html



脳脊髄液は血液とは異なる体液ですから、利尿剤によって血流を促進させたとしても、脳脊髄液の流れは変化しません。ということは、利尿剤を飲んでも内リンパ液の循環不良は解消されず、結果的に耳閉感の改善にはつながらないということになります。

では、なぜ耳鼻科では効果のみられない利尿剤を飲むように指示するのか。

それは、それしか手段がないからです。

医者の仕事は患者さんの病気や症状を治すことではありません。薬を処方することです。そうしないとお金を請求できないからです。薬を処方するためには診断名が必要です。だからそうするのです。


患者さんは指示通りまじめに、一生懸命薬を飲んだり、運動したり、調べたりするわけです。しかし実際にはそれでは耳詰まりは解消されません。

耳詰まりの詳しい原因は解明されていないし、内耳以外に原因のある耳詰まりも当然あります。すべてが内リンパ水腫によるものではないですが、内耳由来の耳詰まりを解消させるには、内リンパ水腫の解消をすること。

そのために必要なのは血流改善ではなく、大本である脳脊髄液の循環改善なのです。

脳脊髄液は血液とは関係ないからこそ、一般的な鍼灸治療による効果=血流改善では脳脊髄液に対してアプローチできません。

ですから、よその鍼灸院に通っても効果がみられないことが多いのです。


当院では、鍼灸治療と合わせて脳脊髄液調整法という手技療法を行い、耳詰まりに対する治療を行っています。

耳詰まりを含め、内耳の病態は簡単には改善しません。もちろん当院でも改善しない場合もあります。

参考までに。





院長ブログはこちらをクリック
https://ameblo.jp/sumiyoshi-oketsu/











当院ホームページはこちらをクリック