突発性難聴専門 さいとう難聴鍼灸院です。

耳閉感とは、耳の中が詰まった感じがする状態のことです。検査では異常所見が得られないものの、耳の奥が圧迫される感じや、水中にいる感じ、あるいは地下鉄やトンネルの中にいるような感じなど、その感覚は様々であり、そして患者さん本人しか自覚できない症状となります。

耳閉感の原因や仕組みについては、分かっていないことが多くあります。検査では異常所見が見られないと言っても、異常と呼べるほどの悪い状態ではないという場合もあり、なかなか正確な状態を説明することは困難です。

検査で異常所見を発見できない耳閉感について、その原因は大きく分けると中耳と内耳にあります。

①中耳の異常による耳閉感


図引用 http://www.asahinajibika.com/original7.html


中耳には耳管という管がつながっています。耳管は本来閉じていて、嚥下の際に開いて中耳内圧と外耳の気圧を一定に保つ役割があります。中耳内圧と外耳圧は一対一の関係ですが、これが崩れると鼓膜が正常に働かなくなり、耳鳴りや難聴を引き起こします。その際、気圧の差によって耳の中に圧迫感を感じるようになり、それが耳閉感を起こすと考えられます。

多くの場合、耳管が閉じている耳管狭窄症の状態のときに耳閉感を感じやすいという傾向があります。耳管を通る空気の流入が減少することで気圧の差が生じやすいからです。

耳管狭窄症は、中耳炎や副鼻腔炎などの炎症が耳管にまで及び、耳管が炎症によって閉じてしまうことが原因であると考えられます。

ですから、炎症を解消させ、鼻詰まりをとることによって耳管の空気の流れを正常化させると中耳圧も一定となり、耳閉感も軽減することになります。しかし実際には、耳管狭窄症と開放症が混合している場合や、明確な異常所見がない狭窄・開放症もあるため、耳閉感の解消に時間がかかる場合もあります。

また、耳管開放症の場合は自律神経の異常であることも多く、自律神経すなわち脳の状態も影響してきます。





図引用 http://tokunaga-jiritsu.com/backnumber/b120413.html


耳の不調を訴える方の多くは、強いストレスを長期的に抱えています。ストレスという圧力が解放されずに体内に籠ると、頭蓋内に内側から圧力が加わり、脳を刺激して自律神経の機能を狂わせます。

すると、耳管の開閉機能も狂うことで狭窄症や開放症の症状が起きると考えられます。


ストレスを開放し、自律神経の機能を正常化させると耳閉感も落ち着いてくることがありますし、気にならない時間も増えてきます。



②内耳の異常による耳閉感



図引用 https://medicalnote.jp/nj_articles/190305-001-IS



内耳以降の感音器官は頭蓋内構造のため、実際に何が起きているのかを目視で確認することはできません。したがって内耳由来の耳閉感についても正確には解明されていませんが、蝸牛の内リンパ水腫が原因であると考えられています。

蝸牛は内リンパ腔と外リンパ腔という二層の構造からなり、内部にはリンパ液が流れています。
とくに内リンパ腔には音を感じ取る有毛細胞があり聴覚と関係しています。内リンパ腔は膜構造で、内部には内リンパ液が循環しています。




図引用 https://www.kango-roo.com/sn/k/view/1926




この内リンパ腔を流れる内リンパ液がなんらかの原因でせき止められてしまうと、内リンパ腔内に内リンパ液が過剰に貯留し水膨れを起こします。この状態を内リンパ水腫と言います。


図引用 http://medical.eisai.jp/products/menilet/treatment/09.html#mt


この内リンパ水腫の状態が蝸牛だけに起きると難聴や耳鳴りが出現する「蝸牛型メニエール」とよばれる病態となり、半規管にまで内リンパ水腫が進行すると激しい回転性めまいが出現し、メニエール病と診断されます。


内リンパ水腫が起きている状態は内耳の水膨れですから、これが耳奥の圧迫感や水没感といった耳閉感につながると考えられます。



このように、耳閉感は中耳と内耳の異常から引き起こされることが多く、また両者は混合している場合も多くあります。耳の異常を訴えるかたは、同時に慢性的な鼻詰まりを抱えていることがあり、これは耳管の通りが悪いことを意味します。


いずれにしても耳閉感は簡単に解消されるものではありません。脳の不快な記憶によって増悪することもあり、「〇〇すれば治る」という安易なものではありません。

セルフケア法と合わせて、中耳や内耳の状態をよくすることが必要となってきます。具体的には、中耳の状態は胃腸の機能と関係し、内耳の状態は腎機能と関係します。こういった耳以外の部分を改善していくことが、耳閉感の解消にも重要となってきます。


参考まで。






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