ちょっと小麦について
書いてみよう。

============

16世紀頃から
マンテカドやポルボロンの原型が
作られるようになっていたわけだが、
その後 18世紀に
フランス軍が侵攻、
抵抗勢力や山賊の
隠れ場をなくすために
豚の餌となっていた
樫の木を切り倒し、
その跡地は穀物畑となった。

で、マンテカドやらに
使われる小麦粉の種類だが
前回のエントリで
規格には小麦の品種も
グルテン量も指定がないと
書いたが、

コレコレの小麦が使われる、という
記述はあちこちの Web に散見する。

Dimas 種と Rabón 種が
使われているとのこと。

澱粉が多く、グルテン(*)量が
適度である、ということである。
Web によって、
硬質小麦であるとするところと
軟質小麦であるとするところが
あり、一致しない。

で、どういう小麦なのか
調べてみるんだが、
ローカルな種なのか
あんまり検索ヒットしない。

分かったことは、
Dimas 種の方は
フランスから掠め取った
Étoile de Choisy 種に
スペイン名をつけたものらしいこと、
Dimas という品種名は
『よい泥棒』の名からつけた、ということ。

『よい泥棒』って、
この辺にスペイン流
我田引水がよく出ておるw。

ちなみに『よい泥棒』は、
キリストが十字架に架けられた時
一緒に並べて架けられた
二人の泥棒のうち、
善人の方の泥棒のことだそうで。

Rabón 種の方は
あんまりこういう逸話もなく
せいぜい、
マンテカドに言及する
古い書き物の中に
「原料はアレとソレと
そしてグラナダの Rabón 小麦」
と言われるくらいである。

で、結局
マンテカドとポルボロンに
使われる小麦粉についてだが、
ちと
見落としていたものがある。

上でも書いたように
たんぱく質の量も品種も
指摘はないが、
物性測定値の指定があった。
これは同じ小麦でも
添加物などの条件によって
割と変わるものらしいが
とにかくグルテン量との
関係が大きいようだ。

しかしこれがまた
スペインらしいというか
(エステパらしい、もとい
田舎者の所業らしいというか)
どうも測定値の表記の
仕方が間違ってるらしいのね…

きっと専門家が見たら
あぁあれをこう間違えたんだなと
分かるものなんだろうけど、
ともかくそれによると
グルテン(*)量がかなり低い
薄力粉を使うようである。

つまりグルテン(*) いらないのね。
(またここに落ち着いちゃうよ)
よく考えてみりゃ
製造の過程で
水使ってないんだから
グルテン形成されないんだった。

そう言や
シュガーフリーのはもう
売ってるけど、
セリアック病の人のために
(↑ こっち結構多い)
グルテンフリーのマンテカドとかも
売ってたかも。
これはチェックし忘れてたなぁ。
クリスマス、一昨日で終わっちゃったから
また来年、覚えてたら
追記しよw。
【追記・やっぱりあったあった!
小麦粉の代替品に
コーンスターチを使ったものや、
大豆粉末…って、きなこじゃん!!
もしかして日本の料理サイトから
レシピ取ったの?ww】

てなわけで、
小麦粉じゃなく
他の粉を使ってみても
類似品は出来るんだったね。

まだ終わらないよ~



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(*) 小麦粉に含まれるのは
グリアジンとグルテニンというたんぱく質で、
グルテンはそこから出来る生成物。 
しかし面倒だから、この記事では
グルテンを作る含有たんぱく質を
「グルテン」と書くことにする。

え、そんなわけで、
材料や製法の大まかなとこは
前回の規格化されたもので
大体お分かり頂けたかと思う。

で、作りたくて一生懸命見てた人なら
きっと叫んだであろう、
『8分以上焼くって、何度で焼くのよ!!』

これはワタシも疑問に思ったんで
メーカーに聞いてみた。
例のミカエラおばさん一家が
立ち上げた企業、 La Colchona

結論から言うと、この会社は
260度で焼いてるそうだ。
しかも電気オーブンやガスでなく
オリーブの薪オーブンで焼いてる
そうだ。 うわー高くつきそう。

本家本元ならきっと色々
答えてくれるだろうと
いっろーーーーんな質問を
送ったんだが、
丁寧な、しかし通り一遍な、
ネット検索すれば誰でも
見つけられるような話の
返事しかもらえなかった。

で、ここまで来ても結局
誰からもきちんと
返事してもらえないのが
小麦粉を焼く話。

規格では、小麦粉の湿度を
11.5%未満まで落とすため
乾燥させるとある。

小麦粉の乾燥なんか、
焼き色をつけなくても
白いままで十分出来るだろうが
今現在の規格では
ローストした香ばしさを
出すために多少なりとも
色づくまで火を入れてるのか、
何度で何分高温にかけてるのか
という質問に、誰もきちんと
返事をくれない。 
こんな簡単なことに、何で?
企業秘密??

そもそも
ミカエラおばさんのお菓子が
評判になってたのも、
おばさんが小麦粉をふるい、
乾煎りし、食感をなめらかに
したからという話があった。
当時はまぁ微妙な温度管理なんか
出来なかっただろうから
空煎りをすれば
多少は色づき香ばしくも
なったんだろうし、
そういう話が延々と伝わって
今でもローストだ空煎りだってことで
小麦粉を『焼く』、という風に
考えられてるのかも知れない。

そんな感じで
日本の web あちこち見てたら
「ポルボロンの出来上がりは茶色」とか、
「これは本物じゃない。 本物の断面は白かった」
とか言うような記述があって、
白…とは違うんだけどなぁ、
ちょっときなこのような
薄焼きトーストのような
かすかな茶色なんだよなぁ。
こんなカンジ

と思ってたんだが、
ホンマにまっ茶色、中身がタヌキ色に
なってるポルボロンの写真見つけて
仰天した。
シナモンとかを大量に入れて
色がついちゃった、とかでも
ないようだし。

あれは…苦いだろ、いくら何でも…

なるほどこれを茶色というなら
本物の出来上がりは確かに
“白い”と言える。

小麦粉を『焼く』というのと
色のトーンを取り違えた
“茶色”に踊らされて、
あんな色になるまで焼いちゃったのかい、粉…
かわいそうに(:_;)

それから事前に『焼く』のは
グルテンを弱めるためという説を
書いてるWebも結構あるが、
例の規格の文書には
グルテン(*) の単語も
小麦粉の種類の指定も
一切ないんだよね。
確かに焼けばグルテン(*)は
弱まるだろうし、
使われる小麦粉の種類について
澱粉量が多くグルテン量が適度
という話を書いてる Web もあるが、
規格だけを見るならば
要件の中にグルテン(*) はない。
(おぉっと微妙なモノがあった…待て次回!)
どっちかつぅとやはり、
何度も書いてることだが、
湿度を下げて
さらさらに乾かすことの方がメイン、
といったカンジだニ。

だからね…
そもそもの起こりは
空煎りだったんだろうけど、
真っ茶色になるまで頑張って
焼いてたヒト、もういいんだよ(ノ_-。)
乾かせばいいだけなんだから。
多分。

あ、他にも、
もう小麦粉を『焼いて』あるから、
なのか、
バターだったか
ショートニングだったかと
混ぜ合わせた後は
冷蔵庫で固めて終わり、
オーブンはなしというレシピも
あったが、
これはまぁ…
本人がそうしたいなら
別にいいんではないかね…でも
本来のレシピとは違う、という
ことだけ言っておこう…

まだ終わらないよ… つづく…



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(*) 小麦粉に含まれるのは
グリアジンとグルテニンというたんぱく質で、
グルテンはそこから出来る生成物。 
しかし面倒だから、この記事では
グルテンを作る含有たんぱく質を
「グルテン」と書くことにする。

正月ゆっくり休みましたかーっ!
モチたらふく食いましたかーっ!
イイナァグスングスン

さてそんじゃまた参りますよぉ
今回はマンテカド、ポルボロンの
核心に迫ります!

本家本元自らが明かす、
定義と材料そして製法だッ!
本物を作りたい!
改良したい!
 …だった人、
レシピ作りの参考にしてね。 うふラブラブ

(あ、もちろんオリジナルの文書
14ページ全部は訳さないから。
抜粋だけだからね)

================
◆まずそれぞれのお菓子の大枠の定義。
(アルファホール、ロスコ・デ・ビノも
 含まれるけど、ここでは
 マンテカド、ポルボロンだけに
 限定して書くことにする。)
================

  • マンテカド、ポルボロン は
      ・小麦粉
      ・ラード
      ・粉砂糖
    を 基本材料に使った
    焼成による焼き色のついた
    菓子である。

  • マンテカドは丸形。
    ポルボロンは楕円形で
    上部に粉砂糖をかけること。

================
◆それぞれの菓子の特定要件。
================

◇まずマンテカド。

  • マンテカドは1個あたり
    32gまで、ただし
    昔風とオリーブ油のものは
    50gまでとする。

  • 販売対象となるのは
    ・シナモン
    ・昔風
    ・EXVオリーブ油(ラードの代替として)
    ・アーモンド
    ・ココナツ
    ・チョコ
    ・レモン
    ・ヘーゼルナッツ
    ・バニラ
    風味のものとする。

  • 原料の配合比率は
    それぞれの風味で
    以下の通りとする。

    スペイン メモ帳-配合比率M

◇今度はポルボロン。

  • ポルボロンは1個あたり
    35gまで、ただし
    昔風とオリーブ油のものは
    50gまでとする。

  • 販売対象となるのは
    ・アーモンド
    ・エクストラ
    ・昔風・アーモンド
    風味のものとする。

  • ポルボロンの主原料は
    ・小麦粉
    ・ラード
    ・粉砂糖
    ・シナモン
    ・アーモンド
    ・天然香料(香油) で、そこに
    スパイス類(クローブ)を
    加えることもある。

  • 原料の配合比率は
    種別により以下の通りとする。

    スペイン メモ帳-配合比率P

================
◆下処理と製法。
================

  • 砂糖は挽いて粉砂糖を作る。

  • アーモンドはローストし、
    必要に応じて砕く。
    (訳注・『挽く』、ではない)

  • 小麦粉は製造用に
    適切な湿度まで乾燥させる。
    (11.5%未満)

  • 生地を練る際、以下の順で
    材料を投入すること。
    ・ラード
    ・粉砂糖
    ・シナモンや香料など
     微少添加物
    ・小麦粉は最後に投入すること

  • 機械や手作業による
    成形の後、焼成前に
    必要なものにはゴマをふりかける。

  • オーブンによる焼成は
    8分以上とする。

  • 常温まで冷却後、
    必要なものには粉砂糖をふりかけ
    包装する。

  • 完成品の湿度は
    5%以下とする。


一番メインの部分はこんだけ、
でもまだ続くのだぁ!



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寒いッ!!!  あ、おめっとさんです。

毎日毎日吹き降りの豪雨で…
だけじゃなくて、冬だから素直に寒い。

窓ガラスも曇るんで
「そりゃ寒いしなぁ…」と
ガラスを指で撫でてみる。
アレ?
指の跡、つかないよ?
窓を開けて外側からこすったら
バッチリついた。
…ってことは…
ウチん中の方が寒いんかい!! w
(“w” じゃねぇよ~~~)

ストーブ壊れてるんで
暖を取ろうと思ったら
パソコンのバッテリに触るか
風呂に入るかしかないんだが

こっちの風呂なんか
どんだけ湯を一杯に張っても
肩までどっぷり浸かれない。
下半身しっかり湯に入れたら
上半身は湯の外。
半身浴なんか興味ないし。
肩が浸かるようにしたら
立膝になった挙句
そのヒザが湯の外、おまけに
浮力で浮きそうになるから
何か頑張って沈んでないといけない。

リラックスしたくて入る風呂で
頑張らないとイカンのは
何か違う。

ので、温泉行きたい…

こっちにあるのは主にスパとか
何とかセラピーみたいなの。
それでも別に構わないんだけどさ。
でも得てしてそういうとこって
高いし。

あぁ日本的な温泉…

あった。
まぁ日本的とは言っても
当然日本と100%同じってわけじゃないが。
それでも、
スペイン人に対しては
「日本のお風呂!」で売ってて
テレビでも何度も紹介されてる。
こちら どうぞ。

ちょっとストレス溜まるよねこのWeb。
自分のサイト作る代わりに
全部ブログで済ませちゃうってのが
どうも…だけど。

あと姉妹店なのかな
こっち もどうぞ。
テレビでの紹介は
ここ

てわけで、
あ゛~温泉行きたい。
…ストーブ修理した方が
安いけど(涙)



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さーてぇ
エステパ産マンテカドの統一規格。

今やスペイン中で
(あ、日本でもw)
マンテカドやポルボロンが
作られ売られてるから
エステパ村の業者は
自分達の利益を守るために
産地呼称の認定を
申請したわけだね。

誰とも分からない勝手な業者が
適当な材料で、見た目だけ似た
粗悪なマンテカドを作って、
名前だけ既に有名な
エステパにあやかって
『エステパ村のマンテカド』とか言って
売り出したら、
一生懸命良質の製品を
作って売っている、
本家本元のエステパの菓子が
まがい物と一緒にされて
信用を失ってしまう。

だから、材料や製法、
製造地についての規定を
クリアしたものでなければ
『エステパ産マンテカド』と
謳うことは出来ないように
その規定認定と名称保護を
申請してるわけだね。

そうやってエステパが
今回申請しているのが
Indicación Geográfica Protegida
というもので、基本の概念は
これまでの
Denominación de Origen
(産地呼称制度) と同じ。
D.O. はワインなんかだと
よく知られてるよね。

でも D.O. の方は国内版。
これまでは各国とも
スペインならスペイン、
フランスならフランスというように
それぞれの国が
自国の中で通用する規定を
制定していたが
I.G.P. の方はヨーロッパ規模の規格。
呼称の制限の仕方はもちろん
これまでの国内規定とは違うが
特定の商品を産地指定で
保護する点はまぁ同じである。
和訳はとりあえず
スペイン大使館経済商務部の
Web に載ってる
原産地名称保護』制度、
略称 I.G.P. ってことに
しときましょう。

で、そのエステパ産マンテカドの
I.G.P. の申請だが、
2008年に始めた手続きが
まだ完了してないらしい。
スペイン国内の審査が終わってから
EUの方へ申請を送って、
そっちの方でも認定受けて
きちんと登録されるまで
何年もかかる様子。
スペイン国内の方では
少なくとも審査を通過して
暫定的な I.G.P. をもらうとこまでは
行ってるが、EUの方へはまだ
申請が終わっただけの状態らしい。

だもんで、その材料や
製法なんかについての
規定細則は、今年(まだ今年だw)だからこそ
検索に引っかかってきたようなもんで、
これが例えば2年前とかだったら
前々回 くらいの内容で
もう限度だっただろう。 ヤッホウ。

さーじゃあ次回はやっと
本家本元のマンテカドと
ポルボロンの
材料、製法について
書けるかな。

つづく…

=======

んだけど、
年始しょっぱなから
前年度のお題を引きずるのって
何か好かんから、
ちーとだけ中休み入れます。

よいお年を~~~



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スペイン暮らし最初の頃は
ネットなんてなかったから
近くの人に聞く話だけが全てだった。

(スペインの)ネット黎明期は
接続して Web など
見ることは出来たが
情報発信してる人がおらず
集められる情報量など
微々たる物だった。

今はやっとこさ
エステパみたいな
田舎の商売人たちも
広告媒体としての
Web の重要さに気付いて
自社ページを作るようになり
一般市民も自分の経験や感想を
気楽に発信するようになった。

そうやって
以前よりはあれこれ
情報が集められるようになったが
ネットも結局
巨大な口コミみたいな感じで、
これぞという確たる情報が
得られないまま
こんな長いシリーズと
なってしまったが、

あった、あった。
やーっと、いいもの、みーつけた。

エステパ産マンテカドの統一規格!

嬉しくて思わず太字にしちゃったよw。

規格認定を申請する際に出してあった
製造に関する規定細則ね。

申請は
「エステパ産マンテカド」でしてあるけど、
ポルボロンとアルファホール、
それとロスコ・デ・ビノも
この中に含まれている。

で、何という規格の認定を
申請しているのかは
また明日書くことにして
とりあえずは

つづくのだ…



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そうして16世紀あたりから
ラードと小麦のお菓子が
作られてたわけだが、

さて19世紀のこと。
エステパ村の女性
ミカエラ・ルイス・テジェスさん、
運送業に従事していたご主人に
おいしいと評判だった
手製の菓子を預けて
行き先のコルドバまでの
道々の村の市場で
売ってもらっていた。

La Colchona という通り名の
この奥さん、ご主人が
目的地のコルドバまで
持ち運ぶ道中でお菓子が
崩れたり傷んだりするのを
防ぐために考え考え、
思い付いたのが、
菓子をよ~く乾かす、という
実に単純な工夫だった。

しかしこれが大成功で、
この工夫のおかげで
中はしっとり、外側はカリっと仕上がり
日持ちもよく移送や保管にも
耐えるようになった。

そうしてポルボロンが生まれたのだ、と
〆る説もあり、
そうして今のマンテカドが出来上がったのだ、と
いう説もある。
ま、生地は同じという会社もあるんだし、
どっちがどっちでもいいんじゃないかと
ワタシは個人的には思うわけだね。

こういうことがあったという
その年代についても
1850年とか1855年とか
1870年という数字が出て来るが、
評判のお菓子を作ってた⇒
売ることにしてご主人に預けた⇒
改良を加えた⇒
当時の都会コルドバにも
届けられるようになった⇒
そこからタイヘン人気が出て
スペイン全国に伝播していくこととなった、
という一連の出来事が
その辺りにあったのだと
理解しとけばいいわけで、
別にワタシら消費者には
正確な年代は
あんまり重要じゃないと思うわけだね。

そんなことよりも
ワタシ的にもっと気になるのは、
『よく乾かす』点なのだ。

乾かすというのは
二度焼きをするということなのか、
それとも
オーブンの温度や焼き時間を
調整したということなのか、
それとも
ある掲示板で
誰かが書いていたように
一つずつ薄い紙で包んで
湿気を吸い取るように
したことなのか。

手作りマンテカドのレシピでは
特に二度焼きをするような
ことは書いていない。
「乾かす」のは二度焼きに
よるものではないせいなのか、
家庭用なら長期間持たせる
必要がないからなのか。

焼く温度も
中温で表面がからっと
乾くまで、というものや
150度で30分というものや
180度で15分というもの等が散見し、
これが当時の革命的な改良に
繋がった温度と時間なのだろうかというと
どうもよく分からない。

そりゃ当時は薪オーブンだ。
数字が出るような正確な温度なんて
作ってる本人達も分かるわけなかろうが
それで言うなら
中火・弱火でじわじわ焼くより
強火で一気に短時間、の方が
中はしっとり外はカリッに
なるように思う。
だがこれをもって「よぉく乾かす」と
言えるのだろうか???

乾かす話でつながるが、
おいしいマンテカドを作るコツは
原料の小麦粉の湿気を
しっかりと飛ばしておくこと、と
書いている Web があった。
これは例のアラブ菓子の、
小麦せんべいを砕いた粉を
使ったことに由来するのか、
それとも
またミカエラさんが
商品の日持ちをよくしようとて
自分で考え出したコツなのか。

…ともう何か
自分でも何が何だか
分からなくなってきたw。
しかしスペイン暮らし十数年来の
疑問だったからな、
この機会に全部調べたる!

つづくぞ…

(何かもうここまで来たら
執念みたいになってんねw。)



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さてアラブ支配も終わり
豚を飼うのに何の遠慮もいらなかった
16世紀ごろ。

エステパ村のあたりは
オリーブ畑のほかに
豚の餌となるどんぐりのなる
樫の木が多く、
放牧でまるまる太った豚を
秋に屠殺し、
ハムや腸詰や脂身の塩漬けなど
1年分の保存食を作る時に
良質で新鮮なラードが
過剰に出るようになっていた。

今よりずっとエコな時代w
余り物でも捨てることなく、
これまた余剰の小麦と合わせて
お菓子を作るようになった。

今でもそうだが
多くの尼僧修道院で
色々なお菓子を作って売っており、
当時の、マンテカドの原形となる菓子は
家庭で手作りされるほかに
修道院でも作られていたそうで
忙しくなると周囲の農家から
女手を集めて作業にあたらせた。
その名残か
今でもエステパの製菓業界で
繁忙期の冬に菓子工場に働きに出るのは
9割がた女なんだそうだ。

当時の菓子は
torta de manteca と呼ばれていた様子。
torta というのは丸い焼き菓子で、
要するに油脂分にラードを使った
クッキーだったんだろう。

このクッキーにちょっとした、しかし
偉大な工夫を凝らして
改良をほどこした女性が
これを商品として
村の外へ出荷し始めたところから、
今日のマンテカドやポルボロンとして知られる
クリスマス菓子の歴史が
始まるわけである。

ところでこの torta de manteca 、
今でもしっかり作られ
食べられている。
マンテカド等のように
工場で大量生産されるのではなく
地元の菓子屋なんかが作って
地元の客が買って食べるお菓子として
一年通して売っている。
もちろん工場製品のもあるが
どっちにしても、
普段のお菓子として賞味されてる
様子である。

どんなものかと言うと、
素直にラードのクッキーなのである。
平たくて丸い、そして巨大な
ザクザククッキーで、
下の写真のものは重さ35g。
これ数枚食べときゃ
冬眠しちゃっても死なないくらいの
カロリーが取れそうである。

スペイン メモ帳-torta

その他にも
ラードクッキーの伝統は
消滅してないようで、
今でもスーパーで
クッキーの詰め合わせを買ったりすると
油脂分はラード、見た目はマンテカド、
口当たりはショートニングクッキー
特有のザクザクした歯ざわりの
ものが食べられる。

でもそういうの食べてみたかったら
オシャレっぽい詰め合わせじゃなくてね、
ちょっと田舎くさそうな
ストアブランドの詰め合わせとかを
選ぶといいよw。

まだつづくのだ。



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さてマンテカドとポルボロンンの
故事来歴。

ネットでは大体
みんなが同じソースから
コピペしてるから
見つかるものはほぼ全部
同じような記述。
しかし時々
自分で書き直してる人もいるようで、
微妙にデータが変わってる部分もある。
そういうとこではワタシが個人的な判断で
筋が通る方の説を選んで
解説してみよう。

========================

前置き。
アラブ支配の時代は
現在の Turrón や Alfajor の
元になるような
はちみつとナッツと香料を
練り合わせた菓子。
その材料の一つに
今で言えば“パン粉”と訳される
Pan rallado があるが、
古いレシピを見てみると
小麦粉と油と水を
練って焼いたせんべいを
砕いて粉にしたもの、とある。

マンテカドの製法には
アラブ菓子の技法が
使われているとのことだが
砂糖と香料、
イスラムでは厳禁のラードを除いて
伝習出来るものは
小麦粉せんべいの部分しかない。

ので、
ポルボロンの材料の小麦粉を
焼くだの焼かないだのって
話があるのは
この辺から来てたり
するのかも知れない。
しかしこの辺の推察は
確認取れてるわけではないので
その辺テキトーに。

=====

さてまず
マンテカドやポルボロンの
生まれた土地の話だが
セビージャ県のエステパ村と
マラガ県のアンテケラ村(ってか市だねもう)が
本家本元の地位を争っている。

アンテケラの市役所には
この菓子が登場する
19世紀のフレスコ画もあるので
アンテケラの方が古い、
とする説もあるが、
こういう菓子は16世紀にはもう
かなり作られていたようで、
距離にしてわずかに
40kmほどしか離れていない
アンテケラとエステパは
同じ地域で同じ農業・畜産を行い
この距離なら当然
物品の交流もあっただろう。
この状況でどちらが先かを
争うのはまぁ無意味なことである。

今、エステパ村が
スペイン全土のみならず
世界にマンテカドの産地として
名を馳せているのは
商品化・流通化に成功した
女性の名がちゃんと
歴史に残っているからで、
その意味ではエステパ村に
軍配が上がる。

ま、そういうわけで
菓子メーカーの中には
名前にエステパがつくもの、
アンテケラがつくもの、また
最初に人気を博した出荷先の
コルドバ県 Rute の名がつく
会社があるわけである。

つづく…
ってかポルボロンの話、
1回で終わる予定だったんじゃないのかw



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さてではメーカーが
何と言ってるかであるが
例のタイヘン親切であった
El Mesias 社

『 私達の村以外にも
スペインのあちこちで
作られているものですので
ここでお話するのは
わが社の製品に限っての
こととなりますが、

ポルボロンは楕円形でマンテカドは丸、
ポルボロンには粉砂糖をかけますが
マンテカドにはかけません。
(ただしチョコ風味のマンテカドの時は
粉砂糖をかけることもあります。)
ポルボロンは必ずアーモンドが入りますが
マンテカドはアーモンド味の
ものでなければ普通は入りません。
ポルボロンとマンテカドの生地は、
小麦粉、砂糖、ラード、シナモンと
ベースは同じですが、それ以外に
ごく少量加える添加物が
何を作るかによって変わります。
例えばポルボロンには
スパイス(クローブ)やレモンエッセンスなどを、
マンテカドにはフレーバーによって
ココアその他を加えます。 』

3回言ったら伝説について
簡素極まる返事をくれた
La Antequerana 社 の返事は
もっとダイレクト。

『ポルボロンの生地は
マンテカドと同じです。』

だからね、同じなんだってさ。

前々回 書いたじゃん、
マンテカドにはフレーバーがあって
ポルボロンにはそういうのないって。

それはつまり
マンテカドの
バリエーションの中の一つとして
ポルボロンがあるからなのだね。

マンテカードの一種なんだね、
ポルボロンは。

もう一度、ネットで言われる
マンテカドとポルボロンの
違い
というものを
吟味してみると、
習慣や、形や、包み方や、
上に何かが降りかかってるか…
程度の差ばかりで、
味や食感に大きな差を
作るようなものではない。
別物となりうるような
原料の違いは
アーモンドプードル
卵白
小麦粉を焼いてあるかどうか
くらいなもの。

実際にどんな原材料を使ってるか
ちょっと比較が完璧じゃないけど
手元にあるモノで見てみよう。

アメリカ資本になっちゃったけど
菓子パンメーカーMartínez 社の
"伝統のアーモンドポルボロン"は

  • 小麦粉(焼いてあるかどうかは不明)
  • ラード
  • 砂糖
  • アーモンド(7%)
  • シナモン
  • レモン香料
  • 酸化防止剤(E-320, E-330) ←BHA、クエン酸

次、El Santo 社の
マンテカド、ココナツ味。

  • 小麦粉(焼いてあるかどうかは不明)
  • ラード…ローズマリーエキス入
  • 砂糖
  • ココナツ(6%)
  • 酸化防止剤(E-320, E-330) ←BHA、クエン酸

風味用食材以外は
おんなじだよね…

んじゃま最後に、
(少なくともアンダルシアの)
マンテカドやポルボロンが
どんな風にして作られるようになり
流通するようになったかという話を
ネットで見つかる範囲のもので解説、
そこで
小麦粉を焼くだの何だのといった
材料の話にも言及出来るかな。

つづくのだ。



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