妄想最終処分場 -16ページ目

妄想最終処分場

好きなジャンルの二次創作ブログです。
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9/19発売の本誌ACT204の続き妄想です

ネタバレものなので、未読の方、コミックス派の方はバックプリーズ!!


さらっと思い付きで書いたので、そんなに深くないです~。さらりと読み飛ばして下さいませw

現実にはこんな風にいかないよ、絶対!!







━─━─━─━─━─




直感だった


視線が交差した瞬間に分かった

この人は私の愛おしいヒト



ACT204妄想




以前の…カイン・ヒールの時とは違った。


確かによくよく見れば、見覚えのある美しい骨格に滑らかな筋肉が私の直感を裏付けてくれる。この世に二人といなパーフェクトボディはいくら色彩が違っても、ここで遭遇するはずのない人と分かっていても、ずっと会いたかった彼だと教えてくれる。


でもそうじゃない


美しい海から現れた人魚は会いたくて、会いたくなくて、でも…ずっと逢いたかった、私の新しい世界を創造するのに必要なことを教えてくれる人だった。

目に映った瞬間に心が震えた。

なぜ、とか、どうしてよりも先に、ずっとずっと、自分が恋したこの人に会いたくてたまらなかったことを思い知らされる。


「………」

「………」


人気のない、私と彼しか見えないビーチは時が止まったようにさえ感じるが、波の音だけが鼓膜を震わせ凍り付いた時間ではないことを知らせてくる。


間違いようがない

彼は『敦賀さん』だ


でも私の知っている姿じゃない。

まるでお伽の国の童話の世界から抜け出てきたような完璧なブロンドと碧の瞳。

潮を含んで滴を滴らせた色素の薄い髪が強い日差しの中で輝いている。


「……つ…」


敦賀さん、と思わず声に出しかけて口をつぐんだ。

いつもと違う容姿は私の及びもつかない何かしらの理由があるのかもしれない。ここでカインヒールとの初遭遇の時のように、私の知っている彼の名を呼ぶのは躊躇われた。


(呼びかけて、他人のふりなんてされたら……)


逢いたくてたまらなかった叫びだした私の心は、何かの事情があるにしてもこの場で他人のふりなんてされたらきっとあふれ出したこの思いが涙に変わって表に出てしまう。


(私の方が、気づかないふりして接するのが一番…のはず)


そうわかっていても、どうしたらいいのか分からなかった。

恋に動き出した私の心はコントロールが付かない。

私の思考とは独立して、会いたかった、触れ合いたいと暴走する。この想いは認めて育ててみようと決心はしたけれど、決して表には出さずに私の中だけに留めるつもりだったのに、そんな私の理性さえ打ち砕こうと牙を剥くのだ。


(違うの、彼は敦賀さんじゃないの)


自己暗示をかけ言い聞かせても、彼が敦賀さんだと…私の大切な人だと叫ぶ本能はいうことを聞かない。


(違うの、海から現れた人魚なのよ。きっと人間が言葉をかけたら海へ逃げて消えてしまうわ)


「………」


言い聞かせた自分の言葉が、不意に胸に突き刺さった。


(……消えてしまう)


彼を見れば、驚いたようにわずかに目を見開いて私を見ていた。

歓迎されていないことだけは伝わってくる。


これが私の思い違いで、彼が敦賀さんでなければ、私はただ目のあった見知らぬ他人なのだからこんなに凝視されればそれは不快だろう。

もし敦賀さんだったとしても、こんな風に驚いた様子なら私と遭遇することは歓迎することではないのだろう。



…………なら、いいだろうか?



彼が、私の知っている敦賀さんじゃないのならこの私の中で荒れ狂っている気持ちを表に出しても


会えない時間が辛かった、あなたに会いたくてたまらなかったと、私の心は主張したがっている。


きっとすぐに海に消えてしまう人魚のあなた

どうか本人に伝えられないこの想いを、彼の代わりに聞いてはくれないだろうか?


すぐに海に消えてしまうから、聞いた言葉は海に流してくれればいい。


「……っ」


視線を絡ませ、止まったままだった私たち。

その均衡を崩そうと彼の唇が言葉を紡ぎだそうとわずかに開くのが見えた。


(だめ)


「言葉を発してはダメ。人魚のあなたは声を失っているんでしょう?」


彼が言葉を発したら、この泡沫の時間と出会いははじけて消えてしまう。

彼が私の知る人でない私を否定する言葉も聞きたくなければ、敦賀さんだと認める言葉も聞きたくなかった。


だって、『敦賀さん』にはこの想いは伝えられないのだから。

童話の人魚姫は人間の姿を得るために大きな代償を魔女に支払った。美しい声を失い、愛しい人に愛の言葉を伝える術を失った。

想いを寄せる王子の側にいるために一歩ごとに突き刺さるような脚の痛みも享受した。


そんなお話を思い出して、彼の声を遮った。


「人魚のあなた。すぐに海に帰ってしまうことはわかってます。少しだけ… 私の独り言に付き合ってもらえませんか…?」

「………」


彼の美しい碧の瞳が戸惑ったように揺れていた。

でも拒否するでもなくそこに居て、じっと私を見つめている。


もう、あふれ出した想いは止まらなかった。


「会いたかった、逢いたかった…ずっと…」


声が震える。

この想いを口にする恐怖と、今だけはと思う気持ちと、言葉にできる喜びと…


「あなたに、逢いたくてたまらなかった…」


言葉とともにあふれた気持ちに、目が熱くなる。あっと思った時には手遅れで、瞳に集中した熱は滴となって零れ落ちていた。


「………」


彼は無言で、波をかき分けこちらに近づいてきた。水面にゆったりと揺れていたシャツが陸に上がった彼の体に張り付いて、美しいシルエットをかたちどる。


「陸に上がっちゃダメ…」


きっと歩けばそのきれいな顔が痛みに歪んでしまう。

逢いたくて、近づきたかったくせに近づかれたらこの醜い思いも、すべて開かれてしまうという恐怖も急にこみ上げた。

もう顔を上げていられず、自分の足元に視線を落とした。ぱたりと頬を滑り落ちた涙の滴が足元の砂浜に落ちて、白い砂浜に黒い斑点を作る。


「ごめんなさい、ホントはあなたじゃないの。でも本人には言えないから…、あの人に似ている人魚のあなたを身代りにしてるの…」


立ってもいられず砂浜にへたり込んだ私の耳に、砂を踏みしめるわずかな音が耳に届く。


「だめ、海に帰らなきゃ…」


我ながら矛盾している

彼が『敦賀さんじゃない』から、身代りにこの想いを吐き出したのに

彼がすぐに私の前から消えてしまうから口にできたのに


さく、さくと砂浜の上を歩く足音が近づいてきて私の前で止まった。ちらりと砂浜を見れば、濡れたジーンズの裾からきれいなつま先が見えた。




「……最上さん」


降ってきたのは、ずっと聞きたかった声。

でも今は聞きたくなかった、敦賀さんの声。


日本語で、しかも名前を呼ばれればもうチェックメイトだった。

敦賀さん本人であることを認められてしまえば、この想いはもう迷惑以外の何物でもない。


「身代りって…だれの?」

「……しゃべっちゃ…だめって、言ったのに……っ」


すっとしゃがみこまれて、あげれない顔に濡れた大きな手が触れた。

頬を包まれて、ぐいっと上を向かされる。目を合わせられなくて、きゅっと目をつむった。


「教えて?『俺』は君の知っている『誰』の『身代り』?」

「………知り…ません…っ」


視界を閉ざして声だけ聴いていれば、本当に彼が敦賀さんなのだと実感させられる。

頬を包み込まれてきっと至近距離で覗き込まれているのがわかったけれど、目を開けることがどうしてもできなかった。

瞼や頬に感じる吐息が、ふと笑みのようなものに変わった。


「そんな顔で目を閉じてると、キスを強請られてるみたいだね?」

「…なっ」


その台詞に思わず、目を開けてしまった。

くすくすと笑う、見慣れない碧眼ときらきら光る金髪の美貌が視界に飛び込んできた。色彩は違えど、やっぱり敦賀さんだと確信してしまう。


「ね、教えて?教えてくれなければ…そうだな、このままキスしようか」

「……っ」


ひどい仕打ちだと思った。

でも、このまま悪戯にキスでもされたらこの想いを自覚した私はどうなってしまうかわからない。


「………つ…」

「…ん?」


どうにもならなくて正直に白状してしまった方がいいだろうか?

きっと役者としてちゃんと割り切れる敦賀さんは、きっとここで私を軽蔑しても妹を溺愛するカインは完璧に演じれるはず。


「…敦賀さん、…です…」


思い切って口にはしたが、怖くて敦賀さんの顔を見れない。

顔を覗き込まれて逃げ場のない私は、自分の意思とは関係なくあふれ出す涙に助けられる。

涙でぼやけて、敦賀さんの表情が見えない。




「………反則だよ」


長い沈黙の後、呟くように漏れた敦賀さんの言葉を脳が認識する前に唇が塞がれた。

かつて頬に感じた柔らかい感触が、唇に触れている。


「……んぅ」


驚いて声を上げようにも塞がれた唇からはわずかな音が漏れただけだった。

触れてるのが敦賀さんの唇で…


キスされていることを認識して頭はパニックだったが、それすら長い口づけと奪われ続けた呼吸でだんだんと訳が分からなくなる。


「はっ…」


ようやく解放されて空気を吸い込めば、なぜだか嬉しそうな敦賀さんの顔が目の前にあった。


「ひどい、ですぅ…」


悪戯にしては度が過ぎている。


「わ、私…ちゃんと言ったのに…、キスするなんてヒドイ」

「最上さんの方が酷いよ」


なじる私に対して、敦賀さんはずっと嬉しそうな笑顔だった。




「最上さんは好きな人とキスしたくはないの?俺はしたいよ」


「………え?」


聞き違いだろうか?敦賀さんは何と言った?


「片思いしていた最上さんから好きだなんて言われれば…ね」



破顔と言うに相応しい神々しい笑顔の敦賀さんに対してきっと私は超が付くほど間の抜けた顔をしていたのだと思う。



やっと完結しました!『真夏の海のA・B・C…D』

これで肩の荷が下りて連休に臨めるわ~~!


長らくお付き合いいただきましてありがとうございました!

そして、リクエスト主のぼの様!

すんごい時間がかかってしまって申し訳ありません!!22222ヒットっていつだよー!!!

っていうかもう秋だよー!!!


さてと、あとがきという名の言い訳タイムです。いいワケしか書いてないので興味ない方はバックプリーズ!

今回のリク、ぼの様からはレスキューな蓮様がキョコさんに一目惚れして押せ押せアタックしてゲットするお話(…でしたよね?確か…汗)とのことでした。

・・・・・・お題から見事にずれてますね!ま、そんなところも私クオリティ☆

街中で見かけた細マッチョなレスキュー隊員さんを見かけたぼの様からのリクエストでしたw


リクをいただいてレスキュー???と思った私。

思い浮かんだのはプールの監視員さんでしたw最初はプールで行こうと思ったのですが、さすがになぁと思って似たような感じで海水浴場でのライフセーバーに置き返させていただきました。

とはいってもライフセーバーの仕事ってよく分からん…。な、私なので蓮さんが肉体美を晒して仕事する風景はほとんど描写できずじまい。

蓮さんの水着(あ、ヤッシーもw)がぴちぴちビキニなのか、ハーフパンツタイプなのか…そこは皆様の想像にお任せします!


レスキュー→人工呼吸とか?それってチューよね?調子乗った蓮さんがディープとかどうよ??と頭の悪い妄想をして出来上がった話です。とはいえ、オチは付けました。

キョコさんが蓮さんへの誤解?を改めて惹かれていく課程がこれでいいのか?と迷いながらでした。エピソードの大盛りカレーライス事件は実は人様から頂いたアイディアでした。ネタ提供ありがとうございました!

20話も引っ張った癖に、こんなつまん無いオチ、あーんどキョコさんからは正式告白なし!

そして結局絡みはチュー止まりwww(いや…ほらね、ABC…Dってなってるので皆さまの連想するABCじゃなくてよ??)



よく考えたらこれ………

………石投げられて大怪我もの!じゃないの!?と、16話辺りから(遅いよ…)ガクガクブルブルしてました。


当初10話程度にまとめたかったのですが、やっぱり伸びる。

(まあ、脳内でキョコさんが溺れて助けられてベロチューされるまでで1話、と考えていたので分割するとこんなもんか)

連載が滞って止まるのおそれて当初後ろから書きはじめ、ホントは8月にラスト3話は出来上がってました。んで脳内で話の流れはくみ上がっていたので、続けて書いていけば毎日更新で9月頭には終了できるんじゃ無いかと見通しをつけて最初の3~4話を書いてからアップに踏み切ったのですが…


見事に止まりました…!orz

途中企画参加にうっかりほいほいして、そっちで思い悩んだりもしましたけれども結局のところ自分のカタカタするやる気が薄かったのが一番です。


ラスト3話になっても先日愚痴った事もあり、伸びた話の内容とすり合わせて修正するだけでアップできたはずの18、19、20話のアップも遅くなってしまいました。申し訳ありません…。もう以前の勢いなんてどこにもありませんね、幻だったんだな、あれは・・・。


そんなわけで懺悔と謝罪ばかりの連載となってしまいましたが無事完結までこぎつけました!

コメントもたくさんいただいて…とっても感謝しております。


この後は…Mondlandshaftの修正で地中深く潜ることになりそうです。どーすんだ、収集付かないぞアレ!

無謀に連載をはじめない!と更なる学習をしたこの夏でした・・・・

ぼの様のリクエスト作品になります。蓮さんがかなり性格違います。スマートで紳士な蓮さんがお好きな方はご注意ください。


最終話になります。ここまでお付き合いいただいた皆様に感謝です!

そして、リクエスト主のぼの様!こんなところまで引っ張ってしまって申し訳ありません!


これまでの話

真夏の海のA・B・C…D                   10  11  12  13  14  15  16  17  18 19



真夏の海のA・B・C…D -20-



まだ気温の上がりきらない午前のビーチを目の前に臨む、ビーチ側のホテルのエントランスの先。

特設の会場にキョーコはいた。


「今日皆さんにお話するのは、一次救命…専門的な道具が何も無い状態でも行える Basic Life Support (ベーシック ライフ サポート)…BLSについてです。」


会場は数人のグループに分かれた参加者と、そこに無機質な人間の上半身のみの人形が横たわっている。そう、自動車を運転する者なら一度は目にしたことがある…運転免許取得時に自動車学校で目にするあの人形だ。


「以前は一時救命は分かりやすくABCと言われていました。A…AIRWAY(エアウェイ)気道確保、B…BREATHING(ブリーシング)人工呼吸、C…CIRCULATION(サーキュレーション)心臓マッサージ。分かりやすくA・B・Cの順序で行うことが推奨されてました。しかしこれはガイドライン改訂前に言われていたもので、現在では一般市民が行う場合は人工呼吸より優先するのは血液の循環…要するに心臓マッサージの方が優先です。救急車なり医療従事者が駆け付けるまであいだ、とにかく心臓マッサージをしていただいた方が救命率が高いです」


(…………敦賀さんが言う『B』ってこのことだったのね)


苦々しい顔でキョーコは説明を聞きながら、この夏に経験した出来事を思い返していた。

「そもそも何も道具が無い状態で行う人工呼吸は、皆さんもご存じのとおりマウストゥマウス。救助者が対象者の口を自分の口で覆って息を吹き込む行為です」


その説明内容に会場が僅かにざわつく。端々でクスクスと笑ったり、「やだ~」などと小さな声が聞こえてくる。そのざわつきがキョーコの眉間の縦皺をより深くさせる。


「皆さんも恋人ならまだしも見ず知らずの人にするには抵抗があるでしょう?口腔内は粘膜ですので、感染予防の面からも道具がそろっていない中では無理にしなくてもいいです。もし人工呼吸を行うならこのようなフェイスシールドを利用したり、器具がそろっているならアンビューバックというこのような道具を使用するのがベストですが…まぁ救命訓練を受けけた専門の者や医療従事者に任せた方がいいですね」


講師の手の中には救助者の口に当てて使うビニールのシートや、あの日遠目でキョーコが目撃した楕円の風船が付いた妙な形のマスクがあった。あれも人工呼吸に使用する道具らしい。

キョーコは恨めしそうな顔で、目の前で解説を続ける講師の社をジトリと睨んでしまった。

そう、社にはまったくの非もなく完全にとばっちりなのだが。

沢山の受講者の中、そんな表情で自分を見るキョーコと目の合った社は困ったような表情を一瞬見せたが、小さく咳払いをしてキョーコから目を逸らして講習を続けている。


「とにかく心臓マッサージで血液の循環を保つのが早道です。脳に血流が行ってなければ、いくら人工呼吸で酸素を吹き入れても意味がありません。一般市民の方は心臓マッサージだけでOKです」


的確な説明に、頷きながら耳を傾ける受講者たち。理由もわかりやすく、手振り身振りを交えて解説する社にキョーコは感心しつつも、苦虫を噛み潰したような表情を元に戻すことはできなかった。


今日はLMEホテル主催の社会貢献事業の一環である安全講習の開催日。

午前中の手の空いた時間だったためさくらよろしく駆り出されたキョーコは、講師役の社の説明内容に自分の身に起きた事柄や、この前の失態を思い返して苦い顔をするしかない。


「更にABCの話で言うとD…Defibrillation(デフィブリレーション)除細動は非常に有効です。最近は街中でもAEDという機械や表示を見たことがあると思います。一般市民でも使えるように箱を開くと音声案内で指示をしてくれるのでそれに従うだけでOKです。電気ショックが必要かどうか機械が判断してくれるので、迷うよりとにかく使うことが重要です。倒れた人を発見したらまず119番、人を集める、そしてAED持ってきて!と言っていただければ花丸です」


社は手の中の30センチ四方の厚みのある取って付きの箱を示して説明を続けている。確かに街中と駅とかいろんなところで見たことがあるような無いような・・・。


「AED到着まで、心臓マッサージを行ってください。『分からない』その状態で使うこと自体がAEDの意義につながります。初期の対応が適切なら救命率…ただ命が助かるだけでなく後遺症の少ない救命の確率が格段に上がります」


社がそれはあの日、蓮とともに救命活動を行っていた社が手に持っていたものと一致する、とキョーコはぼんやりと思い出していた。


「では各グループで心臓マッサージの方法、AEDの使い方について説明しながら実践して見ましょう」







キョーコがそんな講習を受けた、まだ暑い午後の昼下がり。


いつものように休憩時間にやってきた蓮の襟ぐりを掴んで、キョーコは食って掛かった。


「敦賀さん!なんで私を助けた時に人工呼吸なんてしたんですか!聞きましたよ、しなくてもいいはずの事してたなんて、あなたプロでしょう!?」


いつもなら距離を取られるのに襟を掴んで引き寄せられ、キョーコの吐息がかかる程間近に接近されて蓮は嬉しそうに顔を綻ばせた。


「な・に・を!!笑ってるんですかっ!こっちは真剣なんです!!」


この前はキスにだって応えてくれたのに、とキョーコの剣幕に内心苦笑するが先ほどのセリフの内容にすっかり把握するのが当たり前となったキョーコのスケジュールを蓮は頭の中でなぞった。

キョーコは今日の午前中、社が講師を務めた安全講習に出ていたはず。一見全く見えない話の内容も蓮にはそのスケジュールから合点がいった。


「社さんの安全講習受けてきたんだ」

「そうですよ!社さんがその中で人工呼吸はしなくていいって言ってたんですから!やるんなら心臓マッサージなんでしょう!?」

「キョーコを助けた時、脈はしっかりしてたんだから心臓マッサージは必要なかったんだよ?」


それとも触って欲しかった?胸の真ん中…と、艶めいた声とともに蓮の手がキョーコの胸元を指差した。食って掛かったため距離が近い自分の胸元に指先が触れそうなほど迫って来ているのを見つけ、キョーコは目を見開いた。


「け、けけけ結構ですっ!セクハラですかっ!!」


キョーコはぱっと手を離し素早く後ろに後ずさると、シャツの胸元の合わせをギュッと握りしめた。

キョーコのことを名前呼びする蓮に、2人を知るだるまやの常連客にざわめきが起こるがキョーコはそれにまったく気が付かない。いや、そもそも名前呼びされていること自体に気が付いていない。


「そう?残念」


クスリと艶めいた笑みを口元に乗せた蓮の指先がふわりと宙を撫でる。普通の女性なら思わず見入ってしまうような仕草にキョーコはきゅっと唇をかみしめた。


(このぉ…)


「そうじゃなくて!どうしてしなくてもいいはずの人工呼吸を…っ」

「むしろ俺は一般人じゃなくて専門職でしょ?」


ライフセーバーなんだからという蓮にキョーコはそういう意味でもない!と叫ぶ。


「じゃあ、何?」


さらりとさわやかな笑顔を向ける蓮に、キョーコはきっと蓮を睨む。


「だったら!私の時だってあのなんちゃらって道具を使えばよかったじゃないですか!常備してあるんでしょ!見たんですから、社さんがそれもって駆けつけてたの」


今日見たばかりのアンビューバックを指して、キョーコはじりじりと蓮と距離を取りつつも言葉はあいも変わらずギャンギャンと蓮に噛みついていた。


そもそも最初に助けてくれた時に正規のやり方でしてくれればあの時あんなことには…とぶつくさと呟くキョーコ。

そんなキョーコの様子に、蓮はキョトンとして見下ろしていたがキョーコが言わんとしていることを理解すると、含みのある笑みを口元に浮かべた。


「……だから言ったでしょ?『役得』だって」


言われた言葉の内容がすぐにはピンとかないキョーコを蓮は手早く引き寄せると、キョーコが反応して抵抗する前にチュッと唇にキスを落とした。


「…っ、…んなっ……!!」


あまりの早業に一瞬何が起こったか分からなかったキョーコは、離れていく蓮の唇を目にことでついさっき感じた熱はこれだったのかとそこでやっと認識し、一瞬キョトンとした後にカーッと耳まで一気に赤くなった。


「俺のココはキョーコ専用だから安心して?」

「なっ、なっ、なんでキョーコって呼び捨てなんですか!?この前まで最上さんだった癖にっ!」

「だって俺を受け入れてくれただろう?なら恋人同士なんだから当然だろう」


なにを今更と言わんばかりの表情の蓮。

キョーコが文句を言おうと口を開きかけたが、蓮はキスしたばかりの柔らかな唇に自分の指先を押し付けて、蓮は神々しく微笑んだ。


「BLSでは『B』の関係だけど、俺はキョーコと別の意味でそれ以上になりたいな」


素晴らしい笑顔でそう言い放ったのは、黙って立っていれば寄ってくる女が後を絶たない美貌のライフセーバー。

俺はいつでもCでも、DでもOKなんだけど?と蓮は表面上は爽やかな笑顔で嬉しそうに続ける。


…なのだが内容としてはキョーコに体の関係を強請る内容で、砂を吐くほどの二人のやり取り…正しくは一方的な蓮の言動に慣れている常連客も思わず吹き出した。


「……Dでもって…」


キョーコの返しにも『いや違うだろう!』と周囲の人間は心の中でツッコミを入れる。


「Cの先だから…そうだね、俺をパパにしてくれると嬉しいけど?」


いろいろとすっ飛ばして理解不能なことを言う蓮に、ようやく蓮の言った意味を正確に理解したキョーコはフルフルと震えながら涙目の上目づかいで睨むという蓮を喜ばせるだけの仕草を無意識に取っている。


「もちろんその前に結婚してほしいけど、そっちが先でもいいよ?」


素晴らしい笑顔でそんなことを口にする蓮。


キョーコは胸の前で拳を握りしめて力いっぱい叫んでいた。


「もうっ!破廉恥です~~~!!敦賀さんのバカ――――!!!!!」


だるまやが揺れるほどの大絶叫に蓮は懲りた様子もなく微笑んで、逃げるキョーコを捕まえるとその腕の中に閉じ込めた。




FIN

ぼの様のリクエスト作品になります。蓮さんがかなり性格違います。スマートで紳士な蓮さんがお好きな方はご注意ください。


これまでの話

真夏の海のA・B・C…D                   10  11  12  13  14  15  16  17  18


真夏の海のA・B・C…D -19-



耳に届く救急車のサイレンが小さくなっていく。

その音を聞きながら、キョーコはもう誰もいない護岸に目を向けたまま茫然としてその場にへたり込んでいた。


思わず発せられた叫び。


蓮は驚いたように一瞬目を向けたが、すぐに救助した女性に向き直り心臓マッサージを始めていた。直後に救命道具を持って駆け寄る社が楕円の袋のついたマスクを女性の口元にあてながら、女性を取りかこんだ野次馬に持ってきたカバン預けて何かしら指示を出しているのが聞こえた。


目の前で展開された人命救助と、人の生死の狭間の衝撃的な場面。

救助された女性は要請した救急隊に引き継がれ、女性を乗せた救急車は病院に向かって走り出した。救急車のサイレンが聞こえなくなる頃、ざわついていたビーチも元の賑わいを取り戻しつつあった。


(………わたし、何を考えたの?)


まだ指先は震えていた。

震える指先でキョーコはそっと自分の唇をなぞった。







「……最上さん?」


いつまでそうしていたのか、降ってきた声にキョーコが顔を上げると潮に濡れた髪はそのままに、パーカーを羽織った蓮がキョーコを見下ろしていた。

濡れて束になった前髪の間から、切れ長の瞳がキョーコを捉えている。未だにわずかに震えているキョーコの指先に気が付いた蓮は、安心させるように優しげな笑みを浮かべた。


「大丈夫?」


戸惑うようなキョーコの視線が蓮の上を彷徨う。

いつものような警戒した様子がないことを感じ取って、蓮はビーチにへたり込んだままのキョーコの隣に腰を下ろした。

触れた肩がピクリと小さく跳ねたが、蓮は今はこのくらい…とそのままキョーコを抱き寄せた。いつもなら「結構です!」と突っぱねるだろうキョーコがおとなしく震えたまま腕の中に納まっている。


「怖かった…よね?目の前であんな風に人が溺れたりするの見れば」

「………」


キョーコは黙ったまま、蓮の腕を拒否することもなく今度は俯いていた。

そんなキョーコの様子に蓮は安心させるように大きな掌でキョーコの肩を擦る。


「大丈夫。脈も呼吸も戻ってきてたし、大きな病院でしっかり診てもらえるはずだから」


(………そうじゃない)


自分を落ち着かせるための蓮の手の温かさにキョーコの胸が締め付けられる。こんなにも利己的で自分勝手な自分がいたことに、キョーコは恐怖していた。


(私…人の命がかかってるあの場面で何を考えていたの?)


「最上さんも溺れたことあるから思い出して怖かった?大丈夫だよ」


黙りこくったまま小さく震えるキョーコを蓮が抱きしめる。いつもと違う様子のキョーコにことさら優しい声音で蓮の声が降ってくる。


抱きしめられて、遠慮がちに額にキスを落とされて…。まるで怯える子供をあやすような、その優しさが今は苦しい。


キョーコはそこでやっと凍りついたままだった唇を動かした。


「違う…」

「ん?」


蓮はキョーコを抱きしめて、潮風で少しごわついたキョーコの髪に頬ずりしたままキョーコの言葉の続きを促した。聞き返してきた蓮の声が振動となってキョーコの中に響く。


「違うんです」

「なにが?」


一度収まりかけたキョーコの体の震えが、また少しずつ大きくなる。


「こ…こわかっ…た…」

「…うん」


(怖かった…そんなことを考えた、『自分』が…)


体の震えとともに、キョーコの声も震える。

涙交じりに変化した声に、蓮はそっと腕の中のキョーコを覗き込んだ。目を伏せてはいたが震えるまつ毛に涙の水滴が膨らんでいるの見えて、蓮はそっとキョーコの頬を両手で包み込んでいた。


「泣かないで」


顔を見られまいと弱々しく頭を振るキョーコのささやかな抵抗を無視して、瞼の際に膨らんで零れ落ちそうになっている雫をそっと舌で舐めとった。

塩辛いはずのそれなのに、蓮の舌に甘く感じたキョーコの涙。

蓮はこんな状況なのに、と苦笑した。


「…ゴメンね。君は辛いのに、俺は嬉しくてたまらない。…期待しても、いい?」


いつもの君なら、こんなことを俺に許しはしないだろう?と泣き顔のキョーコに対して、蓮は少し自嘲交じりにそれでも柔らかくキョーコに微笑んでいた。

そんな蓮に、キョーコは更に追い詰められる。


「…優しく…しないで。私っ…そんな資格っ、ない…っ、で…す…」


蓮の言葉に、さっきから降ってくる蓮の『唇』に、キョーコの涙が止まるどころか更に溢れ頬を伝ってぱたりと砂の上におちた。


「優しくしたいのは俺の勝手。君に振り向いて欲しいから…俺の下心だよ?資格なんて、そんなの元からないんだ」

「ちがっ…違うんです…。わたし…っ」


蓮の表情に、キョーコの涙と溢れた懺悔は………もう止まらなかった。


「人の…っ、人の命がかかってるのにっ!敦賀さん、のっ、お仕事なのに…っ…!!」


蓮は救助した一瞬、キョーコから発せられた叫びを思い出していた。

『ダメ!』と自分を制止した言葉の真意に期待して…


「私にしたのと、同じように…、敦賀さんが………」

「…うん」


キョーコのその先の言葉に期待する蓮は甘い声でキョーコに続きを促す。

腕の中で震えるキョーコの動きが少しずつ大きくなる。


「つ…敦賀さんが……っ、…人工呼吸でっ、触れると思ったら!嫌だっ…た…!」

「…うん」


嗚咽交じりのキョーコの背中を蓮の手がゆっくりと撫でる。

子供の癇癪を宥めるような、そんな仕草にキョーコの口から迸る言葉はいつの間にか、怒りに変わっていった。


「……嘘つきっ!私だけって…私だけって!言った癖に!!」


その激情すら、蓮にとっては甘い言葉だった。

力なく、蓮の胸をキョーコの拳が叩く。そんなキョーコを見る蓮の表情は驚きから泣きださんばかりの破顔に変化していったが、涙に暮れて蓮の胸の中で暴れるキョーコはそれに気づかない。


「…っ、…こんな自分…大っ嫌いっ!!!」


最後に向かった怒りの矛先はキョーコ自身。


まるで八つ当たりをするように、大きく振りかぶった両拳がドンっ!と蓮の胸板に叩き落される。それをなんてことないように受け止めて揺らぎもしない引き締まった体躯に、ぶつけ様のない感情がキョーコの中に渦巻いていた。


思い切り叫んで、八つ当たりして、わんわんと泣きだしたキョーコを蓮はただただ甘やかな表情で抱きしめたままで…


キョーコの泣き声が、小さな嗚咽に変わるころ。

蓮はキョーコの涙でくしゃくしゃの顔を覗き込んで囁いた。


「嘘なんて言わない。君だけだよ…」


包み込んだ指先で涙を拭って、その指先でキョーコの唇をなぞる。

腫れぼったい瞼と赤い顔に、愛おしさが込み上げてどうしようもなかった。


「………触れていい?」


きゅっと瞬きしたキョーコの瞳から、瞼にたまった涙が雫となてポロポロと零れ落ちる。
蓮はキョーコの答えを待たずに、そっと近づいた。




触れた唇と絡んだ舌は熱くて


涙と潮で


少ししょっぱかった


注意!愚痴です。

※10/7 いろいろと誤解を招く部分もたくさんだったので追記あります。

しかも最近愚痴るようになったアメンバー申請ついてです…←またかよー

そしてかなり黒いです、攻撃的です。うさぎちゃんハートの方は読まない方がいいです。心停止しても、心が痛くなっても知りません。


これから申請を考える方、一度私に拒否されている方に読んでいただきたいかな、とは思いますが

すでにアメンバーになっている方、限定記事に興味のない方はバックプリーズ!!


吐き出したいだけなんです、ゴメンナサイ。

苦情・クレーム、質問等は投げかけてくれて一向に構いませんが、こんな内容で不特定多数の方の目に晒すのには難しいものも含まれるかもしれません。

そんな内容なのでコメントは受け付け設定のままですが、いただいても公開&返信はしないかもしれません。

そしてもしかしたらある程度したら削除するかも。(かもしれないという不確定表現ばかりで申訳ないですが…)


読んでからの、ショックに対する責任は負いませんのであしからず。

いいんですね・・・??


良い方のみスクロールしてお進みください。

薄いグレーで表示します。PC派の方、読みづらければ反転してくださいませ。























さて、女神様の協力の元、アメンバー申請に至るまでの道順を可能な限りの工事して整備いたしました。

そのおかげか、だいぶメッセージなしの申請は減りまして…。皆様『アメンバー申請について』の記事に目を通していただけてるんだなーと安心していました。



駄菓子菓子



いえ、だがしかし


9月の本誌感想の頃より、1か月半ぶりのスキビ掲載号&単行本発行の影響でアクセスが爆発的に伸びたこともあると思いますが…

申請数が増えると目立つんですよね、承認できない申請とかメッセージが・・・。

もともと申請なんて少ないのでたまに残念なメッセをいただいても『ごめんねー、あなたには限定見せたいと思えないんだわ』程度でぽちりと拒否ボタンを押せたのですが、分母が増えるとですね…またか、とか、残念なのが続くとちょっと後ろ向きな気分になります。





……ごめんなさい、柔らかい表現にしようかと思ったのですが↓


悪い意味で笑っちゃったり、腹が立ったりしますw←超本音



私、粘着質で悪い意味でしつこい面もあるので、いらっとするとこの人どういう人?とか思ってその方のところ見に行きます。

もちろん承認前に年齢確認でプロフは確認しますけどね。それ以外にアメンバー承認してもらっている作家さんがいらっしゃるかとか、どなたの読者なのか(相手に知らせず読者になるの読専さんは結構いるので主になうのフォローを同時にしてる方が多いのでなうのフォローを見ます)

↑まあ、アレです。読み専門でプロフ入力ナシでメッセ以外情報が無い方とか、内緒でアメンバーになる選択と思わしき趣味と切り離した日常ブログの方とか、そういった方からの申請だとスキビ好きサンかどうかすら判断できないのでチェックするようになったのが始まりです。メッセに一言、身バレ防止でスキビや二次に関する表記は何も書いてありませんー、と怪しいものではありません!的な自己紹介が入っていれば安心できるのですが。


…そんなの見る気も起きないくらい、やな気分になって頂いたメッセも削除してお名前すら思い出せない方が多いですけどね、ホントのところは。


でね、見れば見たでまた腹を立てたり落ち込んだりするわけです。

私よりも申請の厳しい作家さんはたくさんいます。べつにどなたのアメンバーの座をゲットしているかが、私のアメンバー承認の材料になることはありません。ただ気分の問題なのです。

でもね、そんな厳しい作家様に承認を頂けるような…ちゃんと常識的で丁寧な、気持ちの伝わるメッセージを書くことができるはずの方が、『私にはこういう態度なのね』とか、落ちてる時には思っちゃうんですよ。

↑一部誤解のあることろも分かってます。

一言メッセージでの申請時代の方とか、そのサイトさんが二次活動初期アメンバー申請の規定をまだ整備してないころのアメンバーさんとか…。でもそういったサイトさんでもアメンバー申請について規定を整備してからは注意喚起もしっかりしてますし苦言も呈してます。

だからこそ、そういった方々のアメンバーである方に対しては、一度アメンバーになったからってそういった注意喚起を丸無視して作品だけ読み漁ってるんじゃないか?(そういう記事読んでたら私ががっかりするようなメッセは書かないはず…)って、マイナス印象しか持ちません。←超ネガティブ&救いようのない不親切思考回路


……要は、その方への印象が悪化しますw

どなたのアメンバーになっているかはウチの承認の材料にはなりませんが

リトライの時のハードルを上げる材料にはなります


お心当たりのある方で、まだ当ブログの限定記事を読みたい…けど…思っている方へ ←いるのか?

承認されなかったことを知ったり、この記事を読んだりすると

きっと『しまった』とか『失敗した』…等、居心地の悪い思いをしているでしょう。(…っていうかそう思わなかったらアウトw)

私のトリ頭が名前を憶えているうちに(悪印象が薄まらないうちに)リトライ申請をされるのであれば、誠意を示した方がいいです。(どう示すかはご自分で考えてください、大人なんですから)


逃げたいチキンハートだけど、限定も読みたい衝動をお持ちの方は時間をおいてから初めてですってふりして申請してみたらいかがですか?


申請を拒否すると申請待ちからお名前が消えます。メッセージも私は承認できないと削除しちゃうことが多いですが、少なくとも2カ月経過すると保存期限を過ぎるので自動削除されます。

メッセなければ3時間で拒否ボタンを押してお名前は消えてしまいます。印象に残ってなければ、名前すらよく覚えてません。プロフ写真がノーイメージならなおさら。

あとは私のオツムが覚えているか否かだけ…。余程強烈な印象が無い限り、頭悪いんでそんなに人のお名前覚えていられませんw


現にアメーバのシステムを理解する前に、うちの申請条件を確認する前にぽちっとアメンバーになるボタンを押してしまったアメーバ初心者さんで正直にも、以前ボタンだけ押してしまって…と改めての申請メッセージで白状してくる方も複数いらっしゃいましたが…全く覚えていませんでしたw

言わなきゃ分かんないのに、正直な方々…

でも初心者さんなら、そう言って改めての申請で確認不足でしたと頭を下げていただけると普通に常識的なんだなーと思うだけです。初心者さんならいつまでも怒っていたりしませんよ?そこまで鬼じゃないのでw



後はですね…きっと気が付かないだろうから

ちょっとだけこんなこと書いてあると、こう思いますよーってのをあげてみます。

(ホントは成人女性が対象なので、こんなことは書きたくないのですが…)

ちなみに私はアメーバがメイン活動の場なのですでアメーバでの話をしてますが、別サービスのブログやHP形式のサイトさまでも裏パス請求を受け付けているところは共通するところがあるはずです。イチスキビ二次ファンの叫びと思っていただければ幸いです。


条件2について。

メッセのタイトルや、書きだしの文章に

アメンバー申請について、とかアメンバーの申込みとか用件は書いてあった方がいいです。

ついでに、初めまして等挨拶は必須…ですよね?簡単な自己紹介は必要だと思います。


アメーバに登録したお名前と、メッセ内で名乗っているお名前が違う方がいらっしゃいます。←どうなのよ…とね。プロフの名前じゃなくてアメーバIDで名乗る方もいますけど、まあそれはまだましか。

うっかり本名名乗っちゃったって感じでもなければねぇ…ちゃんと統一したらいかがですか?

だって自己紹介した名前と付けてる名札が違うんですから、あんたダレ??と不審感いっぱいです。


言葉づかいとか絵文字使うなとか、あまり細かい事は求めてませんが年齢なり、その方のキャラクターが分かるかどうかとかそういった印象は重要視します。

年齢証明でおおよその年代はみなさん書いてくれるので、20代前半の方のメッセは「若い子ね~」って感じる言葉づかいですし、年上の方であればその年齢相応なイメージを持っているのでそこから良くない方にずれを感じると辛口判断になるかもしれませんね。(成人したお子さんお持ちなのにこれか―…とか残念に感じるケースがちらほら・・・)

ちなみに、沢山スキビ愛について書きすぎたりして、かえって失礼かも…?と思う方もいらっしゃるみたいですが、内容がOKであれば長文は一向に構いません。(別に長文で送ってくれと言ってる訳じゃないけどね)

そもそも…私自身が申請のお願いを出す時が、文章まとめるの苦手で長文アタックになるので、自分が受け取る側ならそこは気にしません。申請出した作家様からこんなに長文なのは久々とか初めて、とか言われること複数回の迷惑な常習犯です。


条件1の①、年齢表記も不足が多いです。

年齢証明エピをたくさん書いて欲しいわけではないので、ポイントだけでOKですが、確実に書いて下さいとお願いしてます。〇〇歳、主婦・大学生・社会人…じゃNGですよー。理由は分かりますよね?申請案内の例文丸写しでも一応大丈夫なのですから…。

ここは申請条件をちゃんと読んでない=申請案内を重要視してないんだな、と感じてしまします。

申請案内の中に、ガッツリとキツイことを書いている私とは温度差があるんだー…ふ~ん…、←こんな感じです


条件1の②

まあ、読み来て申請メッセをくれるくらいなのだからぶっちゃけなくてもいいのかもしれませんが…。スキビ大好きです!だけじゃダメですよー


条件1の③

宛先間違いは最悪ですよ…。私も大ファンの方の熱烈な感想を送ってもらっても『うんうん、そうよね!そこは分かるけど…!!!』と苦笑しかできませんwいや、わかりますよ?先方の作家様、私もストカするくらい大好きですから!と感想には共感できますが、印象は最悪です。(っていうかお相手のサイト様に超失礼でストカファンな私は怒りで震えます…)

そもそも、作家様、サイト様をしっかり確認してない、メッセージ作成の時に申請条件の記事を照らし合わせて確認してないのがモロバレです。

夢中になってたくさん読んでると『あのお話!どこのサイトでどなたが書いたのだっけ??』

と頭が飽和状態になるのは分からんでもないですが…←私も申請とか出さずに読むだけだった初期、たくさんスキビ二次読みすぎでそうなったw

分かります、作品タイトル・内容・サイト名・作家様のお名前…すべてが一致して覚えるのが難しいんです。

……でも限定を読みたい!と申請を出す時くらい、ちゃんと照らし合わせて確認しましょうよー。


申請メッセを書く時に緊張しないんですかね?読みたいと思うならファン心理なんでしょう?そんな好きな作家さんに失礼を働かないよう、注意しませんかね?仮に悪印象もたれたらヤダ!とか思わないの??

…私自身、アメンバー申請をお願いするときには常に上記のような感覚でメッセを書いてます。うっかりモノなんで、送信した後に激しい誤字に気づくという失態はよくやりますけどね…。←そりゃもう二次SSでも誤字わんさかw

私だって申請メッセに不備があって承認降りずにリトライとかやったことあるので、居心地の悪さもわかります。でも失敗して、お相手の作家様に嫌な思いさせてそのまま放置の方がずっと失礼じゃないですか?『先日の申請では不備があり大変失礼いたしました、リトライの申請をさせてください』くらいは私も書きますよ?


↑私のやり方を見習えとか、同じようにしろとか思ってはいません。その方のスタンスもありますし、私の考え方でも生ぬるい!1回でも誤字や挨拶抜けとかあったら即刻アウトでしょ?と思われる作家さんもいらっしゃるでしょう。

すくなくとも『私の場合』を例でかいただけです。どのようにしたいかはご本人が決めればいい事です。それを受け取った私は私の感覚で判断するだけです。




あとは、ちゃんと感想を…面白いとかすきだけではダメって明記してあります。

タイトルを書いて、これが好きです…もNGです。その作品のどこがどういう風に好きなのか。どう感じたのかが知りたいのです。

まあ、最終的には好き!面白い!にしかならん!とか思っている方も多いでしょう。…小学校の時書かされたであろう読書感想文を思い出してくださいね?この本は面白かったです!で先生は花丸くれますかね?

あとよそ様も言よく注意してますが、あらすじ解説はNGです。書いた本人ですから、良く分かってます。(人の解釈をみてなるほどーとかそうなるのか、と自分の表現の再確認にはなりますが)

ここは突き詰めると水掛け論になりそうなので、なんとなくでまとめますが…

私が感想じゃない!と思えば拒否だと思ってください。・・・ええ理不尽ですw


後は全体的な印象でしょうかね…?

上手く表現できませんが、なんか読んでていらっとするメッセもたまにあります。

何が、どう…と表現できないポンコツな自分の表現力不足感いっぱいですけど…。




なんというか…結局気分しだいで左右されることもあって申し訳ないのがあるんですよ。


上記でダメ―って書いてるような表記の方でも、機嫌がいいとOKしてたこともあるし。大したことじゃないのが少し気になって素直に承認ボタンが押せないときもあるし…。

(これ読んで青ざめたアメンバー様も多分いるでしょう…棚ボタラッキーだったんだな、とでも思ってください。よほどのことが無い限り、一度許可した申請を拒否することはありません。読み専門でコメントとか残さず、活動が全く見えない方何て特にそうです。ただ、私に対してや私の尊敬する作家さんのところやスキビ二次を楽しむ方全体の迷惑になっている様な行為を見れば、不信感は沸きますよ?そして自分のアメンバーさんであれば、ネガティブな感情を持つかもしれません…)


以前のAさんはOKしたのに、似たような内容のBさんは拒否。それって不平等かな?と。

その方の申請直前に嬉しいことがあって上機嫌だからぽちっとOKしちゃった棚ボタ承認の方ももちろんいるし、残念拒否の人が続いているときにほんのちょっと…いつもならおまけでOKだせるメッセなのに拒否しちゃうこととか…。


まあ、100点満点でも60点でも『可』か『否』かしかないモノは仕方ないですよねぇ…。

微妙なラインの申請はそのことを考えて迷う事が多く、絶賛迷っている申請者の方に対してじゃなくて、以前に承認した方・拒否した方から見て平等かどうか、で悩んで時間を費やしてました。

後は初心者さんみたいだから仕方ないのかな…?とかうっかりで書き忘れただけかな?とかそう優しい方向に捉えようとしていたところもあるんだと思います。


最近はそうやって悩む時間も勿体無いのでメッセージの初見でOK!って思えなければ拒否というスタイルを取りつつあります。

それに伴って、また申請案内をちょこちょこ直してますので、リトライの方、これから申請をお考えの方は申請メッセ作成時に申請案内の記事を見ながら、メッセをしたためていただけると幸いです。



大分偉そうなことをたくさん書きました。何様だって思われる方も多いでしょう。

でもね、結局言いたいのは


アメンバーはなって欲しいと言っているわけではないのです。

私の文章を気に入ってもっと読みたいと言ってもらえるのは嬉しいですけどね。

もし読みたい方がいれば、条件を満たしてくれればいいですよ、と

希望があれば受け付けているというだけです。

読む側も書く側も金銭や報酬など即物的な利害やそれによる対価や義務が発生するものではありません。

お金をもらって書くモノでもないし、読む権利を購入するわけでもないんです。

読む側も書く側も自分の時間を自分の意志で使っているのです。趣味の世界なんです。



申請するのも読み手の自由ですので

許可するか否認するかは私の自由なのです


露出狂じゃないので誰でも彼でもベッドの下のエロ本は見せれません!←結局そこに行くのか―w



あとね、私に対してなら私の中の問題でいいのですが

同じような事態をよそのサイト様で働いて、その作家さんのモチベーションを下げたとします。


はっきり言って許せません!


こういったことが起きると私だったらストレスなんです。

ストレスがかかると、楽しみたい二次執筆のやる気を削がれます。

私の場合、こういった愚痴の駄文はたくさんカタカタできるのに、作品の文章はちっとも進みません。(脳内妄想はそれなりに進みますけど…)


仮に私と同じ現象が、他の作家様にも起こっているとしたら…


私も続きを心待ちにしている作家様方の素敵なお話…続きを書くモチベーションを下げる要因となっているのはとっても迷惑です!!!←結局自分が読みたいだけとう素晴らしくぶっちゃけた自分本位発言ですけど、本音なので隠しません!


大好きな作家様にはのびのびと、楽しんで二次創作の素敵なお話を書いて欲しいのです。

そして見せてもらえるのであれば見せていただいて一緒に楽しませてほしいのです。

行儀よく待てができないどころか、迷惑をかける方はスキビ二次ファン失格です、お帰り下さいませ。

与えたストレスを謝罪して、回復させるだけの対応ができない奴は


二度と来んなー!!ヽ(`Д´)ノ←リトライ認めると言ってるやつの発言じゃないw


※いや、私のトコ、じゃなくて私もファンのよそ様サイトでの話ですよ…?(汗)


はー…ちょっとすっきり!

ここまで気分を害することを読んでいただいてありがとうございました



ぼの様のリクエスト作品になります。蓮さんがかなり性格違います。スマートで紳士な蓮さんがお好きな方はご注意ください。


これまでの話

真夏の海のA・B・C…D                   10  11  12  13  14  15  16  17



真夏の海のA・B・C…D -18-




お互いに膠着状態に入った2人の間にも、時間は平等に流れていく。

その間も蓮は毎日だるまやに通いキョーコに甘い言葉を投げかけ、キョーコはキョーコであしらいつつも迫ってくる月末に定まらない自分の気持ちを蓮のその言葉に乱されていた。


そんな、クラゲも見え始めた8月半ば過ぎ。


『きゃー!!!』


暑さに誘われてクラゲなんてなんのその、まだまだ人の賑わうビーチに突如悲鳴が響いた。

(え…何?)


それは店内で接客中だったキョーコの耳にも届き、キョーコは思わず店の外…ビーチの方向を振り向いた。

店内で談笑していた客もただならぬその悲鳴にざわつき始め、ほとんどの客はキョーコと同様にビーチに注目し数人は何が起きたの確認しに席を立って店の外に移動してし始めていた。

ビーチでは同じように悲鳴を聞きつけた人がわさわさと動いているのが見えるが、一体何が起きたのか店内からでは伺い知ることができない。


表の騒ぎに来店客の動き。

どう対応すべきかキョーコが逡巡していると、店の奥から女将が声をかけてきた。


「キョーコちゃん、お客さんがこんなじゃこのまま接客もできないよ。何が起きたか見てきてくれるかい?」


調理中の大将は厨房を離れることができない。

厨房から顔をのぞかせた女将が、店内は私が見てるからとキョーコに指示を出した。


「はいっ!」


キョーコは出入り口に向かう客の波に紛れ、ビーチへと駆けだした。







騒ぎの元を確認すべく、人の動く方向に砂に足を取られつつ走る。

ざわつく衆人の注目が集まる方向に視線を走らせたキョーコの目が、海岸に張り出した護岸の上を走る長身の男の姿を捉えた。


(敦賀さん…!)


遠目で顔は見えないが、ライフガードの服装を確認するまでもなくそれが蓮であることがキョーコには分かった。救護所から遅れて何か色々と道具を抱えた社と思わしき人影がそれに追随するのも見える。

鍛え抜かれた肉体で足場の悪い護岸をものすごいスピードで疾走する蓮の姿に、ただならぬことが起きたと確信したキョーコの背中が妙なざわめきでゾクリと粟立つ。


蓮の向かう先には防波用に護岸から張り出した不安定な足場のテトラポットの列があり、その上で数人の男女が海に向かって何かしらを叫んでいる。


『きゃー!由美子っ、由美子っ!!』

『誰かっ!!早く来て!!』

『助けてくれ!人が溺れてる!!』


(海に落ちて溺れてる人がいるんだ!)


走って海に近づけば、叫んでいる言葉の内容が耳で聞きとれてキョーコは状況を把握した。

必死に海に向かって友人の名前を呼ぶ女性の声や、周囲に助けを呼ぶ複数の声が聞こえる。

数人の男女がいるその場所。そこはちょうどキョーコが以前に海に転落して蓮に救助された場所だった。


足が滑り視界が反転したあの瞬間

アッと思う間に水中に放り出された体

息苦しさと思うように動かせない手足と遠くなる水面がフラッシュバックし、キョーコの心臓はドクドクと大きく脈打つ。


―――溺水者が出た


騒ぎの現況を認識したにもかかわらず、そして自ら体験した恐怖を思い出しながらも、キョーコの足は止まらなかった。


視界の先、遠くで蓮が上着を脱ぎ捨てて護岸から海に飛び込むのが見えた。キョーコはそれを目にして、またしてもぎゅうっと心臓がつかまれたように痛かった。


(敦賀さんっ…!)


全速力で波打ち際まで走ったキョーコは、己の膝に手を当てていた。すぐにでも状況を確認したいのに、爆発しそうな心臓と息苦しさでギュッと瞑った目は開かず、顔は足元に向けられたまま。キョーコはすぐには顔を上げられなかった。


「はぁ、はぁ、はぁっ…」


なんとか息を整えて顔を上げると、視界の先で蓮が女性を海から護岸に引き上げるところだった。


(良かった…)


ホッとしたのも束の間だった。

引き上げられている女性はぐったりとしており、自ら手足を動かす様子も見受けられない。その様子に、安堵に緩んだはずのキョーコの表情が強張る。


『由美子っ!由美子ぉっ!!』


友人と思わしき女性が半狂乱になって女性の名前を呼んでいるのが、距離のある浜辺まで響いてくる。

コンクリートでごつごつしてはいるが平らな護岸に、蓮は引き上げた女性をあおむけに寝かせていた。


『由美子さん、分かります?』


蓮が女性に話しかけているのが聞こえてくる。しかし反応はないらしく、女性は全く動かない。ぐったりと力なく横を向いた女性の頭を蓮の大きな手が真上を向かせるように支えている。

蓮は救命活動を展開しようとしているようだった。


その光景にキョーコは目を見開いて、自らが蓮に助けられた時のこと瞬間的に思い出していた。



重なった唇


開いた視界に最初に飛び込んできた蓮の表情



(人工呼吸……するの?)




―――… 君だけだよ?この唇で触れたいのは …―――




いつものうっとおしく感じていた蓮の言葉が蘇る。




(触れるの?私以外に・・・?)




しつこいくらい、求愛の言葉を自分い囁くあの唇が。




―――………君だけだよ





(…………嘘つき!!)






「…っ、いや!!敦賀さん、ダメっ!!!」










思わず叫んでいたキョーコは


………一瞬、キョーコの方に視線を向けた蓮と目が合った。



ぼの様のリクエスト作品になります。蓮さんがかなり性格違います。スマートで紳士な蓮さんがお好きな方はご注意ください。


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お盆の長期連休の最終日。

ごった返していたビーチは、少し落ち着きを取り戻していた。そんなビーチに目を配りつつ、社はチラリとテント内で救命備品の整備をしている蓮に目を向けた。


「大型連休も終わりにさしかかってようやく落ち着いたなー」

「そうですね」

「なんかさぁ、まだまだ暑いのにお盆を過ぎると一気になるの終わりが見えてくる気がしないか?」

「まあ、海水浴場は一般的にはお盆過ぎると終了ですしね」


暗に言いたいことが伝わっていないのか敢えて無視しているのか。表面上の会話はなんとなしに続けている蓮に、社は片眉を上げた。


一般的にはまだまだ暑い8月半ばのお盆時期。暦的には『残暑』に入っているのだが、気分的にはまだまだ夏本番だ。しかし海水浴場はお盆過ぎからクラゲが発生する時期に入り、一般的な海水浴場の閉所が連休終了頃から始まろうとしている。

LEMホテルのプライベートビーチであるこの浜はホテルの観光シーズンと合わせてまだ開放しているが、遊泳はもうすぐ推奨されなくなり今後のビーチでは浜辺でのバーベキューや浅瀬で水遊びを楽しむ程度の客層が主体となる。遊泳者の減少に伴い、ライフセーバーの仕事も浜遊びを楽しむ客の対応と内容が変化していく。


「……何が言いたいんですか?」


ジトリと絡みついてくる社の視線に蓮はため息をついた。


「飲食店のシーズンが終わる方が先だろう?そしたら昼食はどうしようかな~ってな」


海水浴シーズンが終われば当然ビーチに出店している飲食店も営業を終了したり、縮小したりと変化が出てくる。それは海の家だるまやにも言えること。

社としてはタイムリミットの迫った蓮と蓮の想い人の行く末が気になって仕方がない。


「社さんは、反対してたんじゃないんですか?」


社の興味の対象をちゃんと把握していた蓮は、キョーコを助けた当初の自分への社の態度を思いだし不思議そうな顔をした。


「お前の暴走っぷりに呆れてただけだ!キョーコちゃんが本気で嫌がっていればそりゃ止めるけど!」

「確かに、だいぶ態度は軟化したと思うんですけどね」


当初の毛嫌いっぷりに比べれば、最近は自分の甘言に呆れた目はするもののそんなに拒否的な態度は取られていない。

何より、嫌われてはいないのは言質もとったし確信しているのだけれども。


「彼女を知って好きになればなるほど、これ以上どうアプローチしたらいいのか…」

「あれで加減してたつもりか!?っていうかお前は最初に大失敗犯したんだ、反省しろ!」


そもそもあんな始まりでなければ、もともと律義で礼儀正しいキョーコが頑なな態度を取るところから始まらずに済んだはずだ。それを差し引いても、だるまやに通いつめ、キョーコを口説きまくってるこの男の態度はいかがなものかと社は思う。


一方蓮にしていれば、キョーコを知れば知るほど想いは募るが、キョーコの性格を把握すれば度が過ぎる押し付けは返って瞬殺の元。徐々に態度が軟化したキョーコに喜びも感じるが、一定ライン以上になかなか進められず蓮は蓮で考えあぐねていた。


「もう少し時間をかけて…」

「だーかーらー!!!その時間が無いって言ってるじゃないか!」


キョーコの性格を知る社は蓮の言い分は分からないでもないが、今話題にしているのはそう言うことじゃない。


社はヒートアップのあまり思いっきりの本音を口にした。


「あああ、もうっ!最初はあんなだったくせに!ここにきてヘタれか!!!」







「アンタはどうするの?」

「え?」


仕事が終わって部屋に戻ると、手帳と睨めっこしていた奏江にキョーコは声をかけられた。


「もうすぐ海の家はシーズンオフでしょ?夏休みは9月いっぱいある訳だし」


そう言われて、キョーコは先日の蓮との会話を思い出した。


『………ずっとじゃないですから。このお店で会うのは』


季節限定の仕事なので、当然時期が終わればバイトは終了する。ましてや今年のだるまやはこのリゾートに出店しているのだから自宅からも離れているのだ。バイトが終わればこの地を離れて、10月からは大学も始まる。そんな当たり前の事なのに、口にしたら急にその事実をすっかり忘れていた自分に気が付いたのだ。


「何かね、大学生の休みに合わせて9月いっぱいはかなり予約も多くて私の方は9月末までやらないかって言われてるのよね」


大家族の奏江は人の暑苦しくまとわりついてくる子供がひしめく実家に戻るより、夏休みいっぱいここで悠々自適に資金を稼いで過ごす方が好都合なのだ。しかし部屋はキョーコと相部屋のツインルーム。

もともとだるまやのバイトに二人で応募したのだから、一緒にバイト終了になると思っていた所業務が別になってしまった。当然ビーチでのバイトのキョーコとホテル内業務の奏江では働く期間がズレてしまう。キョーコが先に帰るとなれば、格安で支給されているこの部屋の事も含め雇い主のホテル側と相談しなくてはならない。

もともとこの部屋はだるまやを優遇するホテル側が提供した物なのだから。


「ちょっと聞いてるの?だるまやのバイトって正確にはいつまでなのよ」

「え?あ…」


呆けたままで帰ってこないキョーコの返答に、奏江が不機嫌そうに聞いてきた。


「えっと、浜でのバーベキュー目的のお客さんの相手もするからだるまやは8月末までなの。メニューも縮小するから朝の出勤時間はちょっと遅くなるけど」


キョーコも慌ててスケジュール表をめくる。あと数日で営業終了する海の家の中でだるまやは遅くまで営業するとはいえ、9月までバイト延長を打診されてるホテルフロント業務の奏江のバイトスケジュールに比べれば終了は早い。


(そういえば、光さんも来週で会えなくなるからさみしいって言ってたっけ…)


だるまやの常連となったビーチの他の店のバイトの光は、勤め先の営業終了が迫っておりキョーコに別れを惜しんでいた。

キョーコに好意を寄せる光はこっそりとキョーコの連絡先を聞き出そうとしていたが、蓮の無言の圧力に阻まれがっくりと肩を落としていた。もちろんキョーコはそんな事にはまったく気づきもせず、『さみしくなりますね』などと返しただけだった。


ビーチの開放が終了すれば、ビーチの安全管理のため勤めるライフセーバーの詰所も解体されるはず。

自分の仕事が終わるのが先だが、蓮もまた季節仕事でこのビーチで出会っただけなのだ。


「フロント業務、同じく学生バイトさんで8月いっぱいで終わる子がいるのよ。アンタその後釜で9月いっぱい一緒にやる?そうすれば部屋はこのままでいいから私は助かるんだけど」

「そうね…」


たとえ9月いっぱいここに滞在したとしても、ライフセーバーである蓮はいつまでここにいるのかは分からない。そもそも、蓮が短期の仕事なのか、どこの出身なのか等キョーコは全く知らないのだ。


「…どうしたの?浮かない顔して」

「え?」


上の空のキョーコの様子に奏江は訝しげな顔をしていた。


「あんた、あのストーカーに付きまとわれるのだってこの期間だけだからって我慢してたじゃない」


だるまやのご夫婦はその腕を見込まれて海の家終了後も、ホテル内の厨房の方で働かないかと誘われていた。今後の仕事の方針が定まるまでの間という条件付きで、大将と女将さんは海の家の営業終了後もしばらくはこの地に留まることになった。

暑苦しい友情で大好き!とまとわりついてくるキョーコが一緒にいれる夏休みが延長されることに狂喜乱舞することは予想できても、こんな風な反応をするとは奏江は思っても見なかった。

ましてや、お世話になって両親のごとくなついているだるまやのご夫妻だって8月末で永の別れになる訳でもない。

そのことを知っている奏江はキョーコの反応に引っかかるのはあの人物に関することしか思い浮かばない。


「そう…よね…」


(そうだ、バイトが終われば縁が切れるんだからって言ってたの私じゃない)


奏江に指摘されて、キョーコは急激に冷えた自分の心の内に驚いていた。


「なに?バイト延長すると敦賀さんと縁が切れるのが遅くなるからイヤ?」

「そんな事ないわよ。そりゃ、最初は迷惑千万だったけど…なんていうか、そんなに悪い人じゃないってわかってきたし」


思えば最初の出会いは最悪だったし、毎日毎日赤面ものの口説き文句でセクハラまがいなことを言われてきたけれど…

最初の出会い以降、蓮が強引に自分に触れてくることはそんなになかったように思う。

あんなにキス魔な発言をかまされて身の危険を感じるほどロックオンされていても、強引にキスされることもなかった。


「ゴキブリ扱いにはならなかったしね」

「…………」


生理的に嫌う云々でゴキブリの話になったことはあったけど、そもそもあの時キョーコは蓮の名前を一切出していなかったのに奏江は『敦賀さん=ゴキブリ?』と聞いてきた。そのことを思い出したキョーコは寝そべったベットから、椅子に座っている奏江をじぃ、っと上目遣いに見上げた。


「モー子さんは敦賀さんのことどう思う?」

「ストーカー」


間髪入れずに返ってきた返答にキョーコは眉をハの字にしている。

キョーコの言わんとしていることに感づいた奏江はあからさまに眉間に皺を寄せた。


「アンタが迷惑してなきゃストーカーってレッテルを剥がしてあげてもいいけど」

「………」

「ちょっと押しが強いけど見た目イイ男だし?アンタが良ければひと夏の思い出に最後くらい付き合ってあげれば?」


突き放すような奏江の言葉に、キョーコは情けない顔をして目を反らした。


「そんなの、良くないわよ。相手に失礼よ…」

「今まで散々失礼を働かれていたのはアンタでしょ」


それくらいどうってことないじゃない、相手は喜びそうだし、と返すがキョーコの表情は曇ったままだ。

ふぅっとため息を吐き出した奏江はめんどくさそうに呟いた。


「外野が何と言おうと思おうと、結局アンタがどうしたいかでしょ。好きでもなんでもなきゃ、お互いの仕事が終わればもう会うこともない人。ただそれだけじゃない」

「………」


キョーコは枕を抱きしめて、ころりとベッドの上を転がって奏江に背を向けた。

奏江は仕方がないというようにため息をついて、居心地の悪い空間を中和するようにリモコンを操作してテレビをつける。


(……分かんないんだもん)


蓮のことは嫌ってはいないのは分かった。

でももう恋なんてしない自分は、男性として好きかどうかなんてよくわからない。


『もう会うこともない人』



明日の天気を告げるテレビの音声を聞きながら、キョーコは奏江から言われた言葉を反芻した。


えっと・・・この記事はいつかはもぐしてしまう予定です。というか破棄というか限定というか削除というか…

ものごっつしげきされた&要はカタカタが滞っているので、気分転換ってことです。


えっと・・・ハロウィン前後にストカしている絵師様たちがこぞってメイキングをアップしてくださいまして…

PCの前でドキドキウハウハしていたわけですよ。

んで良くないのが私のこの癖。

イイ物見ると、自分でもやりたいかも?な気分になってしまうことです。

物凄ーい過去にイラストはチョロリと書いていた時代がありまして、スキビでは自分の退化した画力と絵柄のスキビとの相性の悪さに絵はかくまいと思い文章で満足してたんですけどね…?


メイキング・・・というか作画工程ってそういや自分であまり意識したことなかったな・・・とか思っちゃったんですよ。


よせばいいのに、やっていしまいました。

しかも私、アナログ&正規の作画道具も画材も何もかもちゃんとそろっていません。

スキャンじゃなくてデジカメでアナログ撮影した物の羅列になります。


ちなみにそれなら最初から限定にしろよーとか思われるかもしれませんが、いつも楽しませていただいている絵師様方…拙宅に見に来るとは思えませんが一応私が主に楽しませていただいている方が、何の気まぐれかで覗きたいと思われたときに、限定だと見れない方もいらっしゃるので通常記事でアップに踏み切りました。

しばらくしたら削除、もしくは限定行にするやもしれません。



見たくもないものを見てしまうかもしれませんので謝罪の画像を先にあげておきますね。

興味のある方のみ、下記スクロールでお進みください。

でも食あたりしても知りませんよ・・・?


妄想最終処分場



さて、目が腐ってもいいんですね…?


ハロウィンに乗っかって小悪魔なキョコさんでも…と思ったのですが描いてるうちに表情とかからやっぱセッちゃん!とシフトしましたw


ラフはあたり程度。今回はスケブに描いてます。

妄想最終処分場

ちなみにあたりから構図が動いたり、特に頭部のサイズはすぐにあたりからずれるので

あたりの意味をなさない私の絵・・・


気の赴くままに書きこんで小悪魔セッちゃんの下絵。

妄想最終処分場
ぶっちゃけ、鉛筆画が線が多くてごちゃごちゃだけど自分的には一番OKになることが多い。


本来なら原稿用紙に下絵→ペン入れと進むのですが、大抵コピー紙とか適当な紙にかいた落書きの方がいいことが多い。昔はライトボックスも持ってたのでトレスして下絵の線を整理して薄く鉛筆でなぞってからペン入れでした。


現在はペン&ライトボックスが無いので超アナログでトレーシングペーパーや透けるならコピー紙に書き写して、次に色を乗せる用の紙にうすーく鉛筆で転写。(それこそ写したコピー紙の裏を鉛筆で塗りつぶして主線をなぞって・・・という思いっきりアナログ手作りカーボン紙状態にすることもあり…)

今回はそんなに気合いを入れてないので、普通のコピー紙に書き写してそのままです。


妄想最終処分場
書き写したのがこちら。羽は外向きから内向きになんとなく変更。

既に絵のニュアンスが違うw(そしてやっぱ鉛筆画の方が自分的には好み)

で、ペンが無いのでこのまま色乗せ続行!←乱暴

カラーは水彩色鉛筆&水筆。

水彩カラーは淡い上に混ぜれば混ぜるだけ汚くなるのでカラーはほんのうっすら色を乗せてみる程度です。なので完成~といっても、よそ様から見たら全然完成じゃありませんw


妄想最終処分場
ほんのざっくり色鉛筆で色乗せ。水筆で溶かして伸ばすのでうっすらざっくりです。


妄想最終処分場

水筆で伸ばしてみました。写真だとほとんどわからん程度w色薄いしね
妄想最終処分場
いらない画用紙に使用する色鉛筆をざっとパレット上に塗っておきます。この簡易パレットから水筆で溶かして乗せるのも併用します。

妄想最終処分場
色を乗せていきます。水彩なので薄い色から次第に濃い色へ。影の付け方は自己流でテキトーなのでおかしなとこ沢山ですが気にしない~
既に肌色の影の色の選択を間違って色が汚くなってます…これだからアナログは修正が効かない。

っていうか全30色の水彩色鉛筆じゃ色が足りません・・・。水彩は混ぜないで単色仕様が基本だからなぁ…。肌色の種類が不足ですが、本気で絵をかこうとしてないのでこれ以上画材で出費は現実的じゃありません。


妄想最終処分場

セッちゃんの瞳はグレーなので色バランス見て、鉛筆で書き込みをプラス。輪郭を補強したり影を足したりと鉛筆バンザイ!


あんまり強い色で塗り込まず、ふわんとこんな程度で色塗りに飽きてしゅーりょー!


うん!やっぱ最初のラフの鉛筆絵の方がイイよ!!(爆)


デジタルでの作画を見てると、線の修正やカラーの修正、トリミングなどやり直しやバリエーション違いが簡単(…に見える)なとこが羨ましい。

お粗末様でした!!