朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~ -44ページ目

朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

191P

「家事やケアをしない環境で暮らせば人は死ぬ」ことが今回明らかになったので、家事は大切だと声を大にして訴えたい。

 

掃除、洗濯、料理、お金、防災、防犯などなど、ひとり暮らしをする人に向けた楽に自然と暮らしが整う家事の大事な考え方や技術をとりまとめて紹介している本です。

 

この本から自分の心に響いた箇所を取り上げました。

例えば、無駄にならない将来の投資にはお金を使うべきです。

貯めるだけでは幸せになれません。

有益なお金の使いかたは、ひとり暮らしでなくてもだれでも参考となり必要になります。

 

41P 若いうちにやっておきたいお金の使いかた

1 自己投資に使う 人との関わりなど今後の人生によい影響をもたらします

2 健康のために使う 健康はお金で買えない。食材にこだわる。高額な医療費を抑える可能性あり

3 体験に使う 物理的なことよりも幸福度が高い。若いうちの多彩な体験は将来の財産になる。

 

47P 節約してはいけない3つの出費

1 交際費 人付き合いは視野を拡げ前向きな行動を生みます。幸福度が上がります。

2 健康維持費 食事を抜くや栄養が偏るなど健康に悪影響を与える節約はやめるべきだ。健康は全ての基本です。

3 自己投資費 知識やスキルを高めるお金は惜しまない。自己成長を助ける学びや経験は生きていくための力になる。

 

84P 知っておきたい衣類の役割

1 体温をコントロールする 素材や枚数を調整することで、体を保温したり汗や熱を放出できる。

2 自然環境から身を守る 気温や湿度、雨、風、紫外線などの自然環境の変化から保護する役割がある

3 体を保護する怪我や火傷のリスク、汚れや細菌から守る。汗を吸収し安全で清潔に保つ役割がある。

 

144P 必要か不要化の判断は心が動くかどうか

好きかどうかの判断する基準は、その物に対して、心が動くかどうか。

好きなら残しておき、嫌いなら手放します。

大切なのは自分が快適に暮らせる環境かどうかだ。

 

 <目次>

はじめに

この本の読み方

ひとり暮らしの家事一覧

なぜ私たちは家事をするのでしょう?

ひとり暮らしの家事がしんどくなるのはナゼ?

どうすれば家事を好きになる?

1 家事の土台づくり

2 お金の管理

3 掃除の基本

4 洗濯・衣類の基本

5 料理の基本

6 片付け・整理収納の基本

7家事の変遷

ひとり暮らしの家事FAQ

索引

参考文献

最低限そろえたいアイテム50早見表 お問い合わせリスト

おわりに

 

くらし文化研究所主宰・作家・生活史研究家。兵庫県生まれ。神戸女学院大学でおもに社会学を学んだ後、コピーライターとして広告制作会社に勤務。その後フリーとなり、1999年より東京に拠点を移し、週刊誌でルポやインタビュー記事を担当。食を中心に暮らし全般、女性の生き方、写真をテーマに、ウェブメディア、書籍その他でルポや論考、エッセイを執筆、講演なども行う。テレビ・ラジオの出演経験多数。2023年、第7回食生活ジャーナリスト大賞

 

【No1547】今さら聞けないひとり暮らしの超基本 お金・衣食住・防犯がすべてわかる ビジュアル版 コツをおさえるだけでラクになる人生100年時代の新機軸 阿古真理 朝日新聞出版(2024/02)

遺された妻がその後の人生を豊かに生きるためには、どのような相続対策をしていけばよいのか。

何よりも重要なのは小手先の節税テクニックではなく、来る相続に対する心構えと考え方だと、島根さんは語っています。

 

ご主人が亡くなったあとに遺された奥さまを中心に据えて、奥さまが今後の人生をどのように過ごしていくのかを考えていくという著者さんの相続に向けたスタンスにはぼくは共感します。ぜひ参考にしていきたい。

203P

「こどもたちに迷惑をかけたくない」と思うなら、二次相続対策を考えればいい。どうしても子どもたちの財産の分け方を指定したいのなら、遺言書を残せばいい。そうした強いこだわりが何かしらあるようでしたら、生前からしっかり対策を立てておくべきです。いかしそうでないのなら、自分が亡くなったあとのことは子どもたちに任せることにすればいいのです。

大切なのは、まずは奥さまご自身の残りの人生を不安なく豊かに生きること、「ときには孫に何か買ってあげたい」「子どもたちの一家と旅行に行きたい」「介護状態になったら老人ホームに入りたい」など、自分の「わがまま」を追求することです。

ご主人が亡くなったときに何よりも優先すべきは、残された奥さまご自身の人生です。

子どもたちの生活や二次相続時のことをあまり憂い過ぎず、自分優先の「わがままスタンス」で、本書の知識も存分に活用しながら、ご主人の相続に向き合っていただきたいと思います。

 

49P 相続をスムーズに進めるために必要な3つのこと

1 もしも夫が亡くなったらを具体的に想像し、起こりうる問題を想像して心構えをしておくこと

2 相続で起こり得る問題に対して、残された自分が人生を豊かに生きるという視点を最重視して対処すること

3 1と2を踏まえ、相続の基本の流れを、簡単にでも事前に理解しておくこと

 

 <目次>

はじめに 相続は誰のためのもの?

第1章 「万が一のこと」を具体的に考えてみよう 残された妻が直面する相続の問題とは?(「そのとき」はいつか必ずやってくる、考えることを避けてはいても… ほか)

第2章 トラブルの実例に学ぶ 残された妻や家族を困惑させた5つの相続の話(ひとつとして同じ「相続現場」は存在しない、事例1 「残された妻と子どもたちの相続」のお話 ほか)

第3章 10カ月間で、何をどうすればいい?相続で「起こること」と「やるべきこと」の基本(相続のゴールを知ろう、夫が死亡した直後のことを想定しよう・その1 銀行口座のこと ほか)

第4章 「残された妻の人生を豊かにする相続」を叶えるために(「夫の相続」は、「残された妻の人生」の出発点、生前の相続準備のポイントは? ほか)

おわりに

 

 

島根税理士事務所代表税理士。埼玉県で代々続く専業農家の長男として生まれる。「実家の相続を円満に導きたい」という思いから税理士を志し、24歳で税理士試験に合格。大学卒業後に専門学校での税理士講座講師、某保険会社の営業職を経験したのち、税理士法人にて税理士業務の基礎を学び、27歳で税理士登録。その後は相続税のエキスパートとして年間100件以上の相続案件に携わる。

 

【No1546】もしも夫が亡くなったらどうしよう?と思ったら読む本 夫婦で豊かな老後を送るために知っておきたい相続のこと 島根 猛 クロスメディア・パブリッシング(2023/01)

神奈川県警刑事部長の竜崎伸也のもとに、著名な小説家の北上輝記が小田原で誘拐されたという一報が舞い込んでくる。竜崎は推理作家の梅林賢を捜査本部に招き彼の推理を検討する。事件が膠着していると世間に誘拐をマスコミに発表しろという犯人からの要求がきた……。

 

シリーズものは気に入ると癖になって読んでしまう。

新刊が出たら出たで読まないと気が済まない。

これを読んだら読んだで、安定の面白さでまた次の新作を待ち遠しくなる。

これは、竜崎伸也のシリーズだけではなく、どれにおいても仕方がないことだと思う。

 

330P

梅林賢は竜崎に取り合わず、邦彦に向かって話を続けた。

「その逆もある。本当にやりたいことがあれば、一夜でそれを手に入れることができるかもしれない。俺は新人賞を受賞したその日から作家になった。勝負は一瞬だ。だから、時間を無駄にできる間はしていればいい」

梅林賢は、竜崎を見ると言った。

「俺にできる話はこんなもんだ」

竜崎はこたえた。

「実作者ならではのお話だったと思います」

 

1955年北海道生まれ。上智大学在学中の1978年に「怪物が街にやってくる」で問題小説新人賞を受賞。レコード会社勤務を経て、執筆に専念する。2006年、『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞を、2008年、『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞と日本推理作家協会賞を、2017年、「隠蔽捜査」シリーズで吉川英治文庫賞を受賞。2023年、ミステリー文学の発展に著しく寄与したとして日本ミステリー文学大賞を受賞

 

香水や香りを創る調香師さん本です。

香料及び香料の原料となる植物から、嗅覚とにおいが心身に与える影響まで香りにまつわる内容についてわかりやすく伝えてくれ香りの魅力と香りの大いなるパワーに気づかされました。

 

五感で感じることは大事です。

特に臭覚は呼吸をするように当たり前ですが、あの日、あの時、あの場所での思い出として記憶に残る大切な機能だと思います。

文字の使いかたがうまい!だから目に浮かぶように香りがあたまのなかに入ってきました。生活を彩り人生をより豊かにするために、気持ちに余裕を持ちながら街に出て行動しながら季節感のある各種の香りを嗅いで生きていきたい。

5P

私たちの身の回りには、実に多くの香りが溢れている。普段あまり意識していないかもしれないが、一日の暮らしは朝起きてから夜寝るまで、たくさんの日用品や食品の香りで彩られている。一歩外に出れば、季節の廻りに合わせて咲く花々、やわらかな春の陽に照らされて薫る新緑の木々、小雨の朝に感じる大気のにおい、秋の涼やかな乾いた風の香りが、ふっと感じられるだろう。

ときには歩みを緩めて、そこに漂うにおいをゆっくりと嗅いでいただきたい。フレグランスやフレーバーから、自然から発せられる信号をキャッチすることで、香りの世界は次々と広がっていく。それは、私たちの生活や感性をより豊かにしてくれるはずです。

 

◎25P 免疫力を高め、病気を予防

森林浴を行い樹木の下を歩くと、副交感神経が優位になり、ストレスホルモンが減少してリラックス状態に導かれ、血圧や心拍数が安定する。また、ナチュラル・キラー細胞(NK細胞)が活性化するという、ナチュラル・キラー細胞とは、リンパ球の一種で、身体の中でウイルスに感染した細胞や一部のがん細胞を認識して攻撃してくれる細胞のことである。

森林浴を体験してみると、フィトンチッドの恩恵だけでなく、木々の緑、花の色、虫や鳥の声、肌に当たる風の心地よさなど、まだに五感で感じるものだということが良く理解できる。動物の本能のようなものが呼び覚まされるような感覚である。

普段の生活に、習慣として森林浴を取り入れることで、心身とともに良い循環をつくることができれば有意義である。森林で深呼吸して、自然の恵みをゆっくりと感じていただきたい。

 

 

 <目次>

はじめに

第1章 目には見えない香りのチカラ

第2章 香りが脳と心に届けるもの

第3章 調香師が創る香りの世界

第4章 人々を魅了する香水

第5章 世界は香りの素材に満ちている

第6章 商品としての香り

第7章 香りの旅に出かけよう

おわりに

 

調香師。フランスの香料の専門学校ISIPCAのパフューマリーコースを卒業後、高砂香料工業株式会社にて、23年間調香師として主にパーソナルケア製品の香り創りに携わる。そののちに、同フレグランス研究所の管理者を務め、2023年3月に同社を退社。現在は株式会社日本香堂にて、ホームフレグランス製品・パーソナルケア製品の香り開発・調香をおこなう

 

【No1544】香りのチカラ 調香師が知っている、においと人の深いつながり 平野奈緒美 笠間書院(2023/12)

 

全裸に快感を覚える主婦、仙人のような風体で自宅に引きこもっている男性、小学生4人の女の子、宗教的な合宿に参加するギャル、潔癖症の妻を持つ男など、みんなそれぞれに悩みを抱えつつ、必死になって生きていこうとしていた。

ときには街の喧騒から離れて自分の存在を消したくなるものだ。

街のほぼほぼ傍にあった「死角」(墓地)に身を寄せたくなる気持ちが、みんなから伝わってきたのは良かったと思う。

また、吉村さんは、情景描写が上手かったからまた機会を見つけて別の作品も読みたい。

 

188P

地下道から出ると、K市営共同墓地の周囲には既に闇が下りつつあり、暗い街灯がぼんやり灯っていた。彼女は周囲を見回した。傷だらけで古義川を下ってきたあの朝以来、気が付くと人目につかない場所を探しているのである。

K市はこの国のどこにでもある中途半端な町で、至るところに死角があった。

その死角に身を潜め、誰にも見付からずに息を殺していたいという願いが、時として彼女の心を捕らえて離さなかった。息詰まるような日々にあって、そういう場所でのみちゃんと呼吸出来る気がした。その場所は、すぐ傍に人がいるようなギリギリの死角でなければならず、そうであってこそ初めて、恐怖と恍惚の中で自分という邪魔な存在を消してしまえるような気がするのだった。俘美はあれから何度か、ナジャ病院の雑木林の下の古義川の川辺に下りて行った。しかしそこは思ったより死角が少なく、川のほとりに立って川面を眺めるのが精一杯で、大胆な行動に出ることは出来ないでいた。

足は自然に、K市営共同墓地の中へと向いた。

子供の頃に何度か入ったことのある墓地だったが、そのころの景色とは全く違って至る所に格好の死角を見出すことが出来、ここは死角の宝庫だと彼女は思った。

 

愛媛県松山市生まれ。京都教育大学卒業。高校、支援学校教諭を経て専業作家に。「クチュクチュバーン」で文學界新人賞、「ハリガネムシ」で芥川賞、「臣女」で島清恋愛文学賞を受賞。

華氏の451度は、摂氏では233度。紙が発火する温度を意味している。

本の所持や読書が禁じられている架空社会の人間模様を描いたSF作品だ。

本によって有害な情報が善良な市民にもたらされ、社会の安寧秩序が損なわれるのを防ぐために本の所有者は逮捕された。本を発見されるとただちにファイアマン(昇火士)によって焼却される。所有者の密告と市民による相互監視により、人々は思考力と記憶力を失いつつあり、表面上は穏やかな社会が築かれていた。しかしながら……。

 

古代ギリシアでの失敗した民主制を揶揄して用いられた衆愚政治や、書物を焼き国民の思想統制を図った秦の始皇帝による焚書坑儒のほか、愚民化や愚民政策ということばが頭に浮かんできた。

愚民や愚民政策について。

大辞泉(小学館)では、

愚民は、「おろかで無知な民衆」

愚民政策は、「為政者がその権力を保つため、人民を政治的に無知な状態にしておこうとする政策」

大辞林(三省堂)では、

愚民は、「愚かな人民」

愚民政策は、「為政者が民衆を無知・無教養の状態におしとどめ、その批判力を奪い、支配体制の維持を図ろうとする政策」

広辞苑(岩波書店)では、

愚民は、「おろかな人民、無知な民衆」

愚民政策は、「為政者が民衆を無知な状態に陥れて、その批判力を奪おうとする政策」

 

この愚民政策で得するのは、為政者だと思う。

為政者は、国民が権力者に逆らおうとせず国民を独裁的に運営しやすくなる。

為政者が国民を愚民とするような政治的無知状態に陥れて、その批判力を奪うことになる。民主主義の根幹を占める国民の政治参加を阻害して、人の知性を意図的に非民主主義的な方法に偏向させる。

こうして、教育の質が低下すると、思考力や判断力が下がっていき政治への関心や理解が低下していく。

マスコミの統制が強化されると、国民が事実に基づいた情報にアクセスできなくなり、政治の正しい理解が得られなくなる。

国民の不安や不満をあおり、政治への関心を低下させる。政治への関心が低下することで政治参加を阻害させる。

国民の批判精神を抑圧させることで、政治に対する批判を封じ込めることになる。

 

本を読めなくしないようにする世の中ではなく、いつても、どこでも、誰でも本を読めるような体制が必要だ。

昇火士(ファイアマン)に本が燃やされる世界は、いまは全く考えることができない。

本を焼いてしまうディストピアは非現実的だが。愛書家として仮に本が焼かれていく状況にはもう絶望感しかないと思う。

仮に本が燃やされることよりも、本を制限なく読める状況にあるのに関わらず誰も本を読まなくなるまでの過程が恐ろしいと感じた。

焼かなくても手に全然取らなくなってきている人が増えている現状を鑑えてみると不安と現実味があるから。

今日の街での書店が徐々に廃業していくことにもが話が飛んでくる。

 

読書のメリットのひとつとして、「考える力」を挙げるとすれば、考えることを止める、考えなくなればどうなるのかな?

将来未来、スポーツやエンターテインメント、セックスなどにうつつを抜かし、お上からの言われた通りの情報を鵜呑みにして、ただただ何も主張できずに受け身で生きているような状態にならないことを希望したい。

 

 

 <目次>

第一部 炉と火竜

第二部 ふるいと砂

第三部 明るく燃えて

出典

訳者あとがき

 

Bradbury,Ray

1920年、イリノイ州生まれ。1947年に最初の短篇集『黒いカーニバル』が刊行された。そのほか、奇想に満ちたイメージ豊かな短篇集を発表しており、幻想作家ブラッドベリの名声と評価を不動のものにした。2012年、91歳で死去

伊藤典夫

1942年生。英米文学翻訳家

タイトルと表紙に興味がそそられた。不穏な空気が漂っていた。よく分からない不思議な世界観だった。いつもならば途中で読むのを止めてしまうのだが、これは最後まで読み終えてしまった。なにか得体の知れない魅力に取りつかれてしまった。

急に終わってしまうような感じで回収されないところもあった。

ある人たちの日常を切り取った不気味な短編小説集だった。

 

「ぴぴぴーズ」バイト先のコンビニで女から頼みごとをされて……。

「あたらしい日よけ」台風のあとに日よけが飛ばされた。そのあとにはくっきりと……。

「みみず」女性の体のなかにミミズがいたら?

「刺繡の本棚」ずっといっしょに暮らしてきた夫の隠しごととは?

「錠剤F」ひみつの処方で作られた錠剤。これを飲めば眠ったまま……。

 

 <目次>

乙事百合子の出身地

ぴぴぴーズ

あたらしい日よけ

みみず

刺繡の本棚

スミエ

ケータリング

フリップ猫

錠剤F

 

1961年東京生まれ。成蹊大学文学部卒。89年「わたしのヌレエフ」で第1回フェミナ賞を受賞。2004年『潤一』で第11回島清恋愛文学賞を、08年『切羽へ』で第139回直木賞を、11年『そこへ行くな』で第6回中央公論文芸賞を、16年『赤へ』で第29回柴田錬三郎賞を、18年『その話は今日はやめておきましょう』で第35回織田作之助賞を受賞。その他、『あちらにいる鬼』『生皮 あるセクシャルハラスメントの光景』『小説家の一日』『照子と瑠衣』など著書多数。

相続は円満に解決したいものです。

しかし争いはお金持ちやドラマの世界だけではありません。遺産争いのうち約8割が遺産額5千万以下の家庭で起こっています。財産が多くなくても残った財産を巡って相続人同士で諍いが起きています。

適切な内容の遺言書を書いておくことが、このような争族を避けられる対処方法のひとつだと記されていました。

 

また、相続人同士の感情的なもつれが争族となるので、弁護士、税理士、司法書士、行政書士、社労士などの士業の専門家が第三者として介入することで話し合いがスムーズになります。家族や相続人同士では相談しにくいことを話せたり、お互いに意見を調整して着地点を模索してくれます。感情的にならず交通整理をしてもらえるからです。

遺産相続争いで家族がもめそうな人、遺産相続争いで家族がもめている、不動産も合わせた財産の総額が3600万円を超えそうな人は専門家に相談したらというアドバイスがあり。相続には複数の専門家との連携が必要となります。専門家同士の連携がうまく相続を進めるポイントとなります。

 

なお、例えば遺言書の書き方や小規模宅地等特例ほか相続税を節税するための各種ポイントなどの解説がありますので、総合的に相続に対応するための良本だと思いました。

 

はじめに 

序章 相続と遺言はこう変わった!40年ぶりの相続法大改正

第1章 親子で一緒に考える!円満相続の準備

第2章 これで安心!相続のキホン

第3章 これで万全!遺言書のキホン

第4章 “争族”トラブルを回避する!遺言書作成のポイント

第5章 元国税調査官が教える!相続税対策のポイント

第6章 相続対策は自分でできる?専門家活用のポイント

あとがきにかえて

 

全国18拠点展開する「相続サポートセンター」の中核である、相続税専門の税理士法人。年間申告1500件は2021年現在、全国第4位の実績。相続サポートセンターは税理士のほか、弁護士、司法書士、行政書士、社労士、不動産売買などの専門家と連携し、相続に関するあらゆる悩みにワンストップで対応している。相続税申告、生前対策、遺言書作成、登記変更、不動産売買、遺産分割協議、事業承継などの業務を専門とする。

 

◎【No1540】親子で知っておきたい はじめての相続と遺言 相続争いを回避し、相続税を節税するためのポイント〈令和版〉改正相続法対応!ベンチャーサポート相続税理法人 合同フォレスト(2022/01)

人工知能が、世の中を席巻する時代がもう既に来ている。

そもそも人工知能が、人の罪を裁けるのかどうか。

判例や法律等の蓄積は得意だが、不測の事態に対応できるのかどうか。

効率化やコスパ、タイパなどを突き詰めてはいけない分野があるのではないか。

心や感情があるのだろうか。

AIはあくまで補助の手段であって、人が最終的に判断すべきではないだろうか。

 

157P

「人の一生を左右する判決にAIを介在させるのは、僕も抵抗がある。アナクロと言われそうだけど、人が人を裁くのにデジタルな思考が相応しいとは到底思えない」

言葉がすとんと胸に落ちる。

葛城と一緒にいて良かったと思えるのは、時折円が抱える曖昧な気持ちを言語化してくれることだ。

人の運命をデジタルに判断することの不安。それこそが円の思い悩んでいた元凶だった。

 

188P

「AIを導入すれば、遅かれ早かれ心の問題が取り沙汰されるのは目に見えています。」

「萬田さん、そうした失敗例の中で、感情や心の問題を先送りにしたケースというのはありますか」

「感情や心というのはAIの開発段階で散々取り沙汰されてきた問題です。にも拘わらず、今でも失敗した例は少なくありません」

 

242P

「効率化やコスパが叫ばれる現代です。事務手続きが煩雑ではマンパワーが落ちるので、電子化や省力化も必要不可欠でしょう。しかしですね、量刑判断や死刑判断までAIの力を借りることには嫌悪感と言うか罪悪感があるのです」

明らかに檜葉に対する異議申し立てだった。

「いくらAIが高性能であろうと、いくら自分の人格と瓜二つであろうと、裁判官は悩むことから逃げてはいけないと思うのです。裁く側も裁かれる側と同等に足掻き煩悶する。被害者の無念に寄り添い、被告人の心情を理解する。そういうプロセスを経てこそ人が人を裁くという傲慢の免罪符になり得るのだと、わたしはそう考えます」

崎山は円に向かっては箴言を、檜葉に向けては諫言を投げかけていたのだ。

 

 <目次>

一 ヒトを超えるもの

二 過去を超えるもの

三 情状を超えるもの

四 事実を超えるもの

五 AIを超えるもの

 

岐阜県出身。「さよならドビュッシー」にて第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、デビュー。他の著書に「護られなかった者たちへ」「作家刑事毒島」など。

 

【No1539】有罪、とAIは告げたGuilty,the AI said 中山七里 小学館(2024/02)

 

父の小原孝雄は、家裁に送られてきた問題行動のある少年を一定期間預かる補導委託の引受を申し出た。

南部鉄器の職人である孝雄は口数が少ない。

その息子の悟は、親として静かに見つめだけの孝雄を認めずに育ってきた。

孝雄は、しっかり者の妹の由美や孝雄を慕う工房で働く健司ら周りの人に助けられてきた。補導委託でやってきた少年・春斗との生活を通して見えてくる孝雄の想いと過去、それぞれの人が考えている幸せの形には違いがあってどれが正解ということはないのだと。

身近な人だからこそ自分の気持ちを伝えないと伝わらないと気づかされた。家族や大切な人には日頃から感謝や愛情を伝えていきたい。

登場人物が皆とても心温かいのだ。だから、読了後はあたたかい気持ちになれた。

 

ブレない「己を貫き通す」。

昔気質の親方や職人と言われる人はこんな風な人が多いのだろう。

132P

「確固たる自分の意志があるから、頑固とか偏屈とか言われるんです。職人に限らず、なにかを作り出す者はそれがないといけません。刺激や影響を受けつつも、己を貫きとおす芯がないと、中途半端なものしかできない。節子さんも、孝雄さんのそんなところに惹かれたんでしょう」

「母が父を―ですか?」

 

近くにい過ぎて見えない。

221P

「人なんてさ、どんなに話し合ったって、百パーセント分かり合えることなんてないんだよ。もし、そう思っているやつがいたら、あたしからすれば傲慢だよね。なにが善でなにが悪かを決められないような人も、こいつはこんなやつだ、なんて決めつけられない。いろんな価値観、感情、事情で生きてるからね。だから、思ったことはできる限り言葉にしないといけない。気持ちなんて、それでやっと自分が言いたいことの数パーセントが伝わる程度なんだから。しかも、それが近くにいる人だったらなおさら、近すぎて見えないこともあるからさ」

「近くて見えないって、老眼かよ」

健司の茶々に、ママは笑った。

「あんた、うまいこと言うね。たしかに老眼も人間関係も、近ずぎるより、離したほうがよく見えるよね」

「そうそう、離したほうが相手のことがよくわかる」

 

 <目次>

第一章から第八章

 

1968年岩手県出身。2008年『臨床真理』で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞しデビュー。13年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞、16年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。18年『盤上の向日葵』で「2018年本屋大賞」2位