【No1245】一夜 隠蔽捜査10 今野 敏 新潮社(2024/01) | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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神奈川県警刑事部長の竜崎伸也のもとに、著名な小説家の北上輝記が小田原で誘拐されたという一報が舞い込んでくる。竜崎は推理作家の梅林賢を捜査本部に招き彼の推理を検討する。事件が膠着していると世間に誘拐をマスコミに発表しろという犯人からの要求がきた……。

 

シリーズものは気に入ると癖になって読んでしまう。

新刊が出たら出たで読まないと気が済まない。

これを読んだら読んだで、安定の面白さでまた次の新作を待ち遠しくなる。

これは、竜崎伸也のシリーズだけではなく、どれにおいても仕方がないことだと思う。

 

330P

梅林賢は竜崎に取り合わず、邦彦に向かって話を続けた。

「その逆もある。本当にやりたいことがあれば、一夜でそれを手に入れることができるかもしれない。俺は新人賞を受賞したその日から作家になった。勝負は一瞬だ。だから、時間を無駄にできる間はしていればいい」

梅林賢は、竜崎を見ると言った。

「俺にできる話はこんなもんだ」

竜崎はこたえた。

「実作者ならではのお話だったと思います」

 

1955年北海道生まれ。上智大学在学中の1978年に「怪物が街にやってくる」で問題小説新人賞を受賞。レコード会社勤務を経て、執筆に専念する。2006年、『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞を、2008年、『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞と日本推理作家協会賞を、2017年、「隠蔽捜査」シリーズで吉川英治文庫賞を受賞。2023年、ミステリー文学の発展に著しく寄与したとして日本ミステリー文学大賞を受賞