山内マリコさんは、地元をとっても愛している作家さんです。
彼女は、適齢期の男女の付き合い方を教えてくれますし、女の子同士の友情を描くなど20~30代の女性心理をうまく掴んでいますね。
また、ぼくにも誰にでも共感できる軽快な文体で物語を綴っています。
だから、読み出したら終わりまで止まらなくなりますね。
さらに、富山などの地方都市を作品の舞台やテーマとして取り上げています。
そこにある何気ない日常的な出来事を固有名詞つきのリアルさを持って描ききっていますね。
特に「走っても走ってもあたしまだ十四歳」と「遊びの時間はすぐ終わる」は、共感するところがけっこうあって面白かったな。
一作目の『ここは退屈迎えに来て』に出てくる「椎名くん」が「孤高のギャル小松さん」にまた登場してきたときにはうれしかったな。
山内マリコさんの次の新作も楽しみですよ。
<目次>
さよちゃんはブスなんかじゃないよ 5-15
昔の話を聴かせてよ 17-37
大人になる方法 39-80
ケイコは都会の女 81-87
ボーイフレンドのナンバーワン 89-96
人の思い出を盗むな 97-132
走っても走ってもあたしまだ十四歳 133-151
八月三十二日がはじまっちゃった 153-161
Mr.and Mrs.Aoki,R.I.P. 163-172
孤高のギャル小松さん 173-181
遊びの時間はすぐ終わる 183-219
☆1980年富山県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒業後、京都でのライター生活を経て上京。
2008年「女による女のためのR‐18文学賞」読者賞を受賞し、12年8月連作短編集『ここは退屈迎えに来て』(幻冬舎)でデビュー
77-78P
あたしは、いつになったら自分が思い描く女の子になれるんだろう。
いつになったら完成するんだろう。
それまでに、あとどれくらいの時間がかかるんだろう。
あたしがなりたいのは、きれいで、頭が良くて、おしゃれで、おもしろいことが言える人。
いつも堂々としていて、自信があって、人の媚びたりしないし、あとで自己嫌悪に陥るようなダサいリアクションもしない。
そういう女の人になれるまで、あとどのくらいかかるんだろう。
気が遠くなりそうな膨大な時間と、無駄撃ちだらけの破れかぶれな経験。
そういったものの果てにあたしはちゃんと、自分で自分に及第点を出せるような人間に、なれるんだろうか。
219P
とにかくもうちょっと、時間が必要なのだ。
自分にはなにが出来て、なにが向いていて、なにをするために生まれてきたのかを、ひと通り試してみる時間が。
そういう試みは、もう若くないと思えるようになるまで、つづけなくちゃいけない。
へとへとに疲れて、飽き飽きして、自分の中の無尽蔵に思えたエネルギーが、実はただ若かっただけってことに気がつくまで、やってみなくちゃいけない。
身の丈を知り、何度も何度も不安な夜をくぐり抜け、もうなにもしたくないと、心の底から思えるようになるまで。









