「そこに山があるから登る」
それぞれの主人公が、それぞれの思いを抱いて山に登っています。
山を登ることで、何か答えが導き出されたり、課題が解決できるようなもの?
登山するって、そんなようなことだけじゃないのでは?と思って。
261P
「険しい道を登りきった先に待っている景色に出会えることが、登山の楽しみの一つだとは思っている。何でわざわざしんどい思いをして山に登るの?と訊かれたことは一度や二度ではない。」
263P
「もったいないよな。世の中にはすごい場所やきれいな景色がいっぱいあるのに、それを知らずに過ごすのは」
ほんと湊かなえさんらしくない小説!
ぼくはこういう感じの湊さんも好きだな。
「告白」「夜行観覧車」「Nのために」等々、いままで読んだ本とはまったく趣きが違います。
淀みきった空間の中から、急に爽やかな風が吹く平原に移動したような感じ。
「山女―やまおんな」
登山好きならなおさら共感しやすい部分もあるのかなと思って。
山や植物の描写、登山好きな人の心理もよく描けているから、山登りをしたことがない人でも、これを知ってしまったら無性に山に登りたくなってくるはずだ。
また、女性の心理を丁寧に描き込んでいるから、共感と感動を呼ぶと思いますよ。
<目次>
妙高山 5-42
火打山 43-80
槍ケ岳 81-119
利尻山 121-159
白馬岳 161-197
金時山 199-232
トンガリロ 233-292
1973年広島県生まれ。2007年「聖職者」で小説推理新人賞、12年「望郷、海の星」で日本推理作家協会賞(短編部門)受賞。他の著書に「豆の上で眠る」など
