★風の盆恋歌(新装版) 高橋 治 新潮社 (2003/09)★ | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。



83P

「もう一度、一度きりでいいから、あなたと風の盆に行ってみたい……。ね、私を風の盆に連れて行って下さい。」



 


「うつつ(現実)」と「夢と幻」が交叉する世界。

これは、都築克亮と中出えり子が逢瀬を重ねる大人の恋の物語。



 


230P

「……そんな、夢みたいなこと」

信じられないという顔でえり子は首をふった。

「夢というなら、なにもかも夢じゃないのか、八尾も幻じゃないのか」

「だから、うつつは喪服の中にとじこめました」

都築を見据えるような眼だった。



 


いままさに目の前で実演されているかのようで、自分をそこに重ねてしまうような錯覚をしながら、この物語に陶酔してしまいます。



 


「失楽園」など、あの渡辺淳一さんの小説をふと思い出しながら。


でも、じつはそれとはニュアンスが違うよと気づいていて。


あまりのリアルさのために、目を背けるほどのエロさではなく、艶やかさがあるしっとりしたようないやらしさだなと思って……。



 


富山市八尾地域の川や地名などがあちこちで出てきます。


それを手探りしながら、都築克亮と中出えり子が歩いた八尾の街や二人の家などを自分の足で突き止めたくなります。



 


「おわら風の盆」が全国的に人気が出たのがわかります。



 


255P

八尾の町には風の盆に関係なく稽古のおわらの音が流れる。それを聞くたびに、とめには今にも玄関が開いて都築とえり子が入って来るように思えてならない。



 


自分の眼でそれを確認してみたい!



 


自分の肌であれを感じてみたい!



 


この舞台となった「おわら風の盆」を僕の心でしっとりと見てみたい!




 <目次>





序の章


風の章


歌の章


舞の章


盆の章



1929(昭和4)年、千葉市に生まれる。金沢の第四高等学校を経て東京大学文学部国文学科を卒業。松竹に入社し、1960年より監督作品を発表、並行して戯曲も執筆する。1965年松竹を退社、本格的な作家活動に入る。1984年第90回直木賞を受賞




 


 



以下は、おわら風の盆出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』からの抜粋です。




 


「おわら風の盆は、富山県富山市八尾地域で毎年9月1日から3日にかけて行われている富山県を代表する行事(祭り)である。


越中おわら節の哀切感に満ちた旋律にのって、坂が多い町の道筋で無言の踊り手たちが洗練された踊りを披露する。


艶やかで優雅な女踊り、勇壮な男踊り、哀調のある音色を奏でる胡弓の調べなどが来訪者を魅了する。


おわら風の盆が行なわれる3日間、合計25万人前後の見物客が八尾を訪れ、町はたいへんな賑わいをみせる。」


 




高橋治の小説『風の盆恋歌』(1985年刊)が発表されると「おわらブーム」に火がつきテレビドラマ・演劇化された、また石川さゆりの同名タイトル「風の盆恋歌」も発表され(1989年 なかにし礼作詞、三木たかし作曲)、「風の盆」は全国的に有名になった。



以来、ふだんは人口2万人ほどの山間にある静かな町に、「風の盆」の3日間に30万人ほどの観光客が訪れるようになっている。