全般的に面白い。
どちらを先に読んでもいいけど、先に「硝子の太陽Rouge/姫川玲子シリーズ)」を読んでいたからこそわかることもあります。
沖縄反米軍基地デモと祖師谷一家惨殺事件との事件がクロスしています。
姫川玲子や勝俣らと、歌舞伎町セブン側とが関係して、姫川や勝俣がこちら側にもちょこっと出演してきます。
2つの小説を読むことで事件が別の人物の角度からも考えることできます。
物事を判断するための材料が多く見えてきます。
だからこそ、ぼくは面白かったのです。
終わりに、東弘樹警部補の今後の動向がとっても気になります。
ラストの展開は次回にきっと繋がっていきますね。
次の作品がニクイほど楽しみです。
◎1969年東京都生まれ。「妖の華」でムー伝奇ノベル大賞優秀賞、「アクセス」でホラーサスペンス大賞特別賞を受賞。ほかの著書に「ストロベリーナイト」など。
◎247-248P
まさか、刑事だとは思わなかった。小川から「カツマタ」という刑事の噂は聞いていたが、そうか。こういう男だったのか。
市村だけでなく、「エポ」には他のヤクザ者もよくくるので、陣内自身、そういった人種は見慣れている方だ。第一印象で、そっちの業界人だろうとは思ったが、ただし、ヤクザ者が必ず身につけるべき「粋」は欠片も感じられなかった。そこに違和感は憶えた。
ヤクザというのは、用いる手法はさて置き、基本的には利潤を追求する生き物だ。そして利潤を上げるためには、必ず組織が必要になる。その組織の体裁を保つために、今度は面子や義理人情といったものが必要になってくる。また上に立つ者は、下の人間から敬われ、慕われ、憧れられなければならない。下の者に「親分みたいになりたい」と思われる必要がある。そのためにはいい恰好をし、いい女を抱き、いいものを食い、いい車に乗り、いい家に住まわなければならない。それがまた利潤を追求する動機となり、組織は循環していく。その中で、自然と「粋」は身についていくのだろうと、陣内は思ってきた。
しかし、あのカツマタという刑事には、それが微塵も感じられなかった。
着ているものの問題ではなく、まとっている空気が、何しろ汚かった。仕事柄、汚いものは嫌というほど見てきた、だから自分は汚れてしまった。それの何が悪い―そんなふうに開き直ってでもいるのだろうか。あるいは、自ら汚れを撒き散らして周りも道連れにしてやろう、といった悪意の表れか。








