「人たらし」
自分のひげをはさみでカットしている写真からは彼の人柄がじわっと滲み出ています。
最近、田中角栄さんの関連本がよく目に付きます。
なぜこれがベストセラーになるのか!
角栄さんの大物ぶりや物凄い実行力を希望しているかのようで。
閉塞と混沌としている現状において、彼のようなカリスマ性のある人物の再来を求めているのではなかろうかと。
例えば、「日本列島改造論」等。
高度成長期に日本の国を憂い将来の進むべき方向性を示して、強いリーダーシップをとって導いてきた人物。
角栄さんと共に近くで政治に携わってきた石原慎太郎さんが創作された文章から、田中角栄は「希代で偉大な政治家」だったという印象をさらに強く感じました。
◎1932年神戸市生まれ。一橋大学卒業。55年、大学在学中に執筆した「太陽の季節」により第1回文學界新人賞、翌年芥川賞を受賞。『化石の森』(芸術選奨文部大臣賞受賞)、『生還』(平林たい子文学賞受賞)など著書多数
47-48P
(国家の存亡に関わる問題の処理に政治が強く関わるのは当たり前のこと)
そのために政治という手段があるのではないのか。政治家には先の見通し、先見性こそが何よりも大切なので、未開の土地、あるいは傾きかけている業界、企業に目をつけ、その将来の可能性を見越して政治の力でそれに梃子入れし、それを育て再生もさせるという仕事こそ政治の本分なのだ。
その点では俺は土方までして世の中の底辺を知っているし体得もしている。それこそが俺の本分であり、他の連中が持ち得ぬ俺の底力なのだ。そのつもりで俺もこれから政治を仕掛けていこう、強くそう思ったのだった。
政治家は物事の先をいち早く読まなければならない。周りがまだ気付かぬことの可能性をいち早く予知して先に手を打ってこそ、後でどう謗られようとそれこそが俺を選んでくれた人たちの負託に応えられるのだと確信したのだ。
あの疑獄事件の印象はその後の俺の政治にたいする基本的な姿勢を決めてくれたともいえそうだ。
まだに自ら反みて縮くんば千万人といえども吾れ往かんなのだと悟ったのだ。
86P
政治家の責任とは、役人と違ってもっと大掴みに国の将来を考え、それに備えての施策を考え実行することだ。明治以来百年の歴史を振り返ってみると、国民総生産や国民所得は増大してきたが、社会の質的な大きな変化が見られる。一には一次産業の農業、水産業、鉱業に携わる人口が大きく減り、二次産業の工業の人は増加、サービス業なのの三次産業の人口も増え、それだけ総生産や国民所得が増えてきた。それに比例して国民が一日に行動し得る距離が増大してきた。昔は草履がけで歩いていたのが、自転車から自動車となり、さらに新幹線とまでなった。ところが大都市のサラリーマンの通勤距離と通勤時間は増大し、それは生産性を妨げ、交通機関は発達したのにそのプラスメリットが企業に生かされない状態になってきた。
