【第4回再放送】が終わって市販された、

特別機動捜査隊 スペシャルセレクション<デジタルリマスター版> [DVD]

の作品から抽出しました。

市販品なので、

(あらすじ)などストーリーの本質にかかわるところは伏せ、

スタッフやキャスト、また(備考)・(ネタバレしない範囲での一般的感想のみ

にとどめます。

将来、東映chなどで、一般的視聴されるようになったら書き加えていく予定です。

 

※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また、1963年公開の、映画版・特別機動捜査隊全2作とは趣が異なることに注意。

なお、オープニングやエンディングで配役名表記がされない作品については、従来の「発声のみの役名については平仮名表記」の原則だと平仮名だらけの文面となります。そこで役名・地名等は、検証本その他を引用、あるいは当方での当て字により、以下表記します。

 

 

 

☆・・・#121  けだもの

特別機動捜査隊(第121回)けだもの

 

 

 

(収録DVD)・・・VoL1、disc1、2020年12月2日発売

(本放送)・・・1964年2月19日

(脚本)・・・守田二郎

(監督)・・・仲木睦

(協力)・・・警視庁

(協賛)・・・無し

(助監督)・・・北村秀敏

(劇中ナレーター)・・・島宇志夫

(捜査担当・オープニング表記)・・・立石班

西本捜一係長(鈴木志郎)、鑑察医(仲原新二)、橘部長刑事(南川直)、

荒牧刑事(岩上瑛)、桃井刑事(轟謙二)、岩井田刑事(滝川潤)、

立石主任(波島進)

 

(出演者・オープニングまたはエンディング表記)

・・・配役名表記無し

小林重四郎、福島寿美子、大邦一公、関弘子、水原ゆかり、不忍郷子、石田守衛、

山田晴生、上原美和、北峰有二、菅原壮男、小原庄之介、稲田ゆき、後夷真沙子、

曽野弘子、香月三千代、島田章子、鈴木暁子、矢島瞳、中林容子、小林一秋、

平塚裕子、麻生三恵子、伊藤秀子、根岸玲子

 

 

(あらすじ・予告篇から)

・・・ ※当時のナレーションをそのまま聞き写しています。

 

寒い北風の吹きつける郊外のゴルフ場で、

ひとりの映画監督が毒殺されるという事件が起きた!

・・・(お通夜に参列した立石班に、叫ぶ監督の息子と、止めるその母の場面)

息子 「刑事さん、帰れよ! 

    女とゴルフに行って殺された男なんか、

    おふくろの亭主でもないし、俺の親父でもないんだ!」

・・・(ナレーションに戻る)

痴情か?

怨恨か?

正確に事件を究明しようとする特捜隊の前に、

一匹のけだものに蹂躙(ジュウリン)されながらも、

ひたすらスターの座を夢見続けた、

哀れな女の運命が横たわっていた・・・。

次週、特別機動捜査隊に御期待ください。

 

※ストーリーの本質に触れる部分はボカします。

 

 

(備考)・・・

・西本捜一主任が捜一係長へと昇格。鑑察医を演じていた仲原新二が、配役名とともにオープニング表記されるようになる。

・監督の仲木睦は後に仲木繁夫と改名、【第3回再放送】では#453 狙え!事件記者 を演出している。

・検証本72頁の出演欄の、「上原由香利」は「水原ゆかり」の誤り、「土屋礼子」はオープニング表記を見る限り見当たらない。

・出演者の不忍郷子は、*悪魔の手毬唄(主演・高倉健) での記述通り、後の進藤幸であり、当作では岩橋夫人を演じる。

・当作(1964年)時点では普通に呼ばれた「人夫」(ニンプ)も、現在(2020年)では差別用語と見做されるということなので、以下本文では「作業員」と表記した。

・当作は、【第3回再放送】【第4回再放送】で2作リメイクされている原型作品(本文参照)。

 

 

(視聴録)・・・開始約分半まで

(ネタバレしない範囲での一般的感想)

配役名表記が無いこともあり、ある程度関連人物をまとめますと以下のとおりです。

 

〇映画監督・矢野進二郎・・・・・・・・・・・・・・・・・小林重四郎

〇越川ゴルフ場・支配人

〇ゴルフ場フロント

〇ゴルフ場受付嬢

〇ゴルフ場清掃員・山川芳(ヨシ)

〇ゴルフ場作業員・後藤

〇ゴルフ場にいた、池矢俳優学校校長兼計理士・池内大介

〇池内に就いたゴルフ場キャディ

〇矢野に就いたゴルフ場キャディ

〇女優・井上昌子

〇女優・杉田京子

〇元女優・里見敏子

〇池矢俳優学校女生徒(複数)

〇矢野の妻・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・関弘子

〇矢野の長男(大学生)・和雄

〇矢野の次男(赤ん坊)

〇大宝映画撮影所・所長

〇農家の主婦・おりつ

〇小島町にある旭台療養所の元賄(マカナ)い・山田歳

〇旭台療養所の職員

〇山田歳の姉・岩橋夫人・・・・・・・・・・・・・・・・・・不忍郷子

〇岩橋夫人の娘・節子

〇岩橋家の女中

〇長屋の住人(複数)

 

 

初期作品の特性を生かして、ケレン味ある書き方になっていますが、実見した人はなぜこのようにするのだろうと思います。それは以下本文を読んでいくうちにわかるでしょうが、特捜隊の登場人物は意外に多いため、初見の人を意識しています。フェイクといえばフェイクなのですが、この点はご了承ください。

 

男女がゴルフ場でのプレイ中、男が急に苦しみ絶命した通報を受けた立石班は、現場の越川ゴルフ場に到着。男は映画監督・矢野進二郎、ペアの女は女優・井上昌子。矢野の常用する精力剤の瓶に、青酸カリが混入されていたことから、毒殺されたとみて捜査に入ります。遺留品の名刺なども含めた聞きとりで、矢野は妻子が有りながら女・金にだらしなかったことが判明。特捜隊本部では、鑑識が、瓶から被害者の指紋が検出したところ、3カ所ほど手袋で拭われていることを報告するのですが、立石主任は手袋の種類を細かく分析するよう指示します。そして、矢野の自堕落な生活から数々の容疑者が浮かび上がるのですが・・・。

 

これは、視聴していくうちに「オヤッ」と直感、観続けていくうちに、リメイク作の原型であることがわかりました。ネタバレながら、敢えて記しますと

 

(1) #121  けだもの (脚本・守田二郎、監督・仲木睦)

本放送1964年2月19日・立石班

 

(2) #525 ポルノイン東京 女人百景 (脚本・小川記正、監督・吉川一義)

本放送1971年11月24日・三船班

 

(3) #792 情念の女 (脚本・小川記正、監督・伊賀山正光)

本放送1977年1月26日・日高班

 

となっており、同じ題材を異なる捜査班が扱ったことになります。

ただ、(1)(2)は鑑察医(仲原新二)、(2)(3)は関根部長刑事(伊沢一郎)が共通して出演しているので、ドキュメンタリーなら「似たような事件が以前ありましたねえ」となってもおかしくはありませんが、フィクションですので仕方ないでしょう(笑)

 

リメイクならば、脚本が同一、あるいは原案+改変ということで(2)(3)の脚本が複数表記のはずですが、すべてひとりだけになっています。考えられるのは

A) 小川記正が戦前からの大御所だけに、脚本・守田二郎から脚本権利を買い取った

B) 守田二郎が小川記正のPN(プセウドニーモ)、いわゆる別名・ペンネームだった

のいずれかと思います。

単純に考えれば、守田二郎、小川記正は特別機動捜査隊(第163回)木枯 まで交互に脚本に名を連ねていたようですので、A)が正しいのでしょうが、昭和期は別名を使い分ける製作スタッフが多かったことからB)も考えられます。

 

この3作の流れは、個人的に「(1)→(3)は本流、(2)は亜流」と感じます。

(1)(3)は悲劇であり、「因果応報」という言葉がありますが、どうしても避けられなかった「因果」、それでも関わりを避けようと謹んで暮らしていても、思わぬ仕打ちを受けてしまう・・・、それを描いたものであります。

ただ両者には違いがあり、たとえば(1)では「元凶」=矢野を序盤から毒殺という形で「現在」から遠ざけ、「回想」により矢野の破廉恥さを強調させるものです。対して(3)では、「元凶」=吉岡を過去から現在に至るまで破廉恥さを続けることで、視聴者からの憎悪(?)は吉岡一点に絞られ、「自業自得」という形になっても仕方ない印象を与えます。

この点、矢野=小林重四郎、吉岡=川合伸旺、の演技比較からすると川合伸旺に軍配が上がりそうですが、特捜隊の演者という側面では小林重四郎に軍配が上がります。とにかく小林重四郎は、#463 黒い遺言状 、#566 俺には親が いねえんだ! 、での憎々しい役柄でのインパクトが強く、#794 ある受験生の詩 のように立っているだけでも不快な威圧感(?)を抱かせる、特捜隊では稀な俳優さんで、本業が歌手というのがもったいない。

まあ、まとめますと、哀しい殺人事件であり同情しうる犯人ということで、「人間」を描いた内容といえます。これだけをとっても、後世の評論家やライターが「特捜隊は事件(だけ)を描いた刑事ドラマ」と評したのは誤解であり、#001 最後の犯人(ホシ)を追え しか観ていないことの表れだと思います。その他にも違いはありますが、これだけにとどめます。

 

さて(2)は、おどろおどろしさを強調したところが亜流ともいえ、エロ小説家、トップ屋、水商売など、なにか現実世界から離れた「お化け屋敷」に迷い込んだ印象であります。悲劇的な殺人動機が、そのおどろおどろしさの中で混ざり合い、狂気の世界に転がり落ちていくようで、それはラスト現場に駆けつけた三船主任(青木義朗)の唖然とした表情に代表されます。

これは、(1)という土台があったにせよ、脚本・小川記正、監督・吉川一義のコンビが創りあげた独創性(というか特捜隊からの独走?)有る作品で、#550 ある異常人間 の次に位置する佳作であり、(1)(3)とも違う世界観のストーリーであります。

 

かつて、*特別機動捜査隊 【DVD】~自身が採録してほしい作品(2) で

#792 情念の女 (本放送・1977年1月26日)

>・三船班#525 ポルノイン東京 女人百景 のリメイクで、小川記正脚本を、吉川

>一義、伊賀山正光の両監督がどう演出しているか。。。両作とも採録してほしい

>と考えます。

と述べたことが有りますが、今では、当作(1) #121  けだもの を観賞できた喜びとともに、(1)(2)(3)と併せて観賞することをお勧めします。

 

 

さて、これでスペシャルセレクション・VoL1・disc1をすべて観賞しましたが、#001 最後の犯人(ホシ)を追え 以外は、自分自身初見ということもあり、満足度の高い作品ばかり収録されていました。ただ、以前から触れている通り、スペシャルセレクション、ですからいずれVoL(巻数)は終了します。公式には、東映ビデオ・特別機動捜査隊DVD販売

 

 

ではVol 3.までの販売のようです(註・amazonではVol 4.の項目有り)。

まあ、DVD販売終了したとき、東映chでフル再放送してくれる布石であればいいのですが、最前線の例にあるように期待はしにくいものがあります。。。

【第1回再放送】は、#001-#212で、欠番除きで88話再放送されていたというので、やはりDVD発売より再度の再放送のほうが良かったというのが本音です。

 

それはともかく、【スペシャルセレクション】disc1.をすべて観賞し終えたこと、12月31日(木)が大晦日なこともあり、特捜隊については当年更新はこれで終わりになります(「特捜隊について」というのは、12月25日に「鉄道探偵と10の証拠」のパンフレットが配布されるため、もしかしたら、書くかもしれませんので。。。)

いずれにせよ、次回の特捜隊についての更新は、正月明けになりますが、こういうご時世で、世情が落ち着かないこともあり

令和3年1月12日(火)以降

に更新したいと考えています。

良いお年をお迎えくださいませ。