※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また(出演者)は、エンディングで、一列~三列で表示された男優・女優に限定しました。

 

【#566  俺には親が いねえんだ!】

 

(本放送)1972年9月6日

(再放送)2016年5月5日

(脚本)横山保朗

(監督)吉川一義

(協力)作並温泉組合、東北観光開発センター、三色最中、ホテル天龍閣

(協賛)無し

(捜査担当)三船班

関根部長刑事(伊沢一郎)、白石刑事(白石鈴雄)、浜田刑事(矢吹渡)、

石原刑事(吉田豊明)、畑野刑事(宗方勝巳)、三船主任(青木義朗)

 

(出演者)

花ノ本寿、桜井浩子、夏川圭、丸茂光紀、大原百代、塚田正明、横山富吉、

木本長十、田村保、岩城力也、藤山竜一、西川敬三郎、佐藤博、平田守、

小林重四郎

 

 

(あらすじ・予告篇から) 

※当時のナレーションをそのまま聞き写しています

 

ある夜、競馬のノミ屋をしている男が殺され、

現金1千万円が強奪された。

事件を隠す被害者の札つき親分、

単なるやくざ同士の争いと思われたが、

意外にもこの事件の裏には・・・!?

舞台は、みちのく、仙台へと広がる。

古い絆(キズナ)と親子の断絶、

そして男と女、親と子の、

斬れない情(ジョウ)が絡んでの逃避行。

警察とやくざの両方から追われる犯人たち。

三船主任は、彼らを傷つけずに事件を解決しようとするが・・・。

畑野刑事が撃たれるというアクシデント! 

苦悩する三船主任・・・。

次回、特捜隊、「俺には親が いねえんだ!」に御期待ください。

 

(備考)

 

 

(視聴録)

 

八坂興業では組長・八坂(藤山竜一)のもと、競馬のノミ行為を行なっている。これに目をつけたのが出所間もないスリ・くらずみ善吉(小林重四郎)、その弟子・なかたに修(花ノ本寿)、トルコ嬢・由美子(桜井浩子)、その情夫(佐藤博)。事前に善吉は、回収担当の島岡(平田守)、筒井せいいち(柿崎修司)のスキをついて筒井の拳銃をスリ取り、あとは夜間工事と偽り作業員に化けた善吉、修、由美子の情夫が島岡、筒井から現金強奪、由美子の運転するライトバンで逃走する段取りだった。ところが、島岡が拳銃を持っていたため、スッた銃を持っていた善吉と銃撃戦になり、善吉は被弾、重傷ながらも4人組は強奪した現金を持って逃走、自らの銃で撃たれた筒井は治療の甲斐も無く死亡してしまった。

 

三船班は、善吉の宿泊所からの遺留品や西村奈保子(夏川圭)なる女性が訪れたことから、捜査の範囲を宮城県仙台市まで広げ、宮城県警・遠藤刑事(岩城力也)、所轄刑事(未詳)の応援を受ける。しかし、4人組は、重傷の善吉、現金を巡り疑心暗鬼の元、善吉・修のグループ、由美子とその情夫のグループに分裂するが、善吉と修の仲も良いわけではなかった。

 

しかし、八坂興業も手をこまねいているわけではなく、島岡、八坂の腹心・佐川(丸茂光紀)の2人が、ついに仙台の地に現われたのだった・・・。

 

 

当作は謎解きの部分は無く、現金強奪の4人組を追いかけ、三船班、暴力団組織が追いかけるという図式。ここのところ、「#562 真夏の逃亡者」、「#565 誘拐」と、ホームラン級のアタリを連発の横山保朗脚本、さらに「#531 わが作戦 敗れたり」では第3回再放送では初顔合わせとは思えない、横山保朗脚本との好相性を見せた吉川一義監督、期待大で見たのですが何か物足りないままに終わってしまいました。

 

というのが、謎解きの部分が無いのは別に構わないのですが、場面と場面とのつなぎが悪くスピーディーさが出ていないのが挙げられます。いくらなんでも夜になるまで拳銃が無いことに気づかない暴力団員はいないでしょうから、スナックの場面を強奪直前に持ってくるとか、タクシーの運転手にライトバンの登録番号を聞いてもストーリーが進行した現在では必要なものだったのかとか、暴力団員が仙台まで乗り込んでくるなら三船主任の「失せろ」と一蹴する場面は不要だったのではとか、どうしてもストーリーの進行が頓挫する傾向があります。

 

また、バックの中身をすり替えるのも、脚本になくとも吉川一義監督レベルなら、居間での善吉の寝ている場面に整合性を持たせるとか・・・。川沿いでの銃声をあんなに響かせる必要があったのか、1発鳴らして(数発でもいいのですが1回こっきり)の場面の後、三船・白石、浜田、関根・石原の3グループを交互に映した方が緊張感があったのではと思ったり・・・。

まあ、期待度が大きかったがゆえに、ついつい考えてしまうんですね。

 

ラストは結束信二脚本のような、救いようのない場面で終わるとか、「#553 悪魔の囁くとき」での不安定さが、ぶり返したような横山保朗脚本に?がつく作品でした。

#563 陽のあたる町」では、天野利彦監督の変貌に、もしかしてハワイロケがあるから集中力が削がれた?と冗談交じりに書きましたか、実は、横山保朗脚本、吉川一義監督もハワイ篇があるのですね。当作ももしかして・・・、とふと思うくらいの作りでした。

 

あと、気になったところでは、畑野刑事の扱いですが、「#550 ある異常人間」に続いての銃撃であり、奇しくも監督は同じ吉川一義でした。場面的にも、仙台篇ではお寺(西方寺?)だけでしたので、スケジュール的に途中退場でもしたのでしょうか。東京篇ではそこそこ場面登場していたので・・・。これを考えると、水木刑事も最近の出演は激減しているので、脚本・監督・制作は頭をヒネりながらの体制だったのではと、つい考えてしまいます。

 

(2017年12月31日 全面追加)