※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また(出演者)は、エンディングで、一列~三列で表示された男優・女優に限定しました。

1963年公開の、映画版・特別機動捜査隊全2作とは趣が異なることに注意。

 

【#001  最後の犯人を追え】  放送時間は約50分

 

(本放送)1961年10月11日

(再放送)2018年10月1日・・・先行放送枠

(脚本)宮田達男

(監督)関川秀雄

(協力)※

(協賛)※

※「画面版欠落により音声のみとなります」とあり、オープニング表記がされていない。監督、脚本は冒頭の東映chのテロップにより明らかにされているが、それ以外は無い。よって、wiki、テレビドラマデータベースを参考に、レギュラー、ゲストを下記に書き出す。

 

(捜査担当)※立石班

立石主任(波島進)、妹尾部長刑事(佐原広二)、橘刑事(南川直)、

桃井刑事(轟謙二)、内藤刑事(巽秀太郎)、

金子課長(註・劇中では係長と発声、神田隆)

 

(出演者)※

日尾孝司、室田日出男、柳生博、志村妙子、若杉英二、大木史朗、岩上瑛、

曽根秀介、小金井秀春、田川恒夫

 

 

(あらすじ) 開始約24分まで

 

深夜の渋谷区あらき町、木村やすたろう(未詳)は妻(未詳)と就寝中のところ、強盗に侵入される。強盗は3人組(室田日出男、日尾孝司、柳生博)、1人は外の自動車内で見張り、2人が侵入してきた。うち1人は拳銃の準備をしており、もう1人は侵入前にあらかじめ電話線を切断、侵入後は引きちぎったカーテンの切れ端で妻を縛り上げるという、2人とも息の合った用意周到さであった。しかし、隙を見て逃げようとした木村を銃撃、金庫の中には金目のものは無いというありさまでは、強盗たちは退散するしかなかった。縛られた妻は縁側へ出て絶叫、近所住人(未詳)が駆けつけ110番通報の運びとなる。

 

警視318のパトカー警官(岩上瑛、もう1人は未詳)が現場に到着、続いて初動捜査班でもある刑事部捜査第1課・特別機動捜査隊・立石班も到着した。救急車で搬送される木村に橘が同乗しての聞きこみ、桃井による野次馬の撮影、立石による妻への聞きこみ、妹尾による近所住人への聞きこみにより情報収集にあたる。さらに、妹尾が庭で「交通K.K」と書かれた手ぬぐいを発見、それを警察犬の嗅覚により強盗が使用した自動車の形跡を発見、内藤も隣接の警察署からの通報で乗り捨てた不審な自動車の存在を確認と、様々な成果を挙げる。

 

しかし、強盗3人組は、そのあと渋谷駅前に駐車中の自動車を盗み、不動産会社の日東開発商事に、同じような段取りで押し入り、社長(未詳)、男性社員・一色(未詳)を脅し、現金を要求する。そして、拳銃男は通報ベルを押そうとした一色を銃撃、重傷を負わせ、社長に迫るが金は無いと弁明される。拳銃男は昨日集金で会社に金があるはずだとうそぶくが、本当に金庫には一銭も無いことに気づくと、小切手を書かせて現金をせしめることにする。自分が会社で社長、一色を見張っている間に、電話線男を見張り男と銀行に行かせて小切手を現金化させるというものだった。会社に残る拳銃男、社長、一色だったが、そこに社用で外出していた女性社員(志村妙子)が戻ってきて、戸を開けようとしていた・・・。

 

 

(備考)

・冒頭のナレーションに

>この映画は、より明るい社会を築くため、日夜健闘する警察官たちの果敢な

>物語である。

>特に、犯罪捜査の革新を目的として、「スピード、サイエンス、シークレット」

>の3つの要素を基調とした科学的捜査活動を描いたもので、

>その名は、特別機動捜査隊!!

と流れる。

これが、#002以降も定着するナレーションはどうかは、未見のため判断不能。

・志村妙子は、後の太地喜和子(1992年10月13日逝去)である。

・部下がなぜか「主任さん」と立石主任を呼んでいる。

 

 

(視聴録)

 

当作は、特捜隊が【第3回再放送】となったとき、自分自身興味を持って横浜にある「放送ライブラリー」(横浜中華街の近く)に行って見たことがあります。しかし、マナーを守れないというか、得体の知れない人が視聴してたり、修学旅行シーズンだったせいが小声ながらもざわめきが聞こえたとか集中して視聴できませんでした。なので、今回、当作を再視聴できたのは嬉しい限りで、今から57年前の作品だなと感慨をもって見入りました。

 

前にも触れましたが、「特捜隊(特別機動捜査隊)は事件を描き、特捜最前線は人間を描く」といわれ、それが金科玉条のように喧伝されてきました。自分は、それは番組の変遷とともに変わっていくものであり、少なくとも三船班のころには、人間というかドラマを描くスタイルになっていると指摘してきました。その第1作である「#001  最後の犯人を追え」を見てみますと、まごうことなき「事件」を描いたものであり、ドラマ性は希薄であり、人間にしても感情の吐露の少ない描き方だろうと感じました。これが金科玉条のように言われた所以でもあるのでしょう。。

上記の(あらすじ)は多少なりともドラマ性を持たせようと書きましたが、実見すると、事実が羅列されての進行に近く、後年の特捜隊でよくある「最後までグイグイと勢いよく、視聴者を引っ張っていくスタイル」を垣間見ることはできません。また、直接事件と関係ない事柄、人物の場面も目につきます。つむら(若杉英二)の登場場面も、そのひとつかもしれません。

 

後半の第3の事件(日下部団地管理事務所事件)が発生してから約10分の追跡劇を、勢いのある場面に当てはめる見方もあろうとは思います。ただ、伏線も無く目撃証言だけで、そこまで追跡が継続できるのかという疑問と、強盗たちの内面描写が少ないため盛り上がりに欠けてしまうところは気になるところです。そのせいか、純喫茶モカの場面もいきなり感が強く、この場面は不要かもと思ったりもします。立石主任の「あんな男は人間のクズ」という台詞も、的を射ているようないないような、ふと鹿児島ロケ桜島噴火前三部作の一作(どの作品だかは失念しましたが)での、立石主任の興ざめな台詞を想起します。まあ、それと題名の「最後の犯人を追え」というのが、内容とマッチしているのかというのも疑問といえば疑問。

 

しかし、当時の警視庁の全面バックアップを受けての作品であること、第1作目であることから、あくまで実際に起きた事件を、忠実に捜査側の立場から描く要請もあったのでしょう。ですので、今も昔も違和感のある、110番通報を受けてホイッスルを鳴らす場面も、敢えて挿入しているとも考えられます。どうしても、現在の視点からの視聴ということもあるのですが・・・。

 

もちろん、良い点も見受けられます。当作は渋谷を舞台として描いており、明治通りを縦横無尽な追跡劇を撮影したこと、終始渋谷の街並みを舞台に事件・捜査・追跡となるところ、ドラマ性とは異なった点で注目点があります。

また、キャストでも、荒牧刑事を演じる前の岩上瑛、若手時代の内藤刑事の若々しさ(#497 人生試験地獄 が巽秀太郎の最終出演になるので、第1作目から10年間レギュラーだったことになります)、無名時代の太地喜和子や柳生博、など。欠落版ではなくオープニング表記のある版だったら、もっと面白いキャストを指摘できるのですが・・・(実際、見たことがあるような男優、女優が出ているのですが、名前が思い出せず残念)。

 

作品自体としては、佳作に届かず惜しい作品というべきでしょうが、あくまでも現在の視点からですので、昭和30年代当時を知る人からすれば、古き良き捜査体制を見れるということで好評価となるかもしれません。