本来ならば、特捜隊の現存作品をすべて視聴・観賞したうえで、出演された女優について書いていくべきだと思います。しかし、【スペシャルセレクションシリーズ】が発売されたことで、かつて東映chで放送された特捜隊現存作品全作をリフレイン再放送される可能性は遠のきました。

そこで不充分ながらも、【第3回再放送】【第4回再放送】【スペシャルセレクションシリーズ】を観た状態で、特別機動捜査隊・女優篇を書いていくことにしました。ただし、万が一、特捜隊現存作品全作のリフレイン再放送、新たに【スペシャルセレクションシリーズ】発売がなされたときは、それら作品視聴録を優先して、特別機動捜査隊・女優篇は一時中断することにいたしますので、その点はご了承くださいませ。

なお以下では、人物敬称略で書いていきます。

 

かつて、

特別機動捜査隊・女優篇(1)渡辺ゆかり

にて、ご本人様にインタビューしたことはあるものの、これはあくまでも例外であり、おそらく自分自身の主観が中心となった原稿になると思いますので、その点も、ご了承のほどお願いいたします。

 

 

**************************************

 

今回取り上げる女優さんは、

◎ 三田登喜子(三田桃基子)

になります。

 

#455 金髪と口紅での、三田登喜子)

 

#593 魔性の女での、三田桃基子)

 

 

自分が、三田登喜子を初めて観たのは、もう30年ほど前のこと。

今でも時代劇は好きなのですが、「大河内傅次郎乱闘場面集」のビデオ視聴で大河内傅次郎にハマったこともあり、仕事の帰りにさまざまなレンタルビデオ店に出かけては、大河内ものを探していたのものでした。ただ、戦前の主演作品はフィルム自体が消滅しているのがほとんどで、VHSビデオとなっている作品は、なかなか見つかりません(この当時は、「丹下左膳余話 百萬両の壺」もビデオ化されていなかった記憶があります)。しかし、あるビデオ店で、戦後版になりますが、「丹下左膳 こけ猿の壺」(1954年、脚本・衣笠貞之助、監督・三隈研次 ※wikiに、『戦前に戦前に山中貞雄により映像化された映画『丹下左膳余話 百萬両の壺』のリメイク』と有りますが誤り、正しくは、戦前の伊藤大輔監督作品「丹下左膳」「丹下左膳・第二篇」のリメイクになります)に巡り会うのですが、その助演女優が三田登喜子でありました。

おとなしめの風貌で、個性があまりなさそうだなと思っていたら、何年かして観た「新選組血風録」(NET、全26話、脚本・結束信二、主な監督・河野寿一)の#03 昏い炎(1965年7月25日本放送)では、大和屋の家内・おはまを演じ、芹沢鴨(遠藤辰雄)に蹂躙され半狂乱となる姿は、観ている側としても「驚愕」してしまうこととなりました。「こけ猿の壺」から約10年、1935年2月26日生まれですから30歳のときの作品で、この間に女優として修練を積んだものと考えられます。

そして、特捜隊での出演期間は、女優として開花した時期ともいえるわけで、この点は、本人としても、視聴者としても恵まれたのではないでしょうか。

 

さて、自分が観た三田登喜子(三田桃基子)の特捜隊作品群は、視聴順・観賞順に以下のとおりです。なお、三田桃基子に改名したのは #593 魔性の女からで、これは特捜隊終焉まで続きます。  

なお、「主演格」とはエンディング表記でトップ表記されていることを指します(註・トップ表記が複数列のときは、一番上のこと)。

 

 

 

①【第3回再放送】

東映ch=2015年4月2日~2017年2月16日

 

(1) #455 金髪と口紅 ※三田登喜子名義

(本放送・1970年7月22日、脚本・元持栄美、監督・龍伸之介、立石班)

(2) #463 黒い遺言状 ※三田登喜子名義

(本放送・1970年9月16日、脚本・小川記正、監督・吉川一義、藤島班)

(3) #483 俺は 三船刑事だ【スペシャルセレクション】 ※三田登喜子名義、主演格

(本放送・1971年2月3日、脚本・吉岡昭三、監督・伊賀山正光、三船班)

(4) #501 勝負【スペシャルセレクション】 ※三田登喜子名義

(本放送・1971年6月9日、脚本・西沢治、監督・伊賀山正光、三船班)

(5) #525 ポルノイン東京 女人百景【スペシャルセレクション】 ※三田登喜子名義、主演格 (本放送・1971年11月24日、脚本・小川記正、監督・吉川一義、三船班)

(6) #550 ある異常人間 ※三田登喜子名義

(本放送・1972年5月17日、脚本・小川記正、監督・吉川一義、三船班)

(7) #593 魔性の女   ※三田桃基子名義

(本放送・1973年3月14日、脚本・村田武雄、監督・伊賀山正光、高倉班)

(8) #627 十七才心中  ※三田桃基子名義

(本放送・1973年11月7日、脚本・元持栄美、監督・中村経美、三船班)

 

 

②【第4回再放送】

東映ch=2019年3月14日~2020年8月20日

 

(9) #651 姿なき脅迫者 ※三田桃基子名義

(本放送・1974年4月24日、脚本・横山保朗、監督・伊賀山正光、三船班)

(10) #679 渇いた道 ※三田桃基子名義

(本放送・1974年11月6日、脚本・佐々木武観、監督・北村秀敏、矢崎班)

(11) #728 女と祭  ※三田桃基子名義主演格

(本放送・1975年10月22日、脚本・西沢治、監督・天野利彦、三船班)

(12) #729 真空地帯 ※三田桃基子名義

(本放送・1975年10月29日、脚本・西沢治、監督・龍伸之介、矢崎班)

(13) #754 ドキュメント・暴行  ※三田桃基子名義

(本放送・1976年4月28日、脚本・横山保朗、監督・天野利彦、三船班)

(14) #779 むらさき小唄 雪之丞 ※三田桃基子名義

(本放送・1976年10月27日、脚本・西沢治、監督・天野利彦、日高班)

 

 

③【スペシャルセレクションシリーズ】(すべて、三田登喜子名義)

DVD観賞=2020年12月13日~2025年7月27日のブログ更新年月日

 

(15) #407 雨の中の女【スペシャルセレクション】 【第2回再放送】※主演格

(本放送・1969年8月20日、脚本・村田武雄、監督・龍伸之介、藤島班)

(16) #357 情炎譜【スペシャルセレクション】 【第2回再放送】

(本放送・1968年8月28日、脚本・五条勢都子、樋口静生、監督・天野利彦、立石班)

 

 

④ 未収録回・欠番回のため未見(すべて、三田登喜子名義)

 

(17) (第232回)大噴煙  ※欠番回

(本放送・1966年4月6日、脚本・大和久守正、監督・wiki不明、立石班)

(18) (第233回)続・大噴煙  ※欠番回

(本放送・1966年4月13日、脚本・大和久守正、監督・wiki不明、立石班)

(19) (第258回)ダイヤと秋刀魚と女たち【第2回再放送、DVD未収録回】※主演格

(本放送・1966年10月5日、脚本・西沢裕子、監督・龍伸之介、立石班)

(20) (第388回)空から来た男 【第2回再放送、DVD未収録回】

(本放送・1969年4月2日、脚本・小川記正、監督・天野利彦、藤島班+立石主任)

(21) (第417回)美しい町の天使たち【第2回再放送、DVD未収録回】※主演格

(本放送・1969年10月29日、脚本・駒田博之、監督・仲木繁夫、藤島班)

(22) (第431回)馬鹿な女【第2回再放送、DVD未収録回】

(本放送・1970年2月4日、脚本・元持栄美、監督・天野利彦、立石班)

(23) (第445回)ある終局【第2回再放送、DVD未収録回】※主演格

(本放送・1970年7月22日、脚本・大南勝彦、監督・龍伸之介、立石班)

 

 

さて、自分が視聴・観賞した特捜隊作品では、三田登喜子としての主演ものは、

(15) #407 雨の中の女【スペシャルセレクション】

 (5) #525 ポルノイン東京 女人百景【スペシャルセレクション】

が代表作と感じます。特に後者は、脚本・小川記正、監督・吉川一義のゴールデンコンビというのもありますが、

 

原型作= #121 けだもの【スペシャルセレクション】(収録回)

(本放送・1964年2月19日、脚本・守田二郎、監督・仲木睦、立石班)

準リメ作=#525 ポルノイン東京 女人百景【スペシャルセレクション】(収録回)

(本放送・1971年11月24日、脚本・小川記正、監督・吉川一義、三船班)

リメ作=#792 情念の女(未収録回)

(本放送・1977年1月26日、脚本・小川記正、監督・伊賀山正光、日高班)

 

のリメイクものの中で、原型作がありながらもオリジナルに昇華した作品の主人公としての存在感は忘れられません。この作品は、幸運にも【スペシャルセレクションシリーズ】に収録、#121 けだもの【スペシャルセレクション】との比較も出来るので、ご覧になられた方々も多いと思われます。

 

 

そして、三田桃基子としては、

助演としては、(7) #593 魔性の女

主演としては、(11) #728 女と祭

が代表作ではないか、というのが自分の考えです。

 

 

助演となる作品、#593 魔性の女(画像①)で簡略ながらも網羅しておりますので、今回はそれを補完する形になります。また、当作を遡る約7年前にも(第223回)魔性の女という作品がありましたが、脚本、監督の違い、検証本・リスト特捜隊のあらすじから別モノであります。

なお主要登場人物は、以下の通りです(高倉班の配役名は、#593 魔性の女を参照)。

 

○ 樋口正之・・・・・・・・・・・・・峰村銀(画像②)

○ 正之の妻・ゆみ子・・・・・・・・・下川清子(画像②)

○ 正之の母・・・・・・・・・・・・・花岡菊子(画像③)

○ 正之の妹・礼子(写真芸術家) ・・・酒井正子(画像④)

○ 礼子の同僚カメラマン・栗林・・ ・・永田博文(画像④)

○ 写真の男性モデル・相良・・・・・・仲野裕(画像⑤)

 

(画像①=オープニングの題名表記)

 

(画像②=左から峰村銀、下川清子)

 

(画像③=花岡菊子)

 

(画像④=左から酒井正子、永田博文)

 

(画像⑤=仲野裕)

 

○ ゆみ子の父・高松・・・・・・・・田島義文(画像⑥)

○ 高松の後妻・ハルミ・・・・・・・三田桃基子(画像⑦)

○ ハルミの弟・稲村てつじ・・・・・佐野貞男(画像⑧)

○ BARエニシダ・マダム・雪江・・・生田くみ子(画像⑨)

○ 同・常連の画家・里見・・・・・・倉田地三(画像⑨)

○ 同・ホステス・冴子・・・・・・・美山ゆり(画像⑩)

○ 同・ホステス・八重・・・・・・・小貫瑞恵(画像⑩)

○ 同・ホステス・昌代・・・・・・・杉浦悦子(画像⑪)

○ 昌代の情夫・岡野・・・・・・・・岡部正純(画像⑫)

○ BARアストム・マスター・・・・・関戸純方(画像⑬)

○ 弁護士・浅川・・・・・・・・・・清水一郎(画像⑭)

○ 山梨県警・田沼刑事・・・・・・・田村元治(画像⑮)

 

(画像⑥=左から三田桃基子、田島義文、生田くみ子)

 

(画像⑦=三田桃基子)

 

(画像⑧=佐野貞男)

 

(画像⑨=左から生田くみ子、倉田地三)

 

(画像⑩=左から小貫瑞恵、美山ゆり)

 

(画像⑪=左から杉浦悦子、生田くみ子)

 

(画像⑫=左から岡部正純、笠達也)

 

(画像⑬=左から岩上瑛、関戸純方)

 

(画像⑭=清水一郎)

 

(画像⑮=田村元治)

  

当作は、決して秀作とはいえない作品で、粗については過去の本篇で述べた通りです。…が、「魔性の女」というテーマで見ると、なかなか興味深い点がうかがえます。

これは、登場する主な女性に

 

(1) 礼子(画像⑯=酒井正子)

 

 

(2) ハルミ(画像⑰=三田桃基子)

 

 

(3) 雪江(画像⑱=生田くみ子)

 

 

 

がいるのですが、この中で誰が「魔性の女」にふさわしいのかという点です。ゆみ子(画像⑲)、昌代(画像⑳)は序盤で死亡、冴子・八重は雪江の下で働く一ホステスという点から省きます。

まあ、雪江も絞殺死体で発見されるので(画像㉑)被害者には違いありません。しかし、新しい店探しという目的の元、高松、里見に引っ付いている姿を観るにつけ、一筋縄ではいかない狡猾さを感じさせます。そして、その素振りは、上昇欲を感じさせ、礼子との対峙場面(画像㉒)でもうかがえます。演じた生田くみ子という女優さん、もともと生田三津子の芸名で特捜隊にもゲスト出演、#546 四匹の牝猫から現芸名に変更、特捜隊では終焉期の#780 ある女のみちまでゲスト出演していました。

また、礼子も、被害者・正之の妹という立場、山梨県警から重過失(?)を疑われている立場から、真相を追及するというのはわかります。しかし、正之の遺産相続という点で、同時死亡の有無は関係ない立場(いわゆる、直系ではない傍系)であるのに、里見に直談判したり(画像㉓)、高松と正之母との話に同席したり(画像㉔)するなど、したたかさを感じます。もちろん、老いた母のためということも考えられますが、母娘の情愛描写が目立ちにくい面もあり、礼子の本心に興味を惹かれます。演じた酒井正子という女優さん、本篇でも自分は好評価したのですが、調べても経歴がまったくわからない人物であり、この点は残念であります。

そして、ハルミを演じる三田桃基子は、当作に至るまでの【第3回再放送】特に上記作品群の(1)(2)(5)では、腹に一物ある女性を演じることが多かったため、当作では果たして・・・という雰囲気を漂わせます。高倉班からの聴取のあと(画像㉕)、すばやく情報を高松に提供、これが画像㉔の場面へとつながるわけですから、「やはり・・・」と感じさせます。とにかく、笑顔の奥底に潜む雰囲気は、他の女優さんに出せるのかと思うほどの存在感であるというのが自分の見立てであり、そう考えると(6) #550 ある異常人間での役柄はもったいない・・・。

そして終盤になり、本当の「魔性の女」は誰だったのか、驚き、あっけなさ、やっぱり・・・など、どのように感じるのか、非常に興味を抱かせるのですが、残念ながら【スペシャルセレクションシリーズ】には収録されていない作品のため、アマゾンプライム、再度の東映chでの再放送、を待つしかありません・・・。

 

(画像⑲=上から峰村銀、下川清子)

 

(画像⑳=杉浦悦子)

 

(画像㉑=生田くみ子)

 

(画像㉒=左から生田くみ子、酒井正子)

 

(画像㉓=左から酒井正子、倉田地三)

 

(画像㉔=左から花岡菊子、酒井正子、田島義文)

 

(画像㉕=左から笠達也、岩上瑛、三田桃基子)

 

 

さて、主演となる作品、#728 女と祭(画像㉖)は本稿でも触れていますが、予告篇が本篇に影響を与えるほどの出来であり、別の作品#599 女房貸しますと同様に、秀作を佳作に急降下させてしまっています。ただ、それでも三田桃基子の存在感は大きなものであり、天野利彦監督の後継番組(特捜最前線)での手法を思い出すほどの技巧のすばらしさを感じるところでもあります。

主要登場人物は、以下の通りです(三船班の配役名は、#728 女と祭を参照)。西城貴之は前芸名・穴井侃二(高校教師さんから「基本的には穴井寬二」と教示)で#524 ドルショック【スペシャルセレクション】にも出演、森田めぐみは後年の五十嵐めぐみであります。

 

○ 村田加奈子・・・・・・・・・三田桃基子(画像㉗)

○ 加奈子の息子・正明・・・・・西条貴之(画像㉘)

○ 加奈子の娘・奈美・・・・・・森田めぐみ(画像㉙)

○ 加奈子の兄・順一郎・・・・・細川俊夫(画像㉚)

○ その妻・・・・・・・・・・・三谷幸子(画像㉛)

○ BARたまき・マダム・・・・・白石奈緒美(画像㉜)

○ 同・ホステス・品子・・・・・小貫瑞恵(画像㉝)

○ 作詞家・本堂りゅうま・・・・中田博久(画像㉞)

 

(画像㉖=オープニングの題名表記)

 

(画像㉗=三田桃基子)

 

(画像㉘=西城貴之)

 

(画像㉙=森田めぐみ)

 

(画像㉚=細川俊夫)

 

(画像㉛=三谷幸子)

 

(画像㉜=白石奈緒美)

 

(画像㉝=小貫瑞恵)

 

(画像㉞=左から中田博久、伊沢一郎)

 

 

○ 熊谷のクラブ・女性歌手・・・藤正子(画像㉟)

○ 同・ホステス・・・・・・・・小山柳子(画像㊱)

○ 同・客・女性記者・・・・・・保坂博美(画像㊲)

○ 同・客・男性・・・・・・・・山根久幸(画像㊱)

○ 熊谷署刑事(上司) ・・・・・加藤忠(画像㊳)

○ 熊谷署刑事(部下) ・・・・・弘松三郎(画像㊴)

 

(画像㉟=藤正子)

 

(画像㊱=左から山根久幸、吉田豊明、伊沢一郎、小山柳子)

 

(画像㊲=左から保坂博美、不詳)

 

(画像㊳=加藤忠)

 

(画像㊴=弘松三郎)

 

 

当作の粗については、すでに#728 女と祭本篇で触れているので、ここでは省きます。しかし、三田桃基子の子を想う姿、特にうちわ祭を話すときの団らん(画像㊵)、殺人犯として逃亡の日々を送りながらも熊谷へ向かう姿(画像㊶)、その熊谷には、三田桃基子の兄夫婦に引き取られた実の子2人がいることで、現地へと向かう三船班との対比も良く描かれています。

そして、熊谷に着いた三田桃基子の疲労困憊の姿は、覗き込んだ鏡にも表われています(画像㊷)。その後、喫茶店に落ち着いた三田桃基子は電話をかけますが(画像㊸)、その直後に、娘の奈美が電話をとる場面(画像㊹)。さらに、時間を置いて無念そうに受話器を置く姿(画像㊺)の直後、息子の正明の憂いに満ちた表情の場面(画像㊻)。ここの対比も、天野利彦監督の後継番組・特捜最前線の秀作パターンを思い出す感じで、天野利彦演出技法は特捜隊で鍛えられ開花したといえる内容です。

 

(画像㊵=左から森田めぐみ、三田桃基子、西条貴之)

 

(画像㊶=三田桃基子)

 

(画像㊷=三田桃基子)

 

(画像㊸=三田桃基子)

 

(画像㊹=森田めぐみ)

 

(画像㊺=三田桃基子)

 

(画像㊻=西条貴之)

 

 

と、ここまでが当作のほぼ前半で、後半は三田桃基子の「静から動へ」「動から静へ」の演技が奏功する流れとなり、天野利彦監督の演出と嚙み合った面白い展開となります。天野利彦監督と三田桃基子(登喜子)との組合せは多くはないのですが、当作では本当にマッチした印象です。当作が【スペシャルセレクションシリーズ】に収録されなかったことは、返す返すも残念の一言に尽きます。このシリーズものでしたら、本篇と予告篇は別カテゴリーに分かれているため、自分が指摘した「粗」をスルーで

きるので、やはり収録してほしかったと考えます。

あと、当作は熊谷が舞台なのですが(画像㊼)、クライマックスのホテル・ニュー湖月(画像㊽)をはじめ、現在果たして現存しているのかという風景も見受けられます。約50年前の風景とはいえ、ノスタルジーを感じさせるカメラワークというのも、当作の個性であります。好き嫌いのある作品かもしれませんが、是非とも観ていただき、三田登喜子(三田桃基子)の個性もみてほしい作品です。

 

(画像㊼=1975年当時の熊谷駅)

 

(画像㊽=クライマックスのニュー湖月)

本来ならば、特捜隊の現存作品をすべて視聴・観賞したうえで、出演された女優について書いていくべきだと思います。しかし、【スペシャルセレクションシリーズ】が発売されたことで、かつて東映chで放送された特捜隊現存作品全作をリフレイン再放送される可能性は遠のきました。

そこで不充分ながらも、【第3回再放送】【第4回再放送】【スペシャルセレクションシリーズ】を観た状態で、特別機動捜査隊・女優篇を書いていくことにしました。ただし、万が一、特捜隊現存作品全作のリフレイン再放送、新たに【スペシャルセレクションシリーズ】発売がなされたときは、それら作品視聴録を優先して、特別機動捜査隊・女優篇は一時中断することにいたしますので、その点はご了承くださいませ。

なお以下では、人物敬称略で書いていきます。

 

かつて、

特別機動捜査隊・女優篇(1)渡辺ゆかり

にて、ご本人様にインタビューしたことはあるものの、これはあくまでも例外であり、おそらく自分自身の主観が中心となった原稿になると思いますので、その点も、ご了承のほどお願いいたします。

 

 

**************************************

 

今回取り上げる女優さんは、

◎ 水木梨恵(八方ゆり)

になります。

 

#453 狙え!事件記者での、水木梨恵)

 

#456 ハイビスカスの女での、水木梨恵)

 

 

水木梨恵の存在については、自宅でCS(東映ch)を観れない環境のため、特捜隊を実見出来なかったころ、「掲示板特捜隊」にて、よくその名前が頻出していたことが知るきっかけでした。そこでは、画像表示は無く、ただ「また水木梨恵か・・・」という文面のみでしたので、どんな女優さんなのか? という興味がありました。

その女優さんが、【第3回再放送】の初回、#451 雨の中の慕情特別機動捜査隊・女優篇(7)小林さち子参照)で衝撃を受けた後、ほぼ連続して4作(下記出演回参照)に登場したのですから、自分には小林さち子、峯京子と同じくらいのインパクトがありました。

 

水木梨恵はwiki項目が立てられておらず、「初期大河ドラマその記憶」というブログで書かれており、内容として詳しい部類かと思います。自分は、#783 妻の日記帳更新のときに参考としており、リスト特捜隊の限りでは、1959年12月-1965年2月の特捜隊出演回で「八方ゆり」の芸名を使っていると書きました。しかし、それ以外では、詳細情報は見当たらず、断片的に出演作品が見受けられ、若干ですが「Villainnes」というブログで触れられるくらいか? (註・以下は水木梨恵表記に統一)

ただ最近、 松竹新喜劇公式サイトでの検索で、「昭和 59 年 10 月 南座 主な配役」(註・南座=京都祇園の南座)において、「名月出世太鼓」出演者に「おそで(水木理恵)」を見い出すことが出来ました。おそらく、これが2026年3月8日現在では、水木梨恵の一番直近の芸歴であり、特捜隊終焉後、7年経っても女優を続けていたことが明らかになりました。

特捜隊への貢献度は、以下の通り、出演作品数を見ても多大なものがあり、情報が少ないのは残念なものがあります。。。

 

さて、自分が観た水木梨恵の特捜隊作品群は、視聴順・観賞順に以下のとおりです。

なお、「※主演格」とはエンディング表記でトップ表記されていることを指します(註・トップ表記が複数列のときは、一番上のこと)。

 

 

 

①【第3回再放送】

東映ch=2015年4月2日~2017年2月16日

 

(1) #452 母恋し1,500キロ

(本放送・1970年7月1日、脚本・横山保朗、元持栄美、監督・北村秀敏、立石班)

(2) #453 狙え!事件記者

(本放送・1970年7月8日、脚本・村田武雄、監督・仲木繁夫、藤島班)

(3) #454 霧の中の聖女

(本放送・1970年7月15日、脚本・横山保朗、監督・北村秀敏、立石班)

(4) #456 ハイビスカスの女

(本放送・1970年7月29日、脚本・横山保朗、監督・天野利彦、立石班)

(5) #465 ある 団地夫人の場合

(本放送・1970年9月30日、脚本・村田武雄、監督・伊賀山正光、藤島班)

(6) #472 南紀州を張込め

(本放送・1970年11月18日、脚本・元持栄美、柳節也、監督・田中秀夫、立石班)

(7) #475 限りなき逃亡

(本放送・1970年12月9日、脚本・元持栄美、監督・天野利彦、立石班)

(8) #483 俺は 三船刑事だ【スペシャルセレクション】

(本放送・1971年2月3日、脚本・吉岡昭三、監督・伊賀山正光、三船班)

(9) #498 女の縮図 (立石班最終話)

(本放送・1971年5月19日、脚本・元持栄美、監督・龍伸之介、立石班)

(10) #506 銭に生きる女【スペシャルセレクション】

(本放送・1971年7月14日、脚本・村田武雄、監督・田中秀夫、三船班)

(11) #514 三船刑事を殺(バラ)せ【スペシャルセレクション】

(本放送・1971年9月8日、脚本・村田武雄、監督・龍伸之介、三船班)

(12) #551 群衆の中のひとり

(本放送・1972年5月24日、脚本・西沢治、監督・天野利彦、三船班)

(13) #592 霧の中の 焼死体

(本放送・1973年3月7日、脚本・村田武雄、監督・伊賀山正光、三船班)

(14) #615 下町の灯

(本放送・1973年8月15日、脚本・山本雪夫、監督・鈴木敏郎、高倉班)

 

 

②【第4回再放送】

東映ch=2019年3月14日~2020年8月20日

 

(15) #666 剣と女【スペシャルセレクション】 ※主演格

(本放送・1974年8月7日、脚本・元持栄美、監督・伊賀山正光、矢崎班)

(16) #699 春の色 泥棒伝

(本放送・1975年4月2日、脚本・佐治乾、監督・松島稔、三船班)

(17) #735 あるニッポンの悲劇

(本放送・1975年12月10日、脚本・佐々木武観、監督・中村経美、矢崎班)

(18) #756 悪魔の暴走

(本放送・1976年5月12日、脚本・横山保朗、監督・中村経美、三船班)

(19) #783 妻の日記帳

(本放送・1976年11月24日、脚本・横山保朗、監督・鈴木敏郎、日高班)

(20) #800 あゝ夫婦 (三船班最終話)【スペシャルセレクション】

(本放送・1977年3月23日、脚本・西沢治、監督・天野利彦、三船班)
 

 

③【スペシャルセレクションシリーズ】

DVD観賞=2020年12月13日~2025年7月27日のブログ更新年月日

 

(21) #205 歌のある街【スペシャルセレクション】

(本放送・1965年9月29日、脚本・内山順一郎、監督・龍伸之介、立石班)

(22) #291 豚と栄光【スペシャルセレクション】

(本放送・1967年5月24日、脚本・小川記正、監督・中村経美、立石班)

(23) #307 海に生きる【スペシャルセレクション】

(本放送・1967年9月13日、脚本・駒田博之、監督・龍伸之介、立石班)

(24) #310 誰よりも愛す【スペシャルセレクション】

(本放送・1967年10月14日、脚本・横山保朗、監督・伊賀山正光、立石班)

(25) #314 アイデア 夫人の場合【スペシャルセレクション】

(本放送・1967年11月1日、脚本・西沢治、監督・北村秀敏、立石班)

(26) #405 愛憎の吊り橋【スペシャルセレクション】

(本放送・1969年8月6日、脚本・岡田達門、監督・伊賀山正光、藤島班+立石主任)

(27) #319 おんなの ブルース【スペシャルセレクション】

(本放送・1967年12月6日、脚本・菊地一隆弥、監督・北村秀敏、立石班)

(28) #322 寒いクリスマス【スペシャルセレクション】

(本放送・1967年12月27日、脚本・菊地一隆弥、監督・中村経美、立石班)

(29) #413 麻薬【スペシャルセレクション】

(本放送・1969年10月1日、脚本・元持栄美、鹿谷裕一、監督・北村秀敏、立石班+藤島班+三船班)

(30) #326 蜜月旅行【スペシャルセレクション】

(本放送・1968年1月24日、脚本・横山保朗、監督・中村経美、立石班+藤島班)

(31) #327 続 蜜月旅行【スペシャルセレクション】

(本放送・1968年1月31日、脚本・横山保朗、監督・中村経美、立石班+藤島班)

(32) #141 おんな【スペシャルセレクション】 ※「八方ゆり」名義

(本放送・1964年7月8日、脚本・元持栄美、監督・伊賀山正光、藤島班)

(33) #147 ゼロの愛情【スペシャルセレクション】 ※「八方ゆり」名義

(本放送・1964年8月19日、脚本・元持栄美、監督・土屋蔵三、立石班)

(34) #332 東京の空の下【スペシャルセレクション】

(本放送・1968年3月6日、脚本・松井稔、監督・伊賀山正光、立石班)

(35) #340 霧のような女【スペシャルセレクション】

(本放送・1968年5月1日、脚本・村田武雄、監督・北村秀敏、立石班)

(36) #354 昿野を馳ける女【スペシャルセレクション】

(本放送・1968年8月7日、脚本・村田武雄、監督・中村経美、立石班+藤島班)

(37) #367 鴉 【スペシャルセレクション】

(本放送・1968年11月6日、脚本・重宗和伸、監督・中村経美、立石班)

(38) #371 下町の虹【スペシャルセレクション】 ※主演格

(本放送・1968年12月4日、脚本・柳節也、樋口静生、監督・天野利彦、立石班)

(39) #375 鶏は ふたたび鳴く【スペシャルセレクション】

(本放送・1969年1月1日、脚本・横山保朗、監督・松島稔、立石班)

 

 

④ 未収録回・欠番回のため未見

 

(40) (第172回)寒い道 ※「八方ゆり」名義 【第1回再放送】

(本放送・1965年2月10日、脚本・大和久守正、監督・大岡紀、立石班)

(41) (第177回)若い刑事 ※「八方ゆり」名義 【第1回再放送】

(本放送・1965年2月10日、脚本・大和久守正、監督・北村秀敏、立石班)

(42) (第194回)河の女 ※「水木梨恵」名義での特捜隊初登場回 【第1回再放送】

(本放送・1965年7月14日、脚本・内山順一郎、監督・渡辺成男、立石班)

(43) (第263回)霧笛の港 【第2回再放送】

(本放送・1966年11月9日、脚本・小川記正、監督・大岡紀、立石班)

(44) (第280回)新しき門出  【第2回再放送】

(本放送・1967年3月8日、脚本・西沢裕子、監督・奥中惇夫、立石班)

(45) (第384回)転落のメロディ ※主演格 【第2回再放送】

(本放送・1969年3月5日、脚本・西沢治、監督・畠山豊彦、藤島班)

(46) (第395回)薔薇と悪魔 【第2回再放送】

(本放送・1969年5月21日、脚本・横山保朗、監督・畠山豊彦、立石班)

(47) (第420回)女囚 【第2回再放送】

(本放送・1969年11月19日、脚本・五条勢津子、寺森満、監督・奥中惇夫、立石班)

(48) (第431回)馬鹿な女 【第2回再放送】

(本放送・1970年2月4日、脚本・元持栄美、監督・天野利彦、立石班)

(49) (第445回)ある終局 【第2回再放送】

(本放送・1970年5月13日、脚本・大南勝彦、監督・龍伸之介、立石班)

 

 

自分が東映chでの【第3回再放送】初視聴したのが、2015年4月2日。毎週木曜日午後3時から2本連続放送で、1本目が#451 雨の中の慕情、2本目が「立石班の桜島噴火前鹿児島ロケ三部作」の1作目#452 母恋し1,500キロでした。これまで述べてきたように、1本目は小林さち子の存在感に圧倒され、2本目は北村秀敏監督の演出に目を見張りました。そして、特捜隊ではエンディングで初めてゲストの「役柄名(俳優名)」が表記されるのですが、1本目の「佐代子(小林さち子)」、2本目の「歌手(水木梨恵)」、ともに驚かされたのです。

 

特に、水木梨恵の顔を知らなかった当時、DVD録画したのを何回か見直して、ようやくこの人物が水木梨恵とわかりました(画像①)。ワンシーンの出演で、歌うだけで台詞は無く、これで「特別出演」ということですので、いったいどんな立ち位置にいる人なんだろうと、考えたものでした。

 

しかし、続く#453 狙え!事件記者では、バーのマダム・ナオミを演じ(画像②)、悲劇的なラストに一役買う役柄で、「立石班の桜島噴火前鹿児島ロケ三部作」の1作目#452 母恋し1,500キロよりも存在感を見せました。

さらに「立石班の桜島噴火前鹿児島ロケ三部作」の2作目#454 霧の中の聖女では、事件を複雑化させる発端ともいうべき役柄・弘子を演じ(画像③)、登場場面は少ないものの、ようやく自分には、水木梨恵の顔と名前が一致してきました。まあ、これまで三作連続で本人を観ていれば、否が応でも記憶に残るというものです(笑)

そして、「立石班の桜島噴火前鹿児島ロケ三部作」の3作目#456 ハイビスカスの女では、主演女優三人のうちの1人を演じ(あとの2人は、白石奈緒美、峯京子)、これまでの水木梨恵出演回の中では、最も印象的なキャスティングとなりました(画像④)。作品としては、後年の天野利彦監督作品を知る身からは物足りないのですが、何よりも、カット、台詞が多く、役柄も事件のキーパーソンの1人であることから、女優を光らせる演出という点で、見どころのある作品でした。

 

(画像①=#452 母恋し1,500キロでの、水木梨恵)

 

(画像②=#453 狙え!事件記者、左から園浦ナミ、水木梨恵)

 

(画像③=#454 霧の中の聖女、左から太刀川寛、水木梨恵)

 

(画像④=#456 ハイビスカスの女、左から水木梨恵、峯京子)

 

 

一般的には、水木梨恵は脇にいる女優のイメージが強いのは否めません。 #465 ある 団地夫人の場合では、女性主人公を不幸に陥れる役柄を演じながらも(画像⑤)登場場面は終盤になるまで無かったり、#472 南紀州を張込めではワンシーン登場の調剤薬局員だったりとか(画像⑥)。。。

かと思えば、 #475 限りなき逃亡では。会社専務の薄幸の愛人を演じ、これがなかなかの悲壮感を醸し出していたり(画像⑦)、#498 女の縮図 (立石班最終話)では、同じ愛人でも「我が道を行く」役柄だったりと(画像⑧)、目を離すことが出来ない女優さんのひとりになっていたのです。

 

(画像⑤=#465 ある 団地夫人の場合、左から水木梨恵、高野通子)

 

(画像⑥=#472 南紀州を張込めでの、水木梨恵)

 

(画像⑦=#475 限りなき逃亡、左から水木梨恵、波島進)

 

(画像⑧=#498 女の縮図 (立石班最終話)、左から沼田曜一、水木梨恵)

 

 

また、気づいたところでは、水木梨恵は水商売の女性を演じるケースが圧倒的に多いのですが、女剣劇役者を演じるケースが目立つというのも特徴です。【第1回再放送】【第2回再放送】は未見が多いため、すべてを把握することは不可能ですが、#551 群衆の中のひとりでは被害者姉の女剣劇役者を(画像⑨)、 #615 下町の灯では冒頭から賭博開帳に参加して所轄署刑事に連行された剣劇座員のひとりを(画像⑩)、 #666 剣と女【スペシャルセレクション】では大御所から応援される新進の女剣劇役者を(画像⑪)それぞれ演じていました。このことが、前述した松竹新喜劇での南座舞台に招聘された一因かもと思うのは、考えすぎか・・・?

趣を変えたところでは、三船班第1回目作品#413 麻薬【スペシャルセレクション】では容疑者の取り調べ前に立ち会う婦人警官を(画像⑫)、三船班最終作品#800 あゝ夫婦 (三船班最終話)【スペシャルセレクション】では朝から近所の主婦とワンカップの日本酒を傾ける主婦を(画像⑬)それぞれ演じ、三船班の歴史の一員のしてのイメージを残してくれました。

これらを考えると、役者業とはいえ、脇役から主演まで、バリエーションの多い女優さんだなという思いがあります。

 

(画像⑨=#551 群衆の中のひとりでの、水木梨恵)

 

(画像⑩=#615 下町の灯、左から水木梨恵、永井玄哉)

 

(画像⑪= #666 剣と女【スペシャルセレクション】、左から浅香光代、水木梨恵)

 

(画像⑫=#413 麻薬【スペシャルセレクション】、左から木下悦子、水木梨恵)

 

(画像⑬=#800 あゝ夫婦 (三船班最終話)【スペシャルセレクション】

左から三原葉子、水木梨恵)

 

 

 

ただ、水木梨恵は、【第3回再放送】で主演として登場したのが #456 ハイビスカスの女くらいで、印象が強い割には主演作が少ない感想を持っていました。ところが、【第4回再放送】の#666 剣と女【スペシャルセレクション】では浅香光代を向こうに回した主演ぶり。また、 #699 春の色 泥棒伝では青木義朗・葉山良二・藤山律子の三者三様の関係を上手く繋げる助演。そして、#783 妻の日記帳では意外な役柄を演じたりと、主演ではないのですが気になる存在感を持った女優さんでありました。

これは、自分が【スペシャルセレクション】を観賞し始めたときにわかったのですが、【第2回再放送】の水木梨恵出演作品には光を放つものが多い印象でした。どちらかというと、立石班・藤島班ストーリーに適したキャラというべきで、作品的には?がつくものの、 #405 愛憎の吊り橋【スペシャルセレクション】#367 鴉 【スペシャルセレクション】では「おっ」という役柄を演じていました。

DVD未収録であった【第2回再放送】の作品群は、「④ 未収録回・欠番回のため未見」に書いた通り、いくつかありますので、これらを観たら、また水木梨恵の評価は上がるのかもしれません。

 

しかし、水木梨恵の映像は、おそらく#800 あゝ夫婦 (三船班最終話)【スペシャルセレクション】が残された最新のものであって、一般的には知れ渡ることはないと思います。ですので、拙稿の画像により、昭和の一時期の一番組で、水木梨恵がきら星のように光った女優のひとりとして認知されれば良いかなあと思う次第であります。

さらに、稿了直前に「水木梨恵の松竹新喜劇・南座での出演歴」がわかったのも、これまたひとつの喜びでもあります。女優引退して久しいと思われますが、何かの拍子に東映chにゲスト出演してほしい方のひとりです。

本来ならば、特捜隊の現存作品をすべて視聴・観賞したうえで、出演された女優について書いていくべきだと思います。しかし、【スペシャルセレクションシリーズ】が発売されたことで、かつて東映chで放送された特捜隊現存作品全作をリフレイン再放送される可能性は遠のきました。

そこで不充分ながらも、【第3回再放送】【第4回再放送】【スペシャルセレクションシリーズ】を観た状態で、特別機動捜査隊・女優篇を書いていくことにしました。ただし、万が一、特捜隊現存作品全作のリフレイン再放送、新たに【スペシャルセレクションシリーズ】発売がなされたときは、それら作品視聴録を優先して、特別機動捜査隊・女優篇は一時中断することにいたしますので、その点はご了承くださいませ。

なお以下では、人物敬称略で書いていきます。

 

かつて、

特別機動捜査隊・女優篇(1)渡辺ゆかり

にて、ご本人様にインタビューしたことはあるものの、これはあくまでも例外であり、おそらく自分自身の主観が中心となった原稿になると思いますので、その点も、ご了承のほどお願いいたします。

 

 

**************************************

 

今回取り上げる女優さんは、

◎ 中島ゆたか

になります。

 

( #665 伯耆大山の詩(ウタ)での、中島ゆたか)

 

 

( #665 伯耆大山の詩(ウタ)での、中島ゆたか)

 

 

昨年暮れ、驚きのニュースが報道されました。

 

「トラック野郎」第1作ヒロイン中島ゆたかさん、大腸がんで73歳死去 最後の仕事で主題歌歌った 

[日刊スポーツ 2025年12月4日4時0分更新]

 

 

自分の記憶の中では、妖しげでミステリアスな悪女の役を演じるイメージだったのですが、初公開後かなり経ってから「広島仁義 人質奪回作戦」(初公開は1976年)を観賞したとき、イメージとは異なる善役で、ラスト本人の笑顔のアップで終幕となったことを、かすかに覚えています。また、バラエティーになりますが、亡くなる数年前「クイズ!脳ベルSHOW」(BSフジ)にゲスト出演したとき、悪ふざけすることなく真摯に問題を解答していました。

今にして思えば、彫の深い容貌で、昭和当時はスタイルが高評価されたこともあり、妖艶な役柄が回ってきたのかなとも考えます。1952年10月5日生まれ(wiki項目)ですから、73歳で逝去されたことになります。遅ればせながら、中島ゆたかさんの、女優その他での活動に敬意を表し、ご冥福をお祈りいたします。

(以下文面は、敬称を略させていただきます)

 

さて、自分が観た中島ゆたかの特捜隊作品群は、視聴順・観賞順に以下のとおりです。なお、「※主演格」とはエンディング表記でトップ表記されていることを指します(註・トップ表記が複数列のときは、一番上のこと)。

 

 

 

①【第3回再放送】

東映ch=2015年4月2日~2017年2月16日

出演回は無し

 

 

②【第4回再放送】

東映ch=2019年3月14日~2020年8月20日

 

(1) #665 伯耆大山の詩(ウタ)

(本放送・1974年7月31日、脚本・横山保朗、監督・山崎大助、三船班)

 

 

③【スペシャルセレクションシリーズ】

DVD観賞=2020年12月13日~2025年7月27日のブログ更新年月日

出演回は無し

 

 

④ 未収録回・欠番回のため未見

出演回は無し

 

 

 

上記の通り、特捜隊での、中島ゆたか出演回は、

#665 伯耆大山の詩(ウタ)

の、1作のみになります。

当作は、リメイクされたものであり、以前に【特別機動捜査隊】リメイクの変遷(3) 後篇・第2回再放送の最終作#450までの期間で書いたのですが、

 

原型作= (第423回)石狩の女 (未収録回)【第2回再放送】

(本放送・1969年12月10日、脚本・横山保朗、監督・龍伸之介、立石班)

リメ作= #665 伯耆大山の詩(ウタ) (未収録回)【第3回再放送】

(本放送・1974年7月31日、脚本・横山保朗、監督・山崎大助、三船班)

 

の関係にあり、また

○ #665 伯耆大山の詩(ウタ) 

○ #672 俺の殺した女

は鳥取ロケ2本撮り作品であるばかりか、 #672 俺の殺した女も、

 

原型作= #305 富士山頂【スペシャルセレクション】(収録回)【第2回再放送】

(本放送・1967年8月30日、脚本・横山保朗、監督・龍伸之介、立石班+藤島主任)

リメ作=#672 俺の殺した女(未収録回)【第3回再放送】

(本放送・1974年9月18日、脚本・横山保朗、監督・山崎大助、三船班)

 

という、原型作をリメイクした関係にありました。勝手な想像ですが、1974年の鳥取ロケに臨むに至り、中井義プロデューサーが、山崎大助監督を、

かつての「横山保朗脚本、龍伸之介監督作品」で、監督を替えてみたらどうだろうと抜擢したのではないか? 

さらに、#646 嘆きの天使 (高倉班最終話)で特捜隊監督デビュー、次作の#652 壁の中に消えた女(横山保朗脚本の#358 まぼろしの女【スペシャルセレクション】のリメ作)が、「上手くアレンジした感」有りと判断したから抜擢したのではないか? 

とまあ考えてしまいます。

 

そういう点では、期待のリメイク2作品のうち1作に、(特捜隊としては)当時の大物若手女優・中島ゆたかをゲストに招聘したのは、ぜひとも成功させたいという制作側の思惑もあったのでしょう。

ただ、wiki項目での出演作品を見てみると、当作本放送の1974年から特捜隊終焉の1977年まで、中島ゆたかは多忙だったことがうかがえます。ですので、当作以降は出演が途絶えてしまったのは、仕方がなかったと考えます。

 

 

当作については、かなり詳しくストーリーを#665 伯耆大山の詩(ウタ)(画像①)で触れていますので、今回はそれを補完する形での記述になります。

エンディング表記をベースにした主要登場人物は、以下の通りです(三船班の配役名は、#665 伯耆大山の詩(ウタ)を参照)。

 

○タレント・津川いづみ・・・・・・・・中島ゆたか(画像②)

○いづみの従姉妹・マリ子・・・・・・・夏海千佳子(画像③)

○マリ子の夫・馬場一郎・・・・・・・・山下洵一郎(画像④)

○いづみの元マネージャー・深見昇一・・梅津栄(画像⑤)

○深見の妻・亜矢子・・・・・・・・・・山吹まゆみ(画像⑥)

 

(画像①=オープニングの題名表記)

 

(画像②=中島ゆたか)

 

(画像③=左から中島ゆたか、夏海千佳子)

 

(画像④=左から山下洵一郎、夏海千佳子)

 

(画像⑤=梅津栄)

 

(画像⑥=山吹まゆみ)

 

 

○いづみの自宅の家政婦・・・・・・・・加東三和(画像⑦)

○マリ子の隣家夫人・・・・・・・・・・金子勝美(画像⑧)

○洗濯配達員・・・・・・・・・・・・・木村修(画像⑨)

○王子住研・清水・・・・・・・・・・・菊地正孝(画像⑩)

○王子住研・女性社員・・・・・・・・・清水理絵? 大堰とみ江?

○土産物屋・女性従業員・・・・・・・・清水理絵? 大堰とみ江?

○皆生グランドホテル・フロント・・・・伊藤敏孝(画像⑪)

○医師・・・・・・・・・・・・・・・・片山滉(画像⑫)

○ストリップ劇場・支配人・・・・・・・大阪憲(画像⑬)

○ストリップ劇場・女性従業員?・・・・伊藤洋子(画像⑬)

○境港の洗車女性・・・・・・・・・・・佐藤明美(画像⑭)

○マリ子宅を警備する警官・・・・・・・

○大山の所轄署刑事(年輩) ・・・・・・・石井宏明(画像⑮)

○大山の所轄署刑事(若手) ・・・・・・・鳥井忍(画像⑮)

 

※なお、菊地正孝は、後年、菊地太と改名。#765 ダイナマイトと ダリヤの花【スペシャルセレクション】での、異様なキャラが印象に残る。特捜隊最終出演回は、#768 悪女がいっぱい

※また、伊藤敏孝は、当作と併行した鳥取ロケ2本撮り作品、 #672 俺の殺した女 では主演を演じており、当作出演の伊藤洋子の恋人を演じている。

 

(画像⑦=左から宗方勝巳、加東三和、水木襄)

 

(画像⑧=左から吉田豊明、金子勝美)

 

(画像⑨=左から木村修、水木襄、宗方勝巳、青木義朗)

 

(画像⑩=左から菊地正孝、中島ゆたか)

 

(画像⑪=左は伊藤敏孝、右は画像⑮の鳥井忍の後ろ姿)

 

(画像⑫=左から夏海千佳子、片山滉、中島ゆたか)

 

(画像⑬=左から宗方勝巳、大阪憲、伊藤洋子、水木襄)

 

(画像⑭=左から伊沢一郎、画像⑭の石井宏明、佐藤明美)

 

(画像⑮=左から鳥井忍、石井宏明)

 

 

さて、 #665 伯耆大山の詩(ウタ)の、三船班全員が鳥取に揃った、開始約31分半以降のストーリー概略は、要約も含め以下のようになります(中島ゆたかは芸名表記)。

 

三船班は、中島ゆたか、馬場、所轄署刑事、王子住研関係者と別荘で合流、内部の捜査を行ないます。所轄署刑事からはルミノール反応も無く犯行現場とは思えないと具申されますが、三船主任は中島ゆたかに、死体を発見した裏林まで案内してもらいます。そして、捜査陣で付近を掘り起こして調べますが、深見の死体は見つかりません。中島ゆたかも、こんなに深くはなかったと話したことで、三船主任は作業の中断を命じます。

ところが、発見を諦めかけた水木刑事が、スコップを掘った穴底に差すと、金属にあたった音がしました。そこで、くまなく掘ってみると金属箱が出てきて、その中には、マリ子が深見を殴ったという花瓶、マリ子の衣服(註・馬場の証言)があるのを発見。三船主任は、鑑識に回すよう関根部長刑事に指示、さらに、中島ゆたか、馬場に自身の指紋採取を要請するのでした。

 

そして、マリ子宅の死体が復元により深見と判明したこと、花瓶から中島ゆたかの指紋が検出されたこと、衣服には2種類の血液型の毛髪が付着、AB型はマリ子だがO型は中島ゆたかの可能性が高いことをもって、三船主任は中島ゆたかを深見殺害事件の犯人として聴取することになります。

聴取は別荘内で行なわれ、三船主任は「1度調べた穴を、再度調べることは無いと思っていたのか!?」と追及しますが、中島ゆたかはこれを否定します。

とそこに、別荘内捜査を終えた、畑野刑事から血痕がまったく見つからないことへの疑念、石原刑事からもマリ子に殴打された(註・7月7日)深見が生きており、翌日(註・7月8日)中島ゆたかが殺害したとしても、本当に「ここ」で殺害されたのかという疑念が出されます。そこで、三船主任は殺害現場は「ここ」ではない可能性も考え、特捜隊本部に連絡を取ります。

 

時間を置いて、皆生グランドホテルに待機中の馬場を三船主任、松木部長刑事が訪れ、中島ゆたかは米子署で取り調べ中、犯行を自供しないものの時間の問題だと報告します。さらに松木部長刑事も、馬場家の引っ越しの荷物を利用して、「ここ」に埋められた死体を運んだとも考えられると話します。

これらから、馬場はマリ子の行方についても懸念するのですが、三船主任は、かつて馬場の婚約者だった中島ゆたかは、マリ子に馬場を奪われたことで恨みを抱く可能性を言及、マリ子を殺害したことも有り得ると指摘します。これに馬場は、自分とマリ子は中島ゆたかから経済的援助を受けていたこともあり、そのことも犯行理由のひとつだったのか? と、逆に問いかけるのでした。

 

とそこに、畑野刑事が現われ三船主任に囁きかけると、三船主任は、中島ゆたかが深見殺害だけは自供、マリ子のこともすぐに判明するでしょうと、馬場に報告します。しかし、馬場はマリ子が殺害されたかのような報告を受け入れようとはせず、マリ子の生存を信じて疑わないのでした・・・。

 

 

ここまで開始約39分序盤、時間的にはあと8分弱で事件解決となるわけです。

 

 

当作は、すでに触れていますが、上出来な作品とは言い難い。ストーリーの進行で「代名詞」の使用が多く、「あれ」「これ」「それ」的な発言が頻発して、時間軸がわかりにくくなってしまうのが大きな欠点です。この点は、#665 伯耆大山の詩(ウタ)にも書いた通りで、拙稿の開始約31分半以降の展開でも「ここ」というのが、普通に考えると「別荘」「裏林」なのですが、結末から考えて、ようやく「鳥取」「大山」に行きつくという、最後の最後になってわかるしくみになっています。

もちろん、何も考えずにのんびり観たりすれば問題も無く、自分の理解が遅速なのかも考えれば良いのでしょうが、わかりにくいことには違いありません。

 

 

特に、#665 伯耆大山の詩(ウタ)にも書いたのですが、

>海岸での真相追及に出てきた女は、一体誰なのでしょうか?  この説明が無く、

>脚本を時間の関係で飛ばしたのかも、よくわかりません。

>これらからも、やはり当作は、構成上の問題が大きい作品といえると

>感じました。

という点が、以下の画像になります(画像⑯)。

 

(画像⑯=左から、?の女優、青木義朗)

 

要は、事件解決者の女優さんなのですが、画像⑬の伊藤洋子かと思ったものの、顔つきはふっくらしており髪型も違うので別人のように見えます。また、この役柄について、劇中ではいっさい説明が無いので、キツネにつままれた感じになります。

実は、このパターンは、当作を遡ること約10年前の

#127 蜘蛛の巣【スペシャルセレクション】

の、真相追及でも行われていました。ラストに登場する「威音院墓地の案内嬢?」は一体誰なのか? 重要な役柄とは思うものの、劇中でも説明は無く、キツネにつままれる気分に変わりはありません。脚本は「豊田総治→横山保朗」と異なるため、脚本の焼き直しとは考えにくいので、これはどういうことかわかりません。

 

 

また、開始約39分以降、ある人物、A、B、C、D、について

(1) A、B、C、が揃う回想場面

(2) A、B、D、が揃う回想場面

があるのですが、この場面は連続して描かれています。ですので、同一の時間帯・場所での連続場面と考えるのですが、実は、(1) (2) は別の日時に起こったことです。

また、この場所は、状況的に「鳥取」だと見えるのですが、結末的には「東京」での出来事でもありました。

さらには、(2)については、#665 伯耆大山の詩(ウタ)での時間軸を見てみると、矛盾点が浮き彫りになります。ついでに言えば、Cがある場所で目撃されたことについて、時間的に別人であることが自然な見方ですが、その別人は登場人物の誰だったのかも明らかにされませんでした。

 

以上の点から、当作は決して上出来な作品とはいえないのですが、良いところをあげれば「ストーリーが縦横無尽に広がり、ラストまでの勢いも充分であり、見どころの多い作品」「ラストまでの勢い、盛り上がりは凄いものが有る」という点は、今でも変わりはありません。

その功労者は、夏海千佳子の存在感とともに、中島ゆたかの悲劇的ヒロイン像にあります。中島ゆたかの、「天国→地獄」の立場の変遷は、後年の「妖しげな悪女」のイメージを知っている側からは、果たして「善」なのか「悪」なのか、けっこう見入ってしまう作品でもあります。特に、三船主任からの追及場面は見どころがあり、本篇(映画の世界)で鍛えられたところもあったのではとも感じました。

そして、てっきり鳥取ロケ2本撮り作品ということから、#672 俺の殺した女にも出演して捲土重来するのかと思っていたら、当作だけの出演でしたので、やはり前述したように、スケジュールが多忙であったことがうかがえます。

 

 

中島ゆたかは、特捜隊には1作のみの出演でしたが、忘れ得ぬ特捜隊女優のひとりであったことには変わりはありません。冒頭で触れましたが、昨年、年の暮れが近づいたころの逝去は、本当に残念なことです。改めて、ご冥福をお祈りいたします。