さて、今回からは、
特別機動捜査隊 スペシャルセレクションVol.9・帰って来た三船主任
になります。
前稿までを踏襲して、市販品なので、
(あらすじ)などストーリーの本質にかかわるところは伏せ、
スタッフやキャスト、また(備考)・(ネタバレしない範囲での一般的感想)のみ
にとどめます。
将来、東映chなどで、一般的視聴されるようになったら書き加えていく予定です。
※ 特別機動捜査隊 まえがき
捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。
また、1963年公開の、映画版・特別機動捜査隊全2作とは趣が異なることに注意。
配役名表記が有るため、従来の「発声のみの役名については平仮名表記」「オープニング・エンディングの表記と、劇中発声・表記が異なるときは、後者を優先」する原則に戻り、以下本文を表記します。例外は、その都度(備考)で示します。
☆・・・#443 桃色の報酬
(収録DVD)・・・VoL9、disc1、2023年10月11日発売
(本放送)・・・1970年4月30日
(脚本)・・・西沢治
(監督)・・・天野利彦
(協力)・・・警視庁
(協賛)・・・日本水道協会
(助監督)・・・稲垣信明
(劇中ナレーター)・・・島宇志夫
(捜査担当・オープニング表記)・・・三船班
西本捜一係長(鈴木志郎)、鑑察医(仲原新二)、鑑識課員(上田侑嗣)、
鑑識課員(新田五郎)、事務員(森るみ子)、三船主任(青木義朗)、
関根部長刑事(伊沢一郎)、畑野刑事(宗方勝巳)、笠原刑事(伊達正三郎)、
岩井田刑事(滝川潤)、石原刑事(吉田豊明)
(出演者・オープニングまたはエンディング表記)
・・・劇中優先のため配役名表記を省略
三田村賢二、山崎純資、福島寿美子、小杉真紀、岡部正純、日高ゆりえ、沢宏美、
篠由紀、若山みち子、池田生二、簡野典子、五月晴子、川部修詩、杉山渥典、
水沢摩耶、本多洋子、島田潤子、石垣守一、野本博、亀井三郎、新林イサオ、
金親保雄、岡本英治、大牧万左也、村上幹夫、遠山智英子、榎本英一、高坂真琴、
池田純子、藤下悟、江藤小夜子、佐藤勝吾、関芳枝、清水ひろみ、
奥野匡、外山高士、村上不二夫、北原義郎、浜村純
(あらすじ・予告篇から)
・・・ ※当時のナレーションをそのまま聞き写しています。
※映像特典・次回予告篇集には未収録
直前作特別機動捜査隊(第442回)箱根山を包囲せよ は現存が確認されている。
予告篇の現存は、【第2回再放送】で直前作を視聴した方で無いと不明。
→(追加)R6.9.22
コメント欄うっきんさんより、直前作に、当作予告篇が存在していると指摘された。
→(追加)R6.9.23
コメント欄うっきんさんより、予告篇内容を提供されたので、註をつけ、以下に抜粋した。うっきんさんに感謝いたします。
明日なき世代、強烈なゴーゴーのリズムに陶酔し、
自己を見失っていく若者たち。
真壁冬子殺人事件(註・「真壁」は「葉室」の誤り)の容疑者は
いずれもそれら若者達であった!
セックスラッシュに明け暮れ、マスコミ戦争に狂奔し、
目的のために手段を選ばぬ大人達。
また家庭において断絶した親と子のあいだ。
そんな世代の中に、三船班は、親を忘れ、愛情無きセックスに溺れ、
一匹の獣に成り下がった犯人を追うのであった!
果たして真犯人は?
そして動機は?
三船班の活躍にご期待ください。
(備考)・・・
・【1970年】(2)特捜隊の収録回・未収録回・欠番回で、当該回の事前調査済み。
・自分自身は、当作の観賞により、現存する三船班関連ストーリーを全作観賞・視聴したことになる。なお、現在のところの三船班欠番回は、
である。
・劇中で、三船主任(青木義朗)、畑野刑事(宗方勝巳)、岩井田刑事(滝川潤)、石原刑事(吉田豊明)、笠原刑事(伊達正三郎)、関根部長刑事(伊沢一郎)の順で紹介テロップが流れるが、この形は、三船班次作の#448 刑事【スペシャルセレクション】でも採用されていた。しかし、
①#433 全員救出せよ【スペシャルセレクション】(劇中紹介テロップ無し)の次作から、当作(劇中紹介テロップ有り)の直前作に至る前までの9作品
②当作の次作から、#448 刑事【スペシャルセレクション】(三船班次作、劇中紹介テロップ有り)の直前作に至る前までの4作品
③上記作(#448)の次作から、#451 雨の中の慕情(劇中紹介テロップ無し)の直前作に至る前までの2作品
の15作品は、現存しているものの当方未見である。よって、どの時点で劇中紹介テロップが始まり終わったかについては、三船班限定の2作のみ行なったのか? 期間限定で捜査班関係無く全作で行なったのか? 不明である。
→(追加)R6.9.22
コメント欄うっきんさんから、「当該の立石・藤島班出演回では、(註・テロップが)ありませんでした」と指摘された。とすると、上記期間でテロップがあったのは、三船班の#443 桃色の報酬【スペシャルセレクション】、#448 刑事【スペシャルセレクション】の2作のみということになる。
・ラストの格闘場面の建物は、かつて新宿区新宿2-5-12に存在した、ラシントンパレス(都市徘徊blog 2009.1.22記事、2004年には、建物解体が決まったという)。#413 麻薬【スペシャルセレクション】にて、初登場の三船主任が、愛川病院医師・賀山(演者は宗方勝巳!)への聞きこみに現われた場面でも使われた。
・事件現場での、畑野が三船主任へ発見者を紹介する場面は、台詞間違いなのか、意図的な脚本上のフェイクなのかわかりづらいが、当方の判断で以下本文を作成した。
・その他にも、劇中ナレーションと登場人物発声の違いも目立つが、当方判断で、「はらつき町× はなつき町○」「あわしま× かわしま○」とした。
(視聴録)・・・開始約分半まで
(ネタバレしない範囲での一般的感想)
主な関連人物をまとめますと以下のとおりです。
(演者は・・・の次に、判明出来る俳優名を表記)
〇矢吹のぼる・・・・・・・・・・・・三田村賢二
〇のぼるの父・・・・・・・・・・・・北原義郎
〇のぼるの母・・・・・・・・・・・・福島寿美子
〇のぼるの祖父・・・・・・・・・・・浜村純
〇のぼるの祖母・・・・・・・・・・・日高ゆりえ
〇六甲商事・経理部・部長・魚住・・・外山高士
〇同・経理部・事務・葉室冬子・・・・小杉真紀
〇冬子の父・葉室正司・・・・・・・・池田生二
〇冬子の母・・・・・・・・・・・・・水沢摩耶
○冬子の婚約者・じょう
〇アングラ喫茶A&B・マスター
〇同・男性客・真壁いさお・・・・・・山崎純資
〇同・男性客・綾小路・・・・・・・・杉山渥典
〇同・男性客・背広男性
〇同・女性客・マキ・・・・・・・・・沢宏美
〇同・女性客・直美・・・・・・・・・篠由紀
〇同・客(男女多数)
○真壁いさおの母・・・・・・・・・・若山みち子
〇作家・佃じゅんいちろう・・・・・・川部修詩
〇佃のマンションの男性・赤タオル
〇同・青服
〇同・バスタオル
〇佃のマンションの女性・緑服・・・・高坂真琴?
〇同・青黄服
〇同・赤服
○街をふらつく男性大学生(3人)
○ラジオインタビュア(男性)
○女性評論家・・・・・・・・・・・・簡野典子
〇女性デザイナー・かわしま織江・・・五月晴子
〇川路医院・院長・・・・・・・・・・奥野匡
〇同・看護婦・・・・・・・・・・・・島田潤子
○同・付近を歩く女性
〇女子学生・こまきとも子・・・・・・本多洋子
〇あずま組・組員・掛札いさむ・・・・岡部正純
〇同・組員・仙波けいいちろう・・・・亀井三郎
〇南新宿署・刑事
〇毎朝新聞記者・村上・・・・・・・・村上不二夫
「通報に接した特捜隊・三船班は、直ちに新宿区はなつき町の事件現場に急行した」
(ナレーションから、一部訂正して抜粋、現場到着は深夜である)
鑑察医は、被害者女性の死因を、鋭い刃物で左胸部を一突き、死亡推定時刻は午後11時ごろと、三船主任に所見報告。鑑識上田から被害者の財布を渡された関根も、財布中に、現金3000円、身分証明書があることを報告した。これに三船主任は、身分証明書から、被害者は六甲商事本社事務員の葉室冬子20歳と確認する。しかし、岩井田・石原からの報告では、その他の遺留品は見つからないとの状況であった。
そして、三船主任は、畑野の案内で死体発見した老夫婦のもとへ行き、状況を確認する。すると、映画の帰りに通りかかり発見したものであるが、その直前に、2人連れの若い男女がおり、「奇妙な格好」をしていたということであった。
「若い男女の行方を追って、現場付近の聞きこみにあたった畑野・岩井田両刑事は、翌朝早く・・・」(ナレーションから、訂正無しで抜粋)
岩井田が、現場から1,2分のアングラ喫茶A&Bにいた男女2人が、死体発見直前にいた男女と特徴が似ている情報を掴むと、畑野はそれに頷きA&Bへ向かう。A&Bは閉店後で、ソファに女性客・直美が寝そべっており、現場にいた男女とはいさお、マキの2人ではないかと話す。昨夜、マキが見知らぬ男性を口説いていたが、そこにいさおが現われ、マキを連れ出したという。これに、畑野は2人の行方を聞くが、気だるそうに知らないと繰り返すばかりで、直美はこの店で寝泊まりしているようすであった。マスターによると、直美を追い出すと店の一晩中ドアを叩いたり泣いたり騒いだりなので、仕方なく店に置いているという体であった。
そして、畑野・岩井田が店を出ると、直美も出てきて2人の行き先を教えようとするが、代わりに130円をねだってくる。岩井田は何に使うかを問うと、直美は家に帰る電車賃と答える。これに怪訝な畑野ではあったが、もっと自分を大事にしろと130円を渡すと、直美から、いさお、マキの2人は近くの「ももぞのマンション77号」の佃じゅんいちろうの部屋にいるとの情報を得る。畑野は、佃という名に覚えは無かったが、岩井田によるとエロ小説家ということであった。
佃の部屋に行くと、現代風の派手な格好をした女性4人、半身半裸の男性4人がおり、その中にいさお、マリがいた。マリによると、2人で歩いていたところ、いさおが先に発見。いさおによると、警察に通報しようとしたが、マリの余計なことをするなとの忠告で、通報せずに現場から立ち去ったと言い、この話にマリも頷き、後から来た老夫婦に任せておけば良いから立ち去ったと答える。そして、畑野が佃の行方を聞くと、マリは、自分たちに留守番を任せ、昨夜から行方不明だということだった。
これらのやりとりに、岩井田は、佃の留守をいいことに不潔な遊びに浸っていたのかと批判するが、女性たちは聞く耳を持たず、何事も「自由」との論調であり、さっさと部屋から立ち去ってしまう。残った男性たちは、この部屋は直美から聞いたのかと逆質問。直美は、自分たちのグループから外されたと恨んでおり、「病気」になった直美本人に問題があり、うつされたら涙(註・悲惨の意)だと話し出す。これに岩井田は直美の「病気」の有無を問うと、バスタオル男性は「最低さ、セックス病だよ」と言い放つだけであった。
そして、聞きこみを終え、畑野と分かれ特捜隊車両で動く岩井田は、薬局から出てきた直美を見かけ、急遽停車をして尋問する。直美は、市販の鎮痛剤を持っており、岩井田は、こんなもので「病気」が治るわけはないとたしなめ、病院に行かせようと特捜隊車両に乗り込ませようとする。これを見かけた、街をふらつく大学生の男性3人は、「好きなことをやって、病気になれば幸せだろう」と揶揄、病院に行くのを拒む直美も含め、件の風潮に岩井田の表情は険しくなる。
「一方、被害者・葉室冬子の自宅を、文京区だい町に訪ねた三船主任と関根部長刑事は・・・」(ナレーションから、訂正無しで抜粋)
冬子の母によると、冬子は大人しく、異性には内気なほうであり、婚約者との結婚も親の決めたお見合いからだということであった。そして、三船主任は、冬子の結婚を影で恨む人物の存在を問うと、冬子の父・葉室は、理由も無い殺人が今の人間することかと嘆き、精神障害者の仕業に違いないと涙声で語るだけであった。
そして、直美を、性病科専門の川路医院に連れて行った岩井田は、院長の「彼らのセックスはフリーセックスでは無くアニマルセックスだ」との見解に頷き、昨今の彼らは「自由」の意味を履き違えていると断言。そして、喫煙しながら聞いている直美から煙草を取りあげ、後は直美の母が来るからと、処置を医院側に任せ立ち去ろうとすると、看護婦から昨夜の思わぬ出来事を聞かされるのであった・・・。
上記本文の直前には、例によって「立石班の知らない場面描写」があるのですが、大部分は直美やマリの話した、A&Bや死体発見現場の詳細描写であります。さらに加わるのが、上記本文の看護婦の「昨夜の思わぬ出来事」証言で、内容はおおよそ以下のようになります。
昨夜、ある青年が性病検査で来院したところ、院長は性病では無く膀胱炎で完治しており、血液検査も(-)で問題無いと診断しました。しかし、青年は自身を性病だと言い張り、血液検査が(-)でも後年再発するに違いないと叫びます。これに院長は、無駄な心配をするより、無茶なセックスを慎むことだと諭します。さらに看護婦も、ノイローゼの方がひどいらしいから、神経科で診てもらったらと話すと、青年は激昂。看護婦ばかりか院長にまで手を挙げ、物を破壊するなど荒れ回り、医院の外に出ます。そのとき、付近を歩く女性に身体があたるのですが、青年は女性に「出てきた俺を笑っただろう!?」(註・映像には「性病科・川路医院」と映ります)と叫び、おもむろにナイフを取り出し見せつけます。
そして、A&Bではマリが見知らぬ男性(背広男性)を口説き、それをいさおに止められ、2人で帰路に向かったところ、死体発見と逃走、その後を通りかかった老夫婦が死体を発見する場面となり、上記本文の三船班初動捜査に繋がっていきます。
当作を観終わって、【1970年】(2)特捜隊の収録回・未収録回・欠番回での
>検証本によると、フリーセックスの風潮を告発的に描いた作品とある。これに、
>三船主任が「性根を据えて人間の世界を見ろ」と発した言葉(「掲示板特捜隊
>4」)は、フリーセックスの肯定・否定の問題では無く
>#413 麻薬【スペシャルセレクション】(収録回)から続く、三船主任自身の
>主義主張を訴えたように感じられる。
と、未見ながらも自分勝手な推察が、ある程度あたっていました。
これは、当作の約3か月前に本放送された#427 日本人【スペシャルセレクション】を観賞済みであったことにも起因しますが、
>今の若い奴らは親孝行の「お」の字も知らん。あれじゃ、まともな人間に
>ならん。子供はもっと厳しくしつけなきゃ駄目だ。
>古い新しいの問題じゃない。年長者を敬い、親に孝行するというのが最低の
>ルールだ。
という気概のある三船主任が、単に、「フリーセックスの風潮」を告発するだけに終わるはずはないという、自分の主観でもありました。
また、#413 麻薬【スペシャルセレクション】から続く、指揮官先頭のスタイルならば、三船主任の主義主張が強調されているはずと、考えたからでもあります。
果たして、「性根を据えて人間の世界を見ろ」という台詞は、ラスト、ラシントンパレスの屋上場面で語られます。
死を求める人物Aに、三船主任は、
>甘ったれるな!
と、平手打ちを2発。Aが屋上手摺に首を出したところに、
>そんなに死にたきゃ、死んじまえ!
と一喝。続いて、このまま生きていても碌なことはしないだろうから、
>ひと思いに、飛び込んで死んじまえ!
と(言葉で)突き放します。
三船主任を見つめるAですが、直ぐに屋上真下に目をやります。
そして、地上から屋上のAを見上げるショット、屋上でAを見つめる屋上の岩井田、石原、関根の場面、下を見つめていたAが汗をかきながら顔を横にすると、三船主任のアップとなり、
>どうした!? 怖いのか!? 臆病者!!
と三船主任の恫喝に近い声が響き渡り、
>満足に、下も見られないんだろう!?
とAに近寄り、首根っこを掴まえ
>よく下を見るんだ!
>性根を据えて、人間の世界を見つめるんだ!
と訴えます(註・この場面は、手摺の向こう側から、三船主任とAのショットになりますが、良いカメラワークです)。
そして、下を一巡して見終わったAは、首根っこを掴まれながらも、振り向いて三船主任を見つめ、自己の境遇も顧みたのか「自分だって・・・自分だって・・・」と言った後、顔を伏せ泣き出すことになります。
これは、三船主任が現在のフリーセックスの風潮批判だけにとどまらず、人としてどうあるべきか、を主張していることにほかなりません。
令和あるいは平成ならば、決して許されない映像かもしれませんし、共感を呼ばないかもしれません。しかし、昭和を知る人間からは、三船主任の心情がどこにあるか、おぼろげながらも伝わると思います。「鉄の男」ではなく、「情の男」としての気概を。。。
そして、その考えは、本当のラストともいえる老夫婦の金婚式の場面に集約されます。老人男性の、
>私たちの青春は、遠くへ過ぎ去りました。これからの若者を、どうか
>温かく見守ってやってください。
と語ると、無表情な三船主任が頷き、手を差し出すと、老人男性も手を差し出し、お互い両手で握り合います。
この場面は、自分として、実質的な三船班最終話にふさわしい、約6年後の#788 無情の風に散るを思い出さずにはいられませんでした。「老い」「老後」を痛感した三船主任が、約6年前の当作で若者に対する思いを経験していたなど、【第1回再放送】から視聴していたら・・・。
しかし、【スペシャルセレクションシリーズ】の発売により、心打たれた#788 無情の風に散るを視聴したうえで、自分が見逃していた唯一の三船班ストーリーの当作を観賞することができて、両作の微妙な関連性に気づかされました。この点は【スペシャルセレクションシリーズ】の発売に、大きく感謝するところです。
それにしても、天野利彦監督と三船班ストーリーとの相性は、当作が初組合せとはいえ、本当に良いものと感じます。この組合せは、駄作に遭遇することもありますが、当作は、刑事ドラマ・人間ドラマのバランスの良さ、心地良い展開、アクション溢れるカメラワーク、三船班初期だからこそ見い出せる三船主任・岩井田刑事の好連携など観るべきところは多々あります。
当作以降の組み合わせは
を経て、立石班、藤島班の終焉を迎え、三船班が(高倉班よりも名実とも)トップに立つことになり、
にて、三船班との組合せで水を得た魚のように、勢いでラストまで引っ張る作品に仕上げ、特捜隊四天王監督として活躍することになります。
あと、注目すべきゲストは、老人女性を演じた日高ゆりえ。いつもは、性格の悪い役柄が多く、それがメイキャップにも表れているのですが、当作では
>お爺さん、私たちにも、まだやる仕事が残ってますね・・・。
の台詞とともに、品の良い役柄が板についています。
この女優さん、特捜隊終焉期の#778 天使の乳房に泣くに出演しており、特捜隊への貢献度は高いのですが、ネット検索してもなかなか見当たりません。さらに、テレビドラマデータベースでは、最終出演と思われるNHKの「おんな太閤記(1981/01/11 ~ 1981/12/20)」にも出演しているのですが、詳細はわかりません。特捜隊の出演男優・女優は、その後がわからないのが多いのが残念でもあります。
→(追加)R6.9.23
コメント欄高校教師さんからの情報により、日高ゆりえの経歴が明らかになりました。要約・抜粋になりますが、1911年4月20日生まれで、戦前は新築地劇団に所属、戦後は国際放映の俳優マネジメント部門であるNACに所属とのことです。詳細はコメント欄にありますので参照していただくとして、そのNACには、特捜隊で馴染みのある女優、中でも、木下ゆづ子(#531 わが作戦敗れたり でのキーパーソン夫人役)、稲葉まつ子(#323 初春壽捕物控大江戸卍絵図 での西本捜一係長夫人役)、生田三津子(後の生田くみ子、準主役としての出演が多い)、島田潤子(脇役中の脇役でも、多数の出演歴有り)が印象に残ります。