本来ならば、特捜隊の現存作品をすべて視聴・観賞したうえで、出演された女優について書いていくべきだと思います。しかし、【スペシャルセレクションシリーズ】が発売されたことで、かつて東映chで放送された特捜隊現存作品全作をリフレイン再放送される可能性は遠のきました。
そこで不充分ながらも、【第3回再放送】【第4回再放送】【スペシャルセレクションシリーズ】を観た状態で、特別機動捜査隊・女優篇を書いていくことにしました。ただし、万が一、特捜隊現存作品全作のリフレイン再放送、新たに【スペシャルセレクションシリーズ】発売がなされたときは、それら作品視聴録を優先して、特別機動捜査隊・女優篇は一時中断することにいたしますので、その点はご了承くださいませ。
なお以下では、人物敬称略で書いていきます。
かつて、
特別機動捜査隊・女優篇(1)渡辺ゆかり
にて、ご本人様にインタビューしたことはあるものの、これはあくまでも例外であり、おそらく自分自身の主観が中心となった原稿になると思いますので、その点も、ご了承のほどお願いいたします。
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今回取り上げる女優さんは、
◎ 榊ひろみ
になります。

(#544 絶体絶命での、榊ひろみ)

(#555 慕情での、榊ひろみ)
榊ひろみには、wiki項目が立てられており、1942年2月12日生まれ、特捜隊出演歴のある荒木一郎の元夫人でもあります。また、【1975年】(1)特捜隊の収録回・未収録回・欠番回の「#692 青い炎の踊り子」の項目に挙げていますが、映画「緑はるかに」(日活、1955年)のオーディションに公募、最終選考まで残ったことがあり(takurama.blog 大崎拓公式ブログ ルリ子をめぐる冒険(8)」・2021年4月21日更新)、後年、特捜隊に出演することになる山東昭子、田村奈巳、滝瑛子も一緒だったことがありました。
自分が榊ひろみに注目したのは、永らく第一線にいた立石班(立石主任=波島進)、藤島班(藤島主任=中山昭二)が終焉を迎え、概ね#500 勇気ある女【スペシャルセレクション】から新生特捜隊として稼働し始め、女性の活躍を前面に押した感のある #544 絶体絶命を視聴したときです。それも、鉄の男とでもいうべき三船主任(青木義朗)と相対する役柄であり、観ていて画面に魅かれる印象を残しました。この作品があったから、その後の出演作品の登場場面では、「おっ」と目を向けてしまうのです。これは、#544 絶体絶命の次回出演回#555 慕情での、一変した演技も同様であり、容貌についても上記両作品の画像比較でわかるかと思います。
ただまあ、これは特別機動捜査隊・女優篇に挙げた女優さんすべてにいえることでもあるのですが。。。
自分が観た榊ひろみの特捜隊作品群は、視聴順・観賞順に以下のようになります。
なお、「※主演格」とはエンディング表記でトップ表記されていることを指します
(註・トップ表記が複数列のときは、一番上のこと)。
①【第3回再放送】
東映ch=2015年4月2日~2017年2月16日
(1) #544 絶体絶命 ※主演格
(本放送・1972年4月5日、脚本・佐治乾、監督・龍伸之介、三船班)
(2) #555 慕情 ※主演格
(本放送・1972年6月21日、脚本・佐々木武観、監督・天野利彦、三船班)
(3) #592 霧の中の 焼死体 ※主演格
(本放送・1973年3月7日、脚本・村田武雄、監督・伊賀山正光、三船班)
②【第4回再放送】
東映ch=2019年3月14日~2020年8月20日
(4) #710 ちぎれた舞扇 ※主演格
(本放送・1975年6月18日、脚本・横山保朗、監督・天野利彦、三船班)
(5) #776 地獄舞
(本放送・1976年10月6日、脚本・横山保朗、監督・天野利彦、三船班)
(6) #788 無情の風に散る
(本放送・1976年12月29日、脚本・西沢治、監督・広田茂穂、三船班)
③【スペシャルセレクションシリーズ】
DVD観賞=2020年12月13日~2025年7月27日のブログ更新年月日
出演回は無し
④ 未収録回・欠番回のため未見
出演回は無し
さて #544 絶体絶命ですが、まずは検証本・リスト特捜隊にある題名「絶対絶命」は語彙的にも誤りで、実見では「絶体絶命」であることをお伝えします(画像①)。
強盗殺人犯5人組、矢部(遠藤征慈)、宮本(佐々木一哲)、東(平野康)、竹下(大前田武)、栗林(小沼和延)が浜名湖畔・ホテル白山(画像②)に潜伏中との情報を得た三船班は、隠密に宿泊客を避難させ5人組を確保することにしました。
しかし、沖島(人見明)、妻・とみ子(関千恵子)、娘・恵美(小柳冴子)はホテルに忘れ物をしたため引き返し(画像③)、古山(清川新吾・画像④)、亜紀(西恵子・画像⑤)のカップルは別れ話を巡って逃げ遅れていました。

(画像①=題名の表記)

(画像②=ホテル白山の全景、人物は画像③の人見明、小柳冴子、関千恵子の後ろ姿)

(画像③=左から関千恵子、人見明、小柳冴子)

(画像④=清川新吾)

(画像⑤=西恵子)
さらには、ホテル内に宿泊客が残っていないか、潜入した三船主任(青木義朗)は、ある宿泊室の雰囲気を察知、拳銃を抜いて中に入ると(画像⑦)、そこには榊ひろみ演じる雑誌の女性カメラマンが残っており、事情を知らないとはいえ拳銃を持った男の突然の入室に驚くばかりでした(画像⑦)。三船主任は、すぐにでも避難するよう促しますが、榊ひろみは事件取材のため残りたいと懇願(画像⑨)。これを三船主任は認めず、強制的に避難させようとしますが拒否(画像⑩)、どうやら榊ひろみは警察を毛嫌いしているようすです。

(画像⑥=青木義朗)

(画像⑦=左から榊ひろみ、青木義朗)

(画像⑦=榊ひろみ)

(画像⑨=榊ひろみ)

(画像⑩=左から榊ひろみ、青木義朗)
一方、閑散とした雰囲気に気づいた5人組(画像⑪)は、ホテル内を歩き回ります。そして、沖島・とみ子・恵美の3人親子が捕えられ(画像⑫)、古山・亜紀のカップルも捕えられ(画像⑬)、さらには三船主任、榊ひろみも捕えられ(画像⑭)、5人組は籠城態勢に入ります。
この状況を知った三船班の、田中係長(山田禅二)、関根部長刑事(伊沢一郎)、畑野刑事(宗方勝巳)、石原刑事(吉田豊明)、水木刑事(水木襄)、白石刑事(白石鈴雄)は気が気ではなく、ホテル周辺を包囲、何とか解決に導こうと必死の態勢を整えます(画像⑮)。
その後、人質となった7人は地下室に閉じ込められ、極限状況に陥るのですが、三船主任は何とか状況打開のため、5人組との駆け引きを探ります。しかし、警察に嫌悪感を持つ榊ひろみが三船主任を見つめる目は(画像⑯)、これからの展開に予断を許さないものでありました・・・、というのが開始約16分までの出来事になります。

(画像⑪=後ろ姿は遠藤征慈、あと左から平野康、大前田武、小沼和延、佐々木一哲)

(画像⑫=左から遠藤征慈、人見明、関千恵子、小柳冴子、小沼和延)

(画像⑬=左から西恵子、清川新吾、平野康)

(画像⑭=左から大前田武、青木義朗、榊ひろみ)

(画像⑮=左から山田禅二、宗方勝巳、伊沢一郎、白石鈴雄、吉田豊明、水木襄)

(画像⑯=榊ひろみ)
#497 人生試験地獄 (藤島班最終話)、#498 女の縮図 (立石班最終話)で藤島班・立石班の終焉を迎えた龍伸之介監督が、三船班ストーリーとウマが合わないのか不調に陥った中、#536 可愛い脱走【スペシャルセレクション】で復調のきっかけを掴んだ後、当作を「三船班アクションを見事に描いた秀作に近い出来」に仕上げました、
その要因のひとつが榊ひろみの起用で、後年からみれば女性主体の構成を十八番とする佐治乾脚本に上手く合致した存在感を魅せてくれました。当作で、あれだけ敵対していた三船主任とのラブシーン(画像⑰)が見どころのひとつ。欠番のため未見の(第576回)悪夢、(第580回)刑事はつらいよ、がどうなってるのか不明ですが、三船主任のラブシーンというのは珍しく、事件解決の鍵にもなっているのもポイントが高い。さらには、ラストで初めて見せた笑顔(画像⑱)も、前述の開始約16分以降に何があったのかと、未見の方々には興味を持たれることだと思います。返す返すも、【スペシャルセレクションシリーズ】未収録というのが悔やまれます。

(画像⑰=左から榊ひろみ、青木義朗)

(画像⑱=榊ひろみ)
その後は、#555 慕情で悲劇的ヒロインを演じますが、 #592 霧の中の 焼死体では水木梨恵が実質主演であり、 #710 ちぎれた舞扇でも多々良純に喰われた印象が強く、名ばかりの「主演格」といった具合でした。
しかし、#776 地獄舞(若柳禄寿、榊ひろみの出演、同一の脚本・監督、題名の相似から#710 ちぎれた舞扇 の姉妹作?とも考えましたが、別物であります)では、助演ではあるものの、今までとは違う鮮烈な役柄もあり、奥深さを感じました。
冒頭、創作舞踊家・松涛(大村文武)の初七日を終えた妻・巴絵(若柳禄寿)が寺から帰る姿(画像⑲)を、雑誌記者・高津(堀勝之祐)とカメラマン・美紀(榊ひろみ)の2人が盗撮しています(画像⑳)。そして、その夜、巴絵のマンションを高津は訪ね、榊ひろみは外の車で待機しているのですが(画像㉑)、突如巴絵がマンションの外に飛び出してきます。そこで榊ひろみは車外に出て(画像㉒)、巴絵を追いかけることなく高津のいる部屋を訪ねることにしますが、そこでは額を強打された高津がうずくまっており、病院へ救急搬送になりました。
通報を受けた三船班の、三船主任、松木部長刑事(早川雄三)、畑野刑事(宗方勝巳)は事情を聴くことになります(画像㉓)。

(画像⑲=若柳禄寿)

(画像⑳=左から榊ひろみ、堀勝之祐)

(画像㉑=榊ひろみ)

(画像㉒=左から若柳禄寿、榊ひろみ)

(画像㉓=左から榊ひろみ、早川雄三、青木義朗、宗方勝巳)
事の発端は、出稼ぎで上京後、行方不明となった寺内錦一(曽我廼家一二三)を娘・京子(寺内順恵、画像㉔)が、3日前に雑誌編集部を訪ねて来たところに遡ります。雑誌掲載の「地下鉄のヌード」というグラビア特集の写真の浮浪者が寺内らしいので探すのを手伝ってほしいと、担当の高津(画像㉕)、榊ひろみ(画像㉖)に話すと、3人で撮影場所の地下広場に行くことになりました。そこには、老ルンペン(大東梁佶)、若ルンペン(肥土尚弘)がおり、8月に仲間うちで千葉の海岸(註・平砂浦海岸を指す)に稼ぎに出かけて以来、見かけていないということでした。
そこで、3人は平砂浦海岸へ出向き、交番の年輩巡査(伊藤正博)、若手巡査(高木好平)に尋ねると(画像㉗)、若手巡査は顔つきが5日前に断崖下の海岸で発見された溺死体に似ていると発言します。しかし、年輩巡査は、その遺体は家族や弁護士親子が本人確認、引渡済と打ち消すと、京子は落胆します。ところが、遺体は創作舞踊家・松涛、家族は妻・巴絵、弁護士親子というのが渡(神田隆)、娘・晶子(松木聖)ということに興味を持った高津、榊ひろみは、帰京後、グラビア未掲載の「地下鉄のヌード」のネガを調べると、寺内と一緒に写る巴絵の画像を発見することに(画像㉘)。
このこともあり、初七日の寺から巴絵の行動を監視、高津は行方不明の寺内、溺死体の松涛の殺害犯は巴絵と考えマンションを訪ねたのですが、これが殴打事件(註・高津は一命をとりとめる)に繋がったと、榊ひろみは締めくくります。とそこに、三船主任に、所轄の城東署に、渡が巴絵を同行して出頭する旨の電話があった情報が入り、事件は新たな展開を迎えるというものです。

(画像㉔=寺内順恵)

(画像㉕=堀勝之祐)

(画像㉖=榊ひろみ)

(画像㉗=左から寺内順恵、堀勝之祐、榊ひろみ、伊藤正博、高木好平)

(画像㉘=左から曽我廼家一二三、若柳禄寿)
当作での榊ひろみは、出演場面こそ#544 絶体絶命に劣りますが、同じ女性カメラマンを演じながらも、役柄は「善」から「悪」に変わり、時折見せる不敵な笑顔など、新しい側面を見せています。個人的には、#592 霧の中の 焼死体よりレベルアップした感があり、女優歴が前述した映画「緑はるかに」(日活、1955年)の頃からあることを考えれば、長年の演技の積み重ねもあったのでしょう。
そして、1976年大晦日も近い #788 無情の風に散るとなるのですが、特捜隊終焉まであと3か月と知る後年からの目線では、実質三船班最終話に相応しいと思われる当作に、榊ひろみが出演したのは感慨深いものがあります。
ある夜、高級老人ホーム・福寿苑の一室では、入居者であるサイレント時代からの女優・夢子(東郷晴子、画像㉙)を、共演の多かった元男優・川上(長浜藤夫、画像㉚)が訪ね、いろいろと話し合っていました(画像㉛)。ただ内容は、川上が1万円を貸してくれるよう頼んでいるのに、夢子は金が無いから貸せないと返し、これに川上が立派な住まいにいるのにそんなことはないだろうと掴みかかる様相で、聞き耳を立てていた入居者で、戦前の歌手・月子(原泉、画像㉜)も気が気ではありません。
とそこに、榊ひろみ演じる週刊誌の女性記者・文枝がやってきて(画像㉝)、部屋に入り2人を止めると、川上は部屋を出ていきます。それを榊ひろみは追いかけ、外で川上に自分の身分を明かし、取材中の夢子との間に何があったかを不敵な顔つきをしながら聞き出そうとしており(画像㉞)、それを月子はこっそりと見つめています。そして、部屋に残った夢子の、揺り椅子に座りうつむいたままの姿が映り、「無情の風に散る」のオープニングタイトルとなります(画像㉟)。

(画像㉙=東郷晴子→当作のため、本人から番組に提供されたと思われる)

(画像㉚=長浜藤夫→当作のため、本人から番組に提供されたと思われる)

(画像㉛=左から長浜藤夫、東郷晴子)

(画像㉜=原泉)

(画像㉝=榊ひろみ)

(画像㉞=榊ひろみ)

(画像㉟=オープニングタイトル、バックに東郷晴子)
そして、数時間後(?)、川で変死体発見の通報に三船班が現場に到着。発見者はクラブ歌手・冬子(松尾悦子)で戸川刑事(一の瀬玲奈)が聞きこむと(画像㊱)、レッスンの帰りに現場近くで女性の人影を目撃、近づくと足早に去っていった情報を得ます。ただ、三船班は他殺との確証は持てず、幅広く当たることにします。
翌朝、被害者の身元割り出しの手がかりを掴むと、三船主任、松木部長刑事、石原刑事は福寿苑に向かいます。そこで月子から昨夜の一件を聞き出すと、被害者を川上と断定、三船主任は石原刑事と夢子の部屋を訪れます。しかし、夢子は川上のことは話したくないと拒否(画像㊲)、そこで三船主任は、質問を川上が金を借りに来た理由のみに絞るのですが(画像㊳)、それでも夢子の姿勢は変わりませんでした。

(画像㊱=左から松尾悦子、一の瀬玲奈)

(画像㊲=左から東郷晴子、吉田豊明、青木義朗)

(画像㊳=青木義朗)
一方、松木部長刑事は榊ひろみが昨夜から帰宅していないことを掴むと、戸川刑事と雑誌社に出向きます。応対した編集長(中山昭二、画像㊴)は、榊ひろみはまだ未出社で連絡も無いこともあり、連絡があるまで編集部待機を了承します。そこで、松木部長刑事、戸川刑事はソファーに座り、置いてある雑誌を読んでいると(画像㊵)、1年前の記事で榊ひろみが夢子を取材した記事、夢子のフォト(画像㊶)、さらには夢子が冬子と写ったフォト(画像㊷)を発見します。
とそのとき、編集部に榊ひろみから連絡、編集長の素振りから榊ひろみは冬子のアパートにいると察すると、松木部長刑事、戸川刑事は畑野刑事の応援も加え、月子のアパートに向かい、榊ひろみを尋問(画像㊸)、川上の死に複雑な表情を見せます(画像㊹)。しかし、昨夜、福寿苑の外で川上と話した後のことを言いたがらない態度に、松木部長刑事は特捜隊本部への同道を促します。

(画像㊴=中山昭二)

(画像㊵=左から早川雄三、一の瀬玲奈、中山昭二)

(画像㊶=東郷晴子)

(画像㊷=左から東郷晴子、松尾悦子)

(画像㊸=左から一の瀬玲奈、榊ひろみ、宗方勝巳、早川雄三)

(画像㊹=榊ひろみ)
そして、特捜隊本部では榊ひろみを尋問(画像㊺)、何かと警察に反抗的な態度を見せますが(画像㊻)、三船主任は理詰めで落とそうと冷静に振舞います(画像㊼)。そして、聞きこみの畑野刑事からの連絡から、一気に榊ひろみを追及したところ、田中係長が入室、編集長の来訪を伝えます。特捜隊本部を出た三船主任は田中係長と、榊ひろみの釈放を要求する編集長に対峙するのですが(画像㊽)、ここまでが開始約24分半ばであり、これからのストーリー展開に興味を持たせます。

(画像㊺=左から一の瀬玲奈、早川雄三、榊ひろみ、後ろ姿の青木義朗)

(画像㊻=榊ひろみ)

(画像㊼=青木義朗)

(画像㊽=左から後ろ姿の山田禅二、中山昭二、青木義朗)
当作での榊ひろみは主演格では無く助演でありますが、「老いへの哀憐」をテーマにしたなかでは、主演の東郷晴子、長浜藤夫を支えるポジションを上手く体現できたのではないか。具体的には、ちょっとした親切が拒否されてプライドを傷つけられ、さらには悲劇を招いてしまったことです。仕事に邁進するキャリア女性の虚しさが、「人間は親切面していても、本当は冷たい」という台詞につながり、これまでの特捜隊出演回のなかでも、異彩の輝きを持っていると感じました。その点では、当作が榊ひろみの特捜隊最終出演回にふさわしかったとも考えます。
さらには、容貌の違いも注目点で、1972年の#544 絶体絶命、 #555 慕情とずいぶん変わったなあと思うとともに、当作の約2か月前の#776 地獄舞とも変わったなあとも感じました。これはメーキャップによるものでしょうが、実見すると台詞回しなど演技的にも変わった感があり、当作のテーマ「老い」に連関させたようでもあります。このことは、「老いへの哀憐の念」を持つ青木義朗にもいえることで、これまた自ら打って出る行動的な三船主任ではなく、画像㊳、画像㊼のような「寡黙な一刑事」を演じており、本当に「実質的な三船班最終話」と言いたくなる好演回です。
また、編集長を演じた中山昭二も、役柄もあるのですが、画像㊴、画像㊽と比べ当作の約5年前の#497 人生試験地獄 (藤島班最終話)での藤島主任(画像㊾)とも変わったなあとも感じます。つまり、目立つ出演者に対して「老い」を考えさせる構成にしているわけで、脚本・西沢治、監督・広田茂穂の会心作ともいえそうです。

(画像㊾=#497 人生試験地獄 (藤島班最終話)での中山昭二)
余談ですが、かつて#782 わたしの父さんでの高校教師さんからのコメントで、
>リアルタイムで見ていた頃はまだ子供でしたが、唐突な日高班、度々のテーマ曲
>変更や、女性刑事の投入、このところ相次いでいる若手の起用など、漠然とした
>落ち着かなさのようなものを感じていたことを思い出します。(略)
>学校で友人と「先が長くないんじゃないか」などと話していたのもこの頃でした。
>そしてその懸念は788回「無情の風に散る」に中山昭二がゲスト出演したことで
>確信へと変わったのでした…。
と書かれていたことで、自分にとっては特捜隊終焉へのレクイエムと感じた作品でもありました。それに、自分が気になる女優のひとり、榊ひろみが出演していたというのも、何か運命らしきものを考えます・・・。
榊ひろみについては、ネット検索すると、荒木一郎と結婚前の松竹映画時代について語られるものが多いのが特徴です。ここでは特捜隊が中心となるため、荒木一郎との離婚後の作品が主になっているので、「あれっ」と思われる方が多いことでしょう。
しかし、結婚でのブランクをものともせず、女優業に戻り、さまざまな作品に出演したというのは、やはり根が女優さんなのでしょう。
【第3回再放送】のころ、ネットで榊ひろみを検索したところ、今では見当たらないのですが、断片ながらも「外見上は快活なのですが、本当は庭いじりが好きな一女性」という記事を読んだことがあります。そう考えると、上手く仕事と家庭を両立するプロフェッショナルともいえ、ご健在なら現在83歳。女優業を引退されて久しいですが、#788 無情の風に散るを観た側からすると、どのような老後を過ごされているのか、興味を引くところではあります。
(追加)R8.2.16
コメント欄、高校教師さんから、榊ひろみについて情報をいただきましたので、高校教師さんの感想も併せ、下記に要約して箇条書きにしました。
○松竹歌劇団出身で演技の基礎を学んだこともあり、「どんな役柄でもこなしてしまう器用な女優」の印象が強い。
○荒木一郎との結婚前の、ほぼ最後の出演作がライオン奥様劇場・妻の持つ扇(1964年12月1日~1964年12月29日、フジテレビ)で、唯一の連ドラ主演となる。主な共演者は、宗方勝巳、福田公子である(いずれも、特捜隊とは関連深い俳優陣)。
○荒木一郎との離婚(註・1969年)後は三船プロへの在籍歴有り。そのときの出演作・欲望の河(1976年7月12日~1976年8月20日、東海テレビ、五月みどり主演)ではナレーターを担当。高校教師さんによると「硬質ながら甘い声がその雰囲気(註・エロチックシーンの意)の醸成に効果を上げていたよう記憶」しているとのこと。
○1980年発行の資料によると、「1972年11月に出版社の社長と結婚、一男あり」とのこと。