本来ならば、特捜隊の現存作品をすべて視聴・観賞したうえで、出演された女優について書いていくべきだと思います。しかし、【スペシャルセレクションシリーズ】が発売されたことで、かつて東映chで放送された特捜隊現存作品全作をリフレイン再放送される可能性は遠のきました。

そこで不充分ながらも、【第3回再放送】【第4回再放送】【スペシャルセレクションシリーズ】を観た状態で、特別機動捜査隊・女優篇を書いていくことにしました。ただし、万が一、特捜隊現存作品全作のリフレイン再放送、新たに【スペシャルセレクションシリーズ】発売がなされたときは、それら作品視聴録を優先して、特別機動捜査隊・女優篇は一時中断することにいたしますので、その点はご了承くださいませ。

なお以下では、人物敬称略で書いていきます。

 

かつて、

特別機動捜査隊・女優篇(1)渡辺ゆかり

にて、ご本人様にインタビューしたことはあるものの、これはあくまでも例外であり、おそらく自分自身の主観が中心となった原稿になると思いますので、その点も、ご了承のほどお願いいたします。

 

 

**************************************

 

今回取り上げる女優さんは、

◎ 桜井浩子

になります。

#610 恐るべき幽霊での、桜井浩子)

 

 

桜井浩子は、特別機動捜査隊・女優篇(4)田村奈巳でも触れましたが。YouTubeチャンネル「ROCO TALK」を運営しており、桜井浩子wiki項目も立てられ、現在も現役で活躍されている1946年3月4日生まれの女優さんです。

特捜隊を【第3回再放送】から観始めたとき、下記の(1)(2)は印象にさほど残らなかったのですが、最終的に

>特捜隊においては

>○#610 恐るべき幽霊    (本放送・1973年7月11日)

>○#703 禁じられた詩(ウタ) (本放送・1975年4月30日)

>そして、(略)

>○#772 妻と愛人の メロディー(本放送・1976年9月8日)

>に至ったと、印象づけられます。精神的にどこか、か細くみえながら、

>ある時のスイッチで善悪どちらにも変貌するというキャラは貴重です。

という評価に至りました。

前述の「ROCO TALK」では、バラエティ色もあり女優というよりタレント感覚で演じていることもあり、か細さは一切見られませんので、これが「地の桜井浩子」なのでしょう。しかし、「女優」としての本領は、特捜隊の小林幸子(小林さち子)に追随するほどの演技力であり、上記3作は「特捜隊で、桜井浩子がキーパーソンとなる中では屈指の作品」といえます。

 

 

自分が観た桜井浩子の特捜隊作品群は、視聴順・観賞順に以下のようになります。

なお、「※主演格」とはエンディング表記でトップ表記されていることを指します(註・トップ表記が複数列のときは、一番上のこと)。

 

 

 

①【第3回再放送】

東映ch=2015年4月2日~2017年2月16日

 

(1) #566 俺には親が いねえんだ!

(本放送・1972年9月6日、脚本・横山保朗、監督・吉川一義、三船班)

(2) #602 香港から来た女【スペシャルセレクション】

(本放送・1973年5月16日、脚本・横山保朗、監督・今村農夫也、三船班)

(3) #610 恐るべき幽霊

(本放送・1973年7月11日、脚本・小川記正、監督・天野利彦、三船班)

 

 

②【第4回再放送】

東映ch=2019年3月14日~2020年8月20日

 

(4) #703 禁じられた詩(ウタ)【スペシャルセレクション】 ※主演格

(本放送・1975年4月30日、脚本・横山保朗、監督・天野利彦、三船班)

(5) #720 待っている女

(本放送・1975年8月27日、脚本・佐々木武観、監督・中村経美、矢崎班)

(6) #736 ガラスの橋

(本放送・1975年12月17日、脚本・横山保朗、監督・天野利彦、三船班)

(7) #760 三億円エレジー

(本放送・1976年6月9日、脚本・西沢治、監督・天野利彦、三船班)

(8) #772 妻と愛人の メロディー【スペシャルセレクション】 ※主演格

(本放送・1976年9月8日、脚本・元持栄美、監督・中村経美、日高班)

(9) #792 情念の女

(本放送・1977年1月26日、脚本・小川記正、監督・伊賀山正光、日高班)

 

 

③【スペシャルセレクションシリーズ】

DVD観賞=2020年12月13日~2025年7月27日のブログ更新年月日

 

出演回は無し

 

 

④ 未収録回・欠番回のため未見

 

(10) (第379回)決斗(決闘)  「第2回再放送歴有り」(未収録回) 

(本放送・1969年1月29日、脚本・小川記正、監督・中村経美、立石班)

 

 

 

上記作の中では、 好みの点で#736 ガラスの橋が最も秀でていると考えますが、そこでの桜井浩子の扱いに?がつくため、やはり

 #610 恐るべき幽霊

#703 禁じられた詩(ウタ)【スペシャルセレクション】

#772 妻と愛人の メロディー【スペシャルセレクション】

がベストアクトといえるでしょう。

そのうち、後2作品は【スペシャルセレクションシリーズ】に収録されていますので目に留まった方も多いと思われます。

ですので、未収録となった#610 恐るべき幽霊に絞っていきたいと思います。

 

 

 

タイトル「恐るべき幽霊」が表示されたあと、四谷怪談を題材とした映画のスタジオ撮影場面に移り、伊右エ門(明智十三郎、画像①)、お岩の登場で盛り上がっています。と、上から照明器具が落下、お岩役の女優が怪我をしてしまい(画像②)、監督の辻村(藤岡重慶)が照明係(津村秀祐)を怒鳴りあげたところに、関根部長刑事(伊沢一郎)、畑野刑事(宗方勝巳)が聞きこみに現われます。

なお、お岩役の女優は河村さゆりという設定で、演じた女優が桜井浩子なのですが、画像②はどうみても桜井浩子には見えません。エンディング表記からは、「夏川(磯野のり子)」に該当するのでしょうが、特捜隊を観慣れている自分からはこれまた磯野のり子とも思えず(別作品での磯野のり子=画像③)、スタジオ撮影でのお岩役女優に限定すると、不明と言わざるを得ず、なんともミステリアスな出来事であります。

 

(画像①=明智十三郎、俳優業最後の出演作と思われます)

 

(画像②=女優名不明)

 

(画像③=#476 奇妙な男と女での、磯野のり子)

 

 

その後、救護室で手当てを受けている桜井浩子(画像④)に、関根部長刑事、畑野刑事が訪れ(画像⑤)、父・河村栄一(曽根秀介)が殺害されたと告げられます。驚く桜井浩子ですが(画像⑥)、栄一が3日前に同郷男性と群馬から上京、赤坂の料亭で若い男性から差し入れられたウイスキーを飲んでいたところ、2人とも死亡したということでした。ウイスキーには青酸性毒物が混入されており、三船主任(青木義朗)は毒殺と断定、栄一は山林売買で一躍富豪になったとの情報を得ます。

と、そこに栄一の母・お紺(村田知栄子)が駆けつけ、栄一にすがりつくと号泣、栄一の後妻・千恵子(園浦ナミ、画像⑦)の仕業だと決めつけたり(画像⑧)、先妻の娘の桜井浩子についても「河原乞○」と言い放つなど、常軌を逸しているようでした。

そこで、関根部長刑事、畑野刑事が桜井浩子に事情を聞くことになったのですが、河村家は若者が住めるところでは無いため、家出して女優となったこと、長らく連絡を取らなかったが栄一と千恵子とは1年前に結婚したこと、がわかるのでした。

 

(画像④=桜井浩子)

 

(画像⑤=左から宗方勝巳、伊沢一郎、桜井浩子)

 

(画像⑥=桜井浩子)

 

(画像⑦=園浦ナミ)

 

(画像⑧=左から曽根秀介、村田知栄子)

 

 

そして、三船主任は、石原刑事(吉田豊明)、浜田刑事(矢吹渡)を連れ、栄一の故郷の群馬へと出張捜査。現地駐在の巡査夫妻(牧田正嗣、伊藤陽子)の元を訪れ、河村家の概要を聞きこみます(画像⑨)。すると、環境の良くない山林を多数保有していたのが、高速道路開通のため高額な金額で売れ、一躍資産家になったことを確認、河村家に向かうことにします。

河村家では、お紺のほか、住みこみの吾一(大浜詩郎)、いね(美笹ゆき子)がいますが(画像⑩)、栄一の葬儀準備でてんてこまいの状態です。近隣の馴染み数人(戸田春子、笹川恵三ほか)も手伝っているなか、栄一と上京して事件に巻き込まれ死亡した同郷男性の妻・お久(磯野ちどり)がやってきて騒ぎ出します。これに激高したお紺は、周りが止めるのも振り切り(画像⑪)、お久に襲いかかります。

直後に、駐在巡査が三船主任たちと来訪したため、騒ぎは収まるのですが、そこに郵便配達人(山口享)が荷物を届けると、中には血のついた着物があったのでした。

ストーリーは、その後、撮影で群馬に来た桜井浩子(画像⑫)がお線香をあげに河村家を来訪したところ、お紺から財産目当てだと追い返されたり、行方不明の千恵子はどうなったのかと捜査する三船班が描かれます。。。

 

(画像⑨=左から牧田正嗣、伊藤陽子、青木義朗)

 

(画像⑩=左から美笹ゆき子、大浜詩郎)

 

(画像⑪=左から戸田春子、笹川恵三、村田知栄子)

 

(画像⑫=左から桜井浩子、藤岡重慶)

 

 

 

当作は傑作になり損ねた作品といえます。小川記正脚本にしては、上記では敢えてその箇所は省いていますが、冒頭でいきなりネタバレというか、この場面はもっとボカした形で良かったのではと思ったり。あるいは、#599 女房貸しますでも触れましたが、予告篇の不出来により#599 女房貸しますが佳作どまりに終わったことが、当作でもか!?と思ったり(註・予告篇作成は通例助監督!)とか・・・。特に、予告篇では、ナレーションだけならともかく(註・拙稿ではそのまま抜き出しています)、映像でネタバレをしてしまうなど、興趣を削ぐ振舞いでした。

それでも、当作を取り上げたのは、桜井浩子の特捜隊代表作のひとつに相応しい、キーパーソンたる助演ぶりであり、当作の成功の一助になっていると感じたからです。か細い雰囲気を醸し出しながら、強い意志を見せるところは、#703 禁じられた詩(ウタ)【スペシャルセレクション】#772 妻と愛人の メロディー【スペシャルセレクション】と、軌を一にします。さらに考えれば、スタジオ撮影の場面で、なぜ桜井浩子を登場させなかったのか、もしかして作品を成功させようとする「何らかの意図」が、小川記正、天野利彦監督にあったのかもしれません。

そして、特捜隊への最終出演作品#792 情念の女で、もし主演格としてキャスティングされていればどうなったのだろう? もちろん年齢もあるので、脚本そのままというわけでなく、設定を若干変更して主演となれば、なかなか面白かったのでは? ともいろいろ考えます。

 

前述したとおり、桜井浩子はYouTubeチャンネル「ROCO TALK」が主になっているようですが、更新は2024年3月10日を最後に途絶えていますので、早く再開してほしいところ。そして、ウルトラシリーズだけではなく、些細なスペースでも良いので、特捜隊出演時のエピソードを語ってもらいたいです。

本来ならば、特捜隊の現存作品をすべて視聴・観賞したうえで、出演された女優について書いていくべきだと思います。しかし、【スペシャルセレクションシリーズ】が発売されたことで、かつて東映chで放送された特捜隊現存作品全作をリフレイン再放送される可能性は遠のきました。

そこで不充分ながらも、【第3回再放送】【第4回再放送】【スペシャルセレクションシリーズ】を観た状態で、特別機動捜査隊・女優篇を書いていくことにしました。ただし、万が一、特捜隊現存作品全作のリフレイン再放送、新たに【スペシャルセレクションシリーズ】発売がなされたときは、それら作品視聴録を優先して、特別機動捜査隊・女優篇は一時中断することにいたしますので、その点はご了承くださいませ。

なお以下では、人物敬称略で書いていきます。

 

かつて、

特別機動捜査隊・女優篇(1)渡辺ゆかり

にて、ご本人様にインタビューしたことはあるものの、これはあくまでも例外であり、おそらく自分自身の主観が中心となった原稿になると思いますので、その点も、ご了承のほどお願いいたします。

 

 

**************************************

 

今回取り上げる女優さんは、

◎ 榊ひろみ

になります。

 

#544 絶体絶命での、榊ひろみ)

 

#555 慕情での、榊ひろみ)

 

 

 

榊ひろみには、wiki項目が立てられており、1942年2月12日生まれ、特捜隊出演歴のある荒木一郎の元夫人でもあります。また、【1975年】(1)特捜隊の収録回・未収録回・欠番回の「#692  青い炎の踊り子」の項目に挙げていますが、映画「緑はるかに」(日活、1955年)のオーディションに公募、最終選考まで残ったことがあり(takurama.blog 大崎拓公式ブログ ルリ子をめぐる冒険(8)」・2021年4月21日更新)、後年、特捜隊に出演することになる山東昭子、田村奈巳、滝瑛子も一緒だったことがありました。

自分が榊ひろみに注目したのは、永らく第一線にいた立石班(立石主任=波島進)、藤島班(藤島主任=中山昭二)が終焉を迎え、概ね#500 勇気ある女【スペシャルセレクション】から新生特捜隊として稼働し始め、女性の活躍を前面に押した感のある #544 絶体絶命を視聴したときです。それも、鉄の男とでもいうべき三船主任(青木義朗)と相対する役柄であり、観ていて画面に魅かれる印象を残しました。この作品があったから、その後の出演作品の登場場面では、「おっ」と目を向けてしまうのです。これは、#544 絶体絶命の次回出演回#555 慕情での、一変した演技も同様であり、容貌についても上記両作品の画像比較でわかるかと思います。

ただまあ、これは特別機動捜査隊・女優篇に挙げた女優さんすべてにいえることでもあるのですが。。。

 

自分が観た榊ひろみの特捜隊作品群は、視聴順・観賞順に以下のようになります。

なお、「※主演格」とはエンディング表記でトップ表記されていることを指します

(註・トップ表記が複数列のときは、一番上のこと)。

 

 

 

①【第3回再放送】

東映ch=2015年4月2日~2017年2月16日

 

(1) #544 絶体絶命 ※主演格

(本放送・1972年4月5日、脚本・佐治乾、監督・龍伸之介、三船班)

(2) #555 慕情 ※主演格

(本放送・1972年6月21日、脚本・佐々木武観、監督・天野利彦、三船班)

(3) #592 霧の中の 焼死体 ※主演格

(本放送・1973年3月7日、脚本・村田武雄、監督・伊賀山正光、三船班)

 

 

 

②【第4回再放送】

東映ch=2019年3月14日~2020年8月20日

 

(4) #710 ちぎれた舞扇 ※主演格

(本放送・1975年6月18日、脚本・横山保朗、監督・天野利彦、三船班)

(5) #776 地獄舞

(本放送・1976年10月6日、脚本・横山保朗、監督・天野利彦、三船班)

(6) #788 無情の風に散る

(本放送・1976年12月29日、脚本・西沢治、監督・広田茂穂、三船班)

 

 

 

③【スペシャルセレクションシリーズ】

DVD観賞=2020年12月13日~2025年7月27日のブログ更新年月日

 

出演回は無し

 

 

 

④ 未収録回・欠番回のため未見

 

出演回は無し

 

 

 

さて #544 絶体絶命ですが、まずは検証本・リスト特捜隊にある題名「絶対絶命」は語彙的にも誤りで、実見では「絶体絶命」であることをお伝えします(画像①)。

強盗殺人犯5人組、矢部(遠藤征慈)、宮本(佐々木一哲)、東(平野康)、竹下(大前田武)、栗林(小沼和延)が浜名湖畔・ホテル白山(画像②)に潜伏中との情報を得た三船班は、隠密に宿泊客を避難させ5人組を確保することにしました。

しかし、沖島(人見明)、妻・とみ子(関千恵子)、娘・恵美(小柳冴子)はホテルに忘れ物をしたため引き返し(画像③)、古山(清川新吾・画像④)、亜紀(西恵子・画像⑤)のカップルは別れ話を巡って逃げ遅れていました。

 

(画像①=題名の表記)

 

(画像②=ホテル白山の全景、人物は画像③の人見明、小柳冴子、関千恵子の後ろ姿)

 

(画像③=左から関千恵子、人見明、小柳冴子)

 

(画像④=清川新吾)

 

(画像⑤=西恵子)

 

 

さらには、ホテル内に宿泊客が残っていないか、潜入した三船主任(青木義朗)は、ある宿泊室の雰囲気を察知、拳銃を抜いて中に入ると(画像⑦)、そこには榊ひろみ演じる雑誌の女性カメラマンが残っており、事情を知らないとはいえ拳銃を持った男の突然の入室に驚くばかりでした(画像⑦)。三船主任は、すぐにでも避難するよう促しますが、榊ひろみは事件取材のため残りたいと懇願(画像⑨)。これを三船主任は認めず、強制的に避難させようとしますが拒否(画像⑩)、どうやら榊ひろみは警察を毛嫌いしているようすです。

 

(画像⑥=青木義朗)

 

(画像⑦=左から榊ひろみ、青木義朗)

 

(画像⑦=榊ひろみ)

 

(画像⑨=榊ひろみ)

 

(画像⑩=左から榊ひろみ、青木義朗)

 

 

一方、閑散とした雰囲気に気づいた5人組(画像⑪)は、ホテル内を歩き回ります。そして、沖島・とみ子・恵美の3人親子が捕えられ(画像⑫)、古山・亜紀のカップルも捕えられ(画像⑬)、さらには三船主任、榊ひろみも捕えられ(画像⑭)、5人組は籠城態勢に入ります。

この状況を知った三船班の、田中係長(山田禅二)、関根部長刑事(伊沢一郎)、畑野刑事(宗方勝巳)、石原刑事(吉田豊明)、水木刑事(水木襄)、白石刑事(白石鈴雄)は気が気ではなく、ホテル周辺を包囲、何とか解決に導こうと必死の態勢を整えます(画像⑮)。

その後、人質となった7人は地下室に閉じ込められ、極限状況に陥るのですが、三船主任は何とか状況打開のため、5人組との駆け引きを探ります。しかし、警察に嫌悪感を持つ榊ひろみが三船主任を見つめる目は(画像⑯)、これからの展開に予断を許さないものでありました・・・、というのが開始約16分までの出来事になります。

 

(画像⑪=後ろ姿は遠藤征慈、あと左から平野康、大前田武、小沼和延、佐々木一哲)

 

(画像⑫=左から遠藤征慈、人見明、関千恵子、小柳冴子、小沼和延)

 

(画像⑬=左から西恵子、清川新吾、平野康)

 

(画像⑭=左から大前田武、青木義朗、榊ひろみ)

 

(画像⑮=左から山田禅二、宗方勝巳、伊沢一郎、白石鈴雄、吉田豊明、水木襄)

 

(画像⑯=榊ひろみ)

 

 

#497 人生試験地獄 (藤島班最終話)#498 女の縮図 (立石班最終話)で藤島班・立石班の終焉を迎えた龍伸之介監督が、三船班ストーリーとウマが合わないのか不調に陥った中、#536 可愛い脱走【スペシャルセレクション】で復調のきっかけを掴んだ後、当作を「三船班アクションを見事に描いた秀作に近い出来」に仕上げました、

その要因のひとつが榊ひろみの起用で、後年からみれば女性主体の構成を十八番とする佐治乾脚本に上手く合致した存在感を魅せてくれました。当作で、あれだけ敵対していた三船主任とのラブシーン(画像⑰)が見どころのひとつ。欠番のため未見の(第576回)悪夢(第580回)刑事はつらいよ、がどうなってるのか不明ですが、三船主任のラブシーンというのは珍しく、事件解決の鍵にもなっているのもポイントが高い。さらには、ラストで初めて見せた笑顔(画像⑱)も、前述の開始約16分以降に何があったのかと、未見の方々には興味を持たれることだと思います。返す返すも、【スペシャルセレクションシリーズ】未収録というのが悔やまれます。

 

(画像⑰=左から榊ひろみ、青木義朗)

 

(画像⑱=榊ひろみ)

 

 

その後は、#555 慕情で悲劇的ヒロインを演じますが、 #592 霧の中の 焼死体では水木梨恵が実質主演であり、 #710 ちぎれた舞扇でも多々良純に喰われた印象が強く、名ばかりの「主演格」といった具合でした。

 

 

 

しかし、#776 地獄舞(若柳禄寿、榊ひろみの出演、同一の脚本・監督、題名の相似から#710 ちぎれた舞扇 の姉妹作?とも考えましたが、別物であります)では、助演ではあるものの、今までとは違う鮮烈な役柄もあり、奥深さを感じました。

冒頭、創作舞踊家・松涛(大村文武)の初七日を終えた妻・巴絵(若柳禄寿)が寺から帰る姿(画像⑲)を、雑誌記者・高津(堀勝之祐)とカメラマン・美紀(榊ひろみ)の2人が盗撮しています(画像⑳)。そして、その夜、巴絵のマンションを高津は訪ね、榊ひろみは外の車で待機しているのですが(画像㉑)、突如巴絵がマンションの外に飛び出してきます。そこで榊ひろみは車外に出て(画像㉒)、巴絵を追いかけることなく高津のいる部屋を訪ねることにしますが、そこでは額を強打された高津がうずくまっており、病院へ救急搬送になりました。

通報を受けた三船班の、三船主任、松木部長刑事(早川雄三)、畑野刑事(宗方勝巳)は事情を聴くことになります(画像㉓)。

 

(画像⑲=若柳禄寿)

 

(画像⑳=左から榊ひろみ、堀勝之祐)

 

(画像㉑=榊ひろみ)

 

(画像㉒=左から若柳禄寿、榊ひろみ)

 

(画像㉓=左から榊ひろみ、早川雄三、青木義朗、宗方勝巳)

 

 

 

事の発端は、出稼ぎで上京後、行方不明となった寺内錦一(曽我廼家一二三)を娘・京子(寺内順恵、画像㉔)が、3日前に雑誌編集部を訪ねて来たところに遡ります。雑誌掲載の「地下鉄のヌード」というグラビア特集の写真の浮浪者が寺内らしいので探すのを手伝ってほしいと、担当の高津(画像㉕)、榊ひろみ(画像㉖)に話すと、3人で撮影場所の地下広場に行くことになりました。そこには、老ルンペン(大東梁佶)、若ルンペン(肥土尚弘)がおり、8月に仲間うちで千葉の海岸(註・平砂浦海岸を指す)に稼ぎに出かけて以来、見かけていないということでした。

そこで、3人は平砂浦海岸へ出向き、交番の年輩巡査(伊藤正博)、若手巡査(高木好平)に尋ねると(画像㉗)、若手巡査は顔つきが5日前に断崖下の海岸で発見された溺死体に似ていると発言します。しかし、年輩巡査は、その遺体は家族や弁護士親子が本人確認、引渡済と打ち消すと、京子は落胆します。ところが、遺体は創作舞踊家・松涛、家族は妻・巴絵、弁護士親子というのが渡(神田隆)、娘・晶子(松木聖)ということに興味を持った高津、榊ひろみは、帰京後、グラビア未掲載の「地下鉄のヌード」のネガを調べると、寺内と一緒に写る巴絵の画像を発見することに(画像㉘)。

このこともあり、初七日の寺から巴絵の行動を監視、高津は行方不明の寺内、溺死体の松涛の殺害犯は巴絵と考えマンションを訪ねたのですが、これが殴打事件(註・高津は一命をとりとめる)に繋がったと、榊ひろみは締めくくります。とそこに、三船主任に、所轄の城東署に、渡が巴絵を同行して出頭する旨の電話があった情報が入り、事件は新たな展開を迎えるというものです。

 

(画像㉔=寺内順恵)

 

(画像㉕=堀勝之祐)

 

(画像㉖=榊ひろみ)

 

(画像㉗=左から寺内順恵、堀勝之祐、榊ひろみ、伊藤正博、高木好平)

 

(画像㉘=左から曽我廼家一二三、若柳禄寿)

 

当作での榊ひろみは、出演場面こそ#544 絶体絶命に劣りますが、同じ女性カメラマンを演じながらも、役柄は「善」から「悪」に変わり、時折見せる不敵な笑顔など、新しい側面を見せています。個人的には、#592 霧の中の 焼死体よりレベルアップした感があり、女優歴が前述した映画「緑はるかに」(日活、1955年)の頃からあることを考えれば、長年の演技の積み重ねもあったのでしょう。

 

 

 

そして、1976年大晦日も近い #788 無情の風に散るとなるのですが、特捜隊終焉まであと3か月と知る後年からの目線では、実質三船班最終話に相応しいと思われる当作に、榊ひろみが出演したのは感慨深いものがあります。

ある夜、高級老人ホーム・福寿苑の一室では、入居者であるサイレント時代からの女優・夢子(東郷晴子、画像㉙)を、共演の多かった元男優・川上(長浜藤夫、画像㉚)が訪ね、いろいろと話し合っていました(画像㉛)。ただ内容は、川上が1万円を貸してくれるよう頼んでいるのに、夢子は金が無いから貸せないと返し、これに川上が立派な住まいにいるのにそんなことはないだろうと掴みかかる様相で、聞き耳を立てていた入居者で、戦前の歌手・月子(原泉、画像㉜)も気が気ではありません。

とそこに、榊ひろみ演じる週刊誌の女性記者・文枝がやってきて(画像㉝)、部屋に入り2人を止めると、川上は部屋を出ていきます。それを榊ひろみは追いかけ、外で川上に自分の身分を明かし、取材中の夢子との間に何があったかを不敵な顔つきをしながら聞き出そうとしており(画像㉞)、それを月子はこっそりと見つめています。そして、部屋に残った夢子の、揺り椅子に座りうつむいたままの姿が映り、「無情の風に散る」のオープニングタイトルとなります(画像㉟)。

 

(画像㉙=東郷晴子→当作のため、本人から番組に提供されたと思われる)

 

(画像㉚=長浜藤夫→当作のため、本人から番組に提供されたと思われる)

 

(画像㉛=左から長浜藤夫、東郷晴子)

 

(画像㉜=原泉)

 

(画像㉝=榊ひろみ)

 

(画像㉞=榊ひろみ)

 

(画像㉟=オープニングタイトル、バックに東郷晴子)

 

 

そして、数時間後(?)、川で変死体発見の通報に三船班が現場に到着。発見者はクラブ歌手・冬子(松尾悦子)で戸川刑事(一の瀬玲奈)が聞きこむと(画像㊱)、レッスンの帰りに現場近くで女性の人影を目撃、近づくと足早に去っていった情報を得ます。ただ、三船班は他殺との確証は持てず、幅広く当たることにします。

翌朝、被害者の身元割り出しの手がかりを掴むと、三船主任、松木部長刑事、石原刑事は福寿苑に向かいます。そこで月子から昨夜の一件を聞き出すと、被害者を川上と断定、三船主任は石原刑事と夢子の部屋を訪れます。しかし、夢子は川上のことは話したくないと拒否(画像㊲)、そこで三船主任は、質問を川上が金を借りに来た理由のみに絞るのですが(画像㊳)、それでも夢子の姿勢は変わりませんでした。

 

(画像㊱=左から松尾悦子、一の瀬玲奈)

 

(画像㊲=左から東郷晴子、吉田豊明、青木義朗)

 

(画像㊳=青木義朗)

 

 

 

一方、松木部長刑事は榊ひろみが昨夜から帰宅していないことを掴むと、戸川刑事と雑誌社に出向きます。応対した編集長(中山昭二、画像㊴)は、榊ひろみはまだ未出社で連絡も無いこともあり、連絡があるまで編集部待機を了承します。そこで、松木部長刑事、戸川刑事はソファーに座り、置いてある雑誌を読んでいると(画像㊵)、1年前の記事で榊ひろみが夢子を取材した記事、夢子のフォト(画像㊶)、さらには夢子が冬子と写ったフォト(画像㊷)を発見します。

とそのとき、編集部に榊ひろみから連絡、編集長の素振りから榊ひろみは冬子のアパートにいると察すると、松木部長刑事、戸川刑事は畑野刑事の応援も加え、月子のアパートに向かい、榊ひろみを尋問(画像㊸)、川上の死に複雑な表情を見せます(画像㊹)。しかし、昨夜、福寿苑の外で川上と話した後のことを言いたがらない態度に、松木部長刑事は特捜隊本部への同道を促します。

 

(画像㊴=中山昭二)

 

(画像㊵=左から早川雄三、一の瀬玲奈、中山昭二)

 

(画像㊶=東郷晴子)

 

(画像㊷=左から東郷晴子、松尾悦子)

 

(画像㊸=左から一の瀬玲奈、榊ひろみ、宗方勝巳、早川雄三)

 

(画像㊹=榊ひろみ)

 

 

 

そして、特捜隊本部では榊ひろみを尋問(画像㊺)、何かと警察に反抗的な態度を見せますが(画像㊻)、三船主任は理詰めで落とそうと冷静に振舞います(画像㊼)。そして、聞きこみの畑野刑事からの連絡から、一気に榊ひろみを追及したところ、田中係長が入室、編集長の来訪を伝えます。特捜隊本部を出た三船主任は田中係長と、榊ひろみの釈放を要求する編集長に対峙するのですが(画像㊽)、ここまでが開始約24分半ばであり、これからのストーリー展開に興味を持たせます。

 

(画像㊺=左から一の瀬玲奈、早川雄三、榊ひろみ、後ろ姿の青木義朗)

 

(画像㊻=榊ひろみ)

 

(画像㊼=青木義朗)

 

(画像㊽=左から後ろ姿の山田禅二、中山昭二、青木義朗)

 

 

当作での榊ひろみは主演格では無く助演でありますが、「老いへの哀憐」をテーマにしたなかでは、主演の東郷晴子、長浜藤夫を支えるポジションを上手く体現できたのではないか。具体的には、ちょっとした親切が拒否されてプライドを傷つけられ、さらには悲劇を招いてしまったことです。仕事に邁進するキャリア女性の虚しさが、「人間は親切面していても、本当は冷たい」という台詞につながり、これまでの特捜隊出演回のなかでも、異彩の輝きを持っていると感じました。その点では、当作が榊ひろみの特捜隊最終出演回にふさわしかったとも考えます。

さらには、容貌の違いも注目点で、1972年の#544 絶体絶命、 #555 慕情とずいぶん変わったなあと思うとともに、当作の約2か月前の#776 地獄舞とも変わったなあとも感じました。これはメーキャップによるものでしょうが、実見すると台詞回しなど演技的にも変わった感があり、当作のテーマ「老い」に連関させたようでもあります。このことは、「老いへの哀憐の念」を持つ青木義朗にもいえることで、これまた自ら打って出る行動的な三船主任ではなく、画像㊳、画像㊼のような「寡黙な一刑事」を演じており、本当に「実質的な三船班最終話」と言いたくなる好演回です。

また、編集長を演じた中山昭二も、役柄もあるのですが、画像㊴、画像㊽と比べ当作の約5年前の#497 人生試験地獄 (藤島班最終話)での藤島主任(画像㊾)とも変わったなあとも感じます。つまり、目立つ出演者に対して「老い」を考えさせる構成にしているわけで、脚本・西沢治、監督・広田茂穂の会心作ともいえそうです。

 

(画像㊾=#497 人生試験地獄 (藤島班最終話)での中山昭二)

 

 

 

余談ですが、かつて#782 わたしの父さんでの高校教師さんからのコメントで、

>リアルタイムで見ていた頃はまだ子供でしたが、唐突な日高班、度々のテーマ曲

>変更や、女性刑事の投入、このところ相次いでいる若手の起用など、漠然とした

>落ち着かなさのようなものを感じていたことを思い出します。(略)

>学校で友人と「先が長くないんじゃないか」などと話していたのもこの頃でした。

>そしてその懸念は788回「無情の風に散る」に中山昭二がゲスト出演したことで

>確信へと変わったのでした…。

と書かれていたことで、自分にとっては特捜隊終焉へのレクイエムと感じた作品でもありました。それに、自分が気になる女優のひとり、榊ひろみが出演していたというのも、何か運命らしきものを考えます・・・。

榊ひろみについては、ネット検索すると、荒木一郎と結婚前の松竹映画時代について語られるものが多いのが特徴です。ここでは特捜隊が中心となるため、荒木一郎との離婚後の作品が主になっているので、「あれっ」と思われる方が多いことでしょう。

しかし、結婚でのブランクをものともせず、女優業に戻り、さまざまな作品に出演したというのは、やはり根が女優さんなのでしょう。

【第3回再放送】のころ、ネットで榊ひろみを検索したところ、今では見当たらないのですが、断片ながらも「外見上は快活なのですが、本当は庭いじりが好きな一女性」という記事を読んだことがあります。そう考えると、上手く仕事と家庭を両立するプロフェッショナルともいえ、ご健在なら現在83歳。女優業を引退されて久しいですが、#788 無情の風に散るを観た側からすると、どのような老後を過ごされているのか、興味を引くところではあります。

 

 

(追加)R8.2.16

コメント欄、高校教師さんから、榊ひろみについて情報をいただきましたので、高校教師さんの感想も併せ、下記に要約して箇条書きにしました。

○松竹歌劇団出身で演技の基礎を学んだこともあり、「どんな役柄でもこなしてしまう器用な女優」の印象が強い。

○荒木一郎との結婚前の、ほぼ最後の出演作がライオン奥様劇場・妻の持つ扇(1964年12月1日~1964年12月29日、フジテレビ)で、唯一の連ドラ主演となる。主な共演者は、宗方勝巳、福田公子である(いずれも、特捜隊とは関連深い俳優陣)。

○荒木一郎との離婚(註・1969年)後は三船プロへの在籍歴有り。そのときの出演作・欲望の河(1976年7月12日~1976年8月20日、東海テレビ、五月みどり主演)ではナレーターを担当。高校教師さんによると「硬質ながら甘い声がその雰囲気(註・エロチックシーンの意)の醸成に効果を上げていたよう記憶」しているとのこと。

○1980年発行の資料によると、「1972年11月に出版社の社長と結婚、一男あり」とのこと。

本来ならば、特捜隊の現存作品をすべて視聴・観賞したうえで、出演された女優について書いていくべきだと思います。しかし、【スペシャルセレクションシリーズ】が発売されたことで、かつて東映chで放送された特捜隊現存作品全作をリフレイン再放送される可能性は遠のきました。

そこで不充分ながらも、【第3回再放送】【第4回再放送】【スペシャルセレクションシリーズ】を観た状態で、特別機動捜査隊・女優篇を書いていくことにしました。ただし、万が一、特捜隊現存作品全作のリフレイン再放送、新たに【スペシャルセレクションシリーズ】発売がなされたときは、それら作品視聴録を優先して、特別機動捜査隊・女優篇は一時中断することにいたしますので、その点はご了承くださいませ。

なお以下では、人物敬称略で書いていきます。

 

かつて、

特別機動捜査隊・女優篇(1)渡辺ゆかり

にて、ご本人様にインタビューしたことはあるものの、これはあくまでも例外であり、おそらく自分自身の主観が中心となった原稿になると思いますので、その点も、ご了承のほどお願いいたします。

 

 

**************************************

 

今回取り上げる女優さんは、

 福田公子

になります。

 

#474 血の鎖での、福田公子)

 

 

初見の際、#474 血の鎖のオープニング表記、「脚本・小川記正、山村美紗」を見たとき、このときはまだ「小川記正」がどのような脚本家とは知らないこともあり、「山村美紗」の名に驚いたことがあります。そして、題名と予告篇から「血液(型)の神秘」、山村美紗の作品には血液型を扱った作品が多かったかなという印象もあったため、それに魅かれての視聴でありました。

そこでの福田公子は、wikiによれば「1932年11月22日生まれ」ですので、当作出演時は38歳であり、失礼ながらややトウがたった先入観はありました。実際、役柄も夫・子もいる人妻なのですが、映像の部分部分に見える「色気」「ひたむきさ」には目を見張るものがありました。

ただ、個人的な感はありますが#695 現代母親教育論での役柄は「気持ち悪い」ところがあり、直後の#704 人妻の虚像【スペシャルセレクション】は秀作ともいう出来でありますが、そこでのキャラが#695 現代母親教育論をやや思い起こすところがありました。ですので、自分が実見した福田公子の印象深い作品は、下記作品群の ①【第3回再放送】 に集中しており、そのうち、#509 呪いの館【スペシャルセレクション】はDVD発売されていますので、

#474 血の鎖

#620 ある恐怖の記録 やさしい女

について書いていきたいと思います。

 

自分が観た福田公子の特捜隊作品群は、視聴順・観賞順に以下のようになります。なお、「※主演格」とはエンディング表記でトップ表記されていることを指します

(註・トップ表記が複数列のときは、一番上のこと)。

 

 

 

①【第3回再放送】

東映ch=2015年4月2日~2017年2月16日

 

(1) #474 血の鎖※主演格

(本放送・1970年12月2日、脚本・小川記正、山村美紗、監督・伊賀山正光、藤島班)

(2) #509 呪いの館【スペシャルセレクション】※主演格

(本放送・1971年8月4日、脚本・小川記正、吉川一義、監督・吉川一義、立石班)

(3) #620 ある恐怖の記録 やさしい女

(本放送・1973年9月19日、脚本・佐々木武観、監督・中村経美、三船班)

 

 

②【第4回再放送】

東映ch=2019年3月14日~2020年8月20日

 

(4) #695 現代母親教育論※主演格

(本放送・1975年2月26日、脚本・西沢治、監督・田中秀夫、三船班)

(5) #704 人妻の虚像【スペシャルセレクション】※主演格

(本放送・1975年5月7日、脚本・松本昭典、監督・天野利彦、三船班)

 

 

③【スペシャルセレクションシリーズ】

DVD観賞=2020年12月13日~2025年7月27日のブログ更新年月日

 

出演回は無し

 

 

④ 未収録回・欠番回のため未見

 

(6) (第30回)歪んだ罠【第1回再放送】欠番回

(本放送・1962年5月16日、脚本・西島大、監督・伊賀山正光、立石班)

(7) (第229回)枯れた春【第1回再放送】※主演格

(本放送・1966年3月16日、脚本・七条門、監督・不明、立石班)

(8) (第368回)武蔵野心中【第2回再放送】※主演格

(本放送・1968年11月13日、脚本・小川記正、監督・北村秀敏、藤島班)

 

 

 

 #474 血の鎖では、富沢妙子を演じる福田公子が、トップ屋の横山(宮川洋一)から喫茶店に呼び出されたところから始まります。福田公子は指輪をしているところから人妻であり、横山は何やら強請っているようすです(画像①、画像②)。

そして、場面は外の公園に移り、横山は金で解決しようと提案しますが(画像③)、その金額の高さに福田公子は猶予を求めます。しかし、横山は、それまでの担保とばかりに指輪を奪おうと取りあげたところに(画像④)、相川(石浜朗)が現われ(画像⑤)救出。どうやら、福田公子は相川を知っているようで(画像⑥)、それは横山も同様でした。福田公子に逃げられた横山は、八つ当たりとばかり、相川に襲いかかり2人での乱闘、地面に指輪がアップになり、藤島班の知らない冒頭場面は終了します。

 

(画像①=左から福田公子、宮川洋一)

 

(画像②=福田公子)

 

(画像③=左から福田公子、宮川洋一)

 

(画像④=左から福田公子、宮川洋一)

 

(画像⑤=石浜朗)

 

(画像⑥=福田公子)

 

 

そして、横山の死体が新宿西公園(註・撮影は新宿中央公園)で発見され、藤島班の初動捜査となります。ここで余談ながら、現場での藤島主任(中山昭二)、関根部長刑事(伊沢一郎)の背景から、昭和45年ごろの新宿京王プラザホテル周辺の風景が見られます(画像⑦)。さらに、当時の新宿京王プラザホテルは未竣工なのか、松山刑事(松原光二)、山崎刑事(高島新太郎)が横山の幼馴染・友成(西村惇二)へ聞きこむ際の後部の建物上部からもうかがえます(画像⑧)。なお、このときに友成・横山の共通の幼馴染でもある、製薬会社研究所勤務員・相川の名が明らかになります。

そして、特捜隊車両が走る場面からも、今は無き東京ガス・ガス供給所の背景から、当時の山手通り(甲州街道が交差するあたり)の風景もあったりと(画像⑨)、当作は過去の新宿周辺を映し出す貴重映像でもあります。

 

(画像⑦=左から中山昭二、伊沢一郎)

 

(画像⑧=左から松山光二、西村惇二、高島新太郎)

 

(画像⑨=山手通りを走る特捜隊車両)

 

 

捜査は、横山が妻(広瀬陽子、画像⑩)と暮らすアパートに関根部長刑事、内藤刑事(巽秀太郎)が訪れ居間へ。そして、本人確認のため本庁への同道を求めると、横山妻は了承、居間で着替えのため、2人は目をそらして待つことになります。と、そのとき関根部長刑事は、机上に謎のメモ書きを発見(画像⑪)、原本は横山妻に破られますが筆圧の残るメモを、内藤刑事も破られた原本を、それぞれこっそり回収します。

場面は、相川の勤務するセントラル製薬の薬学研究所に移り、福田公子は相川を呼び出し、噴水近くで待つよう言づけられましたが(画像⑫)、現われたのは相川の助手・純子(宮川和子、画像⑬)。純子は、ここで待つように言ったのは自分で、相川はここ何日も出勤していないことを伝えるためと話すと、福田公子は悲しみにくれた表情になるのでした(画像⑭)。

ところが、相川の不在は純子の嘘で、実際は研究室にいた相川に、福田公子ではなく自分を見つめてほしいから不在と偽ったと告白、これに相川は驚きの表情になります(画像⑮)。

 

(画像⑩=広瀬陽子)

 

(画像⑪= #474 血の鎖での血液型の組合せ表)

 

(画像⑫=福田公子)

 

(画像⑬=宮川和子)

 

(画像⑭=福田公子)

 

(画像⑮=左から石浜朗、宮川和子)

 

 

そして、場面は福田公子の暮らす富沢邸へ。夫・富沢(南廣)、息子・晃(川瀬裕之)に囲まれ(画像⑯)、女中(大原百代)まで雇える裕福な家庭であります。

福田公子は、

>この平和が、この陽の光のように、いつまでも続いてほしい

と呟くのですが、その直前に、富沢が飼っている犬は血統書つきであり(牝?)、近所の犬と交配して生まれた仔犬をケンネル(ペットショップ)に渡した話があります。

この点から、冒頭から続く福田公子周辺の出来事は、「血」に絡んだことではないかという予感が、視聴している側に湧いてきます。

一方、特捜隊本部では、鑑識新田(新田五郎)から、藤島主任、関根部長刑事、西本捜一係長(鈴木志郎)がメモ(比較のため画像⑪を再度挙げます)の分析結果を聞きます。これは血液型の組合せ表ということですが、鑑察医(仲原新二)からは

>A型AB型から生まれる子供はA型、A型B型からはA型B型、これは間違いありま

>せん。AB型O型からはA型B型、O型O型からはO型・・・。

>それからここに、AB型O型の夫から生まれる子供は、

>A型B型の場合と「RHマイナス」があると書いてありますが、これも間違いで、

>どの型の夫婦の組合せからも「RHマイナス」の子どもが生まれる可能性

があり、「RHマイナス」の血液型は何百人に一人の割合のため貴重であることも、併せて説明されます。

また、再度の余談になりますが、当作の血液型の組合せ表については、添付した参考画像(画像⑰)からすると、現代医学の観点では間違いと言わざるを得ません。

具体的には

☆A型O型→O型・・・・  A型O型→A型O型

☆A型AB型→A型・・・・A型AB型→A型B型AB型

となるわけですので、実見のときは?の気分で視聴していたことは否定できません。

ただドラマですので、番組の立場で視聴はしましたが・・・。

 

(画像⑯=左から福田公子、川瀬裕之、南廣)

 

(画像⑪= #474 血の鎖での血液型の組合せ表)

 

(画像⑰=MEB'S EDGE・「血液型遺伝」の組み合わせ(表)とその仕組みとは? からの引用図)

 

 

そして、特捜隊本部へ「横山を殺したのは妙子」(要旨)というタレコミが入ると、藤島班は松山・山崎・内藤(巽秀太郎)の3刑事を富沢邸に向わせます。邸外では、横山妻、その情夫(守屋俊志)が待機中(画像⑱)、富沢が車で出かけるのを見た2人は、邸内に侵入。応接間の福田公子に血液型の組合せ表(註・横山妻が破ったものと同一)を見せ、脅迫します(画像⑲)。

それは、相川が酔ったはずみで横山に話したことであり、福田公子はO型、富沢はA型、そして相川はA型であるが、5年経っても夫婦に子供ができないから、相川に子供をつくる相手として協力させただろう!? と迫ると、福田公子は恐怖におののきます(画像⑳)。

さらに、情夫が匕首をテーブルに刺し大声をあげたところ、応接間外で見聞きしていた女中が危険を感じ、邸外の待機中の藤島班3刑事に通報、横山妻・情夫が逮捕されるのが前半のヤマとして描かれます。

 

(画像⑱=左から広瀬陽子、守屋俊志)

 

(画像⑲=左から福田公子、広瀬陽子、守屋俊志)

 

(画像⑳=福田公子)

 

 

正直、拙稿に書いた通り、作品自体には粗があり、出来としては芳しくありません。ところが、福田公子については、「色気」「ひたむきさ」が映像から感じられ、後半になったら、実は相当な食わせ者ではないかという素振りも見せてくれるなど、「女性の多面性」には舌を巻くところがありました。このような演技の幅は、持って生まれたものというか、懐深いからなせる業ともいえ、wikiにもありますが、伊達に宝塚歌劇団出身ではないなと思わせるものがあります。この「女性の多面性」は、続く、#509 呪いの館【スペシャルセレクション】にも見られる役柄であり、当作で共演した大原百代と再共演を果たしていること、同じ小川記正脚本であることも含め、興趣深いことでもあります。

 

 

 

そして、#474 血の鎖から約3年経った #620 ある恐怖の記録 やさしい女では、また別の魅力を見せてくれます。

当作は、予告篇の限りだと、鷲見刑事(柴田昌宏)が同窓会に出席の夜、近隣の伊崎質店強盗殺人事件に遭遇、さらには同窓の岡部刑事(山下哲男)が犯人から銃撃されるのを目の当たりにしたことから、鷲見刑事活躍譚のイメージでした。

確かに、犯人3人組、田沢覚(根岸一正)、小倉新治(成川哲夫)、水戸孫一(杉山元)が強盗に入り1800万を強奪(画像㉑)、お手伝い・まみ(川瀬ミキ)を縛り上げ、店主・伊崎(友野多介)を射殺するという事件ですから、それがストーリーの大半を占めることと思うことでしょう。

 

(画像㉑=左から成川哲夫、杉山元、根岸一正)

 

 

しかし、実見すると、メインは犯人3人組の逃走劇と、侵入した洋裁店からの人質救出劇と人間模様にあり、鷲見刑事の存在感はやや薄れ気味であります。

夫の逝去後、福田公子は小さな洋裁店経営の幸枝を演じ(画像㉒)、幼稚園児のおさむ(川島哲也)を育て、女店員の智代(小浅初江、画像㉓)、えつ子(瀬里なつる=#494 娼婦の流れ唄【スペシャルセレクション】では瀬里ナツル名義、画像㉔)、満子(ミツコ、松尾悦子)たちと店を切り盛りしていたのですが、店に犯人3人組が侵入、この事件にどのように対応するのか、そして、この状況に三船班はいつ気づくのかというのがポイントで、予告篇とは異なる、拾い物と感じる佳作であります。

その経緯は、来客2人と福田公子が接客中、満子に呼ばれて奥に行くと、いきなり田沢にライフルを突きつけられます(画像㉕)。何があったのかと横を見ると、満子がナイフを持った小倉、そして水戸に脅されており(画像㉖)、ここで初めて犯人3人組が洋裁店に侵入したことがわかります。

 

(画像㉒=福田公子)

 

(画像㉓=小浅初江)

 

(画像㉔=瀬里なつる)

 

(画像㉕=左から根岸一正、福田公子)

 

(画像㉖=左から松尾悦子、杉山元、成川哲夫)

 

 

ここでの福田公子は、毅然とした態度に満ちており、ライフルの前でも、この危機をいかに凌いでいくかというのが、表情から見られます(画像㉗)。ただ、おさむのことになると顔色が変わり(画像㉘)、これが犯人3人組のひとり、小倉新治の心情に影響を与えていくのでしょう。初見のときは、ここまで深読みは出来ず、

>幸枝と新治との心の交流がわかりづらいことで、いくらなんでもいきなり

>やってきた強盗犯を信用できるほど、世の中甘くは無いと思います

と書いたのですが、新治には姉・綾子(森みつる、画像㉙)がおり、姉への感情(尊敬)が福田公子への敬意となっていったとも解釈できます。それがゆえ、あることでピンチとなり、それが福田公子の顔に表われても(画像㊴)、新治が「知っていても知らないふりをする行動」に出たことに繋がっていったのかもしれません。

そして、これがラスト近くの洋裁店前、わずかながらも福田公子、新治、綾子の3人が揃う場面に繋がったともいえ、今回の拙稿のための再見がなければ、このことに気づかなかったでしょう。福田公子は、エンディングで主演格表記ではありませんでしたが、充分に存在感を見せた佳作だと感じました。

 

(画像㉗=福田公子)

 

(画像㉘=左から福田公子、松尾悦子、成川哲夫)

 

(画像㉙=森みつる)

 

(画像㉚=福田公子)

 

 

特捜隊での福田公子は、以上の作品出演が終わってから、#695 現代母親教育論で登場するまで約2年のスパンがあるわけですが、その間、他作品には出演しています。そのひとつが、非情のライセンス・第1シリーズ・#041  兇悪の試験地獄(本放送・1973年1月10日、脚本・松浦健郎、監督・伊賀山正光)で、今振り返ると704 人妻の虚像【スペシャルセレクション】と雰囲気が似た作品です。

そこでの福田公子は、誠実さを表に出しながらも、わずかながらも狡猾な匂いが漂う女性を上手く演じており、会田刑事(天知茂)と会ったときの表情は、果たしてこの女性はどちら側の人なのかと思わせます(画像㉛)。いくら脚本があるとはいえ、このように「女性の多面性」を手の内に入れるのは、やはり女優さんなんだなと改めて感じた次第です。なお、この作品には、特別機動捜査隊・女優篇(6)での万里昌代(画像㉜)のほか、特捜隊常連女優の浜田ゆう子、後に特捜隊で田坂刑事を演じる倉石功も出演しており、豪華な布陣でもあります。

さて、福田公子の情報は、自分の調べた限りでは、前述のwikiのほか、お宝番組・番組私的見聞録をはじめとしたアメブロで見かけるくらいか? ご健在ならば、現在92歳ということですが、詳細情報が出てきてほしいなあと思うところであります。

→(追加、R8.1.30)最後に、追記として新情報有り

 

(画像㉛=非情のライセンス・第1シリーズ・#041  兇悪の試験地獄=福田公子、手の写真は天知茂)

 

(画像㉜=非情のライセンス・第1シリーズ・#041  兇悪の試験地獄=左から天知茂、万里昌代)

 

 

 

(追記)R8.1.30

R8.1.29のコメント欄にて、高校教師さんから福田公子の情報をいただいたので、高校教師さんに感謝するとともに、要約して、下記に箇条書きで抜き出しました。

 

○母役女優のイメージが強く、昼メロの、1965年の「下町育ち」では三原有美子の(実年齢は三原の8歳上)、1970年の「続・下町育ち」では鮎川いずみ・西恵子の、1972年の「光る海」では石川さゆりの、母親役をそれぞれ演じていた。また、1971年の「第二の結婚」では高千穂ひづるの姉役(実年齢は高千穂より2歳下)など、主演女優の年上役も演じていた。

 

○経歴については、wikiでは、1949年・宝塚歌劇団→1957年・松竹→1969年・劇団欅(後年の劇団昴)となっている。新情報では、その後1990年代半ばに劇団昴を退団、フリーとしてかは不明も2000年代までテレビドラマを中心に活躍、70歳過ぎ(2002年以降か?)に女優業を退く。

 

○現代演劇協会の劇団欅(後年の劇団昴)での同僚女優として、鳳八千代、谷口香(2007年逝去)、新村礼子(2011年逝去)、小沢紗季子(左生子、寿美恵)、北村昌子(2025年逝去)、北島マヤ、田島令子、久保田民絵(民栄)、島村佳江などが挙げられる。この中には、特捜隊出演歴のある方々が多いのも特徴。

 

○商業系から新劇舞台へと歩んだ経歴は稀有であり、欧米の翻訳劇から軽妙な喜劇、ドタバタ劇、三島由紀夫の『近代能楽集』に至るまで種々多彩な芝居に出演。舞台評価は、高校教師さんによると

>舞台に出ると、パッと華やかになるというか、観客の目を引き付けるオーラの

>ようなものをまとっていました。あの世代の女性にしては身長が高く、発声も

>良くて劇場の隅々にまで届く台詞など、舞台女優としても非のうちどころの

>ない人でした。

ということである。