※当稿が、令和7年最後の更新となります。自分自身の環境の変化で、更新が不定期になったり、更新スパンが広がったりした1年でした。来年は、大きな変化が無いこととを祈り、定期的に更新できたらと考えています。

それでは、皆さま、良いお年をお迎えくださいませ<(_ _)>

 

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本来ならば、特捜隊の現存作品をすべて視聴・観賞したうえで、出演された女優について書いていくべきだと思います。しかし、【スペシャルセレクションシリーズ】が発売されたことで、かつて東映chで放送された特捜隊現存作品全作をリフレイン再放送される可能性は遠のきました。

そこで不充分ながらも、【第3回再放送】【第4回再放送】【スペシャルセレクションシリーズ】を観た状態で、特別機動捜査隊・女優篇を書いていくことにしました。ただし、万が一、特捜隊現存作品全作のリフレイン再放送、新たに【スペシャルセレクションシリーズ】発売がなされたときは、それら作品視聴録を優先して、特別機動捜査隊・女優篇は一時中断することにいたしますので、その点はご了承くださいませ。

なお以下では、人物敬称略で書いていきます。

 

かつて、

特別機動捜査隊・女優篇(1)渡辺ゆかり

にて、ご本人様にインタビューしたことはあるものの、これはあくまでも例外であり、おそらく自分自身の主観が中心となった原稿になると思いますので、その点も、ご了承のほどお願いいたします。

 

 

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今回取り上げる女優さんは、

◎ 万里昌代 (ばんり まさよ)

になります。

 


#478 謎の女での、万里昌代)

 

#693 情熱の海での、万里昌代)

 

 

万里昌代は新東宝出身、倒産後に大映に移籍、勝新太郎主演の座頭市シリーズでの好演(奇しくも、新東宝出身の天地茂も共演!)が認められ、ネームバリューがあがったことが著名で、大映退社後はフリーで映画・テレビへと出演を続けました。なお、新東宝所属初期作品には「万里昌子」名義のクレジットも見受けられ、wikiにも万里昌代の項目(1937年3月29日生まれ)が立てられています。。

そして、自分には万里昌代といえば新東宝のイメージが強い。新東宝時代には、「スター毒殺事件」(1958年、画像①)で天地茂を錯乱させる魅力を持つ役を演じ、今にして思えば、特捜隊の#632 赤い魔女は「スター毒殺事件」へのオマージュを感じさせる作品でもありました。

さらに、三原葉子と共演した、アレクサンドル・デュマの「巌窟王(モンテ・クリスト伯)」を原作とした「女巌窟王」(1960年、画像②)では、エキゾチックな雰囲気に溢れた役をこれまた好演。非常に魅かれる存在感を持つ女優さんです。

 

(画像①=万里昌代)

 

(画像②、左から三原葉子、万里昌代)

 

 

東映映画作品への出演は1967年頃から目立ち始め、その縁で、特捜隊への出演に繋がっていったのかもしれません。ところが、万里昌代の情報は特大筆されるわけでもなく、目立つところでは、元大映社員の中島けんブログ「映画が中心のブログです!」、アメブロでの「お宝映画・番組私的見聞録」で見かけられるくらいか? 

かつて、「女巌窟王」共演の三原葉子(註・特捜隊には、出演歴有るも万里昌代とは未共演)が約12年前に逝去されたニュースがありました。それもあったのか、三原葉子の記事が特集され、それ以前の紹介記事も含めると、三原葉子の記事の多さは驚くべきものでした。

ならば、(逝去したとは限りませんが)三原葉子と並んで新東宝の一翼を担った女優・万里昌代にもう少しスポットライトをあてても良いような気もするのですが、これは業界内での機運を待つしかないのでしょうか。。。

このこともあり、万里昌代の姿を特捜隊【第3回再放送】【第4回再放送】で観たとき、非常に懐かしさをも感じたわけでありました。

 

さて、自分が観た万里昌代の特捜隊作品群は、視聴順・観賞順に以下のとおりです。

なお、「※主演格」とはエンディング表記でトップ表記されていることを指します(註・トップ表記が複数列のときは、一番上のこと)。

 

 

 

①【第3回再放送】

東映ch=2015年4月2日~2017年2月16日

 

(1) #478 謎の女 ※主演格

(本放送・1970年12月30日、脚本・小川記正、監督・天野利彦、立石班)

(2) #546 四匹の牝猫 ※主演格

(本放送・1972年4月19日、脚本・島津昇弌、監督・伊賀山正光、三船班)

(3) #564 男がつぶやく 子守唄 ※主演格

(本放送・1972年8月23日、脚本・元持栄美、上岡由呼、監督・中村経美、三船班)

(4) #590 愛の崖 ※主演格

(本放送・1973年2月21日、脚本・西沢治、監督・鈴木敏郎、三船班)

(5) #647 三船の野郎が憎い ※主演格

(本放送・1974年3月27日、脚本・横山保朗、監督・天野利彦、三船班)

 

 

②【第4回再放送】

東映ch=2019年3月14日~2020年8月20日

 

(6) #684 十津川絶唱

(本放送・1974年12月11日、脚本・樋口静生、監督・天野利彦、三船班)

(7) #693 情熱の海 ※主演格

(本放送・1975年2月19日、脚本・元持栄美、監督・天野利彦、三船班)

 

 

③【スペシャルセレクションシリーズ】

DVD観賞=2020年12月13日~2025年7月27日のブログ更新年月日

 

出演回は無し

 

 

④ 未収録回・欠番回のため未見

 

(8) (第383回)涙を忘れた女 DVD未収録回 ・※主演格

(本放送・1969年2月26日、脚本・小川記正、監督・中村経美、立石班)

 

 

 

振り返ると、未見回も含め出演全8回のうち7回が主演格表示されており、堂々たるものがあります。1937年3月29日生まれですから、当時としてはトウが立ったともいえるのでしょうが、映画出身女優として脂の乗り切った時期の、32歳~38歳の出演作品群とみるのも可能です。

自分が特捜隊での万里昌代を初めて観たのが #478 謎の女で、自分の脳裏には新東宝時代の作品群がまだまだありました。冒頭、和服女性の後ろ姿が料亭に入っていくのですが、そこでは賭博が開帳されており、和服女性を演じるのが万里昌代。なまめかしい雰囲気で賭場の男性に声をかけたかと思えば(画像①)、賭場を抜け2階の一室を観察したりと(画像②)、謎の行動をとります。そのうち警察の手入れが入るとともに、万里昌代は料亭から脱出するのですが、料亭ではチンピラの岡田(東隆明)が刺殺され、その仲間とみられる大島(未詳)も料亭の外で射殺体で発見されます。

立石班は、万里昌代の存在には気づかず捜査を行なうのですが、聞きこみ先にこっそりと現われたりと(画像③)、視聴者には神出鬼没な行動を見せます。

 

(画像①=万里昌代)

 

(画像②=万里昌代)

 

(画像③=万里昌代)

 

 

そのうち、容疑者として井上(中原功二)がクローズアップされ、恋人・清子(中千鳥)のいる仙台にむかう井上を立石班はマークします。しかし、井上を追うのは立石班だけでなく、貞吉(大原譲二)と仲間2人(中庸介、剣持伴紀)、謎の男2人組(日恵野晃、三島一夫)、さらには万里昌代と、3グループがありました。万里昌代は、仙台に着くなり井上を尾行(画像④)。貞吉と仲間2人も同様ですが、これに旅行社員と名乗る男も絡み(天野新士、画像⑤)、ストーリーは混沌としていきます

そして、立石班も仙台に到着しますが万里昌代はこれを監視しつつ(画像⑥)、井上と接触、何やら怪しげな取引を持ちかけます(画像⑦)。そこに貞吉と仲間2人が乱入、力づくで井上から「あるもの」を奪おうとしますが、万里昌代が撃退(画像⑧)、事なきを得るも、井上は万里昌代と共闘するそぶりはみせませんでした。

 

(画像④=万里昌代)

 

(画像⑤=天野新士)

 

(画像⑥=万里昌代)

 

(画像⑦=左から中原功二、万里昌代)

 

(画像⑧=万里昌代)

 

 

そして、舞台は鳴子へと移るのですが(画像⑨)、井上を追う万里昌代(画像⑩)を見つけた貞吉と仲間2人は、万里昌代を気絶させ、浴槽に放置するとともに水栓を開き溺死させようと企てます(画像⑪)。そして、清子を拉致した貞吉と仲間2人は、井上に再度「あるもの」を要求、そこに謎の男2人組も現われ、果たして事件の結末はどうなるのか? 立石班はどのように動くのか? 万里昌代の運命は? 果たして万里昌代の正体は何者だったのか? これらを見どころとして、ストーリーはクライマックスへと進んでいきます。

当作のストーリーは、ひとつの動きが別の動きを誘発させるアクション篇であり、後年の傑作#562 真夏の逃亡者(本放送・1972年8月9日、脚本・横山保朗、監督・田中秀夫)を思い起こす出来であります。ただ、#562 真夏の逃亡者を超える出来かといわれれば、物足りなさがあるため?がつくのは否めませんが、当作の面白さに万里昌代の存在感が貢献したのは間違いなく、数々の場面でのアクション場面は新東宝時代の「暴力五人娘」(1959年)を思い出し、ストーリー構成も、後年の「プレイガール」(1969年4月6日~1976年3月29日)に影響を与えたともみえます。

 

(画像⑨=万里昌代)

 

(画像⑩=万里昌代)

 

(画像⑪=万里昌代)

 

 

 

また、万里昌代は、特別機動捜査隊・女優篇(2)高野ひろみ(高野ひろ美)で触れた高野ひろみと同様に、畑野刑事(宗方勝巳)との絡みが印象深い女優さんでもあります。数は少ないですが、#546 四匹の牝猫での60年代フランスギャング映画を思い起こすコケティッシュな役柄(画像⑫)、特捜隊最終出演回となる #693 情熱の海でのミステリアスな役柄(画像⑬、画像⑭)など、初見時は驚いて映像に見入ったものです。

 

(画像⑫=左から宗方勝巳、万里昌代)

 

(画像⑬=左から万里昌代、宗方勝巳)

 

(画像⑭=左から万里昌代、宗方勝巳)

 

 

 

しかし、それらよりもっと印象に残ったのは、シリアス路線とでもいうべき#564 男がつぶやく 子守唄で、キャバレーホステスの由美子という役柄を演じたことです。なお当作では、特別機動捜査隊・女優篇(5)夏海千佳子(夏海かず子、可能かず子)で触れた夏海千佳子と共演しており、#546 四匹の牝猫でも共演しています。

キャバレー池袋ハワイでの、歌手・夏子(白川奈美)の歌が流れるなか(画像⑮)、それを見つめる接客中の万里昌代(画像⑯)、離れた席では弘子(夏海千佳子)が笑いながら接客しています(画像⑰)。そんな中、店を訪れた田畑(梅津栄)は1枚の写真(画像⑱)を握りしめながら、店内の1点を見つめていました(画像⑲)。

 

(画像⑮=白川奈美)

 

(画像⑯=万里昌代)

 

(画像⑰=夏海千佳子)

 

(画像⑱=左から佐々木功、夏海千佳子、川島尊志、未詳)

 

(画像⑲=梅津栄)

 

 

事件は翌日、万里昌代が接客していた奥田(井上博一)が殺害され、死体が公園で発見されたことから始まります。三船班は、トルコ嬢・晴美(三好美智子)と恋人・進(堀部隆一)とが駆け落ちしようとしていたこと(画像⑳)に、奥田が関係していたことを見い出します。

さらに、奥田が万里昌代に求婚していたことにも着目、アパートに聞きこみに訪れますが、万里昌代は本気で言っているのかわからない男の小言と割り切り、相手にもしたくないようでした(画像㉑)。そこに、大家が万里昌代に電話の取次ぎに現われると急ぎの内容だったのか、聞きこみを切り上げ都下へ出かけます(画像㉒)。これを三船班は尾行するのですが、行先は親類宅で、どうやら預けていた我が子を親類が勝手に養子に出したことで、万里昌代が驚きと非難の表情になります(画像㉓)。しかし、親類にも事情があるから致し方無しと、無理に納得しようとしてもなかなか割り切れるものではありません(画像㉔)・・・。

 

(画像⑳=左から三好美智子、堀部隆一)

 

(画像㉑=万里昌代)

 

(画像㉒=万里昌代)

 

(画像㉓=左から未詳、万里昌代)

 

(画像㉔=万里昌代)

 

 

東京に戻った万里昌代は、食堂に夏子を誘い、酒を飲んで管を巻いています(画像㉕)が、これを石原刑事(吉田豊明)、白石刑事(白石鈴雄)が張っています。そして、夏子が用事のため席を外すと、食堂の客・寺内(佐々木功)が寄ってきて(画像㉖)、互いに酒を飲みながら話し出します。寺内は季節労働者、どうやら万里昌代と同じような境遇で、すっかり2人は意気投合しています。その後、食堂には田畑がたまたま食事に訪れますが、2人に気づくと監視体制、寺内がひとり席を立ち外へ出ていくと追跡に移ります。しかし、これを見ていた石原刑事は、田畑が無銭飲食したと見なし、これまた追跡することになりました。

 

(画像㉕=左から白川奈美、万里昌代)

 

(画像㉖=左から佐々木功、万里昌代)

 

 

どうやら、寺内と弘子は夫婦で、幼な子の一郎(川島尊志)を巡り、いろいろとあったようで、これを万里昌代は弘子に確認しますが、歯牙にもかけない素振りをとられます(画像㉗)。しかし、子を持つ親として、同じ境遇の2人を何とか結びつけたいと考える万里昌代は、寺内にお守りを渡したり(画像㉘)、2人きりで弘子と会い説得したり(画像㉙)と奔走します。果たして、寺内と弘子は和解できるのか? 一郎と再会できるのか? そして万里昌代の心境はいかに・・・、というところを見どころに、奥田殺害事件の真相も併せ、感動的なラストへと続いていきます。

当作は、謎解き、アクションとは異なり、しっとりと親と子の心情をつづるシリアスドラマといってもよく、三船主任(青木義朗)も「動」よりも「静(あるいは情)」の部分を主体としています。そして、「女」の在り方について、万里昌代、夏海千佳子、三好美智子、山口千枝、白川奈美の女優陣の役割分担も良く、特に、万里昌代を引き立てる夏海千佳子の存在感もプラスになっています。ストーリー自体は、辻褄の合わないところも見受けられるのですが、感情的には、佳作以上の部類に入っても良いようにも思えます。

 

(画像㉗=左から白川奈美、万里昌代、夏海千佳子)

 

(画像㉘=左から万里昌代、佐々木功)

 

(画像㉙=左から夏海千佳子、万里昌代)

 

 

 

以上、いろいろと述べてきましたが、硬軟とも演じられる貴重な女優のひとりが万里昌代と確信できるものです。特に、自分は新東宝時代の作品群をDVD・ビデオ・テレビ・映画と観ていたため、懐かしさとともに「女優・万里昌代」を再確認できたのは大きい。そして、新東宝時代の共演女優・三原葉子が、#800 あゝ夫婦 (三船班最終話)(本放送・1977年3月23日、脚本・西沢治、監督・天野利彦)で往年とは異なる姿で登場したのを観るにつけ、万里昌代の往年とさほど変わらない姿での登場は、幻想が崩れることも無く嬉しくもありました。

しかし、その後の万里昌代の消息は、社団法人映像コンテンツ権利処理機構に、

>「七瀬ふたたび」(1979/08/06~1979/08/18)に出演された万里昌代様を

>さがしています

と2012年6月23日掲載されたこともあり、wikiでは

>1970年代半ばは故郷の横浜で餃子店を経営していた。

>1980年代以降の動静は不明である。

と記されるのみにとどまっています。

おそらくは、特捜隊最終出演回 #693 情熱の海の後は女優業の第一線を退き、餃子店経営を軸として、強いオファーがあったときのみ特別出演として映像に顔を出す程度にとどめていたというのが、wikiの趣旨だろうと考えられます。

ただ、wikiでは、従前、

>万里 昌代(ばんり まさよ、本名:英 昌代、1937年3月29日 - )

とあったのが、2023年9月19日 09:41更新記事以降は、

>万里 昌代(ばんり まさよ、本名:英 昌代、1937年3月29日 - 不明)

となっていることから、何か新しい資料があったのか、単に社団法人映像コンテンツ権利処理機構から通知があったからなのか、未確定であるものの故人となられた可能性を示唆しています。

しかしながら、個人的には、これを否定するソースが出てきてほしいのと、特捜隊座談会なるものが開催されたら出てきてもらいたい女優さんのひとりであります。。。

本来ならば、特捜隊の現存作品をすべて視聴・観賞したうえで、出演された女優について書いていくべきだと思います。しかし、【スペシャルセレクションシリーズ】が発売されたことで、かつて東映chで放送された特捜隊現存作品全作をリフレイン再放送される可能性は遠のきました。

そこで不充分ながらも、【第3回再放送】【第4回再放送】【スペシャルセレクションシリーズ】を観た状態で、特別機動捜査隊・女優篇を書いていくことにしました。ただし、万が一、特捜隊現存作品全作のリフレイン再放送、新たに【スペシャルセレクションシリーズ】発売がなされたときは、それら作品視聴録を優先して、特別機動捜査隊・女優篇は一時中断することにいたしますので、その点はご了承くださいませ。

なお以下では、人物敬称略で書いていきます。

 

かつて、

特別機動捜査隊・女優篇(1)渡辺ゆかり

にて、ご本人様にインタビューしたことはあるものの、これはあくまでも例外であり、おそらく自分自身の主観が中心となった原稿になると思いますので、その点も、ご了承のほどお願いいたします。

 

 

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今回取り上げる女優さんは、

◎ 夏海千佳子(夏海かず子、可能かず子)

になります。

 

#462 幸せになりたいでの、夏海千佳子)

 

 

自分が調べた範囲ですが、特捜隊には、欠番回の(第242回)化石のような女(本放送・1966年6月15日)に可能かず子名義で初出演。その後は、【第2回再放送】の#308 流転の旅路【スペシャルセレクション】(本放送・1967年9月20日、DVD収録回)に、夏海かず子名義で出演となりました。

そして、夏海千佳子に芸名を変え#314 アイデア 夫人の場合【スペシャルセレクション】(本放送・1967年11月1日、DVD収録回)に出演してからは同一名義で出演を続け、DVD未収録ですが、#787 ある誘惑の秘密(本放送・1976年12月22日)を最終出演回として、延べ約10年という、特捜隊での長い出演歴に終止符を打ちました。

wikiでは、夏海千佳子のその他の芸名には、可能かづ子、可能かずこ、とあるようですが、特捜隊では夏海千佳子(夏海かず子、可能かず子)の3芸名に限定しているようです(以後の表記は、夏海千佳子に統一して表記します)。ただ、自分はwikiを知らずに、夏海千佳子のことを調べたときは、単にピンク女優出身という偏った評価くらいしか見当たらなかったのですが、特捜隊を観ていくうちに「いやいや、その枠では収まらない格」を感じるようになったのです。。。

 

自分が観た夏海千佳子の特捜隊作品群は、視聴順・観賞順に以下のようになります。

なお、「※主演格」とはエンディング表記でトップ表記されていることを指します(註・トップ表記が複数列のときは、一番上のこと)。

 

 

 

①【第3回再放送】

東映ch=2015年4月2日~2017年2月16日

 

(1) #462 幸せになりたい ※主演格

(本放送・1970年9月9日、脚本・元持栄美、監督・龍伸之介、立石班)

(2) #468 大砂丘

(本放送・1970年10月21日、脚本・小山内美江子、監督・田中秀夫、立石班)

(3) #518  わが道を行く【スペシャルセレクション】※満十周年記念番組

(本放送・1971年10月6日、脚本・西沢治、監督・松島稔、三船班)

(4) #546 四匹の牝猫

(本放送・1972年4月19日、脚本・島津昇弌、監督・伊賀山正光、三船班)

(5) #564 男がつぶやく 子守唄

(本放送・1972年8月23日、脚本・元持栄美、上岡由呼、監督・中村経美、三船班)

(6) #595 人間標的 ※主演格

(本放送・1973年3月28日、脚本・小川記正、監督・中村経美、高倉班)

(7) #622 刑事対検事

(本放送・1973年10月3日、脚本・西沢治、監督・吉川一義、三船班)

(8) #648 白い死の手錠

(本放送・1974年4月3日、脚本・元持栄美、監督・田中秀夫、三船班)

 

 

②【第4回再放送】

東映ch=2019年3月14日~2020年8月20日

 

(9) #665 伯耆大山の詩(ウタ)

(本放送・1974年7月31日、脚本・横山保朗、監督・山崎大助、三船班)

(10) #689 復讐の構図

(本放送・1975年1月22日、脚本・佐々木武観、監督・山崎大助、三船班)

(11) #694 ある絶望の女

(本放送・1975年2月26日、脚本・佐々木武観、監督・山崎大助、三船班)

(12) #772 妻と愛人の メロディー【スペシャルセレクション】

(本放送・1976年9月8日、脚本・元持栄美、監督・中村経美、日高班)

(13) #778 天使の乳房に泣く

(本放送・1976年10月20日、脚本・元持栄美、柳節也、監督・鈴木敏郎、三船班)

(14) #787 ある誘惑の秘密

(本放送・1976年12月22日、脚本・横山保朗、監督・天野利彦、日高班)

 

 

③【スペシャルセレクションシリーズ】

DVD観賞=2020年12月13日~2025年7月27日のブログ更新年月日

 

(15) #308 流転の旅路【スペシャルセレクション】 「夏海かず子名義」

(本放送・1967年9月20日、脚本・小川記正、監督・奥中惇夫、立石班)

(16) #314 アイデア 夫人の場合【スペシャルセレクション】

(本放送・1967年11月1日、脚本・西沢治、監督・北村秀敏、立石班)

(17) #318 怪奇の家【スペシャルセレクション】 ※主演格

(本放送・1967年11月29日、脚本・小川記正、監督・中村経美、立石班)

(18) #336 春の亀裂【スペシャルセレクション】

(本放送・1968年4月3日、脚本・村田武雄、監督・天野利彦、立石班)

(19) #344 光る愛の海【スペシャルセレクション】

(本放送・1968年5月29日、脚本・大和久守正、監督・中村経美、立石班)

(20) #365 高原に消えた女【スペシャルセレクション】

(本放送・1968年10月23日、脚本・横山保朗、監督・天野利彦、立石班)

 

 

④ 未収録回・欠番回のため未見

 

(21) (第242回)化石のような女 「可能かず子名義」欠番回

(本放送・1966年6月15日、脚本・重宗和伸、監督・今村農夫也、立石班)

(22) (第368回)武蔵野心中 DVD未収録回 

(本放送・1968年11月13日、脚本・小川記正、監督・北村秀敏、藤島班)

(23) (第394回)芸者とホステスと団地夫人 DVD未収録回 

(本放送・1969年5月14日、脚本・元持栄美、監督・奥中惇夫、藤島班)

(24) (第420回)女囚 DVD未収録回 

(本放送・1969年11月19日、脚本・五条勢津子、寺森満、監督・奥中惇夫、立石班)

(25)(第430回)明日からはひとり DVD未収録回 

(本放送・1970年1月28日、脚本・横山保朗、監督・龍伸之介、立石班+藤島班)

(26) (第437回)恋の終着駅 DVD未収録回 

(本放送・1970年3月18日、脚本・西沢治、監督・天野利彦、立石班+藤島班)

(27) (第449回)俺たちは流れ星同志 DVD未収録回 ※主演格 

(本放送・1970年6月10日、脚本・樋口静生、五条勢都子、監督・天野利彦、藤島班)

 

 

 

自分自身は、前回の「田村奈巳篇」で触れたことと同様、夏海千佳子を知ったのが特捜隊が初めてであり、その初回でもある#462 幸せになりたいでの新鮮なイメージが強烈に残っています。当作の初視聴が2015年5月7日であり、その時点でwikiに項目が立てられていたとは気づかず(註・立てられたのは2014年4月29日 01:33)、まったく先入観が無い視聴でありました。

夏海千佳子は1943年2月28日生まれ、当作本放送は1970年9月9日でしたから27歳の時の出演になります。

なお題名については、検証本、リスト特捜隊、さらに東映chでのHP放送回表記にも、なぜか「倖せになりたい」にしていたのですがまったくの誤りであり、本篇映像どおり、「幸せになりたい」が正しいのは実見の通りです(画像①)。

 

(画像①)

 

 

当作は、鳥取ロケ(#468 大砂丘との2本撮り)を上手く生かした龍伸之介監督の傑作でもありますが、ゲスト出演者が多いのも特徴です。ストーリーの流れは、【補足】#462 幸せになりたいに詳しいのでご参照ください。

かつて触れたように、

>ある二人の友人同士から派生して、更なる人間関係が複雑に絡み合い

>殺人事件が発生する

ストーリーですが、その二人というのが、西田俊夫(田中淑隆)、田辺良一(松原まもる)になり、俊夫側にいるのが倉木令子を演じた夏海千佳子(画像②)になります。また、良一側にいるのが、小寺信子(光岡雅子、画像③)、信子の姉の歌手・なおみ(美笹ゆき子、画像④)、なおみのマネージャー(白石奈緒美、画像⑤)、良一の勤める料亭・花笠の娘・夏余(坂倉春江、画像⑥)、花笠の仲居・お春(島田潤子・画像⑦)となりますが、男性陣まで含めると多すぎるのでここまでにします。

 

(画像②=夏海千佳子)

 

(画像③=光岡雅子)

 

(画像④=美笹ゆき子)

 

(画像⑤=白石奈緒美)

 

(画像⑥=坂倉春江)

 

(画像⑦=島田潤子)

 

 

 

ストーリーは、ハワイ御招待企画にかこつけ若い女性を食い物にしている池丸商事・代表・池永五郎(小笠原弘)が殺害され、その疑いが俊夫、良一にかかり、舞台は良一の故郷(鳥取県、三朝温泉)に移り、立石班が真相を追及していくというものです。夏海千佳子の登場は、ストーリーが中盤に進んだ約20分過ぎ、俊夫の文通相手で、斉木旅館のご令嬢・倉本令子として登場、俊夫と初対面ということもあり初々しさ一杯に溢れた表情です(画像⑧)。三朝橋を渡ったり(画像⑨)、三徳山を歩いたり(画像⑩)、あるいは海沿い(日本海)にまで足を延ばしたりと(画像⑪)、2人は幸せいっぱいの恋人同士に見えました。

 

(画像⑧=夏海千佳子)

 

(画像⑨=左から田中淑隆、夏海千佳子)

 

(画像⑩=左から田中淑隆、夏海千佳子)

 

(画像⑪=左から田中淑隆、夏海千佳子)

 

 

しかし、三朝温泉に良一が現われ、俊夫が恋人として紹介すると(画像⑫)、夏海千佳子の表情はみるみるうちに曇り始めていくのです(画像⑬)。

 

(画像⑫=左から松原まもる、田中淑隆)

 

(画像⑬=夏海千佳子)

 

 

上記の流れは、【補足】#462 幸せになりたいに書いた概略の次の場面となります。

なぜ夏海千佳子の顔色が変わったのか?

なぜ良一が三朝温泉に現われたのか?

この場面の裏では、俊夫のかつての旧友たち、南(塚田正明)、浅田(隼義夫)、富沢(西村俊良)が動いているのですが、果たして池永殺害事件の真相は?

など興味津々に映像に魅かれていく作品です。

その中でも、夏海千佳子が「不幸→幸せ→不幸」と流転していく様は、特に、ラスト近くの表情(画像⑭)に代表されており、本人の演技力も相まって、当作を傑作足らしめる要因となっています。龍伸之介監督が、その後、夏海千佳子を用いていないのが疑問ではありますが、「一作入魂」ということであればわからなくはありません。

 

(画像⑭=夏海千佳子)

 

かつて田中絹代が「武蔵野夫人」に出演の際だったか、溝口健二監督に、「君を最も美しく撮ってあげよう」と言われたように、龍伸之介監督も、その気概で、「流転の女性」「主演・夏海千佳子」として、当作を撮り上げたのかもしれません。そして、何よりも、当作をもって、自分が夏海千佳子に注目したという事実は変わりません。

 

 

 

ところが、その後の本放送順の出演回では、#462 幸せになりたいでの扱いがウソのような助演回が目立ちます。エンディングでトップ表記(主演格)となったのは、唯一#595 人間標的しかありませんでした。ただ、夏海千佳子がトップにあっても、このストーリーは男性アクション系ドラマの要素が濃厚で、富田仲次郎、江見俊太郎、天野新士、守屋俊志らに見せ場を持っていかれた感が強いのです。

その#595 人間標的での夏海千佳子は、金粉ショーの楽屋で、金粉を落としたすっぴん顔で登場(画像⑮)。夏海千佳子は踊り子の「妹・ローズ」の役で、「姉・アリサ」の代役でステージに立っていたのですが(一人二役)、アリサの行方はわからないと高倉班の聞きこみに答えます(画像⑯)。しかし、アリサはマネキン工場倉庫で金粉まみれで亡くなっており(画像⑰)、搬送され検死の結果、射殺されたと判明(画像⑱)、立ち会ったローズこと夏海千佳子は驚きの表情となります(画像⑲)。ここで、アリサとローズは異父姉妹であること、アリサは実父が亡くなる前に、その豪邸に呼ばれて話し合いの場を持ったこと(画像⑳)が明らかになります。

 

(画像⑮=手前左から夏海千佳子、逗子とんぼ、後ろ左から里見浩太朗、早川雄三、天野新士)

 

(画像⑯=夏海千佳子)

 

(画像⑰=夏海千佳子)

 

(画像⑱=夏海千佳子)

 

(画像⑲=夏海千佳子)

 

(画像⑳=左から夏海千佳子、富田仲次郎)

 

 

そして、夏海千佳子はこれからどのような役割を果たすのかというと、ラスト、題名の「人間標的」の舞台となる野原まで未登場であり、とても「主演格」とは言い切れない扱いでありました。作品自体は小川記正脚本ということもあり面白かったのですが、ジャッロの影響を受けているゆえに、#318 怪奇の家【スペシャルセレクション】に続いての抜擢と見えつつも、何か刺身のツマのような印象であり、#462 幸せになりたいでの好演はもう無いのかと思うほどでした。

 

 

 

しかし、主演格は藤本三重子に譲ったものの、夏海千佳子は#622 刑事対検事にてこれまでの悪い流れを断ち切るような復活劇を見せます。当作は、#550 ある異常人間(本放送・1972年5月17日、脚本・小川記正、監督・吉川一義)での、警視庁と検察庁との対決というか連携に興趣を見い出した吉川一義監督が、西沢治に脚本構成を任せたような感じの作品で、それだけでも面白い作品です。

ストーリーを簡単にいえば、田代錦一(高島稔)の殺害事件を巡り、妻・直美(夏海千佳子)が検察送検となりますが、愛人・竜子(藤本三重子)、竜子の勤務先美容室マダム・花代(加藤和恵)、田代の叔父・木島(藤山竜一)の証言により二転三転、三船班は捜査の問題点を片桐検事(西沢利明)から指摘されるに及び、題名の「刑事隊検察」がクローズアップされる内容であります。

 

冒頭、三船主任(青木義朗)、石原刑事(吉田豊明)が夏海千佳子を検察庁に連れてきたところ、竜子が待ち構え罵倒するところから始まります(画像㉑)。その後、引き渡しは完了、担当検事の片桐は改めて聞き取りをするのですが(画像㉒)、夏海千佳子は三船班の取り調べのときとは態度を一変(画像㉓)。犯行と同時刻には、竜子と会っていたとアリバイを主張します(画像㉔、画像㉕)。不仲の竜子が、自分と会ったと言うわけがなく、このことを話しても三船班が信じるわけもないと考え、今まで黙っていたということでした。

この状況に、片桐は三船班に捜査の洗い直しを依頼、自らも竜子、花代に尋問を行ない、新たな証言をもって三船主任と個別の話し合いの場を持ちます(画像㉖)。

 

(画像㉑=左から藤本三重子、吉田豊明、夏海千佳子、青木義朗)

 

(画像㉒=左が西沢利明、後ろ向きが夏海千佳子)

 

(画像㉓=夏海千佳子)

 

(画像㉔=夏海千佳子)

 

(画像㉕=藤本三重子)

 


(画像㉖=左から青木義朗、西沢利明)

 

 

そして、夏海千佳子、竜子どちらが嘘をついているのか? という疑問が出てくるのですが、三船主任の推理映像(画像㉗)、「傷による出血か、返り血なのか」想像をかきたてる回想映像(画像㉘)もあり、どちらが事件のキーパーソンなのか!? 視聴する側は吉川一義演出の掌で踊らされているように感じます。

その演出は、「もし、夏海千佳子、竜子、花代とも正しいことを言っていたら?」という思考から、容疑者は、夏海千佳子、竜子のほかにも花代、木島(画像㉙)にまで広がる要素も含まれています。この点でも、吉川一義監督の会心作ともいえます。

さて、その後、夏海千佳子は検察庁から釈放されるのですが、三船班は、必ず他の容疑者と顔を合わせるに違いないとマークを続けます。当の夏海千佳子は、(三船班の知らない場面描写とはいえ)自宅に戻ると、田代の死体が発見された応接間で一点を見つめる表情をするのですが(画像㉚)、自室に戻ろうと自宅内エレベーターに乗り扉が閉まろうとしたとき、これまた異様な笑みを見せるのです(画像㉛)。

これを知らない三船班は、夏海千佳子の外出を、いよいよ動き出したと尾行、公園で竜子と落ち合う姿を見て、「すわ共犯か!?」と目を凝らすのですが、何と不仲の2人は、お互いに「犯人のくせして!」と言い合い、キャットファィトを繰り広げることになりました(画像㉜)。これに、2人の共犯の目は無くなったと傷心の三船班ですが、ただひとり三船主任だけは、結果がどうあろうと真相究明を諦めないのでした。

 

(画像㉗=左から夏海千佳子、高島稔)

 

(画像㉘=左から加藤和恵、藤本三重子)

 

(画像㉙=藤山竜一)

 

(画像㉚=夏海千佳子)

 

(画像㉛=夏海千佳子)

 

(画像㉜=左から藤本三重子、夏海千佳子)

 

 

当作は、「刑事隊検事」と呼応するように、「正妻対愛人」のドラマでもあり、刑事ドラマ、人間ドラマのバランスが程よく取れた秀作であります。これには、西沢治脚本、吉川一義監督の功績もさながら、ゲスト出演トップの藤本三重子と五分の存在感を魅せた夏海千佳子にあることは間違いありません。#462 幸せになりたいとはイメージの異なる役柄ですが、180度違う役柄を演じ、それが印象強く残るのですから、女優冥利につきる作品だったのではと思います。

その後の夏海千佳子は、またもや能力発揮とはいえない役柄が続きましたが、特捜隊終焉に近づく #772 妻と愛人の メロディー【スペシャルセレクション】にて、当作での藤本三重子と役柄を入れ替えたようなキャスティングで、精神的に脆い役柄の似合う桜井浩子と、これまた五分の存在感を魅せてくれました。この作品は、DVD収録されているので、夏海千佳子の本領を知るにはラッキーともいえましょう。

ただ、特捜隊最終出演回の#787 ある誘惑の秘密では、村田知栄子のオーバーアクト、小野ヤスシの場違いな印象に飲まれてしまったのは残念なところです。。。

 

 

 

そして、新情報としては、2022年頃に過去の新聞記事(発行元、発行年月日は不明)がネット情報で公開されていましたので、以下、抜粋します。

>あるピンク女優のめざめ

>女の意地 ”新劇のタマゴ”から再出発

>冷たい”世間”に反発 

>『演技力で勝負』を決心

>ピンク女優から新劇女優へと百八十度の転換をした女優がいる。ピンク映画時代

>の芸名は可能かづ子、文学座に通う現在は夏海千佳子と改名している。二十四歳。

>ハダカヘ、ハダカへと女優がなびくこの時勢に抵抗するかのように、人生を再ス

>タートした夏海とはどんな女性か。

>夏海が文学座入りしたのはことし初め。もちろんまだ座員ではない。同座の付属

>演劇研究所の生徒、つまり新劇のタマゴだ。十八、十九の若い子たちにまじって、

>発声訓練、バレエのレッスンなど演技の初歩訓練に汗を流している。山の手育ち

>のお嬢さんや名士の二世が多い。しにせ文学座の生徒の中で、彼女はまさに異色

>の存在。だが「異質さは全然意識しません。年齢的ハンディも気にしない」とい

>たって前向き。

>夏海がピンク映画をやめたのは二年前。若松孝二監督作品でベルリン映画祭に

>出品されて話題になった「壁の中の秘事」を代表作として二十本近いピンク映画

>の主役に収まり、もっぱら学生などインテリ層に人気があったが「いつまでも脱

>いでばかりいてはしかたないと思った」のでピンクを廃業した。とたんに仕事に

>あぶれ、二年間食うや食わずの生活だった。「ピンク時代にあるていど芸能界に

>カオはあったし、まともな映画の口はかかるだろう」とじっとがまんした。だが

>結局、口はかからずじまい。四年前大分県から上京した夏海は東京にがんばって

>大学へ通う弟の学費もかせがなくてはならなかった。しかたなしにモデルの仕事

>をポツポツやったが、バーつとめには抵抗を感じてしなかった。下宿のおばさん

>の親切と弟(註・以下は、未画像のため不明)

上記は、おそらく、1967年頃の新聞記事だと思います。拙稿の出演作系譜をみるにつけ、「口はかからずじまい」と言っていても、可能かず子時代に(21)(第242回)化石のような女で出演してもらった中井義プロデューサーが、その翌年、文学座研究所にて新劇の道を歩もうとした夏海千佳子を男気に感じ、「夏海かず子」「夏海千佳子」として出演を続けてもらったのでは、とつい考えます。そして、時間はかかったとはいえ、特捜隊では、(1) #462 幸せになりたい、(7) #622 刑事対検事、(12) #772 妻と愛人の メロディー【スペシャルセレクション】を代表作として残せたのではないか・・・?

もし、東映chが、特捜隊座談会なるものを企画したら、出演してもらいたい女優さんのひとりでもあります。

 

 

その夏海千佳子は、かつてX(旧ツイッター)で「すでに女優を引退、現在は海外で暮らしている」との情報が、「シン・ゴジラ」に出演した原一男監督と夏海千佳子の娘さんとのやりとりが見受けられました。個人的には、特捜隊の後継番組、特捜最前線をはじめ、刑事ドラマでの出演をずっと続けてほしかったなあという思いがありますが、女優業引退されたということだけでもわかれば幸いです。特捜隊には、その後がわからない女優さんも多々いるのですから。。。

 

また、夏海千佳子は、wikiによるとデビューが1964年の映画・0歳の女で、藤本三重子は、YouTubeの動画詳細によると「デビューは三十九年に同期の二宮ゆき子、大月みやことともにキング三人娘として売り出されました」とあるので、ほぼ同時期に芸能界に入ったと思われます。撮影中、この2人が何か言葉を交わしたのか、これまた興味のあるところです。

藤本三重子は、特捜隊最終出演回の#796 夕陽の波止場(本放送・1977年2月24日、脚本・佐々木武観、監督・伊賀山正光)以降は、映画・ドラマ出演作は見当たらず、女優業より本業の歌手を優先したようです。拙稿を書いている最中も、「10月に開かれる日本歌手協会主催の歌謡祭出演歌手が決定 豪華な面々約130組が出演」(サンスポ、2025/08/22 20:38)記事にて、「第52回歌謡祭」の10月17日昼の部に出演と、まだまだ現役続行中です。藤本三重子については改めて書く機会があるとは思いますが、特捜隊でその存在を知った立場からは、小林幸子と並び、女優業の道にも進んでほしかった歌手のひとりであります。

本来ならば、特捜隊の現存作品をすべて視聴・観賞したうえで、出演された女優について書いていくべきだと思います。しかし、【スペシャルセレクションシリーズ】が発売されたことで、かつて東映chで放送された特捜隊現存作品全作をリフレイン再放送される可能性は遠のきました。

そこで不充分ながらも、【第3回再放送】【第4回再放送】【スペシャルセレクションシリーズ】を観た状態で、特別機動捜査隊・女優篇を書いていくことにしました。ただし、万が一、特捜隊現存作品全作のリフレイン再放送、新たに【スペシャルセレクションシリーズ】発売がなされたときは、それら作品視聴録を優先して、特別機動捜査隊・女優篇は一時中断することにいたしますので、その点はご了承くださいませ。

なお以下では、人物敬称略で書いていきます。

 

かつて、

特別機動捜査隊・女優篇(1)渡辺ゆかり

にて、ご本人様にインタビューしたことはあるものの、これはあくまでも例外であり、おそらく自分自身の主観が中心となった原稿になると思いますので、その点も、ご了承のほどお願いいたします。

 

 

**************************************

 

今回取り上げる女優さんは、

◎ 田村奈巳

になります。

 

#498 女の縮図での、田村奈巳)

 

 

田村奈巳はwikiの田村奈巳項目が設けられたり、YouTubeで桜井浩子(この方も、特捜隊への出演が多い女優さんです)が開設したチャンネル「ROCO TALK」にゲスト出演していたりとかで著名ですので、ご存じの方もいらっしゃると思います。

「ROCO TALK」には、ウルトラシリーズ(ウルトラQ、ウルトラマン、ウルトラセブン、怪奇大作戦)へゲスト出演した繋がりで呼ばれたようですが、その他にも西恵子(この方も特捜隊へのゲスト出演歴あり)もウルトラマンA(エース)のレギュラー(1972年4月7日-1973年3月30日)つながりで呼ばれています。まあ自分には、特捜隊つながりで、桜井浩子・田村奈巳・西恵子が揃ったとも見えるのですが(笑)。。。

また、かつて【1975年】(1)特捜隊の収録回・未収録回・欠番回の「#692 青い炎の踊り子」項目でも触れましたが、田村奈巳は映画「緑はるかに」(日活、1955年)のオーディションに、ラスト選考まで残ったこともありました(優勝は、浅丘ルリ子)。その時のメンバーの数人が、後年、特捜隊に出演した山東昭子・榊ひろみ・滝瑛子というのも、面白い符号です。

 

しかし、田村奈巳の特捜隊ゲスト出演回は、自分が調べた限り、わずか2回にとどまります。

 

 

①【第3回再放送】

東映ch=2015年4月2日~2017年2月16日

 

(1) #490 春雷の女

(本放送・1971年3月24日、脚本・佐々木武観、監督・伊賀山正光、立石班)

(2) #498 女の縮図 (立石班最終話)

(本放送・1971年5月19日、脚本・元持栄美、監督・龍伸之介、立石班)

 

 

②【第4回再放送】

東映ch=2019年3月14日~2020年8月20日

出演回は無し

 

 

③【スペシャルセレクションシリーズ】

DVD観賞=2020年12月13日~2025年7月27日のブログ更新年月日

出演回は無し

 

 

④ 未収録回・欠番回のため未見

出演回は無し

 

 

自分自身は、田村奈巳を知ったのが特捜隊が初めてで、出演回が少ないながらも印象に残る女優さんだなと感じました。2作とも「薄幸の女」がピッタリな役柄で、特に、(2) #498 女の縮図 は立石班最終話ということもあり、初視聴して10年以上経つというのに、いまだに脳裏に焼きついています。。。

 

 

 

さて、特捜隊初出演回の(1) #490 春雷の女は、

>関係者を1か所に集めての尋問からの解決劇で、回想をうまく交えながらの展開

と評価したのですが、後年指摘した、佐々木武観脚本の特徴である「前半飛ばしの、後半バタバタ」が目立つため、何かモヤっとした作品の印象が強いのです。

一軒家で各部屋を各人に賃貸する、「あけぼの荘」の庭先で事件が発生、被害者は住人の樋口きん(日高ゆりえ)。立石班は、当主・高村亮介(小山源喜)と息子の嫁・保子(田村奈巳)のほか、住人の、きんの孫・さよ(本多洋子)、トラック運転手の安田たつお(黒部進)と中西せいじ(杉山元)、学生・後藤ひろし(田中淑隆)、キャバレー歌手・森本茂子(藤本三重子)に尋問を行なうのですが、住人の喫茶店勤務・岩井春美(中千鳥)の姿だけが見当たりません。そこに、突然天候が崩れ、各人はあけぼの荘から出られない状態になるのですが、これに立石班はどうやって事件を追及していくのかが、ストーリーの概略です。

 

ここでの田村奈巳は、常に暗い表情。。。顔をあげてもどこを見ているのか、何に怯えているのか、瞳が大きいだけに観ている側も、その瞳に引き込まれそうになります(画像①、画像②)。さらに、顔は伏せ気味で笑顔は無く(画像③)、唯一、さよと話し込んでいるときに笑みをこぼすだけなのです(画像④)。

 

(画像①=田村奈巳)

 

(画像②=田村奈巳)

 

(画像③=田村奈巳)

 

(画像④=左から本多洋子、田村奈巳)

 

 

そして、この傾向は嵐の中、各人があけぼの荘に閉じ込められた時(画像⑤)も同様で、落雷のときも心ここにあらずの雰囲気は変わりません(画像⑥)。この状態で、立石班はどのように事件解決に向かうのか? となるのですが、ここからが終了まで時間が少ないのが本当に残念であります。。。

 

 (画像⑤ = わかりにくいですが、左から杉山元、黒部進、藤本三重子、田中淑隆、田村奈巳、本多洋子、小山源喜)

 

(画像⑥=田村奈巳)

 

 

なお、この作品には、特捜隊常連女優でもある本多洋子、藤本三重子も出演しているのですが、画像不良その他の理由もあり、今回はアップ写真を省いているため、後日の機会をお待ちください。その代わり、キーパーソンともなる春美を演じた中千鳥を挙げますが(画像⑦)、後年「本多さち子」と芸名を変更したくらいしか把握できない女優さんであります。この女優さんも、#541 光と影のブルースという好作品に出演しているので、いずれ女優篇で挙げるかもしれません。

 

(画像⑦=中千鳥)

 

 

まとめると(1)での田村奈巳は、前述したような「薄幸な女」を上手く演じたといえ、「奔放に生きる女」の茂子とは対照的で、それは落雷のときの両者の表情からも明らかであります。これは、題名の「春雷の女」とは両者のうちどちらを指すのか? と問いかけられているようで、「対比」という点からも構成は出来ているため、前述したように「時間の壁」が秀作まで至らない出来になったようでもありました。

 

 

 

そして、特捜隊最終出演回となるのが(2) #498 女の縮図 (立石班最終話)で、便宜上、題名に付加していますが、立石班最終話となります。

1961年10月11日、#001 最後の犯人(ホシ)を追え【スペシャルセレクション】にて、立石主任(波島進)率いる立石班が登場してから、満10年になろうとしているときの最終話。その経緯は、推察ではありますが【閑話休題】立石班・三船班・高倉班の三班体制構想で述べた通りで、その終焉の当作が、田村奈巳自身の特捜隊最終出演回ともなるのは、何か不思議な縁を感じます。

加えて、当作を有終の美とさせたかったのか、豪華(?)女優陣を揃えているのも特徴でもあります。田村奈巳(大谷敏江役、画像⑧)のほか、久慈あさみ(榊原安代役、画像⑨)、西恵子(榊原明子役、画像⑩)、水木梨恵(晴美役、画像⑪)、青木美香(司会者役、画像⑫)、大原百代(絹役、画像⑬)、橘公子(律子役、画像⑭)、さらには松川純子(註・本人の姪御さんのブログ内容趣旨から画像省略)まで登場と、今にして思えば、脚本・元持栄美、監督・龍伸之介のゴールデンコンビに撮らせたことと併せ、立石主任(波島進)だけでなく、苦楽を共にした橘部長刑事(南川直)への労い(ねぎらい)にも思えます。

 

(画像⑧=田村奈巳)

 

(画像⑨=久慈あさみ)

 

(画像⑩=西恵子)

 

(画像⑪=水木梨恵)

 

(画像⑫=青木美香)

 

(画像⑬=左から西恵子、大原百代)

 

(画像⑭=橘公子)

 

 

事件は、道路脇で発見された後頭部打撲の死亡死体(浅見比呂志)を巡って、複数の女性をメインに展開。特に、女性の地位向上を謳いウーマンリブの先鞭ともいえる評論家の安代、相手の立場を思いやり自己犠牲の道を選ぶ田村奈巳、この対照的な2人を中心に描かれるのですが、劇中では両者が顔を合わせることは有りません。むしろ、両者の周辺にいる男性&女性を描くことで、両者の現状、これからの人生、これらに視聴者はどう思いを抱くのかをねらいにした作品です。

刑事ドラマとしてはやや甘いところはありますが、その不足分を人間ドラマが包み込む形となる秀作で、「巷間言われる特捜隊のイメージ」(註・事件のみ追いかけ、人間性が希薄の意)を吹き飛ばす内容であり、立石班終焉にふさわしく、龍伸之介監督にとっても会心の一打ともいえる作品でした。

 

 

田村奈巳は、先妻に先立たれた中尾成三(久松保夫)の内縁の妻で、2人にはすでに小学生の子供・新一(斉藤信也)がいるのですが、これには理由がありました。中尾は、同居する長男・孝一(大庭健二)、その嫁・京子(松川純子)、榊原忠彦(杉江廣太郎)に嫁がせた明子への気遣いから、田村奈巳を籍に入れていないのです。

ある日、田村奈巳、新一の暮らすアパート・平和荘を訪ねた中尾(画像⑮)、そこに新一を連れた明子も訪れ、外で中尾と明子だけの話し合いになります。明子は中尾の気遣いを、自分の社会的メンツを考えているだけで妻とするべき人を日陰者にしていると批判。新一の将来のことも考え、田村奈巳と結婚するよう諭し、婚姻届用紙を手渡します。

そして、そこに新一が田村奈巳と一緒に駆けつけると、明子は、新一と出かけることにして(画像⑯)思いを中尾に託します。残された2人ですが、何かを言いそうで言わない中尾に、田村奈巳も黙って見つめるだけでありました(画像⑰)。

 

(画像⑮=左から久松保夫、田村奈巳)

 

(画像⑯=左から西恵子、斉藤信也、田村奈巳)

 

(画像⑰=田村奈巳)

 

 

その後、2人はタクシーに乗って出かけるのですが、着いた先は区役所。そこには「榊原安代女子講演会」の看板が立てかけられていますが(画像⑱)、向かった先は区民課でした(画像⑲)。中尾は戸籍係の前に行き、懐から婚姻届を取り出しますが、これに田村奈巳は驚きます(画像⑳)。迷うことなく署名捺印する中尾ですが、田村奈巳にもそれを促すと、なぜか顔を引きつらせ躊躇するのです(画像㉑)。その理由を、田村奈巳が「幸せすぎて・・・」と小さな声で話すと、中尾は「長い間つらかったろう、許してくれ」と返すのですが(画像㉒)、それでも膠着状態は変わりません。

そこで、中尾が背中を押すように戸籍係のテーブルに向かわせ、署名捺印を勧めるのですが、田村奈巳は署名の途中で婚姻届を掴むように丸め、「駄目なんです、あたし・・・、もう・・・」「許して・・・」と号泣するのでした(画像㉓)。

 

(画像⑱=左から、1人置いて久松保夫、田村奈巳)

 

(画像⑲=左から、2人置いて久松保夫、1人置いて田村奈巳)

 

(画像⑳=田村奈巳)

 

(画像㉑=左から久松保夫、田村奈巳)

 

(画像㉒=左から久松保夫、田村奈巳)

 

(画像㉓=左から久松保夫、田村奈巳)

 

 

観ている側からは、この区役所には、号泣の田村奈巳のほか、講演会を行なう安代がいるわけで、事件の解決はここで行なわれるのかと考えながらの視聴であり、大きく盛り上がる構成になっています(それら詳細については、未見の方の興趣をそぐことにもなりますので省きます)。

今にして思えば、当作の久松保夫の役柄は、亭主関白路線でありながらも優しさのある男性で、初見時は知らなかった#320 女の坂道【スペシャルセレクション】での徹底的な男尊女卑思想を持つ男性(註・真相では優しさがあるように見せてはいますが、観賞者には一切伝わらないキャラでした)とは大違いです。当作の役柄は、安代にカラむ大学教授・石狩達夫を演じた沼田曜一とも対照的であり、ストーリーを構築する基礎のような存在でもあり、当作を秀作に持ち上げた要因だとも感じます。

現代の観点からは、当作で田村奈巳が演じた敏江のような考えは古臭く、ありえないと思う方が多いでしょう。ただ、相手の立場を思いやる姿勢は、パートナーがいる以上は必要であり、それは交互に持たねばならないと考えます。それゆえ、当時のウーマンリブの思想は、それなりに正論ではありますが、そこには相手を思いやる姿勢は見えにくいというのが自分の結論でした。

当作の、ゲストのトップ表記は久慈あさみではありますが、前述の点から、自分には「主演・田村奈巳」に見えて仕方がありません。

 

 

 

さて、田村奈巳は、特捜隊については上記2作のみの出演にとどまります。そもそも、映画畑の人で東宝出身ということもあるのか、NETよりもTBSやNTVのテレビドラマの出演が多かったようです。さらに、結婚のため1973-1984年は女優休業しており、特捜隊制作側もオファーをかけることも出来なかったかもしれません(註・後継番組の特捜最前線には、(第496回)魔のクリスマスプレゼント!に田村奈美名義で出演しているようですが、未見のため判断困難)。

ただ、前述したYouTubeチャンネル「ROCO TALK」では、2022年頃の姿を視聴することが出来ます。約51年前の特捜隊出演時を思い起こす着物姿で、着物が似合う方なんだなあという印象でした。動画では、28歳くらいから悪女を演じることが増えてきたと発言していましたが、少なくとも、特捜隊2作ではそういう雰囲気はなかったですね。ただ、この「ROCO TALK」」はウルトラシリーズ中心ですので、その他作品での女優の側面は若干にとどまりますが、元気な姿をみられるのはうれしいことであります。生涯役者をうたっていますので、これからもがんばってほしいです。

あとウルトラシリーズといえば、(2) #498 女の縮図 (立石班最終話)で、後年ウルトラマンAのレギュラーとなる西恵子と共演していたのは前述した通りですが、その2ショット(画像㉔)を掲げて、当稿の締めといたします。

 

(画像㉔=左から西恵子、田村奈巳)