※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また、(出演者)は、エンディングで、一列~三列で表示された男優・女優に限定しました。

1963年公開の、映画版・特別機動捜査隊全2作とは趣が異なることに注意。

 

☆・・・#653  待ちぼうけの女

 

 

(本放送)・・・1974年5月8日

(再放送)・・・2019年3月21日

(脚本)・・・村田武雄

(監督)・・・鈴木敏郎

協力)・・・無し

(協賛)・・・無し

(捜査担当・オープニング表記)・・・三船班

関根部長刑事(伊沢一郎)、田中係長(山田禅二)、水木刑事(水木襄)、

石原刑事(吉田豊明)、松木部長刑事(早川雄三)、畑野刑事(宗方勝巳)、

三船主任(青木義朗)

 

(出演者)・・・

富山真沙子、中庸介、石井宏明、橋本仙三、松原マモル、金子勝美、小磯マリ、

桐島好夫、竹村清女、八百原寿子、山田喜芳、築地博、本多洋子、小林弘二、

堀勝之祐、星美智子、田口計

 

 

(あらすじ・予告篇から)

・・・ ※当時のナレーションをそのまま聞き写しています。

 

麻薬捜査官殺害事件を内偵中の三船班は、

畑野刑事を容疑者の情婦に接近させた。

が、畑野刑事はその女に接しているうちに、

その汚(ケガ)れを知らない美しい心に、

いつしか刑事の職を忘れ、

ひとりの男としてその女を愛するようになっていた。

そして、彼は、警察官として生きるか、

ひとりの男として生きるか、苦しむのであった・・・。

そんな時、女のところに容疑者の男から連絡が入った!

次回、特捜隊、「待ちぼうけの女」に御期待ください。

 

 

(備考)・・・

 

 

 

(視聴録)・・・開始約21分まで

 

雨が降る横浜、深夜の飲食店街、不良青年・アキラ(小林弘二)は持ち金が無いこともあり、恋人の女(本多洋子?)を美人局に中年男に誘いをかける。だが、その中年男は張込んでいる関根であり、石原が駆けつけると、恋人2人は瞬く間に走り去る。

その後、ホステス・やまだ愛子(富山真沙子)を尾行中の水木と合流、バー・波止場に愛子が入店するのを見届ける。そこは、ママ(星美智子)、愛子のほかホステス2人(金子勝美、小磯マリ)のバーである。関根、石原、水木は、麻薬犯罪を捜査中の刑事・桐島文夫(石井宏明)が、望月繁(堀勝之祐)に狙撃され重体に陥ったことで、望月と懇意の愛子を監視。さらには、畑野を囮として「ノナカ」と名乗らせ愛子に接近、情報を得ようとする2段構えの捜査であった。

 

そんな中、治療の甲斐無く、桐島が殉職した知らせが入る。三船主任、関根は病院に出向き、沈痛の桐島の妻(竹村清女)、弟・卓也(松原マモル)に事情を説明する。桐島は危険を冒し、数々の麻薬取引現場を撮影、フィルムに納めていたが、狙撃時にカメラごと奪われていたのだった。そして、三船主任、関根、石原は、桐島狙撃の大元と睨む片山商事を訪れ、社員・早川(中庸介)を押しのけ社長・片山(田口計)を揺さぶるが、証拠が無いことで片山はのらりくらりと追及をかわすだけであった。

 

畑野は引き続き愛子からの情報収集で店へ、外では松木、水木が張込んでいた。そして、店内に愛子あての無言電話があるが、愛子は気に留めず畑野とアパートまで帰宅。翌日、松木、石原が愛子への聞きこむが、新情報は得られず、膠着状態に陥る。

 

一方、逃亡に疲れた望月は片山に電話をかけ金を無心、早川、社員(橋本仙三?)と線路脇で会い金を受け取る。そのとたん2人に刃物で襲いかかられるが、拳銃も有り、難を逃れる。片山からの命令であることは明らかで、受け取った金も新聞紙によるニセモノであり、望月は悔しさとともに、新たなる気持ちをいだき始める。

望月から痛い目にあった早川、社員は愛子に近づく。が、畑野の身体を張った救援に退散、その代償に畑野は左手に怪我を追う。その畑野を、愛子はかいがいしく手当てをするが、そこには畑野への湧き上がる慕情があり、畑野もまたその気持ちが痛いほどわかっていた。

 

そして、畑野は捜査報告ということで、寿司屋で休息する三船主任、関根を訪ねる。三船主任からの進捗確認に、畑野は、いくら任務でも人の心を盗むことは出来ず、別の者に代わってほしい旨を告げるのだった・・・。

 

 

畑野刑事主演譚は、【第3回再放送】でも、 #546 四匹の牝猫 、#522 想い出の女 、#623 ある夜の 出来ごと#625 生と死の詩 、とありました。その発端は脇の一刑事ながらも #466 十年目の事件(ヤマ) で、立石主任(波島進)と三船主任との間の立場で、刑事とは? 捜査とは? を学んだところからスタートしたと、自分は認識しています。特に、#623 ある夜の 出来ごと#625 生と死の詩 、は人間としての一刑事を描いたもので、前者は特捜隊のなかでも屈指の出来栄えといえる作品でした。

 

当作も、予告篇で紹介された流れのなか、任務と真情との間で悩み苦しむ畑野の姿を描くものだと考えていました。ストーリーは、開始約23分から、畑野と愛子の心の交流が切ないほどに訴えてきて、これからどうなるのかと期待を持たせるのですが、結果は、よくある刑事ドラマの定番となります。まあ、定番であるのはいいのですが、開始約29分過ぎ、特捜隊本部での三船主任、田中係長、畑野の場面が、いかにも感情の入りにくい淡々とした場面になるのはいただけません。田中係長のさりげない台詞もあるのですが、寿司屋の場面に引き続いて、「情」の部分が三船主任に見えないところが、【第3回再放送】から特捜隊を見続けている当方としては、いかにも物足らないのです。

 

特に、かつて #513 その夜の女 で、三船主任が当作での畑野と似たような境遇に陥ったとき、それを救った(?)のは畑野であり、その切ない場面がラストのダムの俯瞰シーンにつながることになったのです。脚本、監督が当作と違うとはいえ・・・。また、たぶん、自分くらいでしょうが、「予告篇にしてやられた」とも、思わずにはいられない感も湧いてしまうのです。

 

そして開始約31分過ぎ、畑野が、開始約29分以降はネクタイを締めずにいるところ、愛子が、鏡に口紅で書いた文を「×」しながらも「×」をその後に消してしまうところ・・・。僅かな2人の心の交流の情景のあと、予告篇にある、男(望月)からの連絡で急転直下の展開となります。

この展開も、望月と愛子の感情描写があるにはあるのですが、希薄に見えてしまい、愛子が態度を一変させる根拠を見出せない場面になっています。その結果、題名を思わせるようなラストについても、感情移入しにくく見えました。

と、かなりきつい書き方をしましたが、これは予告篇で自分自身が「新たな畑野刑事主演譚」と期待しすぎなところがあったからだと思います。ですので、自分のよう思い込みが無ければ、たぶん、普通の特捜隊の一作品として見れるかもしれません。

 

また、「脚本・村田武雄」というところも気になります。かつて、推測ながらも、義理人情に厚い中井義プロデューサーが脚本・村田武雄を支援するため、放送済みの脚本作品をリメイクする頻度が高かったのではと、触れたことがあります。それでいくと、当作も、かつて立石班、藤島班で放送されたリメイクかもとも考えます。

この2班は、「人間」よりも「事件」を描いた作品が多く、それならば三船主任、畑野が、今までとはキャラが異なる当作となったのも理解できるのです。さらに、監督・鈴木敏郎は、調べた限り、特別機動捜査隊(第181回)空白 の藤島班作品のあとは #590 愛の崖 まで8年間特捜隊と御無沙汰、空白期間があったのですから、与えられた脚本をそのまま、中村経美監督のように撮り上げたとも考えられます。

 

富山真沙子は #634 豊かなる不幸 以来、リアルタイムでは半年近く経ってからの登場。女の情については上手く出してはいるのですが、構成のバランスもあり、空回りしているように見えたのは残念。特捜隊には、その後も数カ月間おきに出演、調べた限りだと 特別機動捜査隊(第775回)浅草喜劇役者 まで出演をしていました。そして、特捜隊の後継番組、特捜最前線にも出演したりと幅広く活躍しましたが、1983年8月1日放送(フジテレビ)の エプロンおばさんスペシャル を最後にテレビ出演歴はありません。現在はどうしているのか、ここいらへんは不明のままです。