※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また(出演者)は、エンディングで、一列~三列で表示された男優・女優に限定しました。

 

【#513  その夜の女】

 

(本放送)1971年9月1日

(再放送)2015年11月5日

(脚本)元持栄美

(監督)伊賀山正光

(協力)無し

(協賛)無し

(捜査担当)三船班

田中係長(山田禅二)、鑑識課員(田川恒夫)、鑑識課員(西郷昭二)、

関根部長刑事(伊沢一郎)、石原刑事(吉田豊明)、白石刑事(白石鈴雄)、

畑野刑事(宗方勝巳)、水木刑事(水木襄)、三船主任(青木義朗)

 

(出演者)

久慈あさみ、田所陽子、福井友信、守屋俊志、水沢摩耶、佐藤道江、杉義一、

佐野哲也、佐伯徹、三島耕、明石潮

 

 

(あらすじ・予告篇から)

  ※前作に予告篇が無かったため、当方にて書き出しました

 

夫・宮田慶介(佐伯徹)が入院のため、妻・利恵(リエ・久慈あさみ)は料理屋で仲居として働いている。しかし、娘・牧子(田所陽子)は恋人のバーテン見習い・並川しろう(福井友信)を助けるためと金を無心する。利恵が断ると、おじ(明石潮)にまでねだる始末である。

どうやら、並川はサラ金に借金している様子だが、その岩間商会社長・岩間かんじ(三島耕)が事務所の窓から墜落、脳底骨折で即死しているのが発見された。

岩間は三船主任の学生時代の親友であり、女事務員・清水(佐藤道江)の協力もあり、西多摩療養所の領収書、事務所の外にある同階のトイレに落ちていたライター、死亡推定時刻とされる昨夜9時に並川と会う旨のメモ、などの物証を発見。さらに、日の出産業課長・中川そういち(守屋俊志)あての借用証が、紛失していることが明らかになる。

三船主任は畑野刑事と岩間の自宅、西多摩診療所を訪れるが、そこで思わぬ人物と再会することになった・・・。

 

 

(備考)

・冒頭に、

「これからお送りする作品は、本編中に一部映像の欠落がございます。あらかじめご了承下さいますようお願いいたします。 東映チャンネル」

のテロップ有り(ただし、音声は残されていた、放送後17分過ぎの場面)。

次回予告篇映像に、藤島班の作品場面有り。 

(再見したところ判別不能なので取り消すことにした)

 

 

(視聴録)

当作は、事件ものとして見れば、墜落死体の場面がアンフェアではないかとの疑問、ラストの犯人の破棄する場面は辻褄が合わないなどあります。しかし、それらは些細なものにしか見えず、人を描いた新生・特捜隊を決定づけた作品に感じました。

三船主任、畑野刑事、関根部長刑事、石原刑事、水木刑事それぞれに見せ場を与え、周辺人物の過去にまつわる皮肉な運命、そして犯人追及の伏線など、これは元持栄美の脚本がかなり練られているようです。

 

特に、三船主任は「#460 砂の墓」でも人間らしい姿を見せましたが、当作ではそれを超えるほどで、かつハードボイルドを封印した雰囲気が体全体から溢れています。俳優・青木義朗の面目躍如というところですが、特捜隊番組終了後、悪役俳優のイメージが先行して、三船主任超え、あるいは同レベルの作品に巡り合わなかったのは本当に悔しい(同心暁蘭之介の同心・鏑木は素晴らしいものの、杉良太郎の引き立て役に終わったのが残念)。

 

場面的には、療養所内である人物がつぶやくシーン。知っていて知らぬふりをするのは胆力がいるものですが、それをやってのけていたというところは物語の展開を見ていると、ふと目頭が熱くなるところであります。

 

さらに、ラストのダムのシーン。カメラがダム全体を俯瞰する形で、徐々に犯人、関根・畑野、三船主任、石原・水木・白石と引いていき、最後に特捜隊を象徴する捜査車両3台を映す出すところは圧巻。かつて、「#477 指名手配」のラストシーンを絶賛しましたが、それに匹敵するかそれ以上のシーンです。

また、そこで畑野刑事が成長した証明としての心憎いセリフなど、ベスト作品とまで言えなくとも心に残る作品の1つです。たぶんリアルタイムで鑑賞していたら、近い将来、三船係長・畑野主任誕生が確信したであろう作品でした。

 

(2017年11月29日 全面追加)