※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また、(出演者)は、エンディングで、一列~三列で表示された男優・女優に限定しました。

1963年公開の、映画版・特別機動捜査隊全2作とは趣が異なることに注意。

 

☆・・・#750  家出の季節

 

 

 

(本放送)・・・1976年3月31日

(再放送)・・・2020年2月20日

(脚本)・・・西沢治

(監督)・・・島崎喜美男

協力)・・・無し

(協賛)・・・無し

(捜査担当・オープニング表記)・・・三船班

田中係長(山田禅二)、鑑識員(田川勝雄)、鑑識員(西郷昭二)、

関根部長刑事(伊沢一郎)、石原刑事(吉田豊明)、水木刑事(水木襄)、

松木部長刑事(早川雄三)、畑野刑事(宗方勝巳)、三船主任(青木義朗)

 

(出演者)・・・

雷門ケン坊、菅原靖人、五藤雅博、佐野哲也、松波志保、岩上瑛、木村豊幸、

佐藤まもる

 

 

(あらすじ・予告篇から)

・・・ ※当時のナレーションをそのまま聞き写しています。

 

・・・・・・・・・・(不良の若者と、男子小学生との会話の場面)

男子小学生 「家出して(註・っての誤り?)、学校の勉強より簡単さ」

不良の若者 「俺は、その点、家出の先輩だぜ! でも、お前どうして、

      家出なんかしたんだ?」

男子小学生 「夢とスリルがあるからね、家出ってさあ」

不良の若者 「夢とスリルねえ・・・? 」

男子小学生 「そう、夢のある生活なんて、僕、嫌なんだあ。

      楽しいんでしょ?家出生活って?」

不良の若者 「俺なんか、毎日自由で、夢とスリルの生活さ!」

男子小学生 「いいんだなあ・・・」

・・・・・・・・・・(通常のナレーション)

そして、2人の少年の家出生活の行く手には、

意外な殺人事件が待っていた・・・!

・・・・・・・・・・(再度、不良の若者と、男子小学生との会話の場面に戻る)

不良の若者 「みんな、家や学校が嫌になって家出するらしいけど、

      俺ら・・・、親に捨てられて、帰る家が無いんだよ・・・!」

男子小学生 「僕たち、また会えるよね・・・!?」

・・・・・・・・・・(再度、通常のナレーションに戻る)        

次回、特捜隊、「家出の季節」、御期待ください。

 

 

(備考)・・・

・かつて荒牧刑事として特捜隊レギュラーだった岩上瑛が、所轄の新宿南署・少年課課長を演じている。しかし、エンディング表記に役柄が「竜崎」とあるように、特捜隊から人事異動された荒牧刑事では無く、別人の設定である。

・劇中では、ももこの同級生3人を、序盤にももこの父が「仲代明宏」そして「せんだあき」「あいかわ」と発言されているが、中盤以降の後2人は「祐次」「ナオミ」とされる。エンディング表記は後者を採っているため、それに従い以下本文を作成。

・鑑識員2人の出演場面が見当たらない。

 

 

(視聴録)・・・開始約15分前半まで

 

ある日の午後1時、花園神社で血まみれになって助けを呼ぶ夫人が発見された。急遽、代々木赤心堂病院に搬送されるが出血多量のため死亡。片刃の凶器で脇腹を一突きされており、遺留品から、夫人は和服コンサルタント・すがわらあき(松波志保)と判明、所持金は25000円余り。駆けつけた三船主任は、あきから辛うじて「こども」「金のボタン」の言葉を聞けた。このことから「こども」とは「金ボタン」の制服を着た学生で、あきの年齢から大学生・高校生・中学生が該当すると判断する。しかし関根は、私立のお坊ちゃん小学生なら、金ボタンの制服を着ていることも不思議ではないと指摘する。

 

そして、駆けつけたあきの夫(佐野哲也)から、あきが花園神社に行ったのは、一人娘の高校生・ももこ(未詳)の家出と関連があると語る。同級生の仲代明宏(佐藤まもる)、祐次(太田登)、ナオミ(横沢啓子)が、あきに近づき、都内の喫茶店を回ってももこを探すと申し出たのだが、交通費・飲食費をねだり、あきはそれに応じていた。そして、昨夜の明宏からの電話では、ももこの居所がわかったから、明日昼花園神社に500万持って来るようにと要求されたという。また、当日は夫婦で花園神社に待っていたが、あきは、500万なんて大人をからかっているだけと25000円ほどしか持たず、夫婦で待っていたら話がこじれるかもしれないので、あき1人でお稲荷さんのところで待っていたときの出来事だということもわかった。

 

そこで、仲代宅を訪れた関根・石原は、明宏の母(未詳)に聞きこむと、明宏は新宿南署に万引きで逮捕、父(片山滉)が呼び出されていること判明、新宿南署・少年課の課長(岩上瑛)を訪ねる。また、祐次、ナオミは馴染みの喫茶店のマダム(柏木緑)の控室を借り、美人局まがいに、強姦されたと東都大学生・直樹(木村豊幸)を強請っていたところを摘発されるなど、あきへの恐喝が上手くいかないうえでの彼らの犯行が考えられた。

 

一方、松木・水木は聞きこみを継続する。と、駐車場事務女性(未詳)から、革ジャンの若者(配役名は黒沢仁、演者は雷門ケン坊)が、金ボタンの小学生(配役名は家永太郎、演者は菅原靖人)をタクシーに乗せ、太郎が嫌がっていたことから誘拐かもしれないということを聞きだす。そしてタクシー会社に辿り着き、そのタクシー運転手(未詳)からは、仁が払った運賃が100円不足していると告げると、太郎が1000円札を渡し、釣りはいらないと去っていった話も聞き出す。松木は、現場に残された金とあきが持ち出した金とは25000円と同じ金額で一致しているが、あきはへそくりを持参して、それが奪われた可能性を考えるのであった・・・。

 

 

予告篇にある、仁の「俺ら・・・、親に捨てられて、帰る家が無いんだよ・・・!」というのは、

・父親は借金苦で家を出て、母親は男をつくって家を出てしまい家が無くなったこと。

・引取られた伯父夫婦(五藤雅博、花原照子)からも恩着せがましく扱われたため、とうとう引取られた家からも出たこと。

・さらに上京して住み込んだ中華料理屋夫婦(菅沼赫、若山みち子)からも雑用の日々で、体調を崩し喘息になったことを盾に、住み込み先からも追い出されたこと。

のような、これら受動的な状態を指し、「家や学校が嫌になって家出する」能動的なものとは違い、具体的には、ももこや太郎とも次元が異なるよう対比させています。

そして、ストーリーが進行していくと、仁と太郎との間に友情らしきものが芽生え始め、それはももこの家出を悪事に利用しようとする高校生・明宏、祐次、ナオミとの対比にも見え、あき殺害事件の真相追及と併行して、興味深く展開していきます。

 

・・・と書きましたが、当作は刑事ドラマとしては薄めであり、むしろ人間ドラマとして厚く展開させています。「家出」をテーマに、当世の「若者」を描いた作品で、「プレイガール」のイメージが大きい島崎喜美男監督としては異色の作品です。「家出する少年少女」とひとくくりにするのではなく、その背後を見たらどうかというメッセージでもあるようです。

 

それでは、面白い作品かというと話は別で、視聴している自分からは、今まで(とはいっても【第3回再放送】からですが)「子供」「少年少女」について温かく接してきた三船主任を知っています。あるいは厳しく接しているようでも、その根底には「思いやり」も見えるよう、脚色・演出されてきていました。それが、当作ではあまりに薄く、三船主任ひいては特捜隊の出番など必要なかったのではないか、と感じるほど、違和感のある作品でした。

敢えてゲスト出演者に委ね、三船主任を後ろに置くスタイルをとったのでしょうが、ここが特捜隊を観続けた人間としては物足りないところです。これは、中盤から後半にかけ、三船班のメンバー出演場面が少ないことと無関係ではないでしょう。

 

つまり、この中盤から後半を芸達者なベテランに委ねるならともかく、「若い人」に任せるには冒険であり、当作ではその冒険が上手くいかなかったというのが自分の見解です。

そのひとり、雷門ケン坊は、話し方からもコメディ要素のある#687 オフ・リミットですよ では好演したと捉えられるのですが、シリアス感が強い当作や#712 七年目の報酬 だと空回りに見えてしまうのが惜しい。子役からスタートした俳優ゆえ、どうしても「シリアスさ」よりも「にこやかさ」があり、それが弊害となったのかもしれません。むしろ、年齢はいっていそうですが、特捜隊常連の木下清あたりが演じていたらどうだったか、とも考えます。

 

雷門ケン坊は、個人的には、高橋英樹主演「桃太郎侍」での、芸人一座のすずめ(野川由美子)の弟子役がスラップスティックで板についていたと思い出します。あるいは、日本テレビの「おはようこどもショー」で、声だけ出演していた記憶もあります。役者さんというより、コメディー路線、あるいは舞台・演劇のイメージが強いですね。1980年代以降は役者業を引退してサラリーマンに転身したとありますが、かれこれ40年近く経ちます。現在はどうしているのかなと、思う人物のひとりです。