アランパーソンズプロジェクトとしては4thアルバム。
1stを例外的な作品とすると、2枚目のアイロボットから、
ポップな作りとなっているが、これも同じ路線上にある。
まずジャケットが素晴らしい。
アルバムアートもヒプノシスの手によるものだ。
表ジャケはこのblogのトップにいれている。
裏はこんな感じ。
LPでは見開きのジャケで、内側にはアランパーソンズが顔を出している。
全体を通して曲も良くできている。
美しいプログレ風味のメロディ、シンセやオケを効果的に利用した
完成度の高さ。
特に最後の曲 、
if I could change your mind
は、アランパーソンズプロジェクトとしては珍しく女性ボーカルが歌う。
歌い手はLesley Duncan。
彼女は、名作狂気でThe Great Gig In The Skyのバックコーラスを
務めた人でもある。
Duncanは、このEVEのレコーディングを最後に、公のレコーディング
から姿を消している。好きな声だったので、残念だ。
ところで、アランパーソンズプロジェクトの作品は、ATMOSや5.1chが入る
BDのbox、はたまたLPなどで再発されている。
お約束のように初回プレス限定なので、結構高価にもかかわらず、すでに
入手できなくなっていることもある。
なるべく手に入るものは僕も買い求めているのだが、アランパーソンに限らず、
買ってよかった、と思うことは、ほぼない。
5.1chを聞いて、新しい発見は多少あるものの、感動がないのだ。
感性の問題なので人それぞれに異なるものだろうが、
たとえば、真横から音が槍のように刺さってくるのはおもしろいとは
思うが、そんなものは、本来の音楽とは無縁だし当初からの意図なんて
なく、特に感動はない。
その点、最初からマルチチャネルを意図して制作されたであろうピンク
フロイドあたりとは全く異なる。
そもそも、CDを良いステレオ、つまり正しく2chで聞く限り、2chだけで
音場はきちんと提示される。
せっかくキチンと再生されている2chと比べると、大半の5.1ch盤は、
1枚を通して音楽として楽しめるレベルに到達していない。
マルチchはあくまでもおまけ、トッピングオプション的なものだ、と思う。
とはいえ、せっかくAuromaticで聞ける環境をもっているので、
ここでは、無理無理13.3chに拡張してDuncakの歌をきいてみる。
もとのフロントchは、このように十分にレンジは広く、ロックとしては最上級の
録音だと思う。
13,1chでのオーケストレーションの効果音は、サラウンドとして部屋全体を
ふわっと包む。
でも、肝心の声が盛大にリバーブがかかる。
リバーブがかかりすぎて、歌詞も聞き取りづらい。
しかも、デパートの迷子のアナウンスのようにあちこちのSPから
響くものだから、気持ちが悪い。
1曲を通しては聞き続けられなくなったので、途中修了。
これは普通に2chステレオで聞くのが正解だ。
AuromaticによるLPの視聴
イマーシブ感 ★★
オリジナルソースのステレオ感 ★★★★☆
グルダは、クラシックの特にモーツァルトやベートーベン弾きとして
知られている名ピアニストだ。
このWingsという作品は、LP片面全部をつかう18分を超える
オリジナル大作で、バイオリン、クラビール、ドラムス、
声楽まで入っている。
彼は、ジャズやロックなども好んで演奏する人で、
モーツァルトを弾くコンサートのあとにジャズの
ライブハウスに登場したこともあるようだ。
とりわけjazzは録音も多く、バードランドなどライブハウスでの
録音も多い。
チックコリアとのピアノの競演でもLDを残しているので、見たことある人も
けっこういると思う。
ロックでは、あまり録音は残っていないが、ドアーズのハートに火を
つけて、を好んで即興のベースにしていた。
彼は、LPでの録音は多々あるのだが、いかんせん、あまり売れる人
でもないので、CD化は一部しかできていない。
とても残念だが、映像はBDでは出ていない。
ましてや、マニアックな現代曲やジャズともなると、BDどころか、
CD化されていないソースも多く、必然的にLPに頼ることになる。
この作品は、たまたまCD化されているので、
今回は、これを2chとAuromaticで聞く。
まずステレオで聞くと、ピアノはon過ぎるほどのオンマイクで、
バックの演奏はoff すぎるほどのオフマイクで収録したことがよくわかる。
一応ステレオなので、サウンドステージは提示されるが、
定位は甘く、バックはおまけでいる感じがある。
ミキシング時のバランスは不自然だ。
周波数レンジは、非常に狭い
それを、Auromatic 13.3chで再生してみた。
全体的な音の感じは、2chとほぼ変わらない。
しかし、バックの演奏は少し遠くに行き、ピアノも
いくぶんサウンドステージの後ろに下がる。
サウンドステージ全体を濁らせるので、ピアノとピアノ以外の区別は、
改善される。
つまり、2chの再生よりも自然に聞こえる。
ライブなので、会場の音も入っているはずだが、臨場感がない点は同じ。
会場の音は、最初と最後の拍手程度を除いて、ミキシング時に
控えめな音量までカットされていると思う。
Auromaticでイマーシブ感が増幅されるわけではないので、2chで聞く方が
グルダの演奏は楽しめる。
音楽的な話であるが、これを最初に聞いた時は腰を抜かした。
NHKの、午後のFMで聞いたのが最初だ。
その音源を求めて、FM誌の該当番組を切り取って、あらゆるレコード屋を
探したものだったが、売っていなかった。
欧州でも、何度もトライしたが、どこにも売っていない。
でも、ひょうんなことから買ったLP boxにたまたま入っていた。
いまだと、CDでは手に入る。
ルネサンス、ムーディ・ブルース、ラッテ・エ・ミエーレなどの
シンフォニックロックが好きな人には大変にお勧めしたい。
というより、全てのプログレ好きに聞いていただきたい、
素晴らしい作品なのである。
音楽作品としては★5つである。
でも、イマーシブという観点から見るとお勧めできない。
イマーシブ感 ☆
オリジナルソースのステレオ感 ☆
前回のblogで、Auro3Dさんからコメントをいただいた。
この凄い空間を音で満たすための条件を考えよ、ということであった。
音、というのは、音が作る場(ば)のことだ。
界(かい)ともいう。
英語ではfieldで通じる。
したがって、音場は、おんば、と読むべきなのである。
さて、fieldは、物理学では、理論的に計算できる。
ガウスの発散定理として知られている。
最もよく使うのは、空間の1点(Aとしよう)電荷が存在するときの、
電界の計算だ。
これによると、点Aから距離rが離れると、
電荷Qが点であった場合、Qが作る電界Eは 球面で広がり
強さはr^2に反比例して弱くなる。
電荷Qが線であった場合、Qが作る電界Eは
円筒面で広がり rに反比例して弱くなる。
電荷Qが面であった場合、Qが作る電界Eは
平面で伝わり、距離に限らず一定となる。
音も同じである。
たとえば、空間の1点にスピーカーが存在するとき、
その量や形状で、そのスピーカーが出す音は、
計算することができる。
スピーカーが小さな点を見なせるばあい、音圧は1/(距離^2) に比例して弱くなる。
スピーカーが一つの線としてみなせる場合、音圧は1/距離 に比例して弱くなる。
スピーカーが一つの面としてみなせる場合、音圧は距離とは関係なく一定となる。
ただし、音源が面を構成することはない。
仮にあるとしたら、一つの壁全体が振動板となって音を出す
面となるが、これでは複数の音源を設置できず、実現不可能だ。
次に、点音源であるが、
点として見えるような小ささの発音体ということになる。
10cmシングルコーンの小型スピーカーが典型的になる。
この音源で何mもの距離を置いて音を鳴らすと、低音は
まるで出ないので、オーディオ用としては使い物にならない。
しかし、スピーカーユニットが1つだけであるため、位相は正確に
再生される。
このメリットを生かすために、超近距離で聞く方法がある。
10cmが面とみなせる距離で聞くのだ。
たとえば1cmの距離で聞くと、理想になる。
そう、ヘッドホンである。
ヘッドホンは、ひとつの解になるのだ。
大きな部屋で、大きなスクリーンで、ヘッドホンで聞く。
SONYの、360 Reality Audioは、ヘッドホンやカーステ向けの
サラウンドフォーマットだが、オーディオに理想的なものだ。
いまはAuro-3Dに対応したヘッドホンは存在しないが、
そうしたものが出てくると、理想の音が再生できる。
まぁ、しかし、それではセコいので、次点の解決として、
線音源を設置することになる。
背の高いスピーカーは、線音源となる。
音圧は円筒の場を作りながら拡散、つまり音が広がる。
これが、Auro3Dさんの質問に答えるための前置きである。
疲れたので、続きはまた別の日に。
マルチchオーディオは、2chよりも、かなり大変であることに気が付いた。
まず、マルチchオーディオというものは、ピュアオーディオとしては存在しない。
間違いなく、ディスプレイ(スクリーン)が入る。
なぜかというと、
メディアはBD、DVDが主体になり、映像をみないと操作ができないから。
そもそも、マルチchオーディオは、
映画のためのであり、映像の方が重要だ。
簡単に言うと映画をATMOSで再生するために、
スピーカーをたくさん部屋にいれるだけだ。
せっかくSPを多数そろえたついでに、
それを利用して音楽も再生するだけだ。
特にATMOSは、好きな位置にSPを置けばそれで完了、
楽なのだ。
だから、普及する。
でも、Auro-3Dは、SPのセッティングルールがたくさんあるようだ。
別にユーザの自由だから無視してよいはずだ。
僕も最初は都合の良い適当な場所に適当においていたし、そもそも、
ソースもないAuro-3D方式のために面倒な設置ルールに従う
気持ちになれない。
でも、ちゃんと守ると、その努力が報われる。
努力しただけのアウトプットがあるのだった。
試験に出る英単語を勉強するような感じだ。
しかし、Auro-3Dとは無関係だが、スピーカーにはオキテがある。
「壁にくっつけず、1mは離すべし」
全てのSPを、このルールに沿って設置している人は、いるのだろうか。
よしわかった。
ここは一丁、ひらきなおって、
完璧な条件を妄想してみようと考えた。
どうだ、これだけやれば十分だろう。
と言い切れるほどの十分条件を、考えみようじゃないか。
全て数字で確認してみる。
考えるのはタダだ。
まず、映像であるかぎり、スクリーンが必要だ。16:9inchを標準としたい。
十分に大きなスクリーンサイズを考えよう。
おおきければ大きいほど良いのがスクリーンだ。
でも、家で使う以上、限界がある。
限界は、ズバリ、250inchだ。
これを超えると、スピーカー間隔がひろくなりすぎる。
250inchとは、H5.5m x V3.13m で、製品としての大きさは
電動スクリーン仕様で6mx3.5mほどになる。
人によっては、カーブドスクリーンを好むが、あれは画像が歪む。
サウンドスクリーンは絵が汚くなるので論外。
ピュアオーディオを兼ねる前提をとると昇降が必要になるので、
電動フラットスクリーンだろう。世界標準のスチュワートU13か。
当然プロジェクターも使う。
現時点でビクターV900R一択だから、
投射距離は本体の尻から8m必要だ。
このスクリーンを基準に、投射に必要な光路を確保したうえで、
スピーカーを設置する。
rは3.5mがちょうどよさそうだ。
半径3.5mの円周を基準に、すべてのSPを設置する。
部屋の短辺は、直径7mに加えてサラウンドSPの奥行き1mを加味して
9mとする。
これで短辺の長さがきまった。
石井式リスニングルームによると、短辺1:長辺1.18が理想である。
したがって、長辺は10.6mとなる。
同様に、高さは、短辺1に対して1.38なので、12.4mの高さが理想となる。
一部屋で96m^2 、これが内寸であり、高さは12mを超えるという
なんだか教会のような広さになるわけだ。
そうとうなエアボリウムだ。
ここまでの話を図に落とすとこうなる。
センタースピーカーは、ひとまず光路の真ん中に仮置きしている。
一軒家で実現する場合、遮音55dB程度を実現するために、
部屋より一回り広い建物になり、建ぺい率の制限もある。
建物の倍の広さの土地70坪は必要になろう。
探せば都心でもありそうだ。
マンションだと、3フロアをぶち抜くほどの高さが必要であり、
施工前に設計することになる。
うーん、思ってた以上のスケールになってきた。
今日は、マーラー2番を聞く。
この演奏は、SACDでも5.1マルチチャネルで出ているが、
BDでも出ていることに気が付いた。
DTS-MA 5.1ch(96/24)で収録されているが、
Auro-3D 9.0ch(96/24)でも収録されているではないか。
2016年9月18日の録音というから、
ブレクジット住民投票(6/23)が行われた3カ月後、
2か月後にトランプ候補がヒラリー候補に勝って(11/9)、
次期大統領として決定的になった年だ。
ところで、
Auro-3Dの商用BDは、はっきり言ってゲテモノばかりで、
なんども聞く価値がない(と思える)割に高価である。
こんなの、誰が買うんだろ。
(普通、買わないでしょ)
とさえ、思う。
しかし、これはロイヤルコンセルトヘボウ管弦楽団(RCO)である。
欧州では誰が数えてもtop5には入るオーケストラだ。
RCOは、欧州でも大変な人気オケだ。
大陸のオケでは、ベルリンフィル、ウィーンフィル、
と並ぶ3大オケなのだ。
(イギリスが抜けている?はい、欧州に島を入れないのが僕の流儀です)。
なぜか日本ではアムステルダムコンセルトヘボウ管弦楽団と呼ぶが、
ロイヤルコンセルトヘボウ交響楽団、と訳すのが正しいとは思う。
昔の人が、ロイヤルというと英国のイメージが強いので、
アムステルダムに置き換えたのだろうか。
まぁ、どうでもよいか。
とにかく、この価値あるソースを、Auro-3Dフォーマットで
出しているのは奇跡であり、喜ばしい。
探せばあるんだね。
そして、このソースのch数には意味があると思う。
9ch。
dtsよりはマシだが、最もおいしい2chが入っていない。
Auro-3Dの最も特徴が出る、第3層の2chが存在しない、ということだ。
クリープのないコーヒー、
古いか。
赤ワインとチーズのないフランス料理。
なんだか、未達の不満があるのだ。
こういった録音で重要なのは、演奏だけではなく、
雰囲気、エアーだと思う、
つまり、観客込みのホールの音。
これは、行かなければわからないが、
疑似的には家で再生できるはずだ。
それを可能にするのが、マルチチャンネルオーディオであり、
最高峰がAuro-3Dだ。
しかーし。
この録音には、本物のホールの魅力が十分に入っていない。
これをみよ。
なんと、
高域も、低域も、圧倒的にカットしている。
うーん。
高名なオケで、しかも演奏もよいだろうに。
せっかく買ったので、もう少し、しゃぶりつくそう。
試しに9chを13.1chに拡張して聞くと、高さが出て心地よいが、
特に声の成分はエコー成分が全体に付与され、お風呂の音になる。
しかもPAを通した固いような音になり、要するに
カラオケのような音になる。
シンフォニー♪重視の場合は、9.0chのまま(ストレートデコード)
の方が良い。
期待して1カ月も待っただけに、残念ではある。
いや、商用BDとして、音がAuro-3Dで入っているだけでも良しとしよう。
Auro-3Dという世界を味わたい僕には、十分にありがたい。
Auro3Dサウンドとの対比
一昨日訪問したAuro3Dさん宅のサウンドの記憶があるうちに、同じソースを聞きたいところなのだけれど、なにしろ故障していたアンプが届いたばかりでセッティングができていない。
昨日、日曜日の午後いっぱいをつかって、ワイヤリングとSP設定をした。
AVプリメインアンプに、SPを直接配線しているだけなので、あっというまに終わる予定だった。
問題発生。SWがなぜか鳴らない。
原因特定まで1日を要して、本日ただいまから正常な音出しができた。
さっそく、LUXを聞く。
Auroさん宅では13.1ch(正確には13.3chだと思う)への拡張を行って聞いたので、
わが家のアンプでも、チャネルの拡張をして、
同じように13.1ch(我が家も正確には13.3ch)にした。
同じディスクなので、音は同じものが同じフォーマットで入っておる。
プレーヤーも機種は同一だ。
なのだけど、聞こえ方は異なる。
アンプもSPも、なにより部屋も違うから、
音が異なるのは当然。
再生音量も(なるべく揃えたが)違うし、ダイナミクスもfレンジも異なるだろう。
特に大事なのは音場の提示だが、かなり差をつけらるだろうな、
と思い込みながら視聴に臨んだ。
あれれ。
そうでもない。
誰がどう聞いても、我が家が劣っているといえる要素はあまり感じない。
特に全体として音を評価すると、大差ないのだ。
明らかに我が家の音は向上していたのだ。
今回のシステムで、いままでと違うのは、
1 フロントchの上の2層SPを真上に設置しなおしたこと、
2 センターSPを縦長にレイアウト替えしたこと。
この2点が違うだけなのだけれど、
おそらく 1の理由が99%だと思う。
なにが違うかというと、前方上方向の空間がものすごく広がったことだ。
音も透明度が高まっている。
ううむ、やはりセオリーを守るのは重要です。
面倒なことだったがやってよかった。
(それを教えてくれたAuro-3D友の会の皆様、ありがとう!)
しかーし、前方の奥行き感は、Auro3Dさんの方が、明らかに深い。
たぶん、センタースピーカーの能力不足だ。
まあしかし、日本最高(たぶん)のAuro-3Dの音と比べての話だ。
僕のやりたいことは、アナログ2chをAuromaticで
マルチch化して聞くことなのだけど、
そのために必要と思ったら、
必然的になんとかすると思う。
昨日、Auro3Dさんの音を聞きにいって、この興奮が冷めぬうちに、面倒くさくて着手していなかったスピーカーワイヤリングを行った。
なにが面倒なのかというと、フロントHiのスピーカーが、2m前方に移設したので空間上にあるからだ。
Auro-3Dのルールに沿って、天井スピーカーを構成するフロントHiのSPを、その下の層にあるフロントスピーカーの真上に設置したためにこうなった。
設置はしたのだが、そのスピーカーケーブルをアンプから引き延ばして配線するのが大変なので、放置していた。
こうした面倒なことをするには、勢いがなくてはできない。
その勢いが、今はなぜかある。
体が勝手にワイヤリングをやるぞ、と言い出して聞かぬのだ。
昨日は、もしかすると数日前に英国から着いたせいで時差ボケが理由かもしれぬが、3時間くらいしか寝ていないせいかもしれぬが、とにかく今やらねば、1カ月は先おくりになりそうだった。
ところで、このスピーカー配置は、Auro-3Dを再生するうえでは重要らしい。
そもそも、真上とか、真下というのは、上にあるSPの中心から垂線を垂らして、正確にしたのSPの中心に一致させることだ。
では、中心とはなにか。
僕は、勝手にツィーターの振動板の中心、と解釈した。そこからレーザー墨出し器をつかって下のスピーカーのツィーター振動板の中心に当たるように設置位置を調整する。
こんなこと、言うは易し、行うは難しだ。
スピーカーを天井から天井へ、移動するだけでもけっこう難しいのに、右に2cm,奥に1cm、さらに動かしてね、などと調整しながら取付するのはかなり大変だ。スピーカーは、案外重いし、別にレールがあるわけでもない。
我が家の場合、鉄骨の上にステンレスパイプを這わせてレール代わりとし、左右の微調整をできるようにした。
前後はあとから調整できないので、レーザー測量でミリ単位で動かしてパイプを固定する。
こんな絵になる
大工さんの協力で、この作業を先月行ったのだが、アンプの不調や、そもそも僕がほぼいなかったせいもあって、配線は後回しにしていたのだ。
先ほど完成した写真がこれ。
ようやく、Auro-3D 13.1chの設置が完了
これから、音出しをします。
本日、Auro3Dさんの伊豆リスニングルームを訪問しました。 オーディオ専用のマルチch,とりわけAuro-3Dの環境としては、 日本でもトップと思われる聖地であります。 僕自身は仕事で移動もあったし忙しく、そもそもアンプ が不調でマルチch再生環境から1ヶ月ほど遠ざかっていた のですが、ようやくアンプも交換が完了しましたので、 ワイヤリングや各種設定をやりなおしている最中でした。 本物を味わって目標の確認と自身の環境との評価を行う ナイスなタイミングでの訪問です。 お部屋は、Auro-3D友の会サイトで写真が数多く掲載されて いるので、機材などに関しては、そこをご確認いただく として、そこにも多々掲載されている写真の通りの素敵な 部屋です。 平行する面が少ないので、定在波の面でも有利でしょう。 僕も写真や文章はみていたので、部屋はめちゃくちゃ 広い印象をもっていました。 実際は広大というほどでもなく(実面積の4倍くらいデカ いスペ-スを想像していたもので)、エアボリウムは私の 部屋と大差ない感じ。 当然に狭いこともないリビング中の中心部スペースに 13.1chスピーカーが鎮座しています。 すべてのSPは同じシリーズ、 特に1層の5chはまったく同じモデルで揃えるという 普通に考えると難しいことも実現されています(ぱちぱち)。 最初に、SP単体としての素性の確認を兼ねて 5chの中の2chをつかった再生をきかせてもらいました。 まぁ、特になにか悪いこともない普通の音です。 ところがネイティブAuro-3Dの音をきかせていただくと、 真骨頂のマリンバをきかせてもらったせいもありますが、 水を得た魚のように確かに見事な音でした。 とはいえ、なにか、サラウンドバックから,我が家では 聞こえない音が聞こえていて、しばしば後ろをみて変だな変だな、 とも発言しましたが、 このときは、正確な音は、こんなに後ろから音が聞こえて 分離するものなのか、とも思っていたのでした。 結局、真空管アンプでピュア2chの音がプリとつながっていて、 関係ない2chスピーカーが後ろにセットされていたため、 それがなっていたのでした。 ちゃんちゃん。 その後は、正しい音でリスニング再開。 やはりいいですね。 響きがゴージャスで、ただただ気持ちがよい。 ヴォーカルのディプスも十分で見事です。 絶賛すべき音です。 こうした音をマルチchで出せている人は初めてです。 僕自身は、いままでATMOS再生設備までは一応整備していた ので、そこそこマルチchの再生はできていたのですが、 各SPから耳に届く音はばらんばらん。 それでもフロントSPの支配力が大きいので、問題は 感じていなかったのです。 でも、あれだけの数のSPからこんなに整った音が出る ものとは。 Auro-3Dの約束事を守ってセッティングする価値を再確認 した次第です。 しかし、ここで では thank, good night と文章を閉じるわけには行かない。 やはり、個性は感じる音なのです。 それを、もう少し掘りさげてその音を言葉にすると、 1 緻密でパーフェクトなわけではない 定位はかなりよいのです。 でもサウンドステージの高さが低い。 私の好みより。 そこが個性なのですね。 個人的にはもう少し上方に 歌手のボディを定位させたいところです。 ディフューザーパネルを設置すると簡単に解決します けど。 そんな無骨なことは快適な明るい部屋を汚すことになりますしね。 設定している目標周波数を修正するとかなり聞こえ方は変わるので 試す価値ある気がします。 2 小さめの音だと少しばかりの違和感 各SPが提示する場(field)のダイナミックバランスがそろっていない ように感じます。 5.1chのスピーカーが全員同じ性能ではあるが、 音楽の中で全SPの音量が完全に そろっているわけではないので、 リーダーが存在せず、ばらばらさが目立つのでは ないだろうか、 ともおもうわけです。 (ただ、かなり大きな音量で普段再生しているようなので、 そのときは問題は感じません) 我が家では、もっと^2 ダイナミックバランスはとれていないはずですが、 fレンジで圧倒的に支配しているのが フロント2chであってあとのchは (Cを除いて)残響音を加える脇役なので、 ダイナミックバランスは常に フロントが支配します。 音楽のステージが前面にある、 だからフロント2chを豪華におごる、 というのが一般的な音楽再生に ベターな気はしていたのです。 というと、これはどうだ?と出てきたのが マイクの周りを囲うように 演奏者がいて、 自分の周囲すべてがサウンドステージ になっているAuro-3Dのソース。 確かにこうしたソースをきくばあい、 全SP一致の法則が必要ですね。 3 コントラバスまで2Fで演奏しているように聞こえる サブウーハが2Fにもセットされていて、 オルガン重視だそうなので、2Fからの響きは 実に気持ちよいのですが、 ウッドベース領域も空から降ってきます。 らせん階段を通して2Fから1Fに骨伝導してきた振動が 1F階段真下のSWの 振動モードと戦っている感じもうけました。 上記の(僕が感じた)短所は、 長所が上回っているのですが、 ゆえに響きで覆っている感じがあります。 だから、響きが余計必要になる。 そんなイメージをもちました。 ところが 帰り間際に聞かせていただいた、エレクタアマトゥール。 ルームコレクションを通さずにシンプルに真空管アンプでならした音は、豊か。 しかも、よい意味で緊張感の抜けたもの。 セッティングなんて、おおざっぱで トローリー荷台のような板の上にポンとおいてあるだけで 笑っちゃうのですが、それでいてオーディオ的にも 大変なレベルでよい音だと思いました。 一杯やりたくなる音。 まぁ、とにかく、いろいろなお話をしたなかで、 Auro-3Dに関して参考にすべきことが多々あり、 たくさん学習できました。 いやぁ、人の音を聞くと刺激を受けて触発されます。 これを生かして、年内に、できれば同レベル、少なくとも もっと接近するレベルの再生を自分の部屋でも得たいと思った次第です。 本日の音は、絶賛はしますが、自分でも(自分なりの個性がある前提で) 到達可能なレベルだと思ったからです。 食事なども気を遣っていただき、また送迎までしていただき、 ありがとうございました。 6月8日 深夜
アンプがトラブっていて完全ではないのだが、これはHDMIの認識に10分かかるだけであり、いったん認識してしまえば問題はないので、その状態でブログ記事にしてみた。
キャラバンは、イングランド南部にあるケント州カンタベリーで結成された。ワイルドフラワーズを源としているが、ソフトマシーンも同じ源であり、どちらもカンタベリーロックの代表的なグループだ。
今回はグレイトピンクの地を聞く。
オリジナル作品1971年
版はDVD 5.1ch で、CD2枚、DVDの3枚組のもの。
Steven Wilsonによる5.1chミックス
当然ながら限定版だ。
いつ買ったか覚えていないが、40th anniversary edition ,2011とクレジットされているので、13年前に出たのだろう。
3rdアルバムの本作は、LPジャケットが非常に美しい。僕が所有する数多いLPの中でも特に突出して気に入っている。
DVDのジャケは、なんと、ジャケ表紙の重要な場所に、無神経なシールがベタッと張り付いていてしらける。
みて。
ジャケは最高。
内容も充実している。
A面に小曲、B面に大作1曲という構成なので、ピンクフロイドの1970年の原子心母、1971年のおせっかいあたりと曲の配列では共通点があると思う。
さて、この懐かしい名盤のマルチch版を、1971年の英国版LPと聞き比べしよう。
デビットシンクレアが演奏するオルガンが特徴的なおとなしい音楽だが、side2の9フィートのアンダーグランドは23分の大作で、聞きごたえがある.よーく聞くと、キャメルのBrethlessと音のイメージはとても似ている。音の解像度はだんぜんキャメルが上だけれど。
このオリジナルソースを、5.1chネイティブ盤で再生すると、左右サラウンドchからギターが分離して聞こえ、それが頭の中で定位するものだから、ヘッドホンで聞いている感じを受ける。しかもセンターchからきこえるヴォーカルは遠くから控えめな音量で提示されていて、2chで聞く密度の高さをずいぶん薄めた感じを受ける。どうも、こうした聞こえ方は個人的には物足りない。
Auromaticで13.1chにしても同じ傾向で、残念だがイマーシブ完成度は低い.
さらにダメ押しすると、我が家のセッティングでは真横から聞こえるサラウンドチャネル(SR/SL)と同じような音をその上に位置するSP(RHR/RHL)でも音が出てしまう。しかも、あるときはギターとか、あるときはオルガンだけに集中して真横からでるような、意味のないサラウンド感が提示され、昔のCD-4のさぁこれでもか、という無理さが出て気持ち悪く音楽どころではない。
一方、2chのリミックス(CD)は,ステレオなので全面にではあるがサウンドステージはきれいに完成する。LPレコードよりもクリアなのは良いのだが。。。
クリアさは悪くはない。が、部分的なクリアさであって、窓ガラスの一部だけを雑巾がけしたような、やらないほうがよいクリアさに聞こえる。オルガン以外の解像度は特に上がらず、オリジナルLPの方が音のバランスが良い。リミックス時に1つのチャネルだけいじって、全体のリバランスを忘れていたのではないだろうか。
LPのスペアナの写真を添えるが、聞くダイナミックレンジは十分に大きい。オルガンが滑らかに優しく聞こえる分、LP(当然に2ch)の方が満足度が高い。LPでの音作り完成度が高いのだ。
LPの良さにくらべると、DVD5.1chも、それをAutomaticで拡張し13.1ch化しても、楽しめなかった。おそらく、5.1chが悪いから、それをがんばって拡張したところでダメなのだと思う。
傑作のオリジナル2chを、5.1マルチチャネル盤は凌駕していない。
もしかすると、この時代のSteven Wilsonは、マルチch化の素人で、こうした経験を積みながら,いまや名をとどろかる存在になったのかもしれない。
とにかく、この5.1ch盤は残念な仕事になった、と思う。
少なくとも、ジャケを粗末にするようなことはしないでほしいものだ。
オリジナル満足度 ★★★★★
5.1ch完成度 ☆
Auromaticイマーシブ度 ★
オザンナは、1971年にナポリで結成されたイタリアのグループで、今回は3rdアルバムをイマーシブで聞く。
昔からのプログレ好きなファンは、このアルバムは幻のアルバムで、長い間輸入盤では入手できなかった。 僕は、FM東京の深夜番組で流れるのを、友人にテープに取ってもらい、むさぼるように聞いた覚えがある。
日本盤が出たのは1980年で、キングのユーロロックコレクションという、プログレマニアのよだれが出るシリーズだった。当然にCD以前なのでLPで出ていた。オリジナルジャケを尊重していたのも素晴らしかった。
(うまくとれていないのはご勘弁)
日本にも2回来日していて、1回目がミラノカリブロ、2回目がパレポリを演奏している。2回目の時は、ジャンニレオーネ(イルバレットディブロンゾ)、デビットジャクソンも一緒に来日し、素晴らしいステージを見せてくれた。
このLPはCD化されているが、ざんねんながら5.1ch化されていない。
そこで、CDをAuromaticで13.1ch化して再生してみたら、これが凄い。
冒頭の3分程度、いろいろな効果音をいれているが、これが素晴らしく分離する。
ギター音が空に舞い、シンセやメロトロンは逆に前方にピシッと定位する。
ボーカルは真ん前に定位し、躍動感がある。
曲の中頃、9分からの数分の最高の盛り上がりの部分は、素晴らしい。
音楽が生き生きしているのだ。
2曲目(いわゆるB面の曲だ)、2分を過ぎたあたりから、最もクリムゾンを感じるぞくぞくする展開があるのだが、ここも最高に気持ちが良い。2chでは感じられない空間感が出る。
まさにイマーシブ。素晴らしい。
スペアナを見よ。かなりワイドレンジだ。
13.1ch化後のフロントLch
もともと、音の良いCDであるが、
Auro-3Dでイマーシブ化して再生すると、音の粒が多くなり、しかもよく分離される。
これを聞けただけでも、Auromatic13.1chできけるアンプを買った価値があると思った。
オリジナル満足度 ★★★★★
Auromaticイマーシブ度 ★★★★★